等級ダウン事故とは何か?保険料はいくらアップするか?

自動車保険の「1等級ダウン事故」「3等級ダウン事故」とは、保険料の割引率を決める「等級」が下がる事故のことをさします。

この記事では、そもそも自動車保険の等級制度とはどのようなものであるか振り返った上で、それぞれ「1等級ダウン事故」「3等級ダウン事故」について、どんな事故をさすのか、保険料がどのくらい上がってしまう可能性があるのか、などについて具体例を交えて紹介しています。

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保険の教科書 編集部

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1.そもそも自動車保険の等級制度とは?

等級ダウン事故について触れる前に、自動車保険の等級制度とはどういったものかおさらいしておきましょう。

等級制度について誤解があると、等級ダウン事故に関しても正しく理解できないからです。

自動車保険の等級制度は、交通事故を起こすなどして保険金を受け取った経歴をもとに等級が決まり、その等級ごとに保険料の割引率(割増率)が適用されるしくみです。

自動車保険に加入した後に、交通事故を起こさず、あるいは起こしても保険金を受け取らなければ、等級がアップし、保険料の割引率が高くなっていきます。

これに対し、交通事故を起こすなどして保険金を受け取った場合は等級がダウンし、割引率もダウンします。

自動車保険では、無事故で保険金を受け取らずに過ごす人の方が、そうでない人と比べて保険料が安くなる仕組みになっているのです。

2.等級によってどのくらい保険料の割引率(割増率)が変わるか

それでは、A損保の自動車保険を例にとって、等級によってどのくらい保険料の割引率(割増率)に差が生じるか見ていきましょう。

等級 無事故 事故有
20 63%割引 44%割引
19 55%割引 42%割引
18 54%割引 40%割引
17 53%割引 38%割引
16 52%割引 36%割引
15 51%割引 33%割引
14 50%割引 31%割引
13 49%割引 29%割引
12 48%割引 27%割引
11 47%割引 25%割引
10 45%割引 23%割引
9 43%割引 22%割引
8 40%割引 21%割引
7 30%割引 20%割引
6 19%割引 19%割引
5 13%割引 13%割引
4 2%割引 2%割引
3 12%割増 12%割増
2 28%割増 28%割増
1 64%割増 64%割増

ご覧のように、等級は1等級から20等級まで設けられており、数字が大きい方が良い等級となり保険料の割引率がアップします。

加えて、数年以内に交通事故を起こすなどして保険金を受け取った場合には「事故有」という判定となり、同じ等級でも「無事故」と比べて割引率が低くなります。詳しくは後でお伝えします。

このように、等級により割引率(割増率)に大きな差があることが分かります。

この割引率・割増率を実際の保険料に適用したときにどのくらいの差が出るか、保険料の割引率が0%の場合の保険料を80,000円/年とした場合を例に見ていきましょう。

最も割引率が高い20等級(無事故)と最も割増率が高い1等級の間の保険料の差は以下の通りです。

  • 1等級:131,200円/年
  • 20等級(無事故):29,600円/年

4倍以上もの差が生じています。

このように、自動車保険の保険料を抑えるためには、等級ダウンしないようにすることが必須ということです。

3.「等級ダウン事故」とは?

自動車保険の等級制度についておさらいしたところで、等級ダウン事故がどんなものか見ていきましょう。

自動車保険の等級に関係する事故は以下の3つに分類されます。

交通事故の種類 内容 翌年度に下がる等級数
3等級ダウン事故 以下の交通事故を起こし、保険金を受け取った場合

  • 他人を死傷させた
  • 他人の物を壊した
  • 自分の物を壊した
1回の事故につき3等級下がる
1等級ダウン事故 以下のケースで車両保険の保険金を受け取った場合

  • 盗難
  • 落書き
  • 台風による損害
  • 飛来物(飛び石など)との衝突など
1回の事故につき1等級下がる
ノーカウント事故 例:交通事故で自分や家族がケガをしたが、他人に損害を与えず、自分の自動車が損傷しなかった場合 等級は下がらない(翌年度は1等級上がる)

「3等級ダウン事故」は、自分に何らかの落ち度がある事故で、他人に損害を与えて対人賠償責任保険金・対物賠償責任保険金を受け取った場合と、自分の自動車が損壊して車両保険の保険金を受け取った場合です。

これに対し、自動車が盗難されたり飛び石で傷ついたりしたように、自分に非がない事故で車両保険の保険金を受け取った場合は「1等級ダウン事故」です。

また、3等級ダウン事故を起こすと翌年度から3年間、1等級ダウン事故を起こすと翌年度から1年間は「事故有」と判定され、同じ等級でも「事故有」の低い割引率が適用されることになります。

なお、自分や同乗の家族がケガをして保険金を受け取っただけで、他人に損害を与えず自分の自動車が損傷することもなかった場合には「ノーカウント事故」と判断され、等級が下がることはありません。

