火災保険につけられる個人賠償責任保険とは何か?

個人賠償責任保険は、火災保険をはじめとして、自動車保険や傷害保険にセットされる保険です。

ぜひ加入しておきたい保険の一つですが、どんな時に役立つのか、保険料はどのくらいなのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では、ほとんどの世帯が加入する火災保険を例にとって、付与される個人賠償責任保険の概要や補償内容、さらに保険料がどのくらいになるか解説しています。

これから火災保険への加入を検討されている方も、この記事が参考になります。

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保険の教科書 編集部

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1.火災保険に付けられる個人賠償責任保険とは?

個人賠償責任保険とは、被保険者が不注意や事故で他人にケガをさせてしまったり、他人のものを壊してしまったりした場合に、法律上の損害賠償責任を補償するものです。

以前は単品の保険として契約できたこともあったようですが、現在では、加入するならば、火災保険、自動車保険や傷害保険などとセットして契約する以外に方法はありません。

2.個人賠償責任保険で補償が行われる場合

それでは、個人賠償責任保険で補償できるのは、具体的にどんな場合でしょうか。

簡単に言うと、個人賠償責任保険は、誤って第三者に何らかの損害を与えてしまった場合に必要となる賠償を幅広くカバーしてくれます。

具体的には、以下のようなケースがあげられます。

  • ジョギングしている際に、相手にぶつかってケガをさせてしまった
  • デパートで商品の棚に身体をぶつけて、上に乗っていた商品の花瓶を割ってしまった。
  • 犬の散歩をしている時に、犬が通りに歩いていた人にかみつき、ケガをさせてしまった。
  • 公園で子供が蹴ったボールが通行中の老人にあたって、ケガをさせてしまった
  • 自転車で走行中に、通行人に衝突し、ケガをさせてしまった
  • ファミレスのドリンクバーで、誤って飲み物を他人の衣服にこぼし服を汚してしまった
  • 自宅のマンションで、水道の蛇口を閉め忘れたせいで階下に水が漏れ、テレビ等を故障させてしまった
  • ゴルフのプレー中に打ったボールが他の人に当たってケガをさせてしまった

このように個人賠償責任保険は、日常生活のなかで起こりえるようなさまざまなトラブルに対応しています。

2-1.自転車保険の代わりにもなる

自転車での事故が増えており、自転車保険の必要性が増しています。

全国の自治体でも自転車保険の加入義務化が広がりつつあり、お住いの地域によっては自転車の事故によって相手にケガをさせてしまったり、相手の命を奪ってしまったりした際の損害賠償の補償を確保しておくことが必要です。

その点、個人賠償責任保険は、先ほど具体例の1つに挙げたように、自転車による事故の補償にも対応していることになります。

自転車保険との違いは、自転車保険では、自分が他人に自転車をぶつけられてケガをさせられた場合の補償もあることです。個人賠償責任保険にはそういった補償はありませんので、欲しい場合は、別途自転車保険などに加入する必要があります。

3.個人賠償責任保険で補償されない場合

次に、火災保険の個人賠償責任保険で補償されない場合をみていきましょう。

  • 同居する家族にケガを負わせたり、家族のものをこわしてしまったりした場合
  • 同僚から借りていたものを紛失してしまった場合 ※特約をつければ補償されます(詳細は後述)
  • 自動車を人の家の塀にぶつけて壊してしまった場合 ※自動車保険の対象です
  • 故意にケンカで相手をケガさせたり相手のものを壊してしまったりした場合
  • 仕事中に、使っているパソコンを壊してしまった ※会社の火災保険の対象です
  • 心神喪失している状態で相手をケガさせたり、相手のものを壊してしまったりした場合

ご覧のように他人ではなく同居する家族に損害を与えてしまった場合や、意図的に相手に損害をあたえた場合、ほかの保険で対処する必要がある場合などは、個人賠償責任保険の補償対象外になります。

4.個人賠償責任保険の補償を受けられるのは誰?

個人賠償責任保険の補償を受けられるのは、加入者本人だけではありません。以下に挙げる人も対象となります。

  • 被保険者の配偶者
  • 被保険者または配偶者と同居する親族
  • 被保険者または配偶者と生計を共にしている未婚の子ども

ご覧のように、一家の大黒柱が加入していれば、同居する家族をはじめ、離れて暮らす大学生の子なども補償がうけられます。

一方で、子でもすでに独立して自分で生計をたてている場合は、父親の加入している個人賠償責任保険の補償対象にはならないので注意してください。

5.あわせて追加を検討したいサービス・特約・補償

火災保険の個人賠償責任保険に加入する際は、補償を手厚くするために以下のサービスや補償・特約の追加も検討したいところです。

  • 示談交渉サービス
  • 類焼損害補償
  • 受託物賠償責任危険補償特約

以下、1つずつ簡単に解説します。

5-1.示談交渉サービス

相手に損害を与えてしまった場合、賠償金額をいくらにするかで相手と交渉する必要があります。

その際、個人賠償責任保険で示談交渉サービスを付与していれば、被保険者にかわって保険会社が相手と示談交渉してくれます。

このサービスを付与していなかった場合は、被保険者が直接損害を与えた相手と交渉しなくてはなりません。

その際に保険会社の助言を受けることができるとはいえ、損害を与えてしまった相手との示談交渉は簡単ではありませんし、精神的にも楽ではないでしょう。

そのため火災保険の個人賠償責任保険に加入の際は、示談交渉サービスをつけることをおすすめします。

なお示談交渉サービスを利用する場合、交渉にあたり被保険者はもちろんのこと、被害者側の同意が必要になる点は注意して下さい。

5-2.類焼損害補償

自宅の失火で火災を起こし隣家にも被害が及んでしまった場合、法律上(※)、寝たばこのような「故意と同視されるような重大な過失」でない限り、相手に対して賠償責任を負わないでよいことになっています。

