内部留保の積み上げは危険?簿外資産を活用した利益繰り延べ戦略の全貌

「利益が出たら、使わずに内部留保として会社に積み上げていくのが一番安全だ」「純資産が厚い方が銀行からの評価も高くなり、経営が安定するはずだ」

多くの経営者がこのように考え、真面目に利益を会社に残そうと努力しています。確かに、決算書上の数字が良くなることは事実です。しかし、実はこの「内部留保の積み上げ」には、将来の経営を根底から揺るがしかねない重大なリスクが潜んでいます。

内部留保を無計画に増やし続けると、将来の税負担が雪だるま式に膨れ上がったり、事業承継の際に後継者が多額の税金に苦しんだりするケースが後を絶ちません。「お金を持っているはずなのに、なぜか首が回らない」という事態を防ぐために、財務リテラシーの高い経営者は、内部留保ではなく「簿外資産(ぼがいしさん)」という形で利益をコントロールしています。

この記事では、内部留保に潜む3つの構造的なデメリットを解き明かし、それを回避するための簿外資産の作り方、そして最も重要となる「出口戦略」について徹底的に解説します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

内部留保に潜む3つの構造的デメリット

「利益を会社に残すことの何が悪いのか?」と疑問に思うかもしれません。内部留保が抱えるリスクは、主に以下の3点に集約されます。

1.内部留保は「現金」として存在しているとは限らない

決算書の貸借対照表(バランスシート)に「利益剰余金が1億円」と記載されていたとします。では、会社の銀行口座に現金が1億円あるかというと、決してそんなことはありません。

企業の利益は、ビジネスの過程で常に形を変え続けています。倉庫に眠っている売れない在庫、まだ回収できていない売掛金、あるいは将来のために購入した土地や建物など、これらはすべて「資産」として計上され、その源泉として内部留保が形成されています。

つまり、決算書上では多額の内部留保(利益)があるように見えても、いざ資金が必要になったときに、即座に支払いに使える「キャッシュ(現金)」として存在しているとは限らないのです。この「数字上の安心感」に惑わされると、黒字倒産のリスクが高まります。

2.自社株の評価が上昇し、事業承継の足かせになる

内部留保は、会社にとって返済義務のない「自己資本」です。これが厚くなるほど会社の財務は安定しますが、同時に「会社の価値(自社株の評価額)」もどんどん上がっていきます。

ご自身で会社を売却(M&A)してリタイアするのであれば、株価が高いのは良いことです。しかし、子供などの後継者に会社を引き継ぐ(事業承継する)場合はどうでしょうか。自社株の評価が高すぎると、後継者が株式を買い取るための資金を用意できなかったり、贈与・相続の際に莫大な税金が課せられたりします。最悪の場合、納税のために後継者が借金地獄に陥ったり、会社を売却せざるを得なくなったりと、良かれと思って残した内部留保が次世代の首を絞める結果になってしまいます。

3.動かそうとすると「多重の税金」が発生する

一度内部留保として会社の中に溜め込んだお金は、すでに「法人税」を支払った後の残りカスです。このお金を、経営者個人の口座に移そう(配当金として出そう)とすると、今度は受け取る個人に対して「所得税」や「住民税」が課せられます。つまり、法人と個人で二重に税金を取られることになり、トータルの税負担は非常に重くなります。

内部留保は、一度入れたら多額の手数料(税金)を払わないと引き出せない「鍵のかかった貯金箱」のようなものです。出口戦略を持たずにただ溜め込むことは、資金効率の観点から見て決して得策とは言えません。

簿外資産を活用した「利益の繰り延べ」戦略とは?

内部留保のデメリットを回避し、より自由にお金をコントロールするための手法が「利益の繰り延べ(簿外資産の構築)」です。

これは簡単に言うと、「今年払うはずだった法人税の支払いを、数年後に先送りする」という合法的なテクニックです。利益が出た年にそのまま税金を払って内部留保にするのではなく、正しい会計ルールに則って経費(損金)としてお金を支出し、決算書(貸借対照表)には載らない「簿外資産(会社の外にある貯金箱)」に変えておくのです。

メリットは「課税のタイミングをコントロールできること」

重要なのは、これは税金が免除されるわけではなく、あくまで「先送り(繰り延べ)」だという点です。いずれは益金として計上し、税金を払うことになります。しかし、「いつ益金として戻すか」を経営者が自由に選べるのが最大のメリットです。例えば、本業が赤字になった年や、大規模な設備投資で多額の経費が発生した年に、この簿外資産を取り崩して利益として計上します。そうすることで、本来発生するはずだった赤字を埋めたり、設備投資の経費と相殺したりして、長期間にわたり税負担を平準化し、会社のキャッシュフローを安定させることができるのです。

