個人事業主必見|国民健康保険料を大幅に削減する9つの実践的手法

執筆 社長の資産防衛チャンネル編集チーム監修 税理士法人グランサーズ公開 2026年9月15日
個人事業主必見|国民健康保険料を大幅に削減する9つの実践的手法
個人事業主必見|国民健康保険料を大幅に削減する9つの実践的手法

年々上昇し続ける国民健康保険料に、頭を悩ませている個人事業主の方は多いのではないでしょうか。高齢化の進行に伴い、上限額も保険料率も引き上げられ続けており、2026年度からは上限額が110万円へと引き上げられることが決まっています。年収1,170万円以上の単身世帯であれば、これだけで年間110万円もの負担が発生する計算です。

しかし、国民健康保険の仕組みを正しく理解し、適切な対策を講じれば、支払額を大幅に抑えることが可能です。中には所得に関わらず定額で済ませる方法や、より手厚い社会保険にお得に加入する方法もあります。本記事では、個人事業主が知っておくべき国民健康保険料削減の実践的な9つの方法を解説していきます。

国民健康保険料の仕組みを理解する

削減方法をお伝えする前に、まずは国民健康保険料がどのように決まるのかを整理しておきます。

国民健康保険料は、大きく「均等割額」と「所得割額」の2つで構成されています。均等割額は加入者全員に等しくかかる金額で、所得割額は前年の所得に応じて金額が変動します。つまり、所得が高い方ほど所得割の金額が大きくなり、結果として保険料負担も重くなる仕組みです。

計算の基礎となるのは、収入から必要経費を差し引いた「所得金額」から、さらに基礎控除を引いた金額です。したがって、必要経費を漏れなく計上することが、保険料削減の基本中の基本となります。

区分内容年間限度額の目安
医療分医療給付にあてる保険料約66万円
後期高齢者支援分後期高齢者医療制度への支援金約26万円
介護分(40〜64歳)介護保険料約17万円
合計約110万円

 

2026年度からは、この合計上限がさらに1万円引き上げられ、110万円になる見通しです。高所得の個人事業主にとっては、これまで以上に対策の重要性が増しています。

国民健康保険料を削減する9つの方法

ここからは、実際に保険料を削減するための具体的な方法を、9つに分けて解説していきます。

①青色申告で最大65万円の特別控除を受ける

まず取り組むべきなのが、青色申告による特別控除の活用です。白色申告をしている方は青色申告に切り替え、e-Taxなどを使った電子申告を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。

この控除は、国保料の計算元となる所得金額から直接差し引かれるため、保険料の削減に直結します。2026年の税制改正大綱では、今後この控除の最大額が75万円まで引き上げられる見込みも記載されています。まだ白色申告の方は、ここから手をつけるのが最も効果的です。会計ソフトの性能も向上しているため、切り替えのハードルはかなり低くなっています。

②経営セーフティ共済への加入

節税策としてよく紹介される経営セーフティ共済ですが、実は国保料の削減にも大きな効果があります。掛金は月5,000円から最大20万円、年間最大240万円、累計800万円まで積み立てることが可能です。

重要なのは、この掛金が全額「必要経費」として計上できる点です。必要経費として認められるため、所得金額そのものが下がり、連動して国保料も引き下げられます。

ここで注意していただきたいのが、小規模企業共済との違いです。小規模企業共済の掛金は「所得控除」であり、必要経費ではありません。国保の計算は所得控除を引く前の数字が基準となるため、いくら所得控除を積み上げても国保料は下がらないのです。iDeCoや扶養控除、医療費控除、生命保険料控除なども同じく所得控除であり、国保料の削減効果は一切ありません。「必要経費かどうか」が国保に効くかどうかの決定的な分かれ目です。

