従業員ゼロでも最大750万円を受給可能――2026年に活用すべき主要補助金5選

物価上昇が続くなか、中小企業にとって賃上げや設備投資への対応は避けられない課題となっています。

しかし、限られた資金のなかでこれらを同時に進めるのは容易ではありません。

そこで注目したいのが、国が用意している各種補助金制度です。

2026年度も、中小企業の成長を後押しする補助金が複数用意されており、なかには従業員がいない一人社長の会社でも最大750万円を受け取れるものもあります。

補助金は「知らなかった」「気づいたときには締切が過ぎていた」という理由で活用できないケースが非常に多い制度です。

募集が本格化する前の今こそ、どのような補助金があるのかを把握し、自社に合った制度を見極めておくことが重要です。

本記事では、2026年に中小企業が活用すべき最新の補助金を5つ厳選して紹介するとともに、申請に必要な事前準備についても解説します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

2026年の補助金トレンド――国が支援したい企業の共通点

具体的な補助金の紹介に入る前に、2026年の補助金全体のトレンドを押さえておきましょう。

2026年度の補助金政策において、国が特に支援を強化しているのは「本気で賃上げに取り組む企業」と「省力化によって生産性を高める企業」です。

多くの補助金で、賃上げ計画の策定が要件に含まれていたり、賃上げに取り組む企業に対して補助率や上限額が引き上げられる仕組みが設けられていたりします。

また、これまで使い勝手が良かった定番の補助金もアップデートされて継続される見込みであり、新設の制度と合わせて活用の幅は広がっています。

こうしたトレンドを踏まえたうえで、以下の5つの補助金を順に見ていきます。

ものづくり補助金――従業員ゼロでも最大750万円を受給可能

制度の概要と2026年の変更点

「ものづくり補助金」は、中小企業の設備投資を支援する代表的な補助金として、長年にわたり多くの企業に活用されてきた制度です。

2026年1月締切の第22次公募の要領を見る限り、直近の公募については2025年の制度設計が大枠そのまま踏襲されています。

従来あった「省力化枠」は整理され、現在は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つが中心となっています。

一人社長でも申請可能な「製品・サービス高付加価値化枠」

特に注目したいのが「製品・サービス高付加価値化枠」です。

この枠であれば、従業員5人以下の会社はもちろん、一人社長の会社であっても最大750万円まで補助金を受け取ることが可能です。

補助率は中小企業の場合2分の1ですが、賃金の引き上げに取り組むなど所定の要件を満たした場合には、補助率が3分の2に引き上げられます。

さらに、補助金の上限額も従業員数に応じて100万円から1,000万円の範囲で引き上げられる仕組みとなっています。

また、2024年までは「収益納付」といって、補助金を活用して利益が出た場合にその一部を国に返還するルールがありましたが、2025年からは原則としてこの仕組みが撤廃されています。

設備投資を検討している企業にとっては、より使いやすい制度になったといえるでしょう。

2026年夏以降の統合と新制度

さらに注目すべき点として、2026年の夏頃に「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合され、新しい補助金として生まれ変わる見込みがあります。

新事業進出補助金では、賃上げ要件などを満たせば最大9,000万円という超大型の補助も狙えるため、本格的な設備投資や新事業を計画している企業にとっては大きなチャンスとなります。

まずは次回の第23次公募の内容をしっかり押さえたうえで、自社がどこまで狙えるのかを見極めることが重要です。

デジタル化・AI導入補助金――AIソフトとPC代をセットで補助

IT導入補助金からのリニューアル

これまで「IT導入補助金」として親しまれてきた制度が、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」と名称を変え、AIを前面に押し出した形にリニューアルされます。

