3月決算 町工場を経営する会社のコンサルティング事例

 
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株式の相続による事業承継に備えて後継者(長男)に1,500万円、会社に3,000万円の死亡保険金を準備するとともに、生前の株式の譲渡のケースや、緊急の予備資金が必要になったケースにも対応できるプランのご提案

3月決算 町工場を経営する法人様

お問い合わせ内容・経緯

今回お問い合わせいただいたお客様は、60代の社長です。後継者は長男と決まっているものの、ご自身が生きているうちは経営権を移譲するつもりはないそうです。ただ、長男が株式を相続する時のことを考えて、今から事業承継の準備をしておこうと思い立ったといいます。

そして、事業承継に関してどのような問題があるのかを調べていて、弊社の「保険の教科書」をご覧になり、生命保険を上手に活用して何か対策ができないかということで、問い合わせをいただいたとのことでした。

今回の提案のポイント6つ

  1. 平均寿命よりも長生きした場合に備えて、できるだけ保険期間が長期の商品を選ぶ
  2. 保険料の一部を損金として処理することにより税負担が軽くなる商品を選ぶ
  3. 保険料の支払いによりキャッシュフローが圧迫されにくい商品を選ぶ
  4. 会社の不測の事態に保険料をある程度取り戻せる商品を選ぶ
  5. 生前に事業承継しようと考え直した場合にも対応できる商品を選ぶ
  6. 年齢性別の条件で検索し、条件が最も有利な商品を選ぶ

実際に提案した商品

社長個人加入の終身保険(D生命)

  • 死亡保障:1,500万円
  • 一時払保険料:1,253万円

長期平準定期保険(B生命)

  • 死亡保障:3,000万円
  • 年間保険料:89万円
  • 解約返戻金の返戻率が80%以上に達するタイミング:5年後~33年後
  • 契約者・受取人:法人
  • 被保険者:社長

実際に提案した保険の効果

社長個人加入の終身保険

  • 社長が死亡した場合、後継者(長男)が死亡保険金1,500万円を受け取り、相続した株式にかかる相続税の納税資金に充てることができる
  • 死亡保険金1,500万円には相続税が課税されない

長期平準定期保険(1/2損金)

  • 100歳までに死亡した場合:死亡保険金3,000万円を受領して後継者(長男)からの株式の買取資金等、事業承継の資金に充てることができる
  • 保険期間中、保険料の1/2を損金に算入し、税負担を軽減するとともに株価を引き下げることができる
  • 解約返戻金の返戻率が高いタイミングが長く、緊急の予備資金が必要になった場合には一部解約して解約返戻金を活用しやすい
  • 40年後までに引退した場合、現金・預金で積み立てるより多くのお金を退職金に充てることができる

コンサルティングの内容

①ニーズの確認

社長は、ご自身が死亡した場合に、長男(現在20代)に継がせたいと考えており、その場合にどのような問題が発生するのかを把握しておきたいとのことでした。

そこで、まず、相続による事業承継の場合にどのような問題が発生する可能性があるかを一つ一つ説明しました。

事業承継を考える上で最も重要な視点は、後継者の経済的負担をできるだけ軽くしてあげることです。そして、相続による事業承継の場合、後継者には、以下のような経済的負担が重くのしかかってくることが予想されます。

  • 後継者が相続税を納税する資金が必要になる
  • 遺産分割のときに株式以外の相続財産が少ない場合、後継者が他の法定相続人から相続分または遺留分を主張され、代償交付金を支払わなければならない可能性がある

社長は、個人資産として株式以外に自宅の土地建物を始めとして複数の不動産を保有しており、現金・預金もありました。そのため、遺産分割の時に他の法定相続人との争いになるリスクは低いと考えられました。

したがって、結局、現時点で最も明白・深刻な問題として予想されるのは、株式を相続によって取得する長男の相続税の納税資金の問題です。そこで、これに対処するのに最も適した方法を考えることになりました。

