2026年最新|個人事業主でも500万円以上もらえる小規模事業者向け補助金3選と失敗しない選び方


「設備を入れたいけれど、手元の現金は残しておきたい」「チラシやホームページにお金をかけたいが、広告費がかさむ」——そんな悩みを持つ個人事業主や小さな会社の社長にこそ、知っておいてほしいのが補助金です。
2026年は、小規模事業者にとって補助金の追い風が吹いている年です。人手不足対策の省力化投資補助金は、従業員5人以下でも上限が200万円から500万円へと大きく引き上げられました。販路開拓に使える持続化補助金は最大250万円、IT導入補助金から名前を変えたデジタル化・AI導入補助金は、会計ソフトの費用を最大8割まで補助してくれます。3つを組み合わせれば、個人事業主でも合計500万円以上の補助を受けることは十分に狙えます。
本記事では、補助金選びで失敗しないための2つの基準と、小規模事業者がいま申請すべき補助金3選を、2026年の最新の改正点や締切とあわせて整理します。
補助金選びは「コスパ」と「スピード」の2つで決める
日本には数多くの補助金がありますが、選ぶ基準は2つだけ覚えておけば十分です。それが「コストパフォーマンス」と「スピード感」です。
もらえる金額と申請の手間が釣り合っているか
補助金の申請には、事業計画書の作成や添付書類の準備など、それなりの手間がかかります。外部の専門家に頼めば着手金や成功報酬もかかります。何十時間もかけて、もらえたのが5万円だったら、その時間を本業に使ったほうがよかった、ということになりかねません。社長の時間はそれだけコストが高いのです。
逆に、数百万円、1,000万円以上が受け取れるなら、多少の手間をかけても十分に元が取れます。まずは金額の大きい制度から優先的に検討するのが基本です。
お金が手に入るまでの期間と、申請のしやすさ
もう1つの基準がスピードです。補助金は、申請してから実際にお金が入るまでの期間が制度によって大きく違います。公募が年に1回しかなく、採択の結果が出るまで半年以上かかるものもあれば、いつでも申請できて手続きが早く進むものもあります。
設備投資のタイミングは会社の事情で決まるものです。申請できる時期が限られている制度より、タイミングを選ばずに動ける制度のほうが使い勝手がよいと言えます。
小規模事業者におすすめの補助金3選【早見表】
この2つの基準を踏まえて、今回おすすめする補助金は次の3つです。ざっくり言うと、人手不足に困っているなら省力化補助金、新しいお客さんを増やしたいなら持続化補助金、業務のデジタル化を進めたいならデジタル化・AI導入補助金です。
| 補助金 | こんな人向け | 補助上限(小規模の場合) | 補助率 | 申請のタイミング |
| 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | 人手不足をロボットや機械で解消したい | 従業員5人以下で500万円(大幅な賃上げで750万円) | 1/2以下 | 随時受付(2027年3月末頃まで) |
| 小規模事業者持続化補助金(通常枠) | チラシ・広告・展示会などで販路を広げたい | 50万円(特例の併用で最大250万円) | 2/3(一部3/4) | 第20回:2026年11月5日〜12月15日 |
| デジタル化・AI導入補助金(インボイス枠) | 会計・受発注・決済ソフトを入れたい、PCも買い替えたい | ソフト最大350万円+PC等10万円・レジ等20万円 | 小規模は4/5(50万円以下の部分) | 年に数回の締切(6次:10月30日、7次:12月1日) |
※2026年10月時点の情報です。申請の際は必ず各事務局の最新の公募要領を確認してください。
①中小企業省力化投資補助金:カタログから選ぶだけで最大750万円
1つ目は、中小企業省力化投資補助金(通称:省力化補助金)です。一言で言えば、人手不足を解消するためのロボットや機械の導入費用を補助してくれる制度です。
「カタログ注文型」だから申請がとにかく手軽
この補助金の最大の特徴は、カタログ注文型という仕組みです。これまでの補助金は細かい事業計画書づくりが欠かせませんでしたが、カタログ注文型では、国があらかじめ登録した製品カタログの中から欲しいものを選んで申請するだけで手続きが進みます。申請は製品を扱う販売事業者と共同で行うので、書類づくりのサポートも受けられます。ネット通販で選ぶような感覚に近く、補助金に慣れていない方でも取り組みやすい制度です。
カタログには、たとえば次のような製品が登録されています。
- 飲食・サービス業:配膳ロボット、清掃ロボット、券売機、自動精算機、スチームコンベクションオーブン
- 小売業:セルフレジ、自動精算機(新紙幣対応の入れ替え需要も多い)
- 製造・物流・建設業:検品・仕分けの自動化機器、無人搬送車など
採択が多いのは製造業や建設業ですが、小売業や飲食業でも多くの事業者が採択されています。採択率も申請数の3分の2程度とされ、要件を満たしていれば比較的通りやすい補助金です。
2026年3月19日の改定で、20人以下の上限が大幅アップ
2026年3月19日から制度が改定され、従業員20人以下の会社の補助上限額が大きく引き上げられました。補助率は1/2以下で変わりません。
| 従業員数 | 改定前の上限 | 改定後の上限 | 大幅な賃上げをした場合 |
| 5人以下 | 200万円 | 500万円 | 750万円(改定前300万円) |
