ゴルフ保険(ゴルファー保険)は本当に必要でしょうか。
比較サイト等で見てみると、補償の内容もほとんど同じですし、プランもほぼ決まっています。保険料も大差はありません。
しかし、ゴルフ保険の保険金がどんな時に支払われるかはあまりよく知られていません。
今日は、ゴルフが趣味の私だから知っている、ラウンド中のヒヤッとあるあるを元に、ゴルフ保険への加入を検討する上で絶対に押さえておきたい4つのポイント(賠償責任の補償、持ち物の補償、ホールインワンの補償、海外でプレーする場合の注意点)についてお伝えしていきます。
どんなゴルフ保険に入ったら良いのか迷われている方は、ぜひ参考にしてください。
The following two tabs change content below.
私たちは、お客様のお金の問題を解決し、将来の安心を確保する方法を追求する集団です。メンバーは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持っており、いずれも現場を3年以上経験している者のみで運営しています。
1. 人にケガさせてしまったときの賠償責任の補償
最初に、人をケガさせてしまった時の損害賠償責任をカバーしてもらえる補償についてお伝えします。
賠償責任保険とは、他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったときに保険が支払われるものです。
「これくらいの距離なら届かないだろう」と打つも、そんな時に限ってナイスショットになってしまうものです。
特に男性は飛距離があるので、ティーショットが隣のホールにいってしまうこともあるでしょう。あわや他のプレーヤーに当たるところだった、なんてことはありませんか?
あんなに小さなボールだから、当たっても大したことにはならないだろう、なんて侮るなかれ。当たり所によっては、大事故に繋がります。
1.1.事故はゴルフの腕前と関係なく起こる
こちらは、実際に私の目の前で起きた事故です。同伴者の男性のフェアウェイからの2打目がシャンクして、10mほど離れたところにいたキャディさんの足首を直撃し、全治2ヶ月のケガを負わせてしまったのです。
当たった瞬間からみるみるうちに大きく腫れ上がり、まさにゴルフボールくらい大きなこぶができていました。
キャディさんは立っていることさえできなくなってしまい、そのまま病院に運ばれました。
幸い、骨折には至らなかったものの、2ヶ月間の休業を余儀なくされてしまったのです。
もしも頭に当たっていたのなら、後遺症が残ったかもしれません。そうすれば仕事も復帰できなかったでしょう。
常に介護が必要な状態になってしまうこともあります。そうなると、高額な賠償金を請求されることもあるのです。
そういう時に、賠償責任をカバーしてもらえる保険が必要です。
ただし、そのためにゴルフ保険が絶対に必要かというと、そうとも限りません。次にお伝えします。
1.2.今加入中の保険で、すでに賠償責任補償を付帯している場合がある
実は、ゴルフ保険は、賠償責任をカバーしてもらうために絶対に必要なわけではありません。
もしもあなたが他の損害保険で「個人賠償責任」の補償をお持ちの場合は、そちらでカバーできます。
例えば、以下のような保険に入られている方は、特約で個人賠償責任補償を付けていることがありますから、内容を確認してみてください。
付けていない場合は、今からでも付けることができないか確認しましょう。
これらの保険で「個人賠償責任」の補償があった場合、ゴルフ保険に加入しなくていい可能性があります。
もし仮に、火災保険で賠償責任の特約が付いていた場合、ゴルフ保険の賠償責任の補償は無駄になってしまいます。
たとえば1億円の損害賠償責任を負った場合、両方の保険から半分ずつ支払われるわけではありません。
どちらか一方の保険から1億円の損失が補填されるだけです。ですから、重複して加入しても、保険料を無駄にしてしまうだけなのです。
2.愛用のクラブが壊れてしまった時などの携行品損害補償
次は、愛用のクラブが壊れてしまった場合等の補償です。
クラブが変われば、スコアも変わる。これは本当にある話です。
先日一緒にラウンドした女性は、ヘッドスピードを測ってリシャフトしただけで、飛距離が15ヤードも伸びたと喜んでいました。しかも、コースで結果が出ているって凄いですよね。
もし、そんなお気に入りのクラブが盗まれてしまったらショックですね。お金もかかっていますから、大きな痛手になるでしょう。
このような場合にクラブの損害金を補償してくれるのが、ゴルフ用品の補償、携行品損害補償です。
こちらの補償は盗難に限らず、壊れてしまった場合もカバーしてくれます。
ただし、この「携行品損害補償」には落とし穴があります。また、ゴルファー保険に加入していなくても、他の損害保険でカバーできることがあります。
次にお伝えします。
2.1.クラブが壊れてしまったとき、修理するよりも買い替えた方が安い場合がある
実際、プレー中に私のクラブが壊れてしまったことがあります。その時に起きたことをご紹介します。
- 2013年に19,000円ほどで新品のFW ♯5を購入
- 2017年、ラウンド中にシャフトが折れてしまった
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、クラブ1本にかかるお金の中では、シャフトは一番高いんですよね。
その日のうちに、ゴルフショップへ修理の見積もりに行くと、修理代金は3万円かかると言われました。
FWとUTは同じモデルのもので揃えていたので、♯5だけを他のものに変える気にはなりませんでした。
どうしても同じクラブを使いたかったのですが、修理代金3万円では購入時の価格よりも高いです。
では、こんな時はいくらくらいの保険金を受け取れるのでしょうか?実はたいした額が受け取れないのです。次の項目で詳しくお伝えします。
2.2.時価額を超える保険金は受け取れない!
