中小企業経営者必見!今すぐできる正攻法の節税対策7つ

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中小企業の経営者の皆様はよく、「節税対策」の「テクニック」「ノウハウ」「スキーム」と称するものをよく耳にすると思います。しかし、それらは法律に違反していたりしないでしょうか。

また、「節税」ということに気をとられるあまり、貴重な資金を無駄遣いしてしまってはいないでしょうか。

「節税」という言葉の意味を正しく理解しないと、根本から間違った節税対策をしてしまうことになりかねません。税金を余計に払うはめになったり、最悪の場合、刑罰が課されたりもします。

そこで、この記事では、まず、「節税対策」以前に絶対に理解しておかなければならないことを3つ説明します。そして、その次に、主に中小企業向けの、すぐに実行できるごくオーソドックスな節税対策を7つ厳選し、分かりやすく説明したいと思います。

この記事を読めば、あやしげな「テクニック」「ノウハウ」に簡単に惑わされることなく、また、大事な資金を無駄にしてしまうことなく、節税対策というものを考えることができるようになるはずです。是非最後までおつきあいください。

はじめに.「節税対策」以前に絶対に理解しておかなければならない3つのこと

(1) 「節税」は「脱税」「租税回避」とは違う

「節税」とは、法律の範囲内で、無駄な税金を払わないようにするということです。

これに対し、「脱税」は、法律に違反して税金を免れるという犯罪行為です。故意でない「申告漏れ」でも重加算税等を余計に払わされることになります。また、最悪の場合には刑務所に入ることになります。

次に、「租税回避」というのもあります。これは法律の抜け穴をくぐって税金を免れるグレーゾーンの行為です。刑罰はありませんが、「否認」といってその行為自体が認められず、課税されてしまうリスクがきわめて高いものです。しかも、過少申告加算税や延滞税を支払わなければならないリスクがあります。

節税の「テクニック」だとか、「ノウハウ」だとかの話を聞いた時に、それが「脱税」や「租税回避」にあたるおそれがないか、注意深く見極める必要があります。

(2) 「課税の繰り延べ」に注意

「課税の繰り延べ」という言葉があります。これは、その時だけ一時的に税金が安くなるけれども、後になって収入が入ってくるなどして、結局は税金を払わなければならなくなることを言います。つまり、課税のタイミングを後にずらしているだけということです。これは、本来の意味での節税とは微妙に違います。

「節税対策」と言った時に、それが、本来の意味での節税なのか、それとも「課税の繰り延べ」なのかをきちんと見極めるようにしてください。

(3) 事業活動の資金が最優先

会社にとって最も大事なことは、資金を無駄遣いせず、利益を出して経営を安定させ、従業員の生活を守ることです。そして、利益を出すためには手持ちの資金(キャッシュフロー)がなければなりません。

したがって、本来事業活動に回すべき資金を「節税対策」に回すのは本末転倒です。資金を事業活動に回して多くの利益を出した上で、その分の税金をきちんと払った方がはるかにマシです。

特に、キャッシュフローが豊富でない場合、出費を伴う「節税対策」はむしろ逆効果になるおそれが大きいのです。「節税対策」を考える上で、これら3つのことは絶対に忘れないようにしていただきたいと思います。

なお、中小企業は税制上のさまざまな優遇措置を利用できます。詳しくはこちらをご覧ください。

それでは、これから具体的な7つの方法を解説していきます。

  1. 未払費用を年度内に計上する
  2. 出張手当の制度を整える
  3. 役員に対する「賞与」は「事前確定届出給与」にする
  4. 不要な資産は「除却損」「評価損」とする
  5. 不良債権は「貸倒損失」とする
  6. 減価償却資産は中古品の購入を検討する
  7. 「課税の繰り延べ」は「出口戦略」が重要

1.未払費用を年度内に計上する

未払費用:年度内に費用自体は発生しているが支払いが済んでいないもの

従業員の給料、事務所の賃料、水道光熱費、通信費など、継続的に支払う費用は、サービスを受けた後で支払うことが多いです。

例えば、従業員の給料を月末締めで翌月20日払いとしている場合、年度の末月の給料は、翌年度になってから支払われることになります。つまり、給料という費用自体は年度内に発生していますが、支払いは済んでいません。このようなものを、「未払費用」と言います。

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この未払費用は、年度内に支払いが済んでいなくても、その年度の損金に算入することができます。

中小企業の場合、この未払費用の金額を年度内に計上するということが徹底されていない場合が見受けられます。その結果、本来損金に算入すべきものがされず、無駄に税金を支払っている可能性があります。

