中小企業の黒字決算対策:税負担を軽減する「駆け込み節税」14の手法

「そろそろ決算が近いが、予想以上に利益が出そう。税金がどれくらいになるか不安だ」このように、黒字が見えてから慌てて対策を探し始める経営者は少なくありません。しかし、決算間際になってから焦って無駄な経費を使い、会社のキャッシュ(現金)を減らしてしまうのは最も危険な行為です。

実は、決算直前であっても会社のキャッシュフローを大きく悪化させることなく、税金を数百万円単位で減らすことができる合法的な「駆け込み節税」の裏ワザが存在します。この記事では、利益が出た経営者が絶対に押さえておくべき14個の節税テクニックを、設備の購入から日常経費の見直し、さらには本気の大型節税まで、4つのカテゴリーに分けて一気に解説します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1.今すぐできる「設備・モノ」を使った節税策

30万円未満の資産を一括経費にする特例

通常、パソコンやオフィス家具など取得価額が10万円を超える備品は「固定資産」となり、購入した年に全額を経費にすることはできません。法定耐用年数に応じて数年に分けて減価償却を行うため、決算月に駆け込みで購入しても当期の経費はごくわずかです。

しかし、資本金1億円以下の中小企業(青色申告)であれば「少額減価償却資産の特例」が使えます。これは、取得価額30万円未満の固定資産を、年間合計300万円を上限に、購入した事業年度で一括して全額経費(損金算入)できる非常に強力な制度です。

さらに、近年の物価高の影響を考慮し、税制改正大綱によりこの「30万円未満」という基準が「40万円未満」に引き上げられる方針が示されています。パソコンのスペックを上げたり、少し高額なオフィス機器を導入したりする際にも使いやすくなるため、決算前の設備投資として真っ先に検討すべき手法です。

償却資産税を回避する「一括償却資産」

少額減価償却資産の特例と併せて覚えておきたいのが、取得価額10万円以上20万円未満の資産に使える「一括償却資産」の制度です。

「特例を使えば全額経費にできるのだから、わざわざ別の制度を使う意味があるのか」と思うかもしれません。一括償却資産を選択すると、購入費用を3年間で均等に償却することになり、当期の経費は3分の1に減ってしまいます。

しかし、この制度の最大のメリットは「償却資産税(固定資産税の一種)の対象外になる」という点にあります。目先の法人税を極限まで減らしたいなら少額減価償却資産の特例を選び、翌年以降の償却資産税というランニングコストをカットしたいなら一括償却資産を選ぶというように、会社の状況に合わせて戦略的に使い分けることが重要です。

修繕費の計上と「資本的支出」の落とし穴

保有している自社ビルや機械設備などの修理・メンテナンスを予定している場合、その工事を決算期末までに前倒しして完了させることで、かかった費用を「修繕費」として当期の経費に全額計上できます。

ただし、ここで注意しなければならないのが「資本的支出」との境界線です。壁紙の張り替えや壊れた窓ガラスの修理など、単なる「原状回復」であれば修繕費として認められます。しかし、避難階段を新設したり、用途変更のために大規模な改装を行ったりして「資産の価値が向上した」あるいは「使用可能期間が延びた」とみなされた場合は資本的支出となり、固定資産として減価償却しなければなりません。

これでは駆け込み節税の意味がなくなってしまうため、工事業者に依頼する段階で見積もりの内訳を細かく出してもらい、修繕費として認められる範囲に収まるか慎重に検討しましょう。

不要な固定資産の処分・売却による「除却損」

社内に使わずに眠っている機械や備品があるなら、決算前に思い切って処分するのも立派な節税対策です。

すでに事業で使っていない固定資産を廃棄処分すれば、その資産の帳簿に残っている価値(残存簿価)を「固定資産除却損」として全額経費に計上できます。特に購入して間もなく使わなくなった資産は残存簿価が高いため、大きな損金を作ることができます。また、廃棄せずに中古品として売却した場合でも、売却価格が帳簿価額を下回っていれば、その差額を「固定資産売却損」として計上可能です。

ただし、税務調査に備えて「本当に廃棄した」という客観的な証拠が必要です。帳簿上で消すだけでは認められませんので、廃棄業者からの廃棄証明書や、処分した資産の写真を必ず残しておいてください。

