医療保険の先進医療特約は必要か判断するポイント

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ここ数年、先進医療にかかる技術料を一定額まで保障する先進医療保障の注目度が高まっています。

200万円とも300万円ともいわれる高額な先進医療を月額100円程度の保険料で保障してくれるうえ、医療機関までの交通費やホテルの宿泊費まで支払ってくれる保険会社もあります。

そして各社ともパンフレットやCMなどで積極的に宣伝しており、消費者に広く知られるようになりました。しかし、一般的には、特約の知名度だけが先行して、先進医療そのものの内容についてはあまり知られていない気がします。

  • 先進医療とはどんな医療なのか?
  • わざわざ特約で備える必要性はあるのか?

先進医療とは何かを確認しながら、その必要性を考えてみましょう。

1. 先進医療とは何か?

先進医療とは、簡単に言うと「新しく、高度な技術を用いた治療」のことです。具体的には、大学や病院など高度な医療機関で研究・開発された医療技術であり、安全性と治療効果は確保しているけれど、保険診療の対象とするかは検討中のものを指します。

そのため、現段階では、先進医療にかかる技術料は患者が全額自己負担することになっており、治療内容によっては高額になるケースがあります。

下の表のように、保険診療であれば公的医療保険が適用されるため、医療費の負担は3割で済みます。一方、自由診療は全額自己負担です。先進医療では、技術料は全額自己負担となりますが、その他の診察や入院費用等は、3割負担となります。

自由診療 100%自己負担
先進医療 技術料 100%自己負担
通常の治療と共通する部分 30%自己負担(公的医療保険適用)
保険診療 30%自己負担(公的医療保険適用)

※『自由診療と保険診療の違いとは?メリットとデメリット』で、それぞれの違いを簡潔に解説させて頂いております。

つまり、いつもどおり医療機関を利用して治療を受けるときの医療費に、先進医療の技術料を足して支払うことになります。この先進医療の技術料が高度な治療法なのですが、とてつもなく高額になるものが多いのです。

2. 先進医療にはどんな治療があるのか? 

先進医療は何かを確認しましたが、次に先進医療にはどんな治療があるのか確認していきましょう。

先進医療は、平成28年4月1日現在では、110種類の技術が認定されており、がんの治療や眼球など幅広い分野にわたっています。患者への身体的負担を減らすことや、治療の選択肢を増やすこと、より役に立つ治療法の創出といった目的があります。

また、先進医療を実施している医療機関はどこにでもあるわけではなく、一定の技術環境が整った病院でしか受けることができません。先進医療は、健康保険の対象にするかどうかは検討中のため、患者のニーズや医療技術の進展次第で健康保険の治療に加わったり、逆に先進医療から外れたりする治療もあります。

【参考】『先進医療を実施している医療機関の一覧』(厚生労働省)

ここで、先進医療の年間実施件数の多い順に具体的な治療法をみていきたいと思います。

年間実施件数の多い先進医療ベスト10
技術名 平均技術料 年間実施件数 医療機関数 平均入院日数
前眼部三次元画像解析 約3.900円 7.458 101 0.5
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 約51万円 7.026 461 1.3
陽子線治療 約263万5000円 2.916 10 12.5
重粒子線治療 約308万7000円 1.639 4 14.6
硬膜外自家血注入療法 約3万6000円 641 48 9.2
術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法 原発性乳がん 約36万5000円 560 158 0.1
実物大臓器立体モデルによる手術支援 約8万9000円 392 61 29.6
歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法 約5万9000円 371 19
EBウイルス感染症迅速診断 約1万3000円 307 6 33.6
食道アカラシア等に対する経口内視鏡的筋層切開術 約15万5000円 294 8 8.5

平成27年度先進医療技術の実績報告(平成27年7月1日~平成27年6月30日)より抜粋

この表が示すとおり、すべての先進医療が高額であるわけではないことがわかります。つまり、先進医療の技術料の自己負担の観点から見たときは、生命保険としての先進医療特約の必要性は高くないと言えそうです。

3. 先進医療の自己負担を保険で備えるべきか?

今日では、一般的に健康保険が適用されない先進医療の技術料は高額になると思われているため、そういった場合に備え、先進医療の技術料を負担する先進医療保障を用意している保険会社が多く存在します。

そこで、先進医療の技術料を保険商品で備えるべきか、整理してみましょう。まず、先進医療にかかる技術料は、がん治療及び白内障の治療法を除くと、自己負担は先進医療保障に頼る金額ではないといえます。

また、年間実施件数を見てピンときた方もいるかもしれませんが、先進医療自体を受ける確率は高くありません。例えば、がん先進医療の「陽子線」「重粒線」の両方で、約5,000人で多いように見えますが、現在、治療中のがん患者が約150万人であることを考えると、確率的にはかなり低いことがわかります。

ここで多くの方は先進医療の技術料の自己負担分、年間実施件数の観点からは、必ずしも保険で備えなくてもいいのではないかと思われるでしょう。

そこで、先進医療の治療内容、今後の先進医療の方向性等をみて、総合的にその技術料の自己負担を先進医療特約で備えるべきか否か、整理したいと思います。 

4. 先進医療を保険で備えるか判断する3つの基準

保険の根幹にある考えは「相互扶助」です。小さなお金をたくさんの人から集めて「共有財産」とし、どこかの誰かが病気やけがをしてしまった際に、共有財産で助けましょうという考えが生命保険の基礎概念です。

そして、将来的に病気やけがをして働けなくなったとき、又は老後に倒れたら自分が暮らせないなどの不安を解消するためにあるのが保険です。つまり、「安心して生活を送る」ためにあるのが生命保険なのです。

