建設業の保険|3つのリスクと絶対に備えておきたい補償

建設業を営む会社の経営者の方にとって、どんな保険に加入したらいいのか、調べてみてもなかなか分かりにくいと思います。

もし現場で事故が起こってしまった場合、会社にとって大きな損害を被るだけでなく、従業員やその他の人の命にかかわるような深刻な被害を及ぼす可能性もあります。

このようなことからも建設業のリスクに備える保険は絶対に不足があってはいけません。しかし、あまりに多くの保険種類があるために実際には何の保険に加入したら良いのか分からないという経営者の方も多くいらっしゃることでしょう。

そこで、この記事では建設業の方が備えるべき保険について、どのような種類があるのか?どんな時に補償してくれるのか?

  • 建築物や資材など、現場のモノに対する保険
  • 賠償責任リスクに備える保険
  • 従業員の事故やケガに備える保険

の3つに分けてご案内します。最後におまけとして、多くの建設業で使用されている自動車の保険にも触れております。

建設業にかかわる経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。

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保険の教科書編集部

保険の教科書編集部

私は10年以上にわたり、生命保険業界で働いております。マイホームの次に高い買い物と言われることもある保険ですから、本当に必要な商品を無駄なく加入してもらうことが大切だと考えています。お一人お一人のご希望やライフプランをおうかがいし、少しでも豊かな人生を送るお手伝いが出来ればと思っております。

1. 建築物や資材等が損害を受けるリスクに備える保険

まずは建設業独自の建築中の建物や施設、現場にあるモノに対する事故に備える保険について、どのようなものがあるかを確認していきましょう。

1.1. 建設工事保険

建設工事保険は、現場で起きた突然の事故や火災が原因で、建設中の建物や設備等に発生した損害をカバーする保険です。

受け取れる保険金は、事故が起きる前の状態に戻すためにかかる費用です。その他にも、事故後の現場の後片付けにかかる費用を補償する「残存物片付け費用保険金」、臨時費用を補償する「臨時費用保険金」が受け取れます。

参考「建設工事保険とは?カバーする範囲に関する基礎知識

1.2. 組立保険

組立保険は、建物以外の複雑な構造をした機械・設備等の組立工事の最中に起きた事故をカバーする保険です。

対象となる工事は、たとえば、機械の組立工事、タンク・配管・ケーブル・鉄塔・煙突・橋梁などの組立工事、空調・電機・給排水の設備や内装工事、プラント工事などです。

受け取れる保険金は、工事している機械・設備等や材料、足場、電気配線、現場倉庫に保管中の備品等が損害を受けた場合にその復旧にかかる費用が対象となります。

参考「組立保険とは?知っておきたい保障内容と活用場面

1.3. 土木工事保険

土木工事保険は、工事中の施設や工事用の設備等に発生した損害をカバーする保険です。この保険では土木工事を主な業務としている場合が補償の対象となります。建物の建設が主な業務となっている場合は、建設工事保険を選ぶと良いでしょう。

土木工事の対象そのものは当然のことながら、施設や資材なども補償の対象となります。

参考「土木工事保険とは?意外に知らない補償内容と使い分け

2. 社外の人に対する賠償責任のリスクに備える保険

次は、賠償責任問題に備える保険です。建設業でひとたび事故が発生し、人を怪我させたり死亡させたり、他人の財産に損害を与えたりしてしまうと、それは会社の基盤を揺るがしてしまうような大きな損失になる可能性があります。

2.1. 請負業者賠償責任保険

工事を行うために「所有」「使用」または「管理」している施設が原因となって、他人の身体に危害を加えたり、他人の財物に損害を与えてしまったりすることがあります。たとえば、ビルの建設工事中に鉄材を落下させ、たまたま下を通行していた人に当たって死亡させてしまったような場合です。