2.支払うタイミングを調整する「期ズレ」節税

家賃やサブスクの年払いで経費を最大化

現金の動きと経費計上のタイミングを工夫するだけで、今期の経費を大きく増やすことができます。その代表例が「短期前払費用の特例」の活用です。

オフィスの家賃やリース料、サブスクリプション型のシステム利用料など、継続的にサービスを受けるための費用について、決算月までに「向こう1年分」を年払い(一括払い)することで、支払った全額をその事業年度の経費として計上できます。例えば、月額30万円の家賃を支払っている場合、決算月に翌期1年分の360万円を一括で支払えば、その360万円が今期の経費に上乗せされます。

ただし、この特例は「継続適用」が条件となるため、一度年払いにしたら翌期以降も毎年年払いを続けなければなりません。実質的に節税効果(経費の前倒し効果)を得られるのは初年度のみとなる点には注意が必要です。

締め日以降の給与・社会保険料の「未払金」計上

まだ実際にお金を支払っていなくても、当期に発生した費用であれば「未払金(または未払費用)」として前倒しで経費計上できるものがあります。

代表的なものが、従業員の給与です。例えば「毎月20日締め・当月末払い」の場合、21日から決算日(月末)までの日数分の給与は、まだ支払っていなくても当期の経費として計上できます。また、会社と従業員で労使折半している社会保険料や労働保険料、車のリース代などで「当月発生分を翌月に支払う」契約になっているものについても、決算月の分を未払金として計上することで、無駄なく経費を増やすことが可能です。

従業員が喜ぶ「決算賞与」の未払計上

利益が出た際に、それを従業員に還元しながら節税もできるのが「決算賞与」の支給です。本来、賞与は支給したタイミングで経費になりますが、決算間際で資金繰りの都合ですぐに支払えない場合でも、以下の条件を満たせば「未払金」として当期の経費にすることが認められています。

(1)決算期末までに、従業員全員に対してそれぞれの支給額を通知していること。(2)決算日の翌日から1ヶ月以内に、全額を実際に支払うこと。

ここで最も重要なのは「通知したという証拠」を残すことです。口頭で伝えただけでは税務調査で否認される可能性が高いため、必ず賞与通知書を交付して受領サインをもらうか、メールで送信して返信を保管するなど、客観的な証拠を残してください。なお、役員に対する賞与(役員賞与)にはこの方法は使えません。

広告宣伝費や採用費の前倒し実施

来期に予定していた広告宣伝や人材採用の計画があるなら、それを当期に前倒しで実施することで経費を増やすことができます。

例えば、パンフレットやWebサイトのクリエイティブ制作、求人広告の出稿などを決算までに完了させれば、その費用は当期の経費となります。ここで注意すべきは「経費として認められるタイミング」です。広告宣伝費や採用費は、お金を支払った時ではなく「実際に広告が掲載・配信された時」に初めて経費として計上できます。

決算前の駆け込みで行う場合は、申し込みから配信開始までのリードタイムが短いインターネット広告などを選ぶのが現実的です。

3.日常経費の見直しによる節税

交際費と会議費の「1人1万円ルール」を徹底する

日々の経費を正しく分類し直すだけでも、法人税を減らせる可能性があります。

中小企業の場合、取引先との接待飲食代などを「交際費」として経費(損金)にできるのは、年間800万円までという上限が定められています。もし今期の交際費が800万円の枠を超えそうであれば、一部を別の勘定科目に振り替えられないか見直してみましょう。

ここで活用できるのが「会議費」のルールです。令和6年(2024年)4月1日以降、取引先との飲食費のうち、参加者1人あたりの金額が「1万円以下」であれば、交際費ではなく「会議費」として全額を経費にすることが認められるようになりました(以前は5,000円以下でした)。1万円以下の飲食費をすべて会議費に振り替えることで、交際費の枠を温存し、より多くの費用を損金に算入できるチャンスが広がります。ただし、レシートや領収書に「参加者の氏名と人数」を必ず記載しておくことが条件となります。

社員旅行や忘年会を利用した「福利厚生費」

全従業員を対象とした社員旅行や、忘年会・新年会、社内レクリエーションなどを決算前に企画・実施すれば、その費用を「福利厚生費」として経費に落とすことができます。

社員のモチベーションを上げつつ利益を圧縮できる一石二鳥の対策ですが、税務調査で否認されないためにはいくつかの要件をクリアしなければなりません。最も重要なのは「全従業員を対象としており、平等に参加の機会があること」です。役員だけで行った豪華な旅行や、一部の特定の部署だけを対象とした飲み会などは福利厚生費として認められず、参加した個人の給与(役員賞与)として扱われ、個人の所得税が跳ね上がるリスクがあります。