②必要な対策の中身を明らかにする

長男の相続税の納税資金を準備するには、以下のような対策をする必要があります。

  • 長男個人に直接、納税の資金を準備してあげること
  • 株式の評価額をできるだけ引き下げて株式にかかる相続税の額を抑えること
  • 会社が死亡保険金で長男から株式を買い取れるようにすること

つまり、第一に、長男が個人として十分なお金を持てるようにすれば、それを相続税の納税資金に充てられます。

また、会社の資産を減らすことによって株式の評価額を低くしておけば、相続税の額を抑えることができます。

そして、それでも長男が相続税の納税資金に困った場合には、最後の手段として、長男が会社に株式を買い取ってもらえるようにすれば、その代金を受け取って相続税を支払えます。

そこで、このような3段構えの対策ができる保険商品は何か、ということになりました。

③対策に活用できる保険商品を選択する

社長個人で終身保険に加入して長男を受取人に指定する方法をとる

まず、長男の個人の資金を準備してあげる方法は、社長が個人として終身保険に加入して、保険料を一時払いし、受取人を長男に指定しておくことです。

というのは、生命保険金には以下のようなメリットがあるからです。

  • 民法上、相続財産ではなく最初から受取人の固有財産である
  • 相続税法上「みなし相続財産」にあたるが、500万円×法定相続人数分の金額が非課税になる

つまり、今のうちにお金を保険料として一時払いしておけば、将来、死亡した場合にはそのお金を全額、確実に長男1人だけに移すことができます。そして、長男はそれを相続税の納税資金等に充てることができるわけです。

目的は解約返戻金ではなく、長男に死亡保険金1,500万円を確実に受け取らせることにあるため、保険金額1,500万円で検索して、最も保険料が低額なD生命の終身保険を選びました。

3種類の法人保険の機能を比較する

残るは、以下の2つのニーズに対応できる法人保険の選択です。

  • 株式の評価額をできるだけ引き下げて株式にかかる相続税の額を抑えること
  • 会社が死亡保険金で長男から株式を買い取れるようにすること

そこで、保険期間が長くて払込期間中の保険料が一定の法人保険の商品3つ・終身保険と長期平準定期保険、掛け捨てタイプの長期の定期保険の中から、それぞれ1社ずつ、最も条件が有利な商品をピックアップしました。

なお、各保険種類ごとに、同じ保険金額3,000万円で試算して最も有利な条件の商品を選び出しています。

事業承継3種商品選択理由

これらの保険の特徴を比較すると、以下の表の通りです。

事業承継3種比較

終身保険のメリット・デメリットを検討する

まず、終身保険のメリットとデメリットを説明しました。

終身保険は、保険期間が終身(一生涯)なので、確実に会社が死亡保険金を受け取ることができます。

しかし、保険料が割高な上、全額が資産に計上されるため税負担を軽くできず、株式の評価額を引き下げることもできません。また、保険料支払期間中の解約返戻金の返戻率が低いため、何か不測の事態があった場合にやむなく解約すると、保険料が大幅に目減りして損をしまいます。しかも、その場合に解約返戻金を受け取ると、そこから支払い済みの保険料の合計を差し引いた額がマイナスになって損失を計上してしまいます。つまり、何かあった時に赤字をカバーすることができないばかりか、かえって赤字が増えてしまいます。

長期平準定期保険のメリット・デメリットを検討する

次に、長期平準定期保険のメリットとデメリットを説明しました。

長期平準定期保険は、保険期間が100歳までであり、100歳以上まで長生きすると死亡保険金も解約返戻金も全く受け取れないことになります。これは終身保険と比べると若干のデメリットと言えます。ただし、一般に、100歳以上まで長生きして現役で社長を続ける確率はきわめて低いので、決定的なデメリットとはいえません。社長ご自身も、「さすがにそれはありません」とおっしゃっていました。

