2026年(令和8年度)税制改正|中小企業の社長に“いくら効く・損する”か【項目別まとめ】


毎年12月に公表される税制改正大綱は、条文が難しく「結局、自社にいくら効くのか・損するのか」が分かりにくいものです。この記事は、令和8年度(2026年度)の税制改正のうち、中小企業の社長・オーナーに影響する項目だけを抜き出し、「得する/損する・注意」の視点で翻訳します。毎年の改正に合わせて更新していく、社長のための“早見ハブ”です。
まず全体像を表で押さえましょう。
| 項目 | 内容 | 社長への影響 | 時期 |
|---|---|---|---|
| 少額減価償却資産の特例 | 即時償却の上限 30万→40万円未満に拡大(限度は年300万のまま) | 得(設備投資の節税枠が広がる) | 令和11年3月末まで |
| 賃上げ促進税制 | 中小向けは現行の要件・控除率を維持(大企業向け全法人措置は廃止) | 中立〜得(中小は継続) | 2026年度 |
| 基礎控除・年収の壁 | 基礎控除が本則62万へ+特例、「年収の壁」は178万へ | 得(手取り増・家族の働き方) | 所得税は令和8年分〜 |
| iDeCoの退職所得控除 | 退職金とiDeCoの重複調整が「5年→10年ルール」に | 注意(出口設計の見直し) | 2026年1月〜 |
| ミニマムタックス | 超富裕層・大型株式譲渡益への追加課税(強化議論あり) | watch(該当は一部) | 2025年分〜適用中 |
【得】少額減価償却資産の特例が40万円に拡大
中小企業が30万円未満の資産を買うとその年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」。この上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限も令和11年3月末まで延長されました。パソコン・備品・一部の車両など、40万円手前の設備投資がその年の損金にしやすくなります。年間の限度額300万円は従来どおりです。
一点だけ注意。対象となる中小企業の要件が「従業員500人以下」から「400人以下」に縮小されます。該当しそうな規模の会社は確認しておきましょう。即時償却の具体策は初年度全額経費「即時償却」投資3選も参考に。
【中立〜得】賃上げ促進税制は中小なら継続
賃上げに応じて税額控除を受けられる賃上げ促進税制は、大企業向けの全法人措置が令和8年3月末で廃止される一方、中小企業向けは令和8年度は現行の要件・控除率が維持されます。従業員の給与を上げている中小企業は、引き続き活用できます。
【得】基礎控除・給与所得控除の引上げと「178万円の壁」
所得税の基礎控除は本則が62万円に引き上げられ(合計所得2,350万円以下)、令和8・9年は特例が上乗せされます。給与所得控除の最低保障も65万→69万円に。これにより、いわゆる「年収103万円の壁」は178万円まで広がりました(令和8年度)。社長個人の手取りが増えるほか、配偶者や家族を役員・従業員にしている場合の“働き方・報酬の設計”にも効いてきます。役員報酬の決め方は役員報酬の最適額とはを参照してください。
※住民税の基礎控除は43万円のまま(所得税とは別)。所得税は令和8年分から適用、源泉徴収への反映は令和9年1月から。
【注意】iDeCoの「10年ルール」で退職金の出口設計を見直す
ここは“損しかねない”改正です。退職金とiDeCoを両方一時金で受け取ると、退職所得控除の枠が重複しないよう調整されます。その重複を避けるために空けるべき期間が、2026年1月以降に受け取る分から「5年」→「10年」に延長されました。
たとえば「60歳でiDeCoを一時金、65歳で退職金」という従来型の受け取り方では、10年ルールのもとでは控除が重複し、控除を満額使うには受け取りを10年以上ずらす必要が出てきます。退職金・iDeCo・小規模企業共済を複数持つ社長ほど、受け取り順と時期の再設計が重要です。詳しくは退職金とiDeCoの出口戦略|10年・20年ルールで手取りを最大化で解説しています。
【watch】ミニマムタックス(超富裕層向け・強化議論)
「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化(通称ミニマムタックス)」は2025年分から適用中で、基準所得金額から特別控除を引いた額に追加課税する仕組みです。対象は合計所得が極めて大きい層が中心ですが、M&Aでの会社売却など大型の株式譲渡益が出た年は中小オーナーでも対象になりうる点に注意。今後さらに強化する方向の議論もあります(具体的な控除額・税率の引下げ・引上げは確定情報で要確認)。背景は新NISAの裏で進む金融所得課税の強化と防衛策にまとめています。
まとめ|“いくら効くか”で優先順位を
令和8年度改正は、中小の社長にとって設備投資(40万円枠)・賃上げ・基礎控除/年収の壁は追い風、一方でiDeCo・退職金の出口は要見直し、というのが要点です。自社にいくら効くかを項目ごとに確認し、設備投資や報酬・退職金の設計に反映してください。個別の判断は税理士法人グランサーズの無料相談でも相談できます。
※本記事は2026年10月時点の令和8年度税制改正大綱・解説に基づきます。最新・正確な内容は国税庁・財務省・経済産業省の公表資料でご確認ください。制度改正に合わせて随時更新します。