③軽減措置を申請する

倒産や労働条件の相違、賃金未払い、長時間残業などの理由で離職した場合、「特定受給資格者」に該当し、国民健康保険料の軽減・減免を受けられます。

特定受給資格者に該当すると、前年の給与所得を100分の30とみなして保険料を計算してもらえます。たとえば東京都大田区在住、世帯主1人、30歳、所得600万円のケースでは、通常であれば国保の年間支払額は約64万円ですが、特定受給資格者として認定されると約20万円まで減額されます。

申請先は住民票がある市区町村の国保担当窓口です。該当する可能性のある方は、必ず申請するようにしてください。

④世帯を合併または分離する

世帯構成を見直すことでも、保険料を削減できる場合があります。市区町村の窓口で手続きが可能です。

国民健康保険料には上限があるため、家族経営の自営業で2世帯同居しているようなケースでは、世帯を1つに合併することで保険料を圧縮できる可能性があります。逆に、介護が必要な家族と同居している場合には、世帯を分離することで親世帯の収入区分を下げ、減免につながることもあります。

どちらが有利かは家族構成や所得状況によって異なるため、市区町村の窓口に相談してみることをおすすめします。

⑤マイクロ法人を設立する

マイクロ法人とは、従業員を雇わず社長一人で運営する小さな法人のことです。この法人を立ち上げて社会保険に加入することで、国保から社保に切り替えることが可能になります。

法人からの役員報酬を年72万円程度に抑えれば、健康保険料は最低水準に留まります。試算では年間およそ60万円の保険料削減が見込めるケースもあり、高所得の個人事業主にとってはインパクトの大きい手法です。

ただし、法人の設立費用や維持費、確定申告の手間が増える点は考慮が必要です。さらに、個人事業とマイクロ法人の事業内容は明確に分けなければなりません。同じ事業の売上を都合よく個人と法人に振り分けると、租税回避行為として指摘されるリスクがあります。効果は大きい一方で、慎重な設計が求められる手法です。

⑥Wワークして社会保険に加入する

個人事業主やフリーランスの方が、アルバイトとしてWワークすることで社会保険に加入し、結果的に保険料負担を抑えるという方法もあります。

原則としては「4分の3基準」と呼ばれる基準があり、正社員の4分の3以上の日数・時間で働いた場合、パート・アルバイトの方も社会保険に加入することになります。この基準に満たない場合でも、いわゆる「106万円の壁」に該当する要件を満たせば加入対象となります。

なお、この106万円の壁については、2026年10月をめどに月額88,000円・年収106万円以上という項目が撤廃され、2027年以降は従業員数の要件も段階的に拡大していく予定です。制度改正の動向は今後も注視しておく必要があります。

⑦国民健康保険組合に加入する

市区町村が運営する通常の国保とは別に、医師・薬剤師・弁護士など同業者が組織する「国民健康保険組合」があります。加入要件はそれぞれ定められていますが、該当する業種の方には非常に大きなメリットがあります。

国保組合の保険料は所得と連動せず、定額に設定されているケースが多いのが特徴です。たとえば東京美容国民健康保険組合では保険料が定額で設定されており、年間100万円を超える国保の負担と比べて大幅に低い水準です。保障が手厚く、独自の福利厚生サービスが用意されている組合もあります。該当する業種で活動されている方は、ぜひ一度調べてみてください。

⑧保険料の安い地域に引っ越す

意外と知られていませんが、国民健康保険料は全国一律ではなく、市区町村ごとに保険料水準が異なります。同じ所得でも住む地域によって年間の負担額に大きな差が生じます。

たとえば7歳から39歳の単身者、年収500万円の場合、新宿区では年間約42万5,100円ですが、府中市では約24万400円となり、年間で約18万円もの差が発生します。ライフスタイルの変更を伴う選択ではありますが、事業拠点を柔軟に選べる方にとっては検討する価値があります。

ただし、近年は保険料水準を全国的に統一していく流れが出てきており、将来的には地域差が縮小していく可能性もあります。今後の制度改正の動きは継続的に確認しておくべきポイントです。