これに対し、メリットとしては、まず、保険料はある程度高額で、1/2が損金算入されるので、株式の評価額を引き下げることができ、税負担も軽くなります。

また、解約返戻金の返戻率が高い期間が長いので、不測の事態に解約返戻金を受け取って緊急の資金に充てても損は少ないです。しかも解約返戻金の受取によって益金を計上できるので(益金=解約返戻金-資産計上分(保険料総額の1/2))、赤字のカバーにも役立ちます。

そして、後で気が変わって生きているうちに長男に継がせることにした場合には、解約返戻金を社長ご自身の退職金に充てることもできます。この場合、それまでずっと会社のキャッシュから保険料の1/2を損金算入してきたことで、株式の価値が引き下げられているため、長男の贈与税の負担が軽くなります。

掛け捨てタイプの長期の定期保険のメリット・デメリットを検討する

最後に、掛け捨てタイプの長期の定期保険について説明しました。

掛け捨てタイプは、保険期間が一番長い商品は90歳までです。つまり、3種類の保険商品の中では最も保険期間が短くなっています。ただし、男性の平均寿命が80歳くらいであることと、90歳まで現役で社長を続ける可能性がどれだけあるかということを考えると、決定的なデメリットとは言えません。

保険料は低いですが全額が損金に算入されるため、税負担が軽くなり、株式の評価額を引き下げることもできます。

他方で、解約返戻金がないため、保険料を1円も取り戻すことができません。また、予定を変更して生前に事業承継しようとした場合に退職金の資金を準備できません。ただ、この点も、保険料の額が低いことを考えると、決定的なデメリットとは言えません。

コストパフォーマンスを比較して選ぶ

保険期間を見ると最短は掛け捨てタイプの定期保険(90歳まで)で最長は終身保険(一生涯)です。しかし、社長はさすがに90歳頃までは引退していると思われるため、保険期間については決め手にはなりません。そして、終身保険は保険期間が一生涯続くこと以外にメリットが思いつかず、保険料も高額な上にデメリットが大きすぎるため、コストパフォーマンスが悪いということになり、選択肢から除きました。

したがって、残るは、長期平準定期保険か掛け捨てタイプの定期保険かということになります。

ここで、長期平準定期保険と掛け捨てタイプのそれぞれのコストパフォーマンスを、死亡保険金額3,000万円で比較しました。

長期平準vs掛け捨て

B生命の長期平準定期保険とC生命の掛け捨てタイプの定期保険とでは、同じ3,000円の死亡保険金額でも、保険料のうち損金に算入される額がほとんど変わりません。そして、B生命の長期平準定期保険の方が、解約返戻金が受け取れる上、解約返戻金の返戻率が高めの期間が長いのです。

また、B生命の長期平準定期保険は、試算してみると、40年後までであれば、解約して解約返戻金を受け取って退職金の資金に充てることで、現金・預金で積み立てた場合よりも多くの現金を積み立てたと同じ効果が得られることが分かりました。どういうことかというと、解約返戻金を受け取るとそこから資産計上分(45万円×加入年数)を差し引いた額が益金に算入されます。そして、その額と同じくらいの退職金を支払って損金に算入すれば、益金と損金が相殺しあうので、解約返戻金には一切税金がかからないことになります。その結果、40年後までの間の返戻率をもとに計算すると、現金・預金で積み立てた場合よりも多くの額を積み立てて退職金の資金を準備できたことになるのです。

結局、B生命の長期平準定期保険の方がいろいろとメリットが多いということと、保険料も89万円であれば毎年無理なく支払えるだろうということで、こちらを選択しました。

担当者のコメント

事業承継というと、いかにも複雑で難しそうに感じられますが、結局のところ、後継者が誰なのかはっきりさせて、その人が困らないように必要なお金を準備してあげるということに尽きます。

今回の案件では、後継者である長男の相続税の納税資金をどう効率よく準備するかという課題がはっきりしていたので、そのために、個人加入の生命保険と、3種類の法人保険をそれぞれ1商品ずつ提示しました。

そして、その中から、考えられるあらゆるケースに柔軟な対応をすることが可能な保険を選択しました。

 
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