住宅ローンの疾病保障の必要性と選ぶ時の4つの注意点

住宅ローンを組むときは、基本的に団体信用生命保険に加入します。

団体信用保険とは、住宅ローンの申込者が死亡又は高度障害状態になった場合、ローン残高と同額の保険金が受け取ることができる保険です。

つまり団体信用生命保険に加入すると万が一の場合、住宅ローンが相殺されることになります。

最近は、三大疾病保障付き又は七大疾病保障付き、さらにそれ以上の疾病保障付き商品も見かけますが、これらは本当に必要なのでしょうか?この記事では、それについて検証していきます。

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野沢 勝久

野沢 勝久

ファイナンシャルプランナーCFP 住宅ローンアドバイザー
1級ファイナンシャルプラン二ング技能士 相続診断士
大手生命保険会社ライフプランナーで人生の地図といわれるライフプランニングにより、マイホーム購入・学費・老後の安心を与えてきました。1人でも多くの方の夢や希望をサポートしていきたいと考えています。生命保険・損害保険・税務・相続に強いファイナンシャルプランナー。

1. 「疾病保障付き住宅ローン」とは

まず、「疾病保障付き住宅ローン」とは何かを確認していきましょう。

現状住宅ローン金利は過去最低まで下がり、金融機関の競争は金利から保障に移っています。

今後、マイホームを購入するとき、金融機関から「疾病保障付住宅ローン」を勧められる場面が増えてくるでしょう。

この住宅ローンは、特定の病気になると住宅ローンの返済が免除されるのが特徴です。

住宅ローンを組む際に「団体信用生命保険(団信)」に加入する人がほとんどですが、この団信のオプションとして「疾病保障」が付加される仕組みになっています

団信は住宅ローンを借りた人が返済中に亡くなったり、高度障害状態になった場合に保険金でローンを返済してもらえますが、この考え方を特定の病気まで範囲を広げたのが「疾病保障付住宅ローン」です。

1.1. 対象になる病気と支払い要件

疾病保障付き住宅ローンの対象となっている疾病は下記のとおりです。

どの疾病も発症するだけでローン残高が0円になるわけではなく、細かい支払い要件が決められていますので確認しておきましょう。

条件は銀行ごとに異なるため、参考までに以下にA銀行の疾病保障付き住宅ローンの例を紹介します。

がん

保険対象期間中に生まれて初めて悪性新生物(上皮内がん、および皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんを除く)に罹患したとき。※保険対象期間初日から90日以内に診断された場合を除く

急性心筋梗塞

融資実行日以降に発病し、初めて医師の診療を受けた日から60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断されたとき

脳卒中

融資実行日以降に発病し、その疾病により初めて医師の診療を受けた日から60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師に診断されたとき

高血圧症・糖尿病・慢性膵炎・肝硬変・慢性腎不全・ウイルス肝炎

融資実行日以降に発病し、これらの疾病が原因で就労不能の状態がその日を含め365日以上続いたとき

1.2. 基本は3種類

「疾病保障付き住宅ローン」は、どの疾病を保障対象としているかは住宅ローン商品によって異なります。一般的には、下記のような保障の組み合わせになっています。

  • がん疾病保障付き:がんのみを保障対象としています。
  • 三大疾病保障付き:疾病数が3つの場合は「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」が対象です。
  • 七大疾病保障付き:三大疾病保障の「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」にプラスして、「高血圧症疾患」「糖尿病」「慢性腎炎」「肝硬変」の生活習慣病を対象としています。

1.3. 保険料について

疾病保障付きの住宅ローンのの保険料は、住宅ローン金利に上乗せするのが主流です。

例えば、がん保険だと金利に0.1%上乗せ、三大疾病だと0.2%上乗せ、七大疾病だと0.3%上乗せ等があります。実際の数字を使用して検証してみましょう。

3,000万円を長期固定2.3% 35年返済でローンを組んだ場合

  • 上乗せ保障なし(2.3%)  :総返済額43,705,069円
  • がん保険上乗せ(2.4%)  :総返済額44,371,886円
  • 三大疾病保障上乗せ(2.5%):総返済額45,044,397円
  • 七大疾病保障上乗せ(2.6%):総返済額45,22,567円

つまり、がん保険の保険料は約67万円、三大疾病の保険料は約134万円、七大疾病保障の保険は約202万円になります。

借入額及び借入期間が長くなると、金利が上乗せになっているため、負担額が増し、家計を圧迫することになりかねません。

また、これらの保障上乗せをローン返済中に取り外せない金融機関があるため、住宅ローンを組むときは慎重に考えるようにしましょう。

2. 疾病保障付き住宅ローンは必要?