未払費用の計上をきちんとすることは、節税対策になる可能性があるのみならず、会計処理の効率化にもつながるので、是非徹底するようにしてください。

2.出張手当の制度を整える

営業等のため宿泊を伴う出張が多い会社の場合、「出張旅費規定」を作成し、出張手当の制度を整えることが節税につながります。また、従業員の側でも、給料の手取りが実質的に増えて、所得税の節税にもつながる可能性があります。

どういうことかというと、「出張旅費規程」に基づいて出張の費用を出張手当として支給した場合、会社の業務上必要な費用なので、全額が損金に算入されます。また、消費税との関係では、事業活動それ自体のための費用(「課税仕入」と言います)とされ、課税対象となりません(給与として支給する場合は「課税仕入れ」にあたらないため、消費税がかかってしまうことになります)。

そして、従業員の側も、実費ではなく決まった額が出張旅費規程に則って支給されるため、節約すれば実質的に手取り額が増えます。しかも、その分は給与所得として扱われないため、所得税がかかりません。

なお、これは節税と直接は関係ありませんが、実費精算の必要がないため、業務の効率化がはかれるというメリットも見逃せません。

このように、出張手当の制度を整えることは、節税はもちろんそれ以外にもメリットが多いのです。

「出張旅費規程」は、多くの雛形が出回っているため、作るのは難しくないと思います。ただし、以下の2点に注意が必要です。

  • 出張手当の金額を社会通念上相当な範囲内に設定すること
  • 出張の記録をその都度きちんと作成すること

つまり、出張手当の金額は高すぎず常識の範囲内の金額でなければならないし、税務署に対してカラ出張がないことをきちんと示せる状態にしておく必要があるということです。これらの点に注意すれば、出張手当の制度を整えることは、非常に有効な節税対策になります。

3.役員に対する「賞与」は「事前確定届出給与」にする

役員に対する給与は、従業員と同じように毎月一定額を支給するのであれば、損金に算入できます(「定期同額給与」と言います)。これは、多くの方が既にご存じだと思います。

しかし、役員に「賞与」を支給する場合については、案外、知らない方が多いので注意が必要です。

役員への賞与は、従業員への賞与と異なり、基本的に損金への算入が認められていません。その年度の利益を少なく見せるために利用されるおそれが大きいためです。

役員への「賞与」を損金に算入したいのであれば、その金額と支給日を予め税務署に届け出た上で、届出どおりの日に、届出どおりの金額を支給しなければなりません。これを「事前確定届出給与」と言います。

届出ができる期間は、株主総会で支給の条件を決議してから1ヶ月以内です。しかも、会計年度が始まってから4ヶ月以内に届け出なければなりません。

そして、きっちりと届出通りの支給日に、届出通りの金額を支払わなければ、損金への算入が認められないことに注意が必要です。どちらが欠けてもダメです。例えば、会社の収益が予想していたよりも低くて、税務署に届け出た通りの金額よりも低い金額しか支給しなかった場合には、損金算入が認められません。

役員への「賞与」を支給したい場合には、必ず「事前確定届出給与」を利用するようにしてください。

4.不要な資産は「除却損」「評価損」とする

4-1.不要な固定資産の廃棄

まず、会社の資産をチェックしてみてください。特に、固定資産台帳に記載されている固定資産については必ず確認してください。

不要な固定資産は持っているだけで無駄なだけではなく、固定資産税が容赦なくかかってきます。このような資産については、廃棄すれば、その資産の帳簿価額を「除却損」として損金に計上することができます。また、その後は固定資産税を支払わなくてよくなります。

なお、パソコンのソフトなど、無形の固定資産についても、同じような処理が認められています。

4-2.棚卸資産の評価損の計上

棚卸資産には、売れ残ったまま見向きもされなくなってしまい、今後売れる見込みが全くないもの(「陳腐化」「劣化」と言われたりします)はないでしょうか。それらを持っているのは意味がないし、保管する費用やスペースは明らかに無駄です。このような資産については、「評価損」として損金に算入できる場合があります。

5.不良債権は「貸倒損失」とする

回収が不能になった売掛金、貸付金等の不良債権を整理することも重要です。

そのような不良債権がある場合、支払い不能の状態が一定期間継続した場合等、一定の要件を充たせば、その額を「貸倒損失」として損金に算入できる可能性があります。

ただし、要件はかなり厳しくなっています。詳しくはこちらをご覧ください。

6.減価償却資産は中古品の購入を検討する

建物、機械、船、自動車、工具、器具等といった減価償却資産については、その種類ごとに、減価償却費を損金に算入できる年数が法令で決められています。これを「法定耐用年数」と言います。

