低解約返戻金型定期保険を法人が活用するメリット・デメリット

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経営者の皆様は、「低解約返戻金型定期保険」という保険の名前を聞いたことがあると思います。ただ、具体的にどのような保険商品なのか、どのように役に立つのか、ということについて、よく分からないのではないでしょうか。

結論から言えば、「低解約返戻金型定期保険」は、低いコストで退職金を準備するのに向いている保険で、それに尽きます。しかし、デメリットも大きく、予めそのデメリットを理解して加入しないと、取り返しのつかないダメージを受けるリスクがあります。

この記事では、法人向けの「低解約返戻金型定期保険」について、その原型である「長期平準定期保険」と比較しながら、活用法とそのメリット、デメリットについて、分かりやすく説明します。

はじめに|低解約返戻金型定期保険は長期平準定期保険の「低解約返戻金型」

法人向けの「低解約返戻金型定期保険」はもともと、「長期平準定期保険」にアレンジを加えたものです。なので、「長期平準定期保険」との比較で理解するのが最も分かりやすいです。

そこで、まず、「長期平準定期保険」について簡単に説明しておきます。

長期平準定期保険|20~30年間で損益のタイミングを調節しながら経営者の退職金を積み立てられる生命保険

長期平準定期保険とは、保険期間が数十年と長く、その間の死亡保険金の額がずっと同じ額の(平準の)定期保険です。

法人の経営者の身に万が一のことがあった場合の事業保障のための保険なので、死亡保険金額は高額です。

また、解約の時には返戻金があり、その金額にはピークがあります。ピーク時に解約すると、解約返戻金として、保険料のほぼ全額が返ってきます。解約返戻金のピークは30年後くらいとかなり遅い時期に設定されていて、しかもピークが長い間続くという特徴があります。

また、「契約者貸付」といって、急にお金が必要になった時には解約返戻金の90%程度の額を、年利3%程度で迅速に借りることができます。

死亡保険金が高額であることと、タイミングによって保険料のほぼ全額が返ってくることから、保険料は保険金の割に高額です。

長期平準定期イメージ

保険料を支払うと、その1/2の額が損金に算入されます(残りの1/2の額は資産計上)。上の契約で言えば、解約返戻金のピークまで、30年間にわたり100万円の損金を計上し続けられるわけです。そのため、保険料を支払っている期間中は法人税の負担が軽くなります。

ただし、これはいわゆる「課税の繰り延べ」です。上の契約例で言えば、下の図のように、加入30年後(解約返戻金のピーク時)に解約して解約返戻金6,000万円を受け取ると、そこから、それまで資産に計上されてきた「100万円×30年=3,000万円」を差し引いた3,000万円が一気に益金に算入されることになります。そのため、解約返戻金を受け取った年度に大幅な黒字が計上されてしまうリスクがあるわけです。

 

長期平準定期イメージ

これに対処するには、解約返戻金を受け取って益金が計上されるのと同じタイミングで何らかの大きな支出をして損金に算入するしかありません。

その点、長期平準定期保険は、上にも書きましたが、解約返戻金のピークが来るのが遅く、ピーク期間がある程度長く設定されています。上の契約例でも、30年後に解約返戻金のピークがあり、その前後の5~10年ほどの期間、解約返戻金は保険料の全額近くで推移しています。

したがって、20~30年後という遠い将来の一定の幅のある時期の資金需要を見込んで資金を「解約返戻金」として積み立てることになるので、事実上、解約返戻金の用途は経営者の退職金の財源に限られることになります。

そして、それまでの間に後継者を育成してバトンタッチをする必要があります。逆に言うと、後継者へのバトンタッチがうまくいかず解約返戻金のピーク期間を迎えてしまうと、解約返戻金の別の使い道を考えなければならなくなります。

また、解約返戻金のピーク期間よりも前に保険を解約してしまっても、損をすることになります。

長期平準定期保険のメリット・デメリット

上に書いた長期平準定期保険の特徴から、そのメリットとデメリットを整理してみましょう。

〈長期平準定期保険のメリット〉

  • 数十年後に支払われる経営者への退職金を準備しながら、コンスタントに損金を計上し続けて、損益の計上のバランスを調整できる
  • 急なビジネスチャンスにまとまったお金が必要になった時には、「契約者貸付」が利用できる