疾病保障付き住宅ローンと一般的な医療保険やがん保険等では、加入の目的が異なります。前者は、月ケの返済額を保障することで返済が滞るのを回避したり、ローン残高を0円にすることで大病を患ってもマイホームを守るものです。

後者は、がん等の大病を患ったとき、治療費や生活費を確保するものです。

また、疾病保障付き住宅ローンは住宅ローンに付随する商品なので、保険期間は基本的に住宅ローン返済期間と同じで、終身期間ではありません。住宅ローンと切り離して考えることもできないなど、いろいろと制約が多いです。

住宅ローンを借りない人にはそもそも縁のない商品であり、比較する以前に選択の余地はありません。

どんな保障が自分に適しているかは、それぞれの疾病がどのくらいの確率で罹患するものなのかを押さえておくとみえてきます。

例えば国立がん研究センターがん対策情報センターの「2021年のがん統計予測」によると、2021年のがん罹患数は100万人を超えると推測されています。

同センターの「最新がん統計」によれば、一生のうちがんと診断される確率は、男性の場合65%、女性の場合50%となり、その確率は生涯で2分の1以上です。

厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査の概況」のデータをみると、がんに心疾患、脳血管疾患を加えた、いわゆる三大疾病で入院する人は全入院患者の約1/4にあたります。

このような環境時に、就労不能になることが多く、家計にダメージが重くのしかかるため、疾病保障付き住宅ローンを選ぶ方も増えています。

通常の住宅ローンは、団体信用生命保険に加入することが条件となっているため、万が一、借主が死亡した時には住宅ローンが免除されます。

また、疾病付き住宅ローンは、がん、心疾患、脳疾患の三大疾病、さらに高血圧、糖尿病など保障対象となる疾病にかかり、就業不能状態になったときに住宅ローンが免除されるものです。

疾病保障付き住宅ローンは、団体信用生命保険により死亡の時だけでなく、病気による就業不能状態になった時のことを考えて、疾病保障付き住宅ローンを選択することはさらに大きな安心感を得ることができるでしょう。

したがって、疾病保障付き住宅ローンは、死亡だけでなく、病気による就業不能時には残された家族が自宅を手放さなくて済む、という大きな安心感を得られるため、必要なものと言えます。

3. 「疾病保障付住宅ローン」の注意点

疾病保障住宅ローンを選ぶときの注意点があります。

3.1. 条件がクリア出来ず、保障が出ない場合がある

疾病保障付き住宅ローンの場合、交通事故(ケガ)で就業不能状態になっても住宅ローンの免除にはならず、住宅ローンは払い続けなければなりません。

また、保険で住宅ローン残高が相殺されるため、相殺の条件が厳しくなっています。

ここでは上で紹介したA銀行の例でみてみましょう。

がんは、所定のがんと医師に診断確定されることが条件ですが、借入日から90日以内にがんになった場合や上皮内がんは対象外になります。

また、急性心筋梗塞・脳卒中は、急性心筋梗塞・脳卒中と診断され、60日以内所定の状態が継続したときが条件になります。

60日以上の労働制限を満たすのは簡単ではありません。上記の条件を満たしている場合は、ローン返済相当額の保険金がおり、この状態が1年間継続するとローン残高がなくなります。

就業不能という状態についても、例えば慢性腎不全で人工透析を受けたり、抗がん剤を投与されたりしながら働き続けると保障は受けられない。

「条件を満たすのはそう簡単ではない」との指摘は多いため、注意が必要です。

3.2. 保険料が高い

基本的に、住宅ローンの金利上乗せ(0.1%~0.3%)のため、借入額及び借入期間が長くなると、保険料負担が重くなります。家計を圧迫することになりかねませんので、注意が必要です。

3.3. 中途解約できないことがある

団体信用生命保険の特約として取り扱っているものは、全額銀行が負担することがあれば、団信保険料は銀行負担、特約保険料は金利上乗せという銀行もありますが、特約だけ中途解約ができない点に注意が必要です。

住宅ローンに付いている疾病保障の保障期間は借入期間と同じで、途中から保障を付けたり途中で保障を解約したりすることはできないため、注意が必要です。

3.4. 保障されるのは住宅ローンのみ

当然ながら保障されるのは、住宅ローンのみとなりますので、がんの治療費の保険が必要な場合は、別途がん保険などに加入する必要があるため、注意が必要です。

がん保険に関しては、『がん保険の必要性を60歳より前と後に分けて考える』を、医療保険の三代疾病保障に関しては、『三大疾病保険の必要性|検討するなら知っておきたい6つのポイント』もご覧ください。

その上で、住宅ローン免除の保障のみで良いか、万が一病気になった時の治療費等も負担するためにこれらの保険に加入するかをご検討ください。

また、無理に保険を分厚くしなくとも、いざという際は自宅を売却する手もあることを頭に入れておきたいです。

間借りできる実家や予算内で入居できる賃貸住宅のあてがあれば、売却もしやすくなります。

住宅ローンの返済を心配するあまり保険料が家計の負担にならないよう注意が必要です。

まとめ

疾病保障付き住宅ローンは、団信以外にがん保障、三大疾病保障、七大疾病保障といった就業不能時の住宅ローンが免除されます。

保険料は金利上乗せタイプが基本であり、その保険料の負担は借入額、借入期間が長いほど、高くなります。

例えば生涯でがん罹患率は2分の1以上、また、がんに心疾患、脳血管疾患を加えた、いわゆる三大疾病は、日本人の死因の5割を超えているため、疾病保障付き住宅ローンを選ぶことは、就業不能時にマイホームを手放さないために必要なものです。

しかし、就業不能時の要件が厳しいや中途解約できない、住宅ローンの免除のみといった注意が必要です。

民間の就業不能保険という住宅ローンとは別に入れる保険もあり、場合によっては有効です。

2019年10月に消費税が10%になる前に、住宅購入を検討されている人が多いと思います。

住宅ローンを組むときは、上記のことを注意して、金融機関と話を進めていただきたいと思います。

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