ただし、今後も付き合いが続くと考えられるお隣さんに、なんの補償もしないというのは実際には難しいのではないでしょうか。

そんなときに役立つのが「類焼損害補償」です。類焼損害補償があれば、失火で発生した隣家の損害の賠償も補償されます。

火災保険にセットできる個人賠償責任保険であれば、類焼損害補償を追加可能です。

一方で、自動車保険に追加できる個人賠償責任保険では、この補償を追加できないので注意してください。

※失火責任法という法律により、過失による火災では民法上の損害賠償責任を課されないことになっている

5-3.受託物賠償責任危険補償特約

基本的に個人賠償責任保険では、他人から借りたものや預かったものを壊してしまったり盗まれてしまったりした場合の補償がないことが多いです。

その点、受託物賠償責任危険補償特約を付けていると、事故などで他人から借りたものを破損してしまった場合、盗まれてしまった場合などの賠償も補償してくれる特約です。

ちなみにここでいう「他人」のなかには、レンタル業者も含まれています。たとえば、レンタルしたスキー道具なども補償の対象になるということです。

6.個人賠償責任保険の保険料はいくらぐらい?

個人賠償責任保険に加入するメリットが大きいことはご理解いただけたのではないでしょうか。

次に気になるのは、保険料がいくらぐらいになるかということです。どれほど必要な保険でも、保険料が高ければ加入するか迷うことでしょう。

結論から言うと、火災保険に付与できる個人賠償責任保険の保険料は、それほど高くないので負担になることはないでしょう。

一例としてA損保の個人賠償責任保険の保険料は、国内の事故に関する保険金額を「無制限」にした場合で、年2,000円で済む(2018年7月時点)とのことです。

個人賠償責任保険は必要な保険であるうえに、このように保険料も高くはないので、加入することが強く推奨されます。

また個人賠償責任保険の保険金額は、賠償金額が数千万円・数億円と高額になる可能性もあることから「無制限」にするのがおすすめです。

7.個人賠償責任保険に加入する際の注意点2つ

ここでは個人賠償責任保険に加入する場合に、注意しておきたいポイントを2つ紹介します。

7-1.重複して契約していないか確認が必要

上にも書きましたが、個人賠償責任保険は火災保険のほか、自動車保険や傷害保険などにもセットされることがあります。

またクレジットカードのオプションとして、個人賠償責任保険に加入するといった場合もあります。

仮に別々の保険会社で、それぞれ個人賠償責任保険に加入しても、それだけ多く補償が受けられるわけではありません。

たとえば賠償金が5,000万円だった場合に、2つ個人賠償責任保険に加入していたからといって5,000万円×2=1億円の保険金が受け取れるわけではないということです。

この場合は、それぞれの保険から2,500万円ずつ、合計5,000万円が受け取れます。

かといって、2つの個人賠償責任保険に加入しても、それぞれの保険料が安くなるというわけでもないので、重複して加入するのは無駄です。

万が一、重複して加入してしまっている場合は、どちらか一方を解約して保険料を節約しましょう。

7-2.大元の契約を解約すると個人賠償責任保険も解約される

これも注意しておきたい点です。

個人賠償責任保険をつけていた大元の火災保険などを解約すれば、自動的に個人賠償責任保険も解約されてしまうということです。

そのほか自動車保険とセットになっていた場合は自動車を廃車したら、また契約しているカードを解約したら、個人賠償責任保険も解約されてしまいます。

知らない間に個人賠償責任保険がなくなっていた、ということがないように注意しましょう。

7-2-1.どの保険に個人賠償責任保険を付与するべきか

いろいろな保険に個人賠償責任保険をつけられるのであれば、これも迷う点ですね。

おすすめは火災保険に付与することです。

自動車を手放したら不要となる自動車保険やクレジットカードのオプションなどと比べると、住宅につける火災保険は解約される可能性が低いためです。

まとめ

火災保険に付与できる個人賠償責任保険とは、不注意や事故で他人に損害をあたえてしまった場合の賠償費用を補償してくれる保険です。

被保険者をはじめとして、被保険者の配偶者や同居する家族に対しても補償が行なわれます。

他人に損害を与えてしまった際の賠償額は非常に高額となる可能性があるのに対し、個人賠償責任保険の保険料はそれほど高くはないので加入することを強く推奨されます。

なお個人賠償責任保険は火災保険だけでなく自動車保険をはじめとしたそのほかの保険にも付与できたり、クレジットカードのオプションとして加入できる場合もあったりするので、重複しないように気をつけましょう。

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