就業不能保険とは?知っておきたい保障内容と必要性

就業不能保険とは、働けなくなったときに給付金が受け取れる保険です。

一般的に働けなくなった際には傷病手当金や障害年金といった公的な補償を受けられますが、それらを考慮にいれても、多くの人にとって就業不能保険は大きな助けとなります。

この記事では就業不能保険の概要を紹介した上で、なぜ必要になるかを解説しています。

そのうえで、就業不能保険とよく比較される所得補償保険の違いや使い分けについても解説しているので、働けなくなったときの生活費をどうすればよいか悩んでいる方は、ぜひ参考にして下さい。

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保険の教科書 編集部

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1.働けなくなったときのお金は公的な保障だけじゃ足りない?

一家の大黒柱が障害状態などになり働けなくなったときの生活費を、どうするか考えたことはありますか?

働けなくなったからといって無収入になってしまうわけではなく、公的な補償を受けることができます。

しかしながら、公的な補償だけでは十分でないことが多いです。

それぞれの補償について簡単にみていきましょう。

1-1.傷病手当金(働けなくなってから短期的な補償)

会社員が働けなくなったときには、1年6ヵ月の間、給与の約2/3にあたる「傷病手当金」が受け取れることになっています。

たとえは平均報酬月額が約40万円の方であれば、働けなくなってから1年6ヵ月は毎月約26万円もらえることになります。

ただし自営業者は傷病手当金を受け取ることができません。

貯蓄を切り崩すなど別の方法で生活費を確保することが必要です。

一方で傷病手当金を受け取れる会社員にしても、毎月の生活費が普段の給料の約2/3では足りないという方もいるのではないでしょうか。

働けない状態であるということは、普段の生活費に加えて治療費が余計にかかる分、いつもより出費が多くなっている可能性が高いです。

傷病手当金の詳細は、「傷病手当金とは?支給額と支給期間と押さえておきたい申請の方法」をご覧ください。

1-2.障害年金(長期的な補償)

働けなくなった場合に、長期的に補償を行うのが障害年金です。

障害状態に至った病気・ケガの初診日から1年6か月後に申請を行い、審査などを経て支給が開始されます。

それまでは傷病手当金が支給され、傷病手当金の支給が終わってしばらくしてから障害年金の受取りが開始になる、というイメージです。

手続の詳細は「いざというときに役立つ障害年金の手続き4つのポイント」で解説しているので興味のある方はあわせてご覧ください。

障害年金は会社員だけでなく自営業者も受け取ることができますが、支給額は人によって異なります。

おおよその額は、自営業者なら年間78万円~140万円程度、会社員は年間58万円~300万円程度です。

詳しくは「障害年金はいくらもらえる?受給金額の具体的なケーススタディ」をご覧ください。

障害年金は働けなくなったときに心強い味方となってくれる補償であることは間違いありませんが、あくまで最低限のものに過ぎません。

2.働けなくなったときのお金をカバーする「就業不能保険」

2-1.就業不能保険とは

前述のとおり、働けなくなったときには傷病手当金や障害年金を受け取ることができますが、それだけでは十分ではありません。

そのときに役立つ民間の保険が「就業不能保険」です。

就業不能保険を契約していれば、働けない状態となった際に長期的に補償を受けることができます。

公的な補償の不足分を補うための保険なのです。

実際にどのような保障内容となるのか、A生命の例(2021年4月時点)を参考にみていきましょう。働けない状態になったら、65歳になるまで、毎月15万円の年金を受け取ることができます。

  • 契約者:30歳男性
  • 保険期間:65歳まで
  • 職業:会社員
  • 年収:500万~600万円
  • 給付金額:毎月15万円
  • 保険料:3,455円(月払い)

2-2.就業不能保険で給付金を受け取る条件は厳しめ

では、「働けない状態」とはどういう場合でしょうか。実は給付金が支給される条件はかなり厳しめです。

上で紹介したA生命の就業不能保険の場合、就業不能の状態とは、「60日以上」や「180日以上」といった長期間、入院しているか、もしくは自宅療養中で全ての業務に従事できない状態が続いていることをさします。

少しでも業務ができる状態であれば、給付金の支給対象である「就業不能の状態」とはみなされません。また、短期間の就業不能状態は対象外です。さらに、ストレス性疾患が原因の場合も対象外です。

就業不能状態の内容は保険会社によって微妙に差があり、たとえばB生命だと、以下のような条件を設けています。

  • 障害1級または2級と認定
  • 事故による身体障害
  • ストレス性疾患で60日以上入院

いずれにしても、ちょっとやそっとでは仕事に復帰できない、ある程度厳しい判定をクリアした場合に給付金の支給が開始されることになります。

そのため就業不能保険を検討する際は、どんな場合に給付金を受け取れるか確認しておくようにしましょう。

2₋3.生命保険の特約として付けられるものがある

就業不能保険のかわりに、生命保険の収入保障保険に就労不能特約を付ける方法もあります。

収入保障保険とは、亡くなった場合に遺族が毎月収入のように給付金を受け取れる保険です。

収入保障保険に就労不能特約を付与すると、給付金の支払い条件を死亡の場合だけでなく、働けなくなった際も追加することができます。

以上をふまえ、C生命(2021年4月時点)の収入保障保険(就業不能特約付)の契約例をご覧ください。

  • 契約者:30歳男性
  • 保険期間:60歳
  • 給付金額:毎月10万円
  • 保険料:3,970円(月払い)

この例では、亡くなった場合と働けなくなった場合に、毎月10万円の給付金を、保険期間が満了となるまで受け取ることができます。

なお、就業不能保険(就業不能特約)は、60日間の免責期間があります。これは、申請後に保険会社が給付金を支給するのに値する就業不能状態であるか否かを判断するための期間で、この期間は給付金を受け取ることができません。

3.就業不能保険とよく似た「所得補償保険」との違いは?