実はこの時、私は保険金を請求しませんでした。なぜなら、ゴルフ保険に加入していなかったからです。
なぜ私はゴルフ保険に加入していなかったのかというと、「時価額」での支払いになるからです。
時価額というのは、使い込まれた中古品としての価格です。これが、以外に低いのです。
たとえば、先ほどの事例で、修理代金が3万円、時価額が1万円であったとしたら、「どうしても修理して使い続けたい」と言っても、時価額を上回る修理代は補償されません。
つまり、1万円までしか支払われないのです。
しかも、一般的に「モノの価値」というのは思っているよりも早く落ちていきます。であれば、何かあった時には自費で、と腹をくくったほうがすっきりしたからです。
私は結局、中古のゴルフクラブを扱うショップに行きました。もうお気づきかもしれませんが、同じモデルの中古クラブを買ってしまったほうが断然安いからです。
実際、中古ショップでは私が使っていたものと同程度のものが1万円ほどで売っていました。
まさに「時価」です。これをゴルフ保険でカバーするほどのものかは、微妙だと思います。
しかも、私は自動車保険に加入していて、「個人賠償責任」の特約を付けていたので、人にケガを与えた場合等の賠償責任はそちらでカバーできます。
そう考えると、ますます「ゴルフ保険でカバーするほどのものか?」と思ってしまうのです。
もちろん、そうは言っても、「愛着のあるゴルフクラブなのでどうしても修理したい。修理代金は少しでも保険でカバーできればいい。」という方もいらっしゃるでしょう。
その場合には、次にお伝えする保険に特約で付加する方法をオススメします。
2.3.携行品損害の補償を特約で付けられる保険
実は、主な損害保険には「携行品損害補償」を特約でつけることができます。代表的なものは以下の通りです。
なお、「携行品損害」と似たようなものに、「持ち出し家財」という特約があります。その名の通り、自宅から持ち出した家財が対象になります。
そこで注意していただきたいのですが、自宅の車庫に停めていた車のトランクから、積みっぱなしにしてあったゴルフクラブが盗まれた場合などは対象外となります。
あくまで自宅から持ち出した場合が対象です。
3.ゴルファー保険ならではのホールインワン、アルバトロスの補償
最後は、ホールインワン、アルバトロスを達成した場合の補償です。
みなさんは、ホールインワン、アルバトロスを達成したことがありますか?私自身はありませんが、なんと同伴者でホールインワンを達成された方がいらっしゃいます。
さらに、過去にはホールインワンを3回達成したことがある、なんて方もいらっしゃいました。
私が遭遇したホールインワンの瞬間は、レギュラーティーから130ヤードのPar3でした。砲台グリーンだったのでティーグラウンドからはグリーンが見えなかったのですが、感触としてはピン方向に真っ直ぐ向かっていきました。カップに入った音もしなかったので、キャディさんと一緒に探したのですがどうしても見つからず、結局、ホールインワンしていたのです。
こうなると大変です。ホールインワンやアルバトロスを達成すると、ゴルフ場に記念植樹をしたり、祝賀会を開催したり、キャディさんにご祝儀をお渡ししたりします。
このような場合に発生する費用をカバーするのが、ホールインワン・アルバトロス補償です。
ここでは、ゴルフ保険のホールインワン・アルバトロス補償について、意外に知られていないポイントをお伝えします。
また、実はこの補償も、ゴルファー保険に加入しなくても他の保険でカバーできることがあります。その点についてもお伝えします。
3.1.海外旅行・国内旅行問わず、達成記念旅行であれば補償対象になる
実は、あまり知られていないのですが、達成記念の旅行も支払対象になっています。
しかも、同伴者と行かなくてはならないわけではありません。
達成を一緒にお祝いするにふさわしい方との旅行であれば保険金額の範囲内で旅費が支払われます。
ただし、請求する際は領収証の「但書」に「ホールインワン(またはアルバトロス)達成の記念旅行として」との文言が入っていないと対象になりません。
腕前に自信のある方は、旅費を実力で勝ち取ってみてはいかがでしょうか?