ですから、先進医療保障を受けることによって自分が「安心できるか否か」が判断基準になるといえるでしょう。

4.1. 先進医療の自己負担が甚大となるのは、がんと白内障

先ほど述べたように、先進医療の技術料は健康保険が適用されません。先進医療の技術料は患者が全額自己負担することになります。特に高額となるのはがん治療の「陽子線」「重粒線」、白内障の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の3つです。この3つの備えに対しては、保険で備えたいと考えるでしょう。

今日では日本人の2人に1人ががんに、3人に1人が白内障になるといわれている時代です。自分の家系ががんになりやすいのか、がん・白内障を患った時にはどういった治療を受けたいのか、そういったことを踏まえた上で、先進医療保障が必要かどうかよく考えてみましょう。また、自分の家系はがんにかかっている人は一人もいないし、もし自分ががん及び白内障にかかっても治療を一切受けるつもりはない、と考えていれば、必要はないでしょう。多くの方は、先進医療保障が必要になるでしょう。

※がん保険の先進医療特約について
がん保険では、個別に先進医療特約が付いています。基本的な考え方として、医療保険に先進医療保障を付与するならそちらで、医療保険に入らないなら、がん保険で保障するのが良いと思います。詳しくは、『がん保険の先進医療特約は必要か?検討時に知っておきたいこと』をご覧ください。

4.2. 先進医療の高度な治療が受けられる~白内障を利用して~

現在の先進医療には、がん治療、眼治療、難病等で最新で高度な治療が受けられる治療法があります。当然に自己負担となるため、保険で備えられると安心して治療が受けられます。

例えば、白内障先進医療では「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」がありますが、約50万円と高額となります。私のお客様も白内障となり、先進医療保障でこの治療を利用しましたが、以前は眼鏡をつけても毎日の生活が不自由でしたが、治療後は眼鏡なしでとても以前とは考えられない楽しい生活を送っています。

通常、白内障の治療法は、濁った水晶体の代わりに眼内レンズを入れる方法があります。この眼内レンズは、一つの焦点しか持たない単焦点レンズと呼ばれるものが主流で、遠くか近くしか見えないため、治療後に眼鏡などで視力を補正する必要がありました。

一方、裸眼で生活することを目標に開発された多焦点レンズでは、遠くも近くも日常生活で困らない程度の視力を取り戻すことができるため、眼鏡なしで運転免許を取得できる程度にまで回復します。

また、白内障の進行は個人差が大きく、最悪の場合は失明することもあり、病態に応じて治療する必要があります。現在、この治療ではほとんどの場合、日帰り手術が可能です。手術時間は10分から15分程度で、術後15分ほどの休憩で帰宅していただける上に、ほぼ痛みを伴いません。

先進医療の多くは、白内障に限らず高度で優しい治療で、副作用が少なく、痛みを伴わない治療と言われております。但し、がんや白内障になったときも、高度で優しい治療を一切受けたくないといった人は、必要ないでしょう。一方、がんや白内障でこういった治療を受けるためには、先進医療保障があると安心と言えるでしょう。

4.3. 過去の先進医療の技術料の推移

先進医療の年間実施数は「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」では、7026件、「陽子線治療」では2,170件、「重粒線治療」では1,286件と、平均の346件を大きく上回ります。高額な技術料となるがん・白内障の先進医療の治療が平均を上回る数で実施されているのです。

また、以下に、先進医療の実施患者数の先進医療費の実施額の過去5年間の傾向を表すグラフを示しました。

先進医療の実施費用は年々増加傾向にあることがわかります。次に以下の図をご覧ください。

これをみると、実施患者数は9千人~2万人の間で推移していることがわかります。このことから、患者1人当たりの先進医療費用が増加していることが考えられます。医療費が年ケ増加していることは、それだけ患者にかかる負担が増えているということです。

今後も先進医療の自己負担が増えていく可能性を考えると、先進医療保障をお守り代わりに持っておくと、安心でしょう。

まとめ

先進医療保障が必要かは、自分が将来なるかもしれない病気と、それが先進医療の対象となるのか、先進医療保障をうけることで「安心できるか」を考えることが、必要か否かの判断材料となるでしょう。

先進医療で高額になるのは、一生のうち罹患率が高いがん及び白内障の先進医療です。これらの病気の治療は、保険診療だと痛みを伴う治療が多いため、高度で痛みを伴わない治療を選ぶためには高額になるため、先進医療保障は必要です。また、年々先進医療の自己負担が増加しており、今後も増加すると考えられているため、先進医療保障があると安心できるでしょう。

しかし、現状、まだまだ先進医療を利用するといった確率は低く、その自己負担も貯蓄で賄うといった人は先進医療保障は必要ないといえます。

既に医療保険に加入している人が、先進医療保障を目当てに保険を見直すとなると話は別です。先進医療特約は、「特約」ですから、一定の年齢を境に保険料が更新されます。質の良いオプションとはいえ、わざわざ加入し見直すことで本当にメリットがあるのか、よく考えてみましょう。

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野沢 勝久

野沢 勝久

ファイナンシャルプランナーCFP 住宅ローンアドバイザー
1級ファイナンシャルプラン二ング技能士 相続診断士
大手生命保険会社ライフプランナーで人生の地図といわれるライフプランニングにより、マイホーム購入・学費・老後の安心を与えてきました。1人でも多くの方の夢や希望をサポートしていきたいと考えています。生命保険・損害保険・税務・相続に強いファイナンシャルプランナー。
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