就業不能保険とよく比較される保険として「所得補償保険」があります。

参考までに、D損保の所得補償保険の契約例(2021年4月時点)を紹介します。

  • 契約者:30歳男性 会社員
  • 保険内容:入院 + 自宅療養の両方
  • てん補期間(保険金を受け取れる期間):2年
  • 免責期間:7日(働けなくなって8日目から保険金を受け取れる)
  • 働けなくなった場合の保険金:月額10万円
  • 保険料:月額1,280円

働けなくなった場合に、最長で2年間、月額10万円の給付金が受け取れます。

就業不能保険と所得補償保険の共通点は、いずれも、条件をみたせば毎月決まった金額が受け取れることです。

しかし、以下の違いがあります。

3.1.保険期間・保険金を受け取れる期間の違い

まず、保険期間の違いです。

就業不能保険は保険期間が「60歳まで」「65歳まで」などで、長期で就業不能状態になればずっと給付金を受け取れます。

これに対し、所得補償保険は保険期間が基本的に1年で更新され、給付金を受け取れる期間は最長でも2年と短くなっています。

なお、所得補償保険には、法人の福利厚生専用の「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」というものがあります。これは、保険期間が「60歳まで」など長期で、給付金も、働けない状態が続く限り、ずっと受け取り続けることができます。

3.2.保険金を受け取れる条件の厳しさの違い

次に、就業不能保険は上でお伝えしたように仕事復帰が非常に困難な状態になって初めて給付金を受け取れるのに対し、所得補償保険はドクターストップを受けただけで給付金が受け取れます。

さらに、就業不能保険は働けない状態が「60日間」とか「180日間」とかある程度長期間続かなければ給付金を受け取れないのに対し、所得補償保険は医師の診断があれば給付金が受け取れます。

簡単にまとめると、短期の離脱の場合にお金を受け取れるのが所得補償保険で、職場復帰が困難な状態になった場合にお金を受け取れるのが就業不能保険ということになります。

3-2.就業不能保険・所得補償保険それぞれのおすすめする人

それでは所得補償保険と就業不能保険は、どんな人におすすめできるでしょうか。

会社員・自営業者に分けて解説します。

会社員の場合

会社員の方におすすめなのは、就業不能保険です。

なぜなら、会社員は上述の通り、働けなくなってから1年6ヵ月の間は、給料の約2/3の傷病手当金を受け取ることがでるからです。

その後も働けない状態が継続した場合、障害年金を受け取ることができますが、その給付額は傷病手当金より少なくなる可能性が高いと想定されます。

そのため、傷病手当金の給付が終了した後に保障を受けられる就業不能保険に加入することをおすすめします。

自営業者の場合

自営業者の方におすすめなのは、就業不能保険と所得補償保険の両方に加入することです。

なぜなら、自営業者は会社員と異なり、傷病手当金を受け取ることができないからです。

仕事を休まなければならなくなったら、即、収入の道が閉ざされてしまいます。したがって、ドクターストップがかかればすぐに給付金を受け取れる所得補償保険をおすすめします。

ただし、所得補償保険は、保険金を受け取れる期間が最長で2年です。その後も就業不能状態が続くようであれば障害年金を受け取ることになります。しかし、障害年金はあくまで最低限の額しか受け取れず、これだけでは生活資金が足りないと考えられます。

したがって、就業不能保険にも加入することをおすすめします。

4.就業不能保険の加入の際はライフプランニングが必須

就業不能保険へ加入する際は、事前に信頼できるフィナンシャルプランナーのライフプランニングを受けることを強くおすすめします。

特に、家族がいるのであれば、就業不能保険だけでなく、家族のための生命保険とワンセットで考えることをおすすめします。

ライフプランニングでは結婚や子どもの誕生、進学、住宅の購入、親の介護など、人生におけるさまざまなライフイベントに基づく生涯設計を行います。

その上で、現在・未来の収入額や預貯金額などもヒアリングしたうえで、支出に対してどのくらいのお金が必要になるかをリアルに算出するのです。

これぐらいの計算をしてようやく、必要な死亡保障の保険金額や就業不能保険の給付金額を正確に割り出すことができます。

給付金が足りずに困ったり、逆に多過ぎて必要以上の保険料を支払ったりすることのないよう、就業不能保険の加入の際はあらかじめライフプランニングを受けるようにしましょう。

まとめ

就業不能保険は、働けなった場合に受けられる公的保障(傷病手当金や障害年金)をカバーするためのものです。働けない状態が永続化してしまった時に、長期的な保障を受けられるものです。

似た保険として、一時的に働けなくなったら保険金を受け取れる所得補償保険があります。

就業不能保険はサラリーマンと自営業者の両方に有効です。これに対し、所得補償保険は、傷病手当金の制度がない自営業者に特におすすめです。

これら保険の加入にあたって必要な給付金額を割り出すためには、フィナンシャルプランナーによるライフプランニングを受けることが必要です。

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