簿外資産を作る2つの代表的な手法

では、具体的にどのようにして簿外資産を作るのでしょうか。代表的な2つの手法を紹介します。

手法①:経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

中小企業にとって最もポピュラーで安全な簿外資産の作り方が「経営セーフティ共済」です。本来は取引先が倒産した際の連鎖倒産を防ぐための貸付制度ですが、節税(利益の繰り延べ)目的で広く活用されています。

  • 掛金が全額経費になる:月額5,000円から最大20万円まで掛金を設定でき、支払った全額をその年の損金として計上できます。決算前に「年払い」を活用すれば、最大で年間240万円を一気に経費化できます。
  • 100%戻ってくる:40ヶ月以上加入してから任意解約すれば、支払った掛金(最大800万円)が100%解約手当金として戻ってきます。

まさに「全額経費で落とせる国公認の貯金」と言えます。ただし、2024年10月の制度改正により、「一度解約すると、その後2年間は再加入しても掛金を経費にできない」という厳しいルールが設けられました。以前のように頻繁に出し入れすることはできなくなったため、解約のタイミング(出口戦略)をより慎重に見極める必要があります。

手法②:オペレーティング・リース

突発的に数千万円、数億円単位の利益が出てしまった場合に有効なのが「オペレーティング・リース」です。

これは、航空機や船舶などの大型減価償却資産を購入する組合に出資し、その資産を貸し付けてリース料を得るという投資商品です。減価償却の仕組みを活用することで、出資した初年度から2〜3年目までに、出資額の約70%〜80%もの金額を一気に損金算入できるのが特徴です。そして、リース期間満了時(5年〜10年後など)に資産が売却され、分配金としてお金が会社に戻ってきます。

規模の大きな利益繰り延べが可能ですが、あくまで金融商品であるため、為替変動やリース先の経営悪化による元本割れリスク、原則中途解約不可という流動性リスクを十分に理解した上で取り組む必要があります。

成功の鍵を握る「4つの出口戦略」

簿外資産の構築において最も重要なのは、「繰り延べた利益が戻ってきた時(益金が発生した時)に、どのような経費をぶつけて税金を消すか」という出口戦略です。出口がなければ、単に数年後に多額の税金を払うだけで終わってしまいます。

1.役員退職金として支給する(最強の出口)

最もオーソドックスかつ強力な出口が「役員退職金」です。簿外資産が戻ってくるタイミング(経営セーフティ共済の解約やリースの満了)に合わせて、社長の退職金を支給します。戻ってきた利益と退職金(経費)が相殺され、法人税はかかりません。

さらに、受け取る社長個人にとっても、退職金は税制面で異常なほど優遇されています。

  • 退職所得控除:勤続年数に応じて非課税枠が与えられます(例:勤続30年なら1,500万円まで無税)。
  • 2分の1課税:控除を引いた後の金額を、さらに「半分(1/2)」にしてから税率をかけます。
  • 分離課税・社会保険料免除:他の所得と合算されず、社会保険料も一切かかりません。

通常の役員報酬で受け取るよりも、手元に残る現金が圧倒的に多くなります。

2.大規模な設備投資に活用する

事業をさらに拡大するための設備投資(工場建設、大型機械の導入、自社システムの開発など)を行う年度に合わせて簿外資産を取り崩します。戻ってきた利益を、設備投資による減価償却費などの経費で相殺することで、税負担を抑えながら効率的に事業の成長資金を確保することができます。

3.資金繰り悪化時の補填(赤字の穴埋め)

会社経営は常に順風満帆とは限りません。売上が急減したり、予期せぬトラブルで赤字に転落した年度に簿外資産を取り崩します。本来発生するはずだった赤字と、戻ってきた利益が相殺されるため、税金は発生しません。まさに「経営の命綱」として機能します。

4.別の手法でさらに利益を繰り延べる

特に大きな経費を使う予定がない場合は、戻ってきた資金を別の簿外資産(新たなオペレーティング・リースなど)に再投資し、さらに課税を将来へ繰り延べ続けるという選択肢もあります。最適な出口が見つかるまで時間を稼ぐ戦略です。

まとめ

利益が出たからといって、無思考に内部留保を積み上げるのは経営上のリスクを伴います。

  • 内部留保は現金とは限らず、自社株評価を高め、引き出す際に多重の税金がかかる。
  • 経営セーフティ共済やリースを活用し、「簿外資産」として利益を繰り延べる。
  • 繰り延べた利益は、退職金や設備投資などの明確な「出口(経費)」で相殺する。

目先の決算書の数字にとらわれず、5年後、10年後の資金繰りと事業承継を見据えた「利益のコントロール」を行うことこそが、真の資産防衛と言えます。

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