〈長期平準定期保険のデメリット〉

  • 毎年の保険料が高額で、会社のキャッシュフローが悪化するリスクがある
  • 解約返戻金のピーク期間以外に解約すると損をする

長期平準定期保険のこれらのメリット、デメリットは、低解約返戻金型定期保険を理解する上で重要ですので、押さえておいてください。

1.低解約返戻金型定期保険とは

低解約返戻金型定期保険は長期平準定期保険と比べると分かりやすいと書きました。

死亡保険金の額や保険期間はほぼ同じです。また、保険料の1/2が損金に算入されるという扱いも一緒です。

違いは以下の2点です。これが重要です。

  • 解約返戻金の額が、ピークまでの間は低く抑えられている
  • 保険料が長期平準定期保険より割安である

以下の契約例をご覧ください。解約返戻金は途中まで低く抑えられていますが、30年後のピーク時にいきなり跳ね上がります。そして、解約返戻金がピーク前まで少ししか受け取れない代わりに、保険料の額が長期平準定期保険よりも低く設定されています。

低解約返戻金型定期保険イメージ

2.低解約返戻金型定期保険のメリット

低解約返戻金型定期保険のメリットは、長期平準定期保険よりも低いコストで退職金を準備できるということに尽きます。

上の契約例のイメージ図と、先ほどの長期平準定期保険のイメージ図と並べてみましょう。死亡保険金の額も、解約返戻金のピーク・金額も長期平準定期保険と同じですが、解約返戻金の額が途中まで低い分、保険料が長期平準定期保険の90%になっています。

比較図

解約返戻金のピーク時までに解約せず毎年の保険料を支払い続けることができれば、長期平準定期保険に加入した場合と同じくらいの額の解約返戻金を受け取れるのです。

そして、それを経営者の退職金の資金にできるわけです。

しかも、以下の図をご覧になっていただきたいのですが、長期平準定期保険よりも益金に算入される額が多くなり、その分、退職金の額を大きくできます。

ただし、あくまで、毎年の保険料を支払い続けることができれば、という条件付きであることを忘れないようにしてください。

低解約返戻金型イメージ

3.低解約返戻金型定期保険のデメリット

低解約返戻金型定期保険のデメリットは、長期平準定期保険のメリットが弱まり、デメリットが強まってしまうということにあります。

まずは、長期平準定期保険のメリットとデメリットを挙げたのをもう一度思い出してください。

〈長期平準定期保険のメリット〉

  • 数十年後に支払われる経営者への退職金を準備しながら、コンスタントに損金を計上し続けて、損益の計上のバランスを調整できる
  • 急なビジネスチャンスにまとまったお金が必要になった時には、「契約者貸付」が利用できる

〈長期平準定期保険のデメリット〉

  • 毎年の保険料が高額で、会社のキャッシュフローが悪化するリスクがある
  • 解約返戻金のピーク期間以外に解約すると損をする

これらとの関係で、低解約返戻金型定期保険のデメリット2つを説明します。

デメリット1.急なビジネスチャンスに契約者貸付を受けられる額が少ない

低解約返戻金型定期保険も長期平準定期保険と同様、契約者貸付の制度が利用できます。しかし、貸付金の額は解約返戻金の額を基準に計算されるため、長期平準定期保険の場合と比べて、低い金額しか借りられません。

デメリット2.解約返戻金のピークが来る前に解約すると「大損」をしてしまう。

大企業でさえも呆気なく倒産してしまうケースのあるこのご時世です。保険に加入してはみたものの、資金繰りの悪化などで保険料を支払う余裕がなくなってしまうことも考えられます。そんな時、低解約返戻金型定期保険の場合、解約返戻金のピーク前に途中で解約してしまうと、長期平準定期保険の場合よりもさらに低い額の解約返戻金しか返ってきません。

つまり、長期平準定期保険のピーク前の中途解約が「損」だと言うなら、低解約返戻金型定期保険のピーク前の中途解約は「大損」になってしまうということです。

まとめ

低解約返戻金型定期保険のメリットは、解約返戻金のピークまでに保険料全額を支払うことができさえすれば、長期平準定期保険よりも低いコストで退職金を準備できるということに尽きます。

その反面、長期平準定期保険よりもメリットが弱くなってしまう割にデメリットが強くなってしまいます。特に、解約返戻金のピークが来る前に解約してしまうと大損をしてしまうというリスクがあります。

したがって、保険料を長期にわたって支払い続けられる確実なキャッシュフローの見通しがあることが、加入の大前提です。その確実性に不安が少しでもあるならば、加入はおすすめできません。

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出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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