| 6〜20人 | 500万円 | 750万円 | 1,000万円(改定前750万円) |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,000万円(据え置き) | 1,500万円(据え置き) |
従業員5人以下でも500万円まで補助を受けられるので、補助率1/2なら1,000万円分の設備を実質半額で導入できる計算です。
上限を引き上げる「大幅な賃上げ」の基準も変わりました。これまでは事業場内最低賃金を45円以上引き上げる必要がありましたが、改定後は事業場内最低賃金を3.0%以上引き上げることが条件です(給与支給総額を増やす目標も従来どおり必要です)。正当な理由なく目標を達成できなかった場合は補助額が減らされるので、無理のない計画にしておきましょう。
対象になる会社と、申請の期限
対象は、人手不足の状態にある中小企業や個人事業主です。業種ごとに資本金や従業員数の基準がありますが、最も厳しい小売業でも「資本金5,000万円以下または従業員50人以下」なので、ほとんどの個人事業主や小規模事業者は問題なく対象になります。
そのうえで、残業が多い、求人を出しても人が集まらないといった人手不足の実態を示し、年3%以上の生産性向上を見込む計画を立てる必要があります。
申請は締切日のない随時受付です。受付期間は当初2026年9月末頃までの予定でしたが、改定で2027年3月末頃まで延長されました。思い立ったときにすぐ動けるのは大きな魅力です。
なお、2回目以降の申請もできますが、累計の補助上限額(各申請時点の上限額の2倍)があり、前回の申請時より事業場内最低賃金を3.5%以上引き上げていることなどの追加要件がつきます。複数回の活用を考えている場合は、最初の申請から計画的に進めましょう。
②小規模事業者持続化補助金:Web広告から旅費まで使える
2つ目は、小規模事業者持続化補助金です。新しいお客さんを増やすための「販路開拓」の取り組みに使える補助金で、小規模事業者の定番と言える制度です。
対象になる「小規模事業者」とは
対象は、常時使用する従業員が商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で5人以下、宿泊業・娯楽業・製造業その他で20人以下の事業者です。社長本人や役員、一定のパートタイマーは従業員の数に含まれないので、家族経営のお店やひとり社長の会社も問題なく対象になります。
使える経費の幅が驚くほど広い
この補助金の一番の魅力は、対象になる経費の幅の広さです。
- 広報費・ウェブサイト関連費:チラシや販促物の作成、Web広告、ホームページのリニューアル、看板
- 展示会等出展費:展示会への出展料
- 旅費:展示会や商談会に参加するための交通費・宿泊費
- 開発費:新商品・新サービスを開発するための試作費、パッケージデザイン
- 機械装置等費:新しい取り組みに必要な機械や設備、店舗の改装
- 雑役務費:補助事業のために臨時で雇ったアルバイトの人件費
旅費やアルバイト代まで対象になる補助金は珍しく、組み合わせ次第でいろいろな手が打てます。一方で、パソコン、プリンター、自動車など、どの事業にも使える汎用品は対象外です。判断の基準は「その事業の販路開拓に直接かかわる費用かどうか」です。
また、第20回の公募からは、広報費とウェブサイト関連費にそれぞれ補助金額で30万円の上限が設けられ、どちらも単独では申請できなくなりました。「ホームページだけ作り直したい」という使い方はできないので、展示会出展や新商品の開発などとセットで計画を立てましょう。
2つの特例を併用すれば最大250万円
通常枠の補助上限は50万円、補助率は経費の2/3です。ここに2つの特例を上乗せできます。
| 特例 | 主な要件 | 上乗せ額 |
| インボイス特例 | 2021年9月30日〜2023年9月30日を含む課税期間に免税事業者だった(または2023年10月1日以降に創業した)事業者が、インボイス発行事業者の登録を受けている | +50万円 |
| 賃金引上げ特例 | 第20回からは、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増やす(第19回までは事業場内最低賃金を50円以上引き上げ) | +150万円 |
インボイス特例だけなら最大100万円、賃金引上げ特例だけなら最大200万円、両方を併用すれば最大250万円まで補助を受けられます。インボイスに対応した事業者への「ごほうび」のような仕組みです。ただし賃金引上げ特例は、目標を達成できないと補助金が受け取れなくなるので、確実に達成できる計画で申請しましょう。
直近の第20回は、2026年11月5日から申請受付が始まり、締切は12月15日の予定です。申請には商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」が必要で、その発行受付は12月4日までと早めに締め切られます。年末は商工会も混み合うので、早めに相談に行くのがおすすめです。
③デジタル化・AI導入補助金:ソフト代の8割、PCも半額補助
3つ目は、デジタル化・AI導入補助金です。これまでIT導入補助金として知られてきた制度が、2026年から名前を新しくしました。
名前は変わっても、中身は使い慣れたIT導入補助金