3.2.ホールインワン・アルバトロス達成しても補償対象外の2つのケース
3.2.1.海外のゴルフ場で達成しても対象外
ホールインワン・アルバトロスを達成した場合、達成した人が記念品を作成したり、同伴者に品物を振舞ったりするのは、日本ならではの風習だそうです。
そのためか、ゴルファー保険に加入していても、海外のゴルフ場で達成した場合は対象外になります。
3.2.2.達成しても「アカの他人」が証明してくれなければ対象外
また、国内でプレーしていても、キャディさんを付けてのラウンドである場合や、フリーのコンペでアカの他人の他の参加者がいる場合や、全くの第三者の後続組が証明をしてくれた場合でなければ、対象になりません。
ただでさえ、達成できる確率はたいへん低いと言われています。
そこへ保険金の支払対象となる条件もクリアする必要があるとなれば、なおさら難しくなるでしょう。
3.3.傷害保険にホールインワン・アルバトロス補償を付けられる
ホールインワン・アルバトロスの補償は、「損害賠償」や「携行品損害」の補償と違い、「火災保険」や「自動車保険」等だと特約になく、カバーできません。
ただし、傷害保険に特約として付けられることがあります。
傷害保険は、例えば、後ろから打ち込まれたとか、足を滑らせて挫いてしまったなど、自分のケガの治療費をカバーする保険です。
この補償は、ゴルフ保険には含まれていません。
したがって、もしも、火災保険や自動車保険等で「損害賠償」「携行品損害」の補償を備えているならば、あとは、傷害保険でホールインワン・アルバトロス補償の特約を付ければ補償の穴がなくなり、しかも保険料も無駄がありません。
逆に言うと、ゴルフ保険に加入するのがおすすめなのは、火災保険・家財保険、自動車保険、傷害保険のいずれにも加入していない方ということになると思います。
4.海外でプレーをする場合、ゴルフ保険は対象にならないことがある
ゴルフ保険には、海外でプレーする場合が対象となるものとならないものがあります。海外でプレーする予定がある場合は、必ず補償内容を確認しておきましょう。
ただし、今加入している保険が国内のみの補償であったとしても、実は、海外旅行保険でカバーできることがあります。
実際、私の知人女性も、ハワイに行った時に、シューズがケースごと盗まれてしまったそうです。
成田を出発する際は確かにあったのに、ハワイのホテルに着いたらなくなっていたということです。
この時は、クレジットカードに付帯されていた海外旅行保険の、携行品損害補償から時価額で保険金が支払われたそうです。
必ずしもゴルフ保険でカバーしなければならない、というわけではないのです。
まとめ
ゴルフの愉しさは、ルールとマナーを守ってこそ、というのがあります。気持ちよくプレーするためにも、万が一の事故にはきちんと保険で備えておくこともマナーです。
しかし、ゴルフの事はゴルフ保険からしか支払われない、というわけではありません。
「損害賠償」と「携行品損害」の補償は、既に加入されている火災保険や自動車保険で代用できることがあります。
また、「ホールインワン・アルバトロス」の補償は、傷害保険に特約として付けられることがあります。
特に、「傷害保険+ホールインワン・アルバトロスの特約」は、ゴルフ保険にはないケガの補償も備えられるので、おすすめです。