相続対策 完全ガイド|生前対策から自社株・不動産まで“争わず残す”全体像
オーナー経営者の相続は、個人資産と自社株の両方を見ないと設計できません。対策が遅れると、残された家族が多額の相続税を現金で払えずに苦しんだり、自社株の分散で経営が揺らいだりします。このガイドは、相続税の全体像から、生前にできる対策、不動産・自社株を使った評価の引き下げ、税務調査への備えまでを体系的に整理します。
相続対策の肝は「早く・順番に」です。生前贈与も不動産対策も、時間をかけるほど効果が大きく、直前では打てる手が限られます。
1. 相続税の全体像をつかむ
まず「いくらから課税されるのか」です。遺産総額が基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えた部分に相続税がかかります。たとえば配偶者と子1人なら基礎控除は4,200万円。これを超えなければ、原則として課税も申告も不要です。
税率は、法定相続分どおりに分けたと仮定した各人の取得金額に、次の速算表を当てはめて計算します(相続税の総額を出してから、実際の取得割合で按分します)。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
※2026年4月時点の速算表(国税庁)。配偶者の税額軽減など別の控除もあるため、実際の税額は税理士にご確認ください。
2. 生前にできる対策(贈与)
相続対策の基本は、生前に計画的に資産を移すことです。暦年贈与の非課税枠や各種特例を使い、時間をかけて少しずつ動かすほど効果が出ます。直前にまとめて贈与しても加算の対象になるなど制約があるため、“早く始める”ことがそのまま節税になります。
3. 不動産・小規模宅地で評価を下げる
現金をそのまま持つより、不動産に換えたほうが相続税評価は下がる傾向があります。さらに自宅の土地などは小規模宅地等の特例で評価を最大80%下げられる場合があり、使えるかどうかで税額が大きく変わります。制度改正で評価の考え方が見直される動きもあるため、最新情報を押さえておきましょう。
4. 自社株・資産管理会社で守る
オーナー経営者の相続の主役は自社株です。業績が良い会社ほど株価(評価額)が高くなり、後継者の税負担が重くなります。生前に評価を下げる手を打ち、資産管理会社で税率差を活かす設計が効きます。承継の具体策は事業承継のガイドともあわせて確認してください。
5. 税務調査に備える
相続税は、申告件数に対して税務調査が入りやすい税目です。名義預金や生前贈与の扱いなど、申告漏れがどう見抜かれるかを知り、根拠をそろえて正しく申告することが、後々のトラブルを防ぎます。近年はAIによる分析も進んでいます。
よくある質問
Q. 相続税はいくらからかかりますか?
遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分にかかります。超えなければ原則として課税も申告も不要です。
Q. 生前贈与はいつから始めるべき?
早いほど有利です。暦年贈与は時間をかけて少しずつ動かすほど効果が出ます。直前のまとめ贈与は加算の対象になるなど制約があるため、思い立ったときが始めどきです。
Q. 自社株の相続はまず何から?
現在の株価(評価額)を把握し、評価を下げる手(利益・資産の調整、持株会、資産管理会社など)を検討します。詳しくは自社株評価の記事と事業承継ガイドを参照してください。
まとめ|早く・順番に、争わず残す
相続税の全体像→生前贈与→不動産・自社株→税務調査、の順で押さえれば、残された家族が困らない“争わない相続”に近づきます。各章の記事で具体策を確認し、時間を味方にして早めに着手してください。







