役員報酬を配当金に切り替えて手取りを増やす!社会保険料削減と配当控除の活用術

執筆 社長の資産防衛チャンネル編集チーム監修 税理士法人グランサーズ公開 2026年1月7日更新 2026年1月19日
役員報酬を配当金に切り替えて手取りを増やす!社会保険料削減と配当控除の活用術
役員報酬を配当金に切り替えて手取りを増やす!社会保険料削減と配当控除の活用術

「役員報酬を上げても、社会保険料と税金で手取りが全然増えない…」会社経営者にとって、これは切実な悩みです。額面を増やしても、約30%もの社会保険料(会社負担含む)と、累進課税による所得税・住民税が引かれ、手元に残るお金は目減りする一方です。

しかし、もし会社からの報酬を「役員報酬」ではなく「配当金」として受け取ることで、社会保険料をゼロにし、さらに税金も安くできるとしたらどうでしょうか?オーナー社長だからこそ選択できるこの手法は、会社の利益と個人の手取りのバランスを最適化する強力な節税策となり得ます。

今回は、役員報酬と配当金の税務上の違い、それぞれのメリット・デメリット、そしてトータルで手残りを最大化するための黄金比率について、徹底解説します。

1.報酬を「配当」で受け取る2大メリット

なぜ、役員報酬の一部を配当金に切り替えることが節税につながるのでしょうか。その理由は主に2つあります。

①社会保険料の対象外になる

これが最大のメリットです。社会保険料(健康保険・厚生年金)は、「給与(役員報酬)」の額に基づいて計算されます。しかし、配当金は給与ではなく、株主への利益分配であるため、社会保険料の計算対象には一切含まれません。つまり、配当金としていくら受け取っても、社会保険料は1円も増えないのです。社会保険料の負担率は会社と個人合わせて約30%にも及ぶため、これを回避できる効果は絶大です。

②「配当控除」で税金が還付される場合も

配当金を受け取って確定申告(総合課税)を選択すると、「配当控除」という税額控除を受けることができます。これは、法人税を支払った後の利益から配当が出されているため、個人での二重課税を調整するための制度です。課税総所得金額が1,000万円以下の場合、配当所得の10%(所得税)と2.8%(住民税)が税額から直接差し引かれます。所得水準によっては、源泉徴収された税金が戻ってくるケースもあり、実質的な税負担を非常に低く抑えることが可能です。

2.知らないと損する「配当」の3つのデメリット

一方で、配当金には役員報酬にはないデメリットも存在します。これらを理解せずに導入すると、かえって会社全体の資金繰りを悪化させるリスクがあります。

①法人の経費(損金)にならない

役員報酬は、定期同額などの要件を満たせば全額会社の経費(損金)になりますが、配当金は損金になりません。配当金は税引後の利益から支払われるため、配当を出しても法人税を減らす効果はないのです。「個人の手取りは増えたが、会社の法人税負担が増えてしまった」という事態になりかねないため、法人税と個人の税・社会保険料のトータルバランスを見る必要があります。

②給与所得控除が使えない

役員報酬には「給与所得控除」という、いわゆるサラリーマンの経費枠が適用されますが、配当金にはありません。給与所得控除は最低でも55万円、最大で195万円という大きな控除枠ですので、これを捨ててまで配当にするメリットがあるかを計算する必要があります。

③確定申告の手間

配当控除を受けて節税メリットを享受するためには、原則として確定申告が必要です(総合課税を選択する場合)。年末調整だけで完結する役員報酬に比べると、事務的な手間は増えます。

3.役員報酬vs配当金:手残りを最大化するシミュレーション

では、具体的にどうすれば手取りを最大化できるのでしょうか。ポイントは、「社会保険料の削減効果」と「法人税の増加分」を天秤にかけることです。

中小企業の場合、年800万円以下の利益に対する法人税の実効税率は約23%程度と比較的低めです。一方、社会保険料の負担率は約30%です。単純比較すると、「法人税を払ってでも配当にした方が、社会保険料を払うより得」というケースが多く存在します。

例えば、利益が出ている会社で、社長が生活費に必要な最低限の役員報酬(月額数万円など)のみを受け取り、残りを配当金として受け取るスキームを組んだ場合、社会保険料を最低ランクに抑えつつ、配当控除を活用して個人の税金も低く抑えることが可能です。シミュレーション次第では、年間で数十万円~百万円単位の手取り増になることも珍しくありません。

4.社長必見!導入時の注意点

配当スキームを導入する際は、以下の点に注意してください。

  • 分配可能額の制限:会社法上、配当は「分配可能額(剰余金)」の範囲内でしか行えません。赤字会社や純資産が300万円未満の会社では実施できません。
  • 株主構成:社長一人の会社なら問題ありませんが、他の株主がいる場合、配当を出せば彼らにも支払う必要があります。
  • 社会保障の減少:社会保険料を減らすということは、将来受け取る厚生年金の額も減ることを意味します。このトレードオフを許容できるかの判断が必要です。

まとめ

「役員報酬」と「配当金」。この2つの蛇口を調整することで、社長と会社の手元に残るお金は大きく変わります。「社会保険料が高すぎる」と感じているオーナー社長は、一度ご自身の報酬設計を見直し、配当金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。最適な比率は会社の利益状況や社長の他の所得によって異なりますので、ぜひ税理士に詳細なシミュレーションを依頼してみてください。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的なシミュレーションや計算ロジックを知りたい場合に、参考にしてください。

 

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執筆・監修

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー等の資格を持つメンバーで構成されています。
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