社会通念上妥当な金額の範囲内で、社内規程に則って実施するようにしてください。

4.金額が大きい!本気の駆け込み節税策

不良在庫の「廃棄損」計上と在庫処分セール

倉庫に長年眠っている「売れない不良在庫」がある場合、それを決算前に思い切って処分することで、大きな節税効果を生み出せます。

在庫(棚卸資産)は、仕入れた時点では経費にならず、商品が売れて初めて「売上原価」として経費になります。つまり、売れない在庫を抱えているだけで、帳簿上の利益が押し上げられ、無駄な税金を払う原因になっているのです。この不良在庫を廃棄業者に依頼して処分すれば、その仕入原価相当額を「廃棄損」として損金計上できます。

もし廃棄するのがもったいないのであれば、「決算在庫処分セール」と銘打って、原価を下回る価格で大きく値引きして販売しましょう。売上が立つことで手元にキャッシュが入る上に、原価との差額分を「売却損」として経費にできるため、資金繰り改善と節税の両面でプラスに働きます。

経営セーフティ共済の「年払い」活用

中小企業経営者におなじみの「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」も、決算対策の王道です。

取引先が倒産した際に無担保・無保証人で借入ができるこの制度は、毎月の掛金(5,000円〜20万円)の全額を経費(損金)にできるという絶大なメリットがあります。さらに、決算月に「向こう1年分の掛金」を年払い(一括払い)することで、当期の経費を最大化できます。掛金の上限は年間240万円ですので、すでに加入している分と合わせれば、決算月に最大460万円もの経費を合法的に作り出すことが可能です。

ただし、2024年10月の制度改正により「解約後2年間は、再加入しても掛金を経費にできない」という厳しいルールが設けられました。以前のような短期での解約・再加入のループは通用しなくなっているため、出口戦略(退職金支給など)を慎重に見据えた上で活用する必要があります。

巨額の利益を圧縮する「オペレーティングリース」

突発的に数千万円、数億円という桁違いの利益が出てしまった場合に有効なのが「オペレーティングリース」への投資です。

これは、航空機や船舶、輸送用コンテナなどの大型減価償却資産を購入する匿名組合に出資し、その資産を航空会社などに貸し付けて賃貸料を得るという投資スキームです。減価償却の仕組みを最大限に活用することで、出資した初年度に、出資額の約70%〜80%もの金額を一気に損金算入(経費化)できるのが特徴です。1口数千万円からという高額な出資が必要になりますが、突発的な利益を翌期以降に繰り延べる(先送りする)効果は絶大です。

数年後のリース期間終了時には、資産の売却益がドカンと入ってきて会社の利益となるため、このタイミングに合わせて役員退職金の支給や大規模な設備投資など、資金の出口(経費)を確実に用意しておくことが絶対条件となります。

回収不能債権の「貸倒損失」と「貸倒引当金」

取引先の倒産や経営悪化により、売掛金や貸付金などの金銭債権がどうしても回収できなくなった場合、その金額を「貸倒損失」として経費に計上できます。決算前に債権の回収状況を見直し、法的な手続きや内容証明郵便による督促などを経て、回収不能であることが客観的に証明できれば損金算入が可能です。

また、将来的に取引先が倒産して貸し倒れになるリスクを見込んで、決算時にあらかじめ一定額を「貸倒引当金」として計上し、経費にすることもできます。ただし、意図的な利益調整を防ぐため、貸倒引当金を損金算入できるのは資本金1億円以下の中小法人や、銀行などの特定の法人に限られています。自社が対象となるか、税理士に確認した上で適切に処理しましょう。

まとめ

決算直前の短い期間であっても、経営者が打てる節税の打ち手は数多く存在します。

  • 少額減価償却資産の特例や不用品の廃棄で「モノ」の経費を作る。
  • 短期前払費用や未払金、決算賞与などを活用し、「支払いのタイミング」を調整する。
  • 交際費の1万円ルールや福利厚生費を活用し、日常の経費を適正に振り分ける。
  • 不良在庫の処分や経営セーフティ共済など、金額の大きな対策で利益を大きく圧縮する。

節税の基本は「会社のお金を無駄に減らさず、将来の成長のための投資に回すこと」です。不要なものを無理に買うのではなく、自社のキャッシュフローと将来の事業計画に照らし合わせて、最も効果的な手法を選択してください。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的な事例や、税務調査で指摘されないための証拠の残し方などについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

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