2026年問題に備える!賃上げと設備投資で税負担をゼロに近づける企業の生存戦略

執筆 社長の資産防衛チャンネル編集チーム監修 税理士法人グランサーズ公開 2026年3月11日
2026年問題に備える!賃上げと設備投資で税負担をゼロに近づける企業の生存戦略
2026年問題に備える!賃上げと設備投資で税負担をゼロに近づける企業の生存戦略

「売上は上がっているのに、手元にお金が残らない」「人手不足で業務が回らず、黒字なのに倒産の危機を感じている」

現在、多くの中小企業がこのような悩みを抱えています。特に2026年は、ゼロゼロ融資の返済本格化、深刻な人手不足、そしてコスト増という「三重苦」が中小企業を襲うと言われており、これまでのやり方では生き残ることが難しい時代に突入しています。

この難局を乗り越えるためには、「安売りからの脱却」と「優秀な人材の確保(高待遇)」という逆張り戦略が不可欠です。しかし、「ない袖は振れない」「資金がないから賃上げも設備投資もできない」と諦めてしまう経営者も少なくありません。

そこで重要になるのが、国が用意している強力な税制優遇制度を活用することです。条件を満たせば、賃上げした金額の最大45%が税金から戻ってきたり、設備投資の全額をその年の経費にできたりと、驚くべき節税効果を得られます。この記事では、2026年に待ち受ける危機の実態と、国の制度を利用して「投資的節税」を実現し、会社を成長させるための具体的な手法について徹底解説します。

1.2026年、中小企業を襲う「三重苦」の実態

まずは、現在そしてこれから中小企業が直面する厳しい現実を正しく認識しておきましょう。

①ゼロゼロ融資の限界と資金枯渇

コロナ禍に多くの企業が利用した「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」の元本返済が本格化しています。業績が回復していない状態での返済は、手元のキャッシュを急速に奪います。金融機関も融資姿勢を厳格化しており、将来性の見えない企業には追加融資を行わないため、黒字であっても資金ショートによる倒産リスクが高まっています。

②コスト増と「値上げ恐怖」による利益圧迫

材料費、物流費、電気代など、あらゆるコストが高騰しています。しかし、多くの中小企業(特に下請け企業)は「値上げをすると取引を切られるかもしれない」という恐怖から価格転嫁できず、自社の利益を削って耐え忍んでいます。利益が出なければ、新たな投資も人材確保もできず、競争力を失う一方です。

③深刻な人手不足と「負のスパイラル」

大手企業が大幅な賃上げを実施する中、待遇を改善できない中小企業からは優秀な人材が流出しています。その結果、給与水準の低い会社には、勤怠や協調性に課題を抱える人材しか集まらなくなるケースが増えています。これにより真面目な社員のモチベーションが低下し、さらなる退職を招くという組織崩壊の「負のスパイラル」に陥る危険性があります。

2.生き残るための「逆張り戦略」と投資的節税

この三重苦から抜け出すためには、勇気を持って「適正価格への値上げ」を行い、その利益で「高給で優秀な人材を確保する」という好循環を作らなければなりません。

しかし、資金力に乏しい企業が自力でこれを実行するのは至難の業です。そこで活用すべきなのが、国が推進している「賃上げ促進税制」と「中小企業経営強化税制」です。これらの制度を活用することで、国にコストの一部を負担させながら、会社を強化(投資的節税)することが可能になります。

3.最大45%が戻る!「中小企業向け賃上げ促進税制」

「賃上げ促進税制」は、従業員の給与支給額を前年度より一定以上増加させた場合、その増加額の一部を法人税(または所得税)から直接差し引くことができる制度です。単なる経費計上(損金算入)ではなく、「税額控除」であるため、ダイレクトに支払う税金を減らすことができます。

