法人口座の選び方、実は超重要です

法人を立ち上げたあとに、行っておきたいことの一つに、「法人口座の開設」があります。

ただ、金融機関によって手数料やサービス内容などが異なり、どこで作ったらいいか悩まれると思います。

そこで今回は、主に起業したての中小企業・スタートアップなどがビジネス用に銀行口座を開設する場合に、どの銀行がおすすめかを解説します。必ず最後までご覧ください。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

法人口座開設のメリット

法人口座は、法人名義で開設できる銀行口座です。法人を立ち上げたら必ず作らなければならないわけではありませんが、個人口座だと法人との取引や融資などの場面で損をする可能性があります。

法人口座を作ることで、経理業務が明確化され、信用を得やすくなり融資にもプラスになります。また、法人名義のビジネスカードを利用できるなどのメリットもあります。

結論から言うと、

  • ネット銀行
  • 地域密着型の金融機関

最低2種類の口座を持つことをオススメします。

メガバンクの口座開設も検討すべき場合もありますが、それについては後述します。

ネット銀行のメリット

創業期の会社がビジネス用の銀行口座を開設する際には、「ネット銀行の法人口座」がおすすめです。

ネット銀行は

  • インターネット上での取引を中心として営業しており
  • 対面の店舗を持たない

という特徴があります。

ネットで取引が完結でき、物理的な店舗が不要で人件費等も削減できることから、

  • 振込手数料が安い
  • 口座開設が手軽に作れる
  • 24時間365日ログインできる

などのメリットがあります。

・振込手数料が安い

(出典 MUFG)

まず振込手数料についてですが、メガバンクの三菱UFJ銀行では、他行へ3万円以上振り込む場合、660円の手数料がかかります。加えて、月額利用料として1,760円がかかります。

(出典 住信SBIネット銀行)

これに対して、ネット銀行である住信SBIネット銀行では、月額利用料が無料で、他行への振込手数料は145円です。つまり、3万円以上の振り込みを月に30回行う場合、ネット銀行を利用することで月に1万7,120円、年間で20万6,520円のコスト削減が可能です。

創業期の企業にとっては、大きな負担軽減につながります。

口座開設が簡単、早く作れる

ネット銀行の場合、口座開設手続きはオンライン上だけで申し込みが完了します。店舗に行く手間が省けるというのもメリットです。

従来の銀行だと通常2週間ほどかかるところ、ネット銀行の場合、最短即日で開設可能なものもあります。

24時間365日ログインできる

ネット銀行では24時間いつでも取引が可能なので、ATMなどに並ぶ必要がありません。スマホを使って給与などの振込手続きが完了できるため、大幅に手間が省けます。これにより、お金と時間のコストを効果的に削減することができます。

また、売り上げの入金や引き落とし、振り込み、納税などの最低限必要なサービスはネット銀行でコストをかけずに完結できます。特にオンラインの決済が多いネットショップを開業する場合は、ネットバンキングが便利です。

ネット銀行のデメリット

ネット銀行の最大のデメリットは、銀行融資が厳しいことです。コストの安さ・利便性などではネット銀行が有利ですが、「銀行融資がほぼ不可能」というのが最大のデメリットといえます。一部に融資を利用できるものもありますが、通常の銀行融資に比べかなりの高金利になります。

地域密着型の金融機関のメリット

ネット銀行とは別に地域密着型の金融機関の口座を持つことをオススメする理由は、やはり銀行融資です。

事業の継続・発展の上で、いずれまとまった資金が必要になる可能性があります。ですから、融資してくれる可能性の高い地方銀行や信用金庫で法人口座を開設し、繋がりを作っておく、ということも重要です。

物理的な実店舗を持たず取引がネットで完結するネット銀行は、低コストで活用できるメリットがある一方で、融資が難しいという欠点があります。

ですので地方銀行・信用金庫などでも口座を開設し、将来の融資に備えておくことがオススメです。

地方銀行は、各都道府県に本店をかまえ、その地方を中心に営業している金融機関です。

主に地域の中小企業などと取引していて、会社経営の資金繰りや創業時の支援も行っています。

例えば、横浜銀行、常陽銀行、福岡銀行などです。

一方で、信用金庫は、地域の中小企業などが会員となって、互いに地域の繁栄を図る、相互扶助を目的とした金融機関です。

会員になれるのは、従業員数300人未満の法人、または個人事業主で、創業したばかりの企業への支援も積極的に行っています。

例えば、京都中央信用金庫、城北信用金庫などです。

また、創業時の融資を積極的に行っている日本政策金融公庫からの融資を受ける際は、融資金の振込先口座としてネット銀行を指定することができません。そういった意味でも、地銀ないし信用金庫などで口座を開設しておくことがおすすめになります。

融資のテクニック

融資のテクニックとして、複数の法人口座を作り相見積もりを取るというものがあります。

複数の金融機関で法人口座を作っておいて、融資の際に相見積もりを取って、返済条件や金利が有利な銀行を選ぶというものです。複数の取引先があると、融資を断られても、すぐに次の融資先を確保することもできます。

ただし、過度の相見積もりは銀行側の負担となり、取引に悪影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。

メガバンクの法人口座

メガバンクの口座を所有していれば、都内の企業の多くと取引をする時に役立ちます。

都内の企業との取引に便利であり、知名度が高いため、会社の社会的信用度を高めることができます。さらに、一定の信用を金融機関から保証されているとも考えられます。

しかし、大手銀行の法人口座開設は審査が厳しめです。そのため、まずは地域密着型の金融機関で法人口座を開設し、ある程度の実績を積んだ後に、メガバンクの口座を開設するという順番でもよいかと思われます。

また、メガバンクとの取引が進むにつれて、振込手数料などの交渉も可能になってきます。

法人口座の使い分け方

法人口座の使い分けには、事業の規模や業態に応じてさまざまな方法があります。具体的な二つの使い分け例を紹介します。

【使い分け例①】

– ネット銀行…出金用口座
– 銀行A…入金用口座

この場合、入金専用口座と出金専用口座を分けることで、資金繰りの把握が容易になります。ネット銀行を出金専用にすることで、振込手数料を節約することができます。

【使い分け例②】

– ネット銀行…出金用口座
– 銀行A…入金用口座
– 銀行B…税金用口座

(出典:さわやか信用金庫)

税金を支払う専用口座を別途分ける方法もあります。税金専用の口座は一部の金融機関で「納税準備預金」として開設でき、利子が非課税になるメリットがあります。

将来の納税額を別口座で確保しておくことで、税金の支払いに備えることができます。

将来の納税額を別口座でしっかりと確保しておきたい人にオススメです。

まとめ

法人口座は融資や信用の面で、個人口座より有利です。

また、ネット銀行、地域密着型の金融機関、メガバンクにはそれぞれメリット・デメリットがあるので、必要に応じて事業内容や使用用途に合わせて使い分けることが重要です。

You Tube「経営者の資産防衛チャンネル」で税理士が詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。

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