太陽光発電投資による計画納税のしくみと押さえておきたいリスク

計画納税の方法の1つに太陽光発電投資があります。

しかし、なぜ節税につながるのか、そのしくみがよくわからないと言う方もいらっしゃると思います。

また、リスクがあるのではないかと考えて、なかなか手を出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は、太陽光発電投資が計画納税がつながる基本的なしくみについて説明します。

また、押さえておきたいリスクと、最終的な出口をどうするのかについてもお伝えします。

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入倉 彰啓

入倉 彰啓

AFP・2級FP技能士。生命保険業界、IFA(ファイナンシャルアドバイザー)業界において、資産形成世代からシニア世代まで多くのお客様のライフプランニングに携わる。趣味は音楽鑑賞とギター演奏。J-POPから洋楽までジャンルを問わず嗜みます。

1.太陽光発電投資での節税

1.1.福島復興再生特別措置法とは

まず、太陽光発電投資が計画納税になるしくみについてお伝えします。

よく「太陽光発電で節税できなくなった」と言われます。

たしかに、太陽光発電投資の優遇税制で100%即時償却を認めていた「グリーン投資減税」は2018年をもって終了しました。

しかし、現在でも、投資用の太陽光発電設備、一定の条件の下で即時償却が認められている特例があります。

それは、「福島復興再生特別措置法」に基づく認定を受けた場合です。

福島復興再生特別法による優遇税制は、東日本大震災で特に被災被害が大きかった福島第一原子力発電所に近接した地域に特化したものです。

福島第一原発に隣接した地域で、新規設備投資を行うと税制優遇を受けられるといったものです。

以下、その税制優遇の内容について、説明します。

1.2.即時償却と税額控除

機械、装置や器具の新規投資の際の税制優遇として、「即時償却」または「15%の税額控除」のいずれかを選ぶことになります。

即時償却を選択しても、初期投資額全額が対象というではなく、土地の利用料や諸費用を差し引いた設備費として、投資額の90%程度が即時償却の対象となります。

つまり、初期投資額2,500 万円の場合、初年度に約2,250万円の損金を作れるということです。

法人実効税率30%で計算すると、約675万円の税負担が軽減される計算になります。

一方、税額控除を選ぶと、通常の減価償却に加え、初年度に税額控除(15%)を受けられます。

1.3.どちらを選ぶべきか

それでは、即時償却と税額控除のどちらを選ぶのが良いのでしょうか。

以下のように考えることをおすすめします。

【即時償却を選ぶのが良いケース】

  • 突発的に例年より大きな利益が出た
  • 業績の先行きに少しでも不安がある

【税額控除を選ぶのが良いケース】

  • 今後も安定した利益が確実に見込まれる

まず、前提として、トータルの税負担の軽減額を計算すると、税額控除の方が有利です。

なぜなら、税額控除は、通常の減価償却に加えてさらに税金から購入代金の15%が控除してもらえるのに対し、即時償却はあくまで減価償却費の早期計上に過ぎないからです。

しかし、即時償却は、一気に償却を済ませることにより、当座のキャッシュを確保できるというメリットがあります。

また、今は業績が良くても、将来にわたって安定して利益を出し続けられるとは限りません。不測の事態が起きて業績が急激に悪化することもあり得ます。

税額控除を選択した場合、減価償却を長年にわたって続けることができる保障はないのです。

以上のことからすれば、即時償却をおすすめするのは、突発的に例年より大きな利益が出た場合や、業績の先行きに少しでも不安があるケースです。

これに対し、税額控除をおすすめするのは、利益が安定していて、今後も安定した利益が確実に見込まれるケースです。

1.4.要件と手続

「福島復興再生特別措置法」で即時償却が認められる要件は以下の3つです。

  1. 避難指示が解除された場所で、解除から7年以内に事業を開始すること
  2. 地域復興のために新規事業を計画し、設備投資すること
  3. 福島県知事の認定を受けること