そして、各年度ごとに減価償却費として計上できる金額は、原則として、この法定耐用年数を前提として計算されます。

ただし、減価償却資産を中古で購入した場合には、新品と比べると、利用できる期間が限られています。そのため、耐用年数は法定耐用年数よりも短いものとして扱われます。そして、この短い耐用年数を前提として、減価償却費が計算されることになります。

その結果、新品と中古品とでは、同じ金額で購入しても、中古品の方が短い耐用年数で減価償却費が計算されて、1年度に減価償却費に計上できる額が大きくなるのです。つまり、新品よりも、少しばかり型落ちの中古品を購入した方が得をする場合があるということです。

詳しくは、こちらをご覧ください。

ただし、あくまで本当に会社に必要な資産に限ります。節税のためだけに中古の減価償却資産を購入するのは、大事な資金の無駄遣いにすぎず、本末転倒です。

7.「課税の繰り延べ」は「出口戦略」が重要―法人向け終身がん保険の例

一時的に税金を安くできるものの、後でその分の税金を払わなければならないことになるやり方を、「課税の繰り延べ」と言います。

ここでは、会社が法人向けの終身がん保険に加入した場合を例にとって説明します。

終身がん保険は、保障が一生涯続くがん保険です。これを、一定の条件をみたす役員・従業員全員を被保険者として法人契約で加入します。

加入後、被保険者ががんにかからず、一定の期間が経過した時点で解約すれば、支払った保険料の80~90%程度の高額な解約返戻金を受け取れます。

会社が保険料を支払えば、保険料の1/2が損金、1/2が益金に算入されることになっています。

保険料の1/2が損金に算入されれば、その分、一時的には税金が安くなります。しかし、その後、何事もなく被保険者が退職を迎え、会社が保険を解約して解約返戻金を受け取った場合には、「雑収入」として益金に算入されるため、結局はその時点で課税されることになります。これが「課税の繰り延べ」です。

先ほど、解約返戻金の額が支払い済み保険料の80~90%程度になると書きました。なので、そのままだと、そこに一気に法人税がかかってくることになってしまうわけです。

そのため、最終的に節税の効果を得たいのであれば、同じタイミングで、被保険者である役員・従業員の退職金等に充てるなどして、損金に算入するなどしなければなりません。逆に言えば、保険に加入する時点で、解約返戻金のピークの頃にそのようなまとまった出費をする確実な予定がないのであれば、節税の効果はほとんどありません。解約返戻金を受け取った場合の使い道、つまり出口戦略をしっかり立てておく必要があります。このことをくれぐれも忘れないようにしてください。

また、保険料が高い場合には、キャッシュフローを減らしてしまうリスクがあることにも注意してください。

なお、ここで紹介した終身がん保険以外にも、法人向けの保険には様々なものがありますので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。ただし、最近は、節税対策のためだけに法人保険を利用するメリットは少なくなってきています。そのことについては、今後の記事で詳しく書いていくことにします。

(おまけ)「節税対策」と言えないもの―税金を安くするため「だけ」の出費

その年度に多額の利益が計上されるという見込みがある場合に、わざと、高級な自動車を購入したり、消耗品を大量に購入したり、交際費をたくさん計上したりして、損金を多くするというのは、「節税対策」とは言えません。たまたま多額の出費が必要なタイミングと重なるのであれば話は別ですが、そうでない限り、会社の貴重な資金を浪費し、キャッシュフローを減らしてしまうだけです。

繰り返しますが、税金を安くしたいためだけに無駄な出費をするくらいならば、事業資金に充てて利益を多く出して、その分の税金をちゃんと払った方がはるかに賢明です。

まとめ

以上、節税対策を考える前に絶対に理解しなければならないことを説明した上で、中小企業向けのごくオーソドックスな節税対策について、かいつまんで説明してきました。くどいようですが、会社にとって最も大事なことは、資金を無駄遣いせず、利益を出して経営を安定させ、従業員の生活を守ることです。節税対策は、そのための手段にすぎません。法令の範囲内で、できるだけキャッシュフローを減らすことなく、また、本来の意味での節税対策と「課税の繰り延べ」との違いを見極めて、正しい節税対策をこころがけるようにしていただきたいと思います。

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出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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