従来の会計ソフトや受発注システムの導入も引き続き対象ですが、審査において有利になるのは「AI活用」に関する取り組みです。

中小企業におけるAI活用の具体例

AIの活用といっても、中小企業にとって現実的な導入事例は多岐にわたります。

たとえば、カスタマーサポートに自動応答のAIチャットボットを導入し、問い合わせ対応の工数を削減するという活用法があります。

また、契約書チェックや取引条件の確認をAIで一次チェックさせ、最終判断は専門家が行うという使い方も増えています。

これにより、法務リスクを低減しつつ管理部門の生産性を向上させることが可能になります。

人員を削減するためのAIではなく、ミスやリスクを減らすためのAIという位置づけで捉えると、導入のイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

PCやタブレットの補助も継続

PCやタブレット、プリンター、POSレジなどが補助対象となる「インボイス枠」や「複数社連携IT導入枠」も継続が決まっています。

PCなら最大10万円、タブレットなら最大5万円まで補助が出ます。

補助率は2分の1なので、たとえば20万円のPCを購入した場合、10万円が補助されるイメージです。

ただし、注意すべき点があります。

この補助金はあくまでソフトウェアの導入がメインの制度です。

インボイス枠であれば、インボイス対応の会計ソフトなどとセットで申請する必要があり、PC単体では申請できません。

さらに、登録された支援事業者を通じて購入する必要があるため、量販店で独自に購入しても補助の対象外となります。

小規模事業者持続化補助金――チラシや店舗改装に使える最大250万円

幅広い経費が対象となる販路開拓支援

「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者が販路開拓を行うための費用を補助してくれる制度です。

チラシ作成、Web広告、ホームページ制作、展示会の出展費用、店舗の改装費など、幅広い経費が対象となるため、業種を問わず使い勝手の良い補助金といえます。

枠の選択と上限額の引き上げ

2025年度時点では複数の枠が用意されており、一般型の通常枠の上限は50万円です。

しかし、インボイス特例を活用すると50万円が上乗せされ、最大100万円まで引き上げられます。

さらに、事業所内の最低賃金を50円以上引き上げる計画がある場合には「賃金引上げ枠」として申請が可能で、この枠では上限が200万円に設定されています。

インボイス特例と併用すれば最大250万円の補助が受けられ、補助率も3分の2と高水準です。

以下の表に、枠ごとの補助上限額と補助率を整理しました。

枠・特例 補助上限額 補助率
通常枠 50万円 2/3
通常枠+インボイス特例 100万円 2/3
賃金引上げ枠 200万円 2/3
賃金引上げ枠+インボイス特例 250万円 2/3

国として賃上げの推進を強く意識した制度設計になっていることがわかります。

ただし、対象が幅広いとはいえ、デジタル化・AI導入補助金のようにPCやタブレットといった汎用性の高いハードウェアは対象外である点には注意が必要です。

中小企業成長加速化補助金――売上10億円超の企業が狙う最大5億円

売上100億円を「目指す」企業が対象

「中小企業成長加速化補助金」は2025年に新設された補助金制度です。

売上高100億円を目指す中小企業で、かつ賃上げへの貢献や輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい企業を対象としています。