福島復興再生特別措置法で、即時償却が認められる要件・手続要件の詳細については『太陽光発電投資で即時償却が認められる条件と手順・注意点』をご覧ください。

2.太陽光発電投資のリスクと留意点

税制優遇を享受できるものの、投資自体にリスクや落とし穴があるのではないかと思い、躊躇する方もいらっしゃると思います。

そこで、太陽光発電投資のリスクと留意点について、以下の2つに分けて説明します。

  1. 税務否認のリスク
  2. 投下資本を回収できないリスク

2.1.税務否認リスクはない

まず、税務否認のリスクはありません。

なぜなら、先述の通り、太陽光発電投資で適用される優遇税制は「福島復興再生特別措置法」で認められているからです。

福島県知事に計画の承認を受け、それに従って機械・設備を購入し、事業を行いさえすれば、税制優遇措置を受けることができます。

2.2.投下資本を回収できないリスク

次に、投下資本を回収できないリスクです。

太陽光発電投資によって税負担を抑えることができたとしても、投資元本を回収できなければ、結果として損をしてしまうことになります。

そこで、収益性に問題はないのか、注意すべき点があるのか、疑問があると思います。

以下、3つのポイントを説明します。

2.2.1.シミュレーションの信用性

第一に、太陽光発電業者によるシミュレーションの信用性です。

シミュレーションについては、納得できるまで説明してもらうようにしてください。

シミュレーションでは、一般的に、日照時間や過去の気象データ、設備の性能などから、発電量を想定し収益や利回りを算定しています。

もし好条件で固めたシミュレーションであれば、実際のパフォーマンスとの乖離が生じることになります。

シミュレーション内容の根拠に乏しいと感じた場合は、納得できる説明を求めてください。

2.2.2.電力を確実に買い取ってもらえるか(FIT制度)

第二に、電力会社がFIT(固定価格買取制度)認定されているかを確認してください。

FITとは、再生可能エネルギーによって発電された電気を、地域の電力会社が20年間(事業用の場合)、市場価格より高い、一定の価格で買い取ることを義務付けている制度です。

市場価格より高い理由は、この制度により、太陽光発電設備の設置にメリットを持たせ、国内の再生可能エネルギーを普及させる点にあります。

確実な買取のために、電力会社がFIT認定されていることを確認してください。

2.2.3.定期メンテナンスの有無とやり方

第三に、定期メンテナンスの有無とやり方です。

定期メンテナンスが必要な理由は以下の2点です。

1)発電効率低下を防ぐため

太陽光モジュールの発電効率は、経年劣化により低下していきます。

地域や天候にもよりますが、メンテナンスをしなかった場合、10年程度で5%以上も低下する場合もあります。

もし、固定価格買取期間の経過後も経済的メリットを享受したいのであれば、メンテナンスでの発電効率の維持が不可欠です。

また、影を作る雑草も発電効率の低下の要因になります。

業者がどの程度の頻度でメンテナンスを行うか、どのように行うかを確認してください。

2)安全性を保つため

設備の劣化が進んだ状態で災害が起きれば、その分、事故のリスクも大きくなります。

たとえば、ボルトが緩んだ状態で台風や暴風雨に遭ったら、飛ばされて他に被害を及ぼすリスクが考えられます。

また、ホットスポット発火による火災リスクも考えられます。

ホットスポットとは、太陽光パネル表面に付着した汚れ(鳥のフンや落ち葉)により影になった部分が、局所的に高温になる部分を言います。

ホットスポットがパネル内の電流の滞留を引き起こすことで、熱を帯び、発火や火災につながるといった事例があります。

そのような危険性を防ぐためにも、契約がメンテナンスパック付きのものになっているか、またメンテナンスの内容が十分なものかを確認するようにしましょう。

3.出口をどうすれば良いか

最後に、出口・後始末をどうすれば良いかです。

特に、20年のFIT(固定価格買取制度)期間が終了した後に太陽光設備をどのように扱えば良いのかということです。

2つの方法が考えられます。

  • 継続して同じ会社に売電する
  • 他の売電先を探す

FITの適用期間の終了は、「市場価格よりも高い」また「一定価格」での電力の買取が終了することを意味します。

すなわち、それまでの売電収入が減少する可能性が高いことを意味します。

そうなれば、税制優遇を享受できたものの、投資元本の回収ができない、といったケースも考えられます。

3.3.1.継続して同じ会社に売電する

1つ目は、FIT適用期間中と同じ電気事業者に電気を買い取ってもらう方法です。

同じ電力会社との契約なので、手間が少ないことがメリットと言えます。

一方で、買取価格や制度については未定であるため、売電収入の観点ではリスクがあります。

3.3.2.他の売電先を探す

2つ目は、FIT適用期間中とは別の電気事業者を探し、電気を買い取ってもらう方法です。

契約切り替えの手続は必要になりますが、新電力と呼ばれる電気事業者の中には、大手電力会社に比べて高い価格で余剰電力を買い取ってくれる会社もあります。

まとめ

福島復興再生特別法に基づいた太陽光発電投資の税制優遇は、一定の条件を満たすことで適用を受けられます。

ただし、税制メリットがある一方で、付随するリスクについても知っておく必要があります。

リスクを把握した上で、安心して任せられる業者の選定による収益確保の確実性を高めることが大切です。

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