法人向けがん保険「1/2損金」を有効活用する2つの条件

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いわゆる「法人向けがん保険」を「節税商品」として説明しているのを目にしたことがあると思います。

確かに「法人向けがん保険」は、保険料の1/2を損金に算入でき、その点をもって「節税」と呼ばれることがあります。

しかし、「損金」だけに気を取られていると、解約までのトータルで考えると損をすることもあります。

しかも、「法人向けがん保険」は平成24年4月の通達で「1/2損金」とされる以前は、保険料全額を損金算入する扱いが「黙認」されていたものです。もしも損金を多く計上してその時点での税負担を軽くすることを「節税」と呼ぶならば、「1/2損金」扱いは以前と比べてメリットは少ないはずです。それにもかかわらず、現在、敢えて活用するメリットは何なのかという問題があります。

この記事では、現時点で「1/2損金」の法人向けがん保険について、有効活用するための2つの条件を説明します。

1.法人向けがん保険の特徴と活用法

1-1.法人向けがん保険の最大のうまみは必要な資金を効率よく積み立てられること

「法人向けがん保険」は、個人向けの商品と比べると、主に以下の2つの違いがあります。

  • 解約返戻金が受け取れる(返戻率は最大で80%台後半程度)
  • 保険料の1/2が会社の損金に算入される

「がん保険」と言っても個人向けの商品とは全く別の商品として扱うのが分かりやすいです。

各種給付金の額を高く設定して保障内容を手厚くすれば、経営者のがんの治療費や、療養で離脱した場合の事業資金の確保に役立ちます。

ただし、それ自体は、法人向けがん保険特有とまではいえません。個人向けがん保険でも商品や設計のしかたによっては保障内容を手厚くすることは可能です。また、がんに備えるだけであれば、解約返戻金のない「掛け捨て」のタイプで十分です。

むしろ、法人向けがん保険の最大の特徴は、解約返戻金が積み上がっていき、ある程度の貯蓄性があるということです。

つまり、解約返戻金が積み上がってある程度の貯蓄性があります。そのため、保険料の1/2が損金に算入されることになります。

1-2.保険料の支払で税負担を軽くし、解約返戻金で赤字をカバーする

法人向けがん保険は、必要な資金を効率よく積み立てるのに活用できる保険の一つです。

というのは、まず、保険料を支払う段階では、各年度に保険料の1/2の額を損金に算入して税負担を軽くすることができます。残りの1/2の額は資産に計上されていきます。

そして、解約返戻金の返戻率が高くなったタイミングで解約して解約返戻金を受け取ると、その額から資産計上分、つまり保険料総額の1/2を差し引いた額が、益金に算入されます。

解約返戻金を必要な資金に充てて支出すると損金になりますが、解約返戻金自体によって益金が立っているので損金をカバーでき、大きな赤字を計上せずに済みます。

そのため、法人向けがん保険は、主に解約返戻金目当てで、退職金等の必要な資金の積立に活用されます。

1-3.「1/2損金」だと貯蓄性は長期平準定期保険・逓増定期保険の方が上

ただ、法人向けがん保険の解約返戻金の返戻率はせいぜい90%に届くか届かないかです。

同じ「1/2損金タイプ」の保険であれば、長期平準定期保険、逓増定期保険の方が、タイミングにもよりますが解約返戻金が90~100%前後と高めです。

そのため、貯蓄性がそれらの保険よりも低い法人向けがん保険は、全額損金扱いが認められていた当時と比べ、うまみは少なくなったと言えます。

このことからすれば、敢えて他の長期平準定期保険や逓増定期保険を選ぶことなく法人向けがん保険を活用するには、それ相応の理由が必要でしょう。

それでは、どのような理由があり得るのか、これから説明していきましょう。

2.敢えて「法人向けがん保険」を資金準備に活用する2つの条件

2-1.1/2損金タイプの保険で退職金等を積み立てたいが生命保険への加入が厳しい場合

保険を使って税負担を抑えながら退職金を積み立てたくても、「長期平準定期保険」「逓増定期保険」といったより解約返戻金の返戻率の高い「1/2損金」の商品に加入できない場合があります。

まず、生命保険の保険金が限度額に達してしまったような場合です。

また、健康状態に問題があって引受を拒絶されたり、保険料が割増になって高すぎたりといった場合です。そのような場合でも、がん保険であれば、生命保険よりも告知事項が限られているため、加入できる可能性があります。というのは、たとえば精神疾患、糖尿病、高血圧など、がんに関係ないものについては、引受拒絶や保険料の割増といったことは考えにくいからです。

したがって、生命保険に加入するのが厳しいけれども退職金等の資金を税負担を軽くしながら効率よく積み立てたい場合には、法人向けがん保険という選択肢には合理性があります。

2-2.必要な資金を積み立てるのを兼ねて、がんの保障を備えたい場合

在職中のがんのリスクに備えることと、退職金の積み立てを両立させたいのであれば、法人がん保険を活用する合理性があります。

というのは、年代別のがん罹患率は、男女ともに50歳~70歳の頃にそれ以前よりも急に高くなっているからです。

この50歳~70歳という年代は、経営者としての役割を担う人の多い年代でもあります。

【年齢別がん罹患率(2011年のデータに基づく。単位:%)】

〈男性〉

がん罹患率累積男

〈女性〉

がん罹患率累積女

経営者の方ががんに罹患して治療に専念しなければならなくなれば、会社の事業にダメージを与えるリスクが高くなります。

がん保険に加入しておけば、そのような場合のあなたの治療費を確保し、会社のキャッシュのダメージを最小限に抑えるのに役立ちます。

そして、法人向けがん保険であれば、保険料で税金の負担を抑え、解約返戻金が積み立てられるため、ご自身の退職金の準備にも役立ちます。

まとめ

いわゆる「1/2損金」で解約返戻金を受け取れるタイプの「法人向けがん保険」について、現状での有効活用の条件についてお伝えしました。

「1/2損金」とする通達が出る前と後では、敢えて活用する意味、活用の条件が違ってきていることがお分かりいただけたと思います。

「法人向けがん保険」については、こちらで返戻率の一例を掲載していますので、参考にしていただければと思います。

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出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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