「売上高100億円」と聞くとハードルが極めて高く感じますが、あくまで「目指す企業」が対象であり、実際には売上高が10億円以上であれば申請の対象に含まれます。

高いハードルと大きなリターン

ただし、要件のハードルは決して低くありません。

投資額が1億円以上であること、今後5年間で年平均4.5%以上の賃上げ計画を策定することなどが必須条件となっています。

その一方で、補助上限額は最大5億円と非常に大きく設定されています。

建物や機械装置だけでなくシステム開発費なども対象となるため、工場新設や大規模なDX投資には最適な制度です。

売上高10億円を超えていて、地域No.1を目指して本格的な投資に踏み出す企業であれば、検討する価値は十分にあります。

中小企業省力化投資補助金――人手不足をロボットで解決するカタログ型

制度の概要と対象製品

「中小企業省力化投資補助金」は2024年から始まった制度で、2026年度までの実施が確定しています。

人手不足や生産性の低さに課題を抱える中小企業・小規模事業者が、IoTやロボットなどの省力化製品を導入する際に活用できる補助金です。

清掃ロボットや配膳ロボット、自動券売機などが対象となっており、特に飲食業、宿泊業、小売業などで導入が進んでいます。

カタログ注文型なら随時申請が可能

この補助金には「一般型」と「カタログ注文型」の2つの類型がありますが、申請のしやすさを考えるとカタログ注文型がおすすめです。

カタログ注文型は特定の締め切りを設けず、予算が続く限り申請を受け付ける「随時締め切り」方式を採用しています。

他の補助金では公募期間が限られているのが一般的ですが、この制度であればタイミングを逃すリスクが低いのが大きな強みです。

申請要件と補助額

申請にあたっては、自社が人手不足であることを示す必要があります。

たとえば、残業時間が月30時間を超えている、採用活動をしても人が集まらないといったケースが該当します。

ただし、こうした明確な状況を満たしていなくても、省力化を推進する必要性を事業計画で説明できれば補助対象となる場合があります。

その他の主な要件としては、従業員の賃金が最低賃金額を超えていること、労働生産性を年平均3%以上向上させる事業計画を策定することなどがあります。

補助率は最大で2分の1で、補助上限額は従業員数によって変動します。

従業員が21名以上の事業者であれば上限1,000万円、5名以下であっても上限200万円が設定されています。

さらに、事業所内の最低賃金を45円以上引き上げ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる計画を策定した場合、補助上限額がさらに引き上げられます。

従業員21名以上であれば最大1,500万円、5名以下の場合でも最大300万円の補助を受けることが可能です。

なお、注意点として、過去にものづくり補助金や事業再構築補助金といった他の大型補助金を受け取っていた場合、減点措置などの申請制限がかかる可能性があるため、事前に確認しておく必要があります。

補助金申請に不可欠な事前準備――GビズIDプライムアカウントの取得

ここまで5つの補助金を紹介してきましたが、これらすべての補助金に申請するために、絶対にやっておかなければならないことがあります。

それが「GビズIDプライムアカウント」の取得です。

現在の補助金申請は原則としてすべて電子申請で行われます。

このIDがなければ申請画面にログインすることすらできず、そもそも申請手続きに入ることができません。

「申請するときに取得すればいい」と考える方も多いかもしれませんが、GビズIDの発行には審査があり、公募時期などの混み合うタイミングでは発行まで2週間から3週間かかることもあります。

せっかく補助金の対象になる事業を行っていても、IDの取得が間に合わずに申請できなかったという事態は絶対に避けるべきです。

まだGビズIDプライムアカウントを取得していない方は、今すぐにでも申請手続きを進めることを強くおすすめします。

まとめ

2026年度も、中小企業にとって活用すべき補助金制度は数多く用意されています。

本記事で紹介した5つの補助金は、それぞれ対象となる企業規模や事業内容が異なりますが、共通しているのは「賃上げ」と「生産性向上」に取り組む企業を国が積極的に支援しているという点です。

改めて、5つの補助金のポイントを振り返ると、ものづくり補助金は一人社長でも最大750万円が受給可能であり、2026年夏以降は新事業進出補助金との統合も予定されています。

デジタル化・AI導入補助金はAI活用が審査上有利となり、PCやタブレットの補助もソフトウェアとセットで継続されます。

小規模事業者持続化補助金はチラシや店舗改装など幅広い経費に対応し、賃上げ枠とインボイス特例の併用で最大250万円まで引き上げが可能です。

中小企業成長加速化補助金は売上10億円以上の企業向けに最大5億円と大型であり、中小企業省力化投資補助金は随時申請が可能で人手不足に悩む企業にとって使いやすい制度設計となっています。

そして、いずれの補助金に申請する場合でも、GビズIDプライムアカウントの事前取得は必須です。

各補助金の公募タイミングはそれぞれ異なるため、常に最新情報をチェックし、申請の機会を逃さないようにしましょう。

本記事で取り上げた各補助金の詳細や具体的な申請のポイントについては、税理士がわかりやすく解説している動画でも確認できます。

より具体的なイメージをつかみたい方は、ぜひそちらもあわせてご覧ください。

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