等級については詳しくは「自動車保険の等級で知っておきたいことまとめ」をご覧ください。

3.1.「1等級ダウン事故」でどのくらい保険料が上がるか

では、1等級ダウン事故を起こした場合、保険料がどのくらい上がるでしょうか。

以下の条件で、B損保の自動車保険で試算してみましょう。

  • 現在の保険料:7万円/年
  • 現在の等級:6等級
  • 事故の種類:1等級ダウン事故

この場合、次年度以降、保険料は以下のようにアップします。

等級 保険料(イメージ)
次年度 事故あり5等級 75,000円
2年後 無事故6等級 70,000円
3年後 無事故7等級 60,000円
4年後 無事故8等級 52,000円
5年後 無事故9等級 49,000円
6年後 無事故10等級 48,000円
合計額(概算):354,000円

次に、事故を起こしてしまった際に車両保険を使わず、その先も車両保険を使う必要がなかったとしたら、等級は以下のように上がっていき、保険料も安くなっていきます。

等級 保険料(イメージ)
次年度 無事故7等級 60,000円
2年後 無事故8等級 52,000円
3年後 無事故9等級 49,000円
4年後 無事故10等級 48,000円
5年後 無事故11等級 46,000円
6年後 無事故12等級 45,000円
合計額(概算):300,000円

このように、1等級ダウン事故で保険金を受け取ると、受け取らなかった場合と比べ、6年後までに54,000円も保険料の負担が増えていることになります。

受け取る保険金の額が54,000円以下であれば、保険料増額分の負担の方が大きくかえって損をしてしまうこともあるということです。

経済的な余裕があれば、修理費用を自己負担してしまった方が良いということです。

【参考】2013年10月の改定で「1等級ダウン事故」ができた

事故内容 改定前 改定後
自動車の損壊に対する保険金を支払う事故 窓ガラス破損 他の自動車との衝突や転覆などによる場合 3等級ダウン事故 3等級ダウン事故
上記以外 等級据え置き事故 1等級ダウン事故
火災・盗難・落書・いたずらなど 等級据え置き事故 1等級ダウン事故
契約者・家族が怪我して保険金の支払いが必要となる事故 ノーカウント事故 ノーカウント事故

2013年10月に自動車保険の改定により、事故カウントルールが上記表の通り変更となりました。

それまで、火災や盗難・落書き、さらに飛び石が原因で窓ガラスが割れた場合(他の自動車との衝突などが原因でない場合)は、「等級据え置き事故」と判定され等級に影響しませんでした。

しかし、2013年10月の自動車保険改定により、これらは1等級ダウン事故となったのです。

こうなった要因は、保険会社が「等級据え置き事故」で支払う保険金の額を、従来の保険料収入で賄えなくなってしまったためだと言われています。

3.2.「3等級ダウン事故」でどのくらい保険料が上がるか

次に、3等級ダウン事故を起こした場合に保険料はどのくらい上がるかお伝えします。

B損保の自動車保険で、以下の条件で見てみましょう。

  • 現在の保険料:7万円/年
  • 現在の等級:6等級
  • 事故の種類:3等級ダウン事故

この場合、次年度以降、保険料は以下のようにアップします。

等級 保険料(イメージ)
次年度 事故あり3等級 97,000円
2年後 事故あり4等級 85,000円
3年後 事故あり5等級 75,000円
4年後 無事故6等級 70,000円
5年後 無事故7等級 60,000円
6年後 無事故8等級 52,000円
合計額(概算):439,000円

次に、もしも事故を起こしてしまった際に車両保険を使わず、その先も車両保険を使わなかったら、等級は毎年1等級ずつ上がり、保険料も安くなっていきます。

等級 保険料(イメージ)
次年度 無事故7等級 60,000円
2年後 無事故8等級 52,000円
3年後 無事故9等級 49,000円
4年後 無事故10等級 48,000円
5年後 無事故11等級 46,000円
6年後 無事故12等級 45,000円
合計額(概算):300,000円

このシミュレーションでは、3等級ダウン事故を起こすと保険料の負担が6年間で439,000円-300,00円=139,000円も増えてしまうことが分かります。

自動車保険の保険金を受け取ることによって、長い目でみると損をしてしまうこともあるということです。

3.3.あえて保険を使わずに自己負担するのもあり

自動車保険を使って賠償金や修理費用より負担が大きくなるのであれば、あえて保険を使わずに自己負担するという選択肢もあります。

保険会社に確認して、保険金の額よりも保険料の負担増の方が明らかに大きく、かつ、その時に賠償金や修理費用を自己負担する経済的余裕があるのであれば、あえて自動車保険を使わず自己負担することをおすすめします。

まとめ

1等級ダウン事故とは、盗難・落書き・飛び石など、自分に非がない事故で、車両保険の保険金を受け取る場合です。

また、3等級ダウン事故とは、他人に損害を与えた場合と、自分の自動車などを損壊させた場合をさします。

等級ダウン事故を起こしてしまうと、自動車保険の保険料が翌年度から上がり、複数年にわたって、保険料の負担が大きく増えることになります。

その結果、長い目で見ると、受け取れる保険金の額より、保険料増加分の負担の方が大きくなってしまうこともあります。ですので、等級ダウン事故を起こしてしまった場合は、保険料の負担がどのくらい増えるかを保険会社に確認した上で、保険を使うか自己負担するか決めることをおすすめします。


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