その場合、会社は損害賠償責任を負うことになります。請負業者賠償責任保険は、そのような場合に会社が被る損害を補償する保険です。

参考「請負業者賠償責任保険とは?必ず知っておきたい基礎知識

2.2.PL保険(生産物賠償責任保険)

PL保険(生産物賠償責任保険)は、作ったモノや仕事の結果に欠陥があったことによってお客様等に損害を与えてしまった場合の賠償責任をカバーしてくれる保険です。

たとえば、看板等の取付工事を終えた後に、取り付け方に不備があったためその看板が落下した場合を考えてみましょう。下の通行人にケガをさせたり、下にあったモノを壊したりしてしまった場合には、大きな事故になってしまう可能性があります。

また、電気工事の仕方が悪く、施設完成後に漏電などが起こった場合には、火災になるかもしれません。

PL保険は、このような工事完成後の賠償責任リスクをカバーする保険となっています。

参考「PL保険はなぜ必要?思わぬ賠償リスクから会社を守るための基礎知識

3. 従業員の事故やケガのリスクに備える保険

たとえば、従業員の方が作業中の事故でケガを負ったり亡くなったりしてしまった場合、会社が「安全配慮義務違反」を問われ、損害賠償責任を負うリスクがあります。

こういう場合に備えた保険として、業務災害補償保険があります。業務災害補償保険は、従業員の方が業務中にケガを負ってしまった場合のリスクをカバーする保険です。

会社に損害賠償請求をしてきた時の損害賠償金等の費用の補償(使用者賠償補償)と、入院・通院・休業等の補償を組み合わせたものです。

工事作業中に従業員がケガをしたり死亡したりした場合、たいてい、会社に「安全配慮義務違反」という責任があるとみなされ、会社は損害賠償責任を問われることが多いのです。

こういう場合に備えた公的制度として、労災があります。しかし、近年、従業員に対する賠償金の額は、最悪の場合、億単位になることもあります。そうなると、労災ではまかないきれません。

そんな時、業務災害補償保険で使用者賠償の補償を付けていると、労災では足りない分を補償してくれます。

これに、従業員が休んだ時の給与をある程度補償してくれる休業補償も付けることをおすすめします。

参考「業務災害補償保険とは?社員のケガと会社の労務リスクに対する備え

4. 自動車損害・事故のリスクに備える保険

建設業では多くの自動車を使用していることと思います。従業員を現場に運ぶ普通自動車や、資材を運ぶための作業車など、全ての自動車に保険をかける必要があります。自動車保険の補償内容については、一般的な自家用車にかけるものと大きな差はありません。

ただし、法人で自動車保険に加入する場合、10台以上の自動車を保有していると「フリート契約」をすることで保険料が割安となるメリットがあります。一方、9台以下での契約を「ノンフリート契約」といいます。最近では、2台~9台の「ミニフリート契約」なるものも登場しています。

自動車保険では保有台数のほか、無事故なら保険料が安くなり、逆に事故を起こせば保険料が高くなる等の規約が定められています。

建設業に限ったことではありませんが、従業員を守るためにも、ムダな保険料を支払わないためにも、事故を起こさないような現場管理や指導を行うことが重要と言えます。

参考「法人自動車のフリート契約とは?そのメリットと注意点

まとめ

建設業は、一般住宅や高層ビル、店舗や工場、また空港やダムなど、ありとあらゆる建造物を作る仕事です。日本の労働人口が約6,500万人いるうち、建設業にかかわる労働人口は約450万人で、全体の約7%を占める主要な業種であるといえます。

そんな建設業について、万が一の事故が起きてしまった時の会社の損害は計り知れないほど大きなものになることもり、また従業員や第三者に対する賠償責任問題が起きることもあるでしょう。

建設業の様々なリスクに備える保険は、業務内容によって最適な補償内容は異なります。ご自身の会社にとって、どんな補償が必要なのか?今の補償は十分な内容となっているか?この記事をお読みいただいた皆様が、理解を深めていただけたらなら幸いです。

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