名前が変わったのは、ITツールの導入にとどまらず、デジタル化をもっと進め、国としてAIの活用を後押ししたいという狙いからです。ただし、AIを使わなければ申請できないわけではありません。中小企業や個人事業主が、自社の課題に合ったITツールを入れる費用の一部を補助してもらえる、という基本的な中身はこれまでと同じです。申請枠も5つの枠が引き続き用意されています。
注意したいのは、2回目以降の申請です。1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上といった賃上げ目標を立てて達成することが求められるなど、条件が厳しくなっています。
いちばんのおすすめは「インボイス対応類型」
小規模事業者にとくにおすすめなのが、インボイス枠のインボイス対応類型です。インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトの導入費用が補助されます。
| 対象 | 補助率 | 補助上限 |
| ソフトウェア(50万円以下の部分) | 3/4以内(小規模事業者は4/5以内) | 1機能で50万円 |
| ソフトウェア(50万円を超える部分) | 2/3以内 | 2機能以上で350万円 |
| パソコン・タブレットなど | 1/2以内 | 10万円 |
| レジ・券売機など | 1/2以内 | 20万円 |
小規模事業者なら、50万円以下の部分は8割を国が負担してくれます。しかも、この枠には賃上げの必須要件がありません。さらに、インボイス対応のソフトとセットで申請すれば、パソコンやタブレットなどのハードウェアも補助の対象になります。持続化補助金ではパソコンが対象外なので、PCの買い替えを考えているならこちらを使うのが近道です。
ただし、パソコンだけを買う申請はできません。また、登録された「IT導入支援事業者」を通して、交付決定を受けた後に購入したものだけが対象です。先に家電量販店で買ってしまうと補助の対象外になるので注意しましょう。
締切は年に数回。予算がなくなれば終わり
2026年の公募はすでに始まっており、締切が年に数回設けられています。直近では6次締切が2026年10月30日(交付決定は12月10日予定)、7次締切が12月1日です。補助金はその年の予算がなくなった時点で公募が打ち切られるので、使うつもりなら早めに動くのがおすすめです。
デジタル化・AI導入補助金のほかの枠や、AIツールの活用例は「デジタル化・AI導入補助金」の要点と申請時の注意点で詳しく解説しています。
組み合わせればいくらもらえる?500万円超えのモデルケース
3つの補助金は対象の経費がそれぞれ違うので、経費を重複させなければ組み合わせて使えます。たとえば、従業員3人の飲食店(インボイス登録済みで、以前は免税事業者)が次のように活用した場合を考えてみます。
| 補助金 | 使い道 | 経費 | 補助額の目安 |
| 省力化補助金 | 配膳ロボット+自動精算機 | 1,000万円 | 500万円(1/2) |
| 持続化補助金(インボイス特例) | 新メニューの開発、チラシ、展示会出展 | 150万円 | 100万円(2/3) |
| デジタル化・AI導入補助金 | インボイス対応の会計・受発注ソフト | 50万円 | 40万円(4/5) |
| 同上(ハードウェア) | ソフトとセットで入れるパソコン | 20万円 | 10万円(1/2、上限10万円) |
| 合計 | 1,220万円 | 650万円 | |
あくまで計算上の目安ですが、実質の自己負担は570万円で、1,220万円分の投資ができることになります。補助金は原則として後払いで、いったん全額を自分で支払う必要があるため、つなぎの資金は融資で手当てするのが一般的です。金利の下げ方は融資の金利は交渉できる|0.5%下げる4つの方法も参考にしてください。
なお、受け取った補助金は原則として課税の対象になります。設備の購入にあてた場合は、圧縮記帳を使えば受け取った年の税負担を先送りできるので、申請と並行して顧問税理士に相談しておきましょう。
さらに大きく狙うなら:あわせて検討したい制度
今回の3つは「小規模事業者が手軽に使える」ことを重視して選びましたが、投資の規模や目的によっては、ほかの制度のほうが有利な場合もあります。
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まとめ
補助金選びは「もらえる金額と手間のバランス」と「お金が手に入るまでのスピード」の2つで考えるのが基本です。その基準で選ぶと、小規模事業者には次の3つがおすすめです。
- 省力化補助金:カタログから選ぶだけ。2026年3月の改定で、従業員5人以下でも上限500万円(賃上げで750万円)。随時受付で2027年3月末頃まで
- 持続化補助金:Web広告から旅費まで幅広く使える。特例の併用で最大250万円。第20回の締切は12月15日
- デジタル化・AI導入補助金:会計ソフトなどの費用を小規模事業者は最大8割補助。ソフトとセットでPCも半額補助
3つを組み合わせれば、個人事業主や小さな会社でも500万円以上の補助を受けることは十分に可能です。どの補助金も予算や受付期間に限りがあるので、条件に当てはまりそうなら、まずは最新の公募要領を確認し、顧問税理士や商工会に相談するところから始めてみてください。
今回の内容は、動画でも税理士がスライドを使いながら詳しく解説しています。各補助金の対象製品や特例の要件もくわしく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。