制度の仕組みと控除率

青色申告書を提出している中小企業の場合、以下の要件を満たすことで税額控除を受けられます。

  • 基本要件:前年度比で給与等支給額を1.5%以上増加させた場合、増加額の15%を法人税から控除。
  • 上乗せ要件:
    • 給与等支給額を2.5%以上増加させた場合:控除率が30%にアップ。
    • 教育訓練費を一定以上増やした場合:控除率が+10%。
    • くるみん認定(子育てサポート)等を受けている場合:控除率が+5%。

これらの要件をすべて満たせば、最大で給与増加額の45%を税金から差し引くことができます(※ただし、控除上限はその年の法人税額の20%まで)。

【活用例】1,000万円の賃上げを実施した場合

例えば、優秀な人材を確保するために給与総額を前年より1,000万円増やし、最大45%の控除要件を満たしたとします。この場合、本来支払うべき法人税から最大450万円が直接減額(還元)されます。会社としての持ち出し(人件費増)はありますが、その半分近くを国が負担してくれるイメージです。

【赤字の年でも安心の「繰越制度」】「赤字の場合は法人税が発生しないから意味がない」と思われるかもしれませんが、安心してください。賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額は、最大5年間繰り越して使うことができます。今は苦しくても、賃上げで優秀な人材を確保して黒字化した際に、過去の控除枠を使って一気に税負担を減らすという戦略が成り立ちます。

4.全額即時償却も可能!「中小企業経営強化税制」

「人材がどうしても採用できない」「業務効率化を急ぎたい」という場合に有効なのが、機械やシステムなどの設備投資を支援する「中小企業経営強化税制」です。

「即時償却」と「税額控除」の選択

通常、高額な設備(機械、ソフトウェア、器具備品など)を購入した場合、減価償却によって数年間かけて少しずつ経費にしなければなりません。しかし、この制度を利用し、「経営力向上計画」の認定を受けて対象設備を取得すると、以下のいずれかの強力な税制優遇を選択できます。

  1. 即時償却:設備の取得価格の全額(100%)を、購入したその事業年度の経費(損金)として一括計上できる。
  2. 税額控除:通常の減価償却を行いつつ、設備の取得価格の10%(資本金3,000万円超1億円以下の場合は7%)を法人税から直接控除できる(※法人税額の20%が上限)。

【判断基準】どちらを選ぶべきか?

  • 手元資金に余裕がない、または当期の利益を大きく圧縮したい場合:「即時償却」がおすすめです。例えば3,000万円の設備を購入した場合、その年に3,000万円全額を経費化できるため、当期の法人税を劇的に下げ、キャッシュの流出を防ぐことができます。
  • 手元資金に余裕があり、トータルの税負担を減らしたい場合:「税額控除」が有効です。数年かけて減価償却費を計上しつつ、初年度に購入額の10%分の税金を直接減らせるため、最終的な節税効果(手残り額)はこちらの方が高くなるケースが多いです。

身近な設備も対象になる

「工場の大型機械しか対象にならないのでは?」と誤解されがちですが、実はもっと身近な設備も対象になります。機械装置(160万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)だけでなく、器具備品(30万円以上)も対象です。例えば、オフィス環境を改善するための最新の複合機、業務用エアコン、勤怠管理システムなども、「働き方改革に資する設備」として要件を満たせば適用可能です。

まとめ

2026年問題に代表される激動の時代を生き残るためには、ただ耐えるだけでなく、攻めの「投資」が必要です。賃上げや設備投資は一時的にキャッシュを減らしますが、国の税制を賢く活用することで、その負担を最小限に抑えつつ、強い組織と事業基盤を作ることができます。

  • 賃上げは「最大45%の税額控除」で国に一部を負担させる。
  • 設備投資は「即時償却」で一気に経費化し、キャッシュを守る。

これらの制度は事前申請や細かい要件確認が必要な場合が多いため、決算直前ではなく、早めに専門家と連携して計画を立てることが成功の鍵となります。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的な要件や制度活用のシミュレーションについて知りたい方は、ぜひご覧ください。

 

 

 

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