⑨電子マネーで支払いポイントを貯める

最後の方法は、支払い時にポイントを獲得することで実質的な負担を減らすというものです。近年ではスマホの決済アプリで納付書のバーコードを読み取るだけで、国民健康保険料が簡単に納付できるようになりました。

たとえば楽天ペイの場合、支払い時にはポイントは付きませんが、楽天カードから楽天キャッシュにチャージする際に0.5%分のポイントが獲得できます。決済方法によっては、ガス・水道・電気などの公共料金や自動車税、固定資産税、住民税、さらには国税の支払いにも対応しています。コンビニで支払う場合には、nanacoにクレジットカードでチャージすることでポイントを獲得することも可能です。

また、支払った国民健康保険料は所得税の社会保険料控除の対象となります。確定申告の際に忘れずに記載するようにしてください。

まとめ

国民健康保険料は年々負担が重くなっており、2026年度からは上限が110万円へと引き上げられます。特に高所得の個人事業主にとっては、対策の有無で年間数十万円単位の差が生じる可能性がある重要なテーマです。

今回ご紹介した9つの方法は、それぞれ効果や難易度、適用条件が異なります。青色申告や経営セーフティ共済のようにすぐ取り組めるものもあれば、マイクロ法人の設立や国保組合への加入のように、事業構造そのものを見直す必要があるものもあります。すべてを一度に導入する必要はありませんので、ご自身の状況に合わせて、取り組みやすいものから順に検討していくとよいでしょう。

特に注意すべきは、「必要経費」と「所得控除」の違いです。国保料の計算では所得控除は考慮されないため、iDeCoや小規模企業共済といった所得控除型の制度を積み上げても、国保料の削減にはつながりません。この点を誤解している方が非常に多いため、しっかり押さえておいてください。

なお、今回ご紹介した9つの削減方法については、動画にて税理士がそれぞれの具体的な計算例や注意点まで詳しく解説しています。文章だけでは伝えきれない実務上のポイントや、判断に迷いやすい部分についても踏み込んで話していますので、より深く理解したい方はぜひ動画もあわせてご覧ください。

動画でも解説しています

社長の資産防衛チャンネルでは、税理士が同じテーマをより詳しく解説しています。 文字で追いきれなかったところは、動画でご覧ください。

社長の資産防衛チャンネルを見る →

執筆・監修

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー等の資格を持つメンバーで構成されています。
監修体制を詳しく見る →
制度活用

投資で得た利益に社会保険料が課される時代へ|制度改正の全貌と経営者が取るべき防衛策

近年、資産形成の手段として株式投資や投資信託が広く浸透しています。しかし、その利益に対して従来はかからなかった社会保険料が、今後は課される方向で制度改正が進められていることをご存じでしょうか。特に特定口座で運用している方…

2026年9月7日
制度活用

金利1.9%・無担保・無保証で最大2,000万円 中小企業が活用すべき「マル経融資」の全貌

政策金利の引き上げが続き、企業の資金調達環境は年々厳しさを増しています。仮に1億円の借入がある会社で金利が1%上昇すれば、年間100万円もの追加負担が発生します。変動金利で借り入れをしている企業は、返済額が静かに膨らんで…

2026年8月27日
制度活用

賢い社長が実践する|法人から個人へ効率よく資金を移す8つの手法

会社に利益は残っているのに、いざ個人へ資金を移そうとすると、役員報酬を引き上げた瞬間に所得税・住民税・社会保険料がのしかかり、手元に残るのはごくわずか──そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。事実、役員報酬という「…

2026年8月25日
制度活用

役員貸付金の強烈なメリットと注意点を徹底解説

会社の口座からプライベートな支払いをしてしまったり、生活費が足りないときに会社のお金を引き出してしまったりする——中小企業の経営者にとって、こうした行為は決して珍しいことではありません。しかし、その一つひとつが決算書上「…

2026年8月24日
通話料無料で今すぐ電話で相談予約フォームから無料相談予約