請負業者賠償責任保険とは?必ず知っておきたい基礎知識

工事現場や建設現場で事故が起きて損害賠償責任を負う場合に備え、請負業者賠償責任保険を検討しているのではないでしょうか。

請負業者賠償責任保険は、工事等の作業途中に誤って他人の身体や財物に損害を与えてしまった場合の賠償責任をカバーしてくれる保険です。

建設業者を初め、工事を請け負う業者であれば必ず加入しておくべきものです。

ただ、実際にどこまで補償をされるのか、逆にどういう場合に補償をされないのかなど、イメージしにくいと思います。

そこで、この記事では請負業者賠償責任保険について、特に、必ず知っておかないといけないことをお伝えします。是非参考にしてください。

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保険の教科書 編集部

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私たちは、お客様のお金の問題を解決し、将来の安心を確保する方法を追求する集団です。メンバーは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持っており、いずれも現場を3年以上経験している者のみで運営しています。

はじめに:請負業者賠償責任保険とは?

請け負った仕事を行うために「所有」、「使用」または「管理」している施設が原因となって、他人の身体に危害を加えたり、他人の財物に損害を与えてしまったりすることがあります。

その場合、あなたの会社は法律上の損害賠償責任を負うことになります。

請負業者賠償責任保険は、そのような場合にあなたの会社が被る損害を保障する保険です。

中には「建設業総合賠償責任保険」「事業総合賠償責任保険」という形でセットで総合的に保障されるものもあります。

注意していただきたいのは、請負業者賠償責任保険がカバーする範囲は、作業中の事故によって賠償責任を負ったケースに限られるということです。

それ以外のリスクは他の保険でカバーする必要があります。

たとえば、自社側が被った損害は請負業者賠償責任保険では補償されません。そういう損害は「建設工事保険」でカバーされます。

また、あくまでも作業中の事故で発生した損害を保障するもので、作業後に損害を与えても保障されません。

その場合は「PL保険(生産物賠償責任保険)」でカバーされます。

1.請負業者賠償責任保険は建設・工事業者には必須

請負業者賠償責任保険は、建設業者の方や工事業者の方であれば必ず加入しておくべき保険です。

なぜなら、工事は危険を伴うので、いざという時に他人に与える損害の金額が大きなものになる可能性が高いからです。

また、保険に入っていると、被害者への対応を素早く行うことができます。

そして、それによって企業イメージのダウンを最小限に抑えることもできます。

2.請負業者賠償責任保険の保障の対象となる工事等

請負業者賠償責任保険の対象となる主な工事等は以下のとおりです。

  • 各種地下工事
  • 道路建設工事
  • 道路等の舗装工事
  • 軌道建設工事
  • ビル建設工事
  • 橋りょう建設工事
  • 各種建築物
  • 設備工事
  • 移動・解体・ 取壊工事
  • プラント・機械装置の組立・据付工事
  • 高層構築物(鉄塔・高架 線等)建築工事
  • 建築物設備・機械装置等 の改修または維持工事
  • 土地 造成工事
  • 荷役、清掃、造園、芝刈・ 草刈作業、除草作業、殺虫 殺そ (害虫等駆除)
  • 引越、運送、撮影・取材、除雪、調査・測量、 放置車両 確認業務、ビルメンテナンス業務 等

具体的には以下のようなことが考えられます。

  • ビル改装工事中に高層の作業現場から電気ドリルを誤って落とし、通行人がケガをした。
  • ビル新築工事中にクレーンが横転し、道路走行中の自動車を損壊した。
  • ビル外装の塗装中にペンキ缶を落として通行人の衣服を汚した。
  • ビル建設工事の足場が外れて落下し、隣接する建物を損壊した。
  • 資材置場に積んであった材木が崩れ、遊んでいた子供がケガをした。

3.請負業者賠償責任保険の保障の対象にならない工事等

請負業者賠償責任保険で対象とならない主な工事等は以下のようになります。

  • 土地の掘削、地下または基礎に関する工事に伴う土地の沈下、隆起、振動、軟弱化等による土地や建物の損壊および地下水の増減(近隣の井戸水が涸れた等)
  • 建物外部から内部への雨・雪等の浸入または吹込み
  • 自動車、原動機付自転車または航空機の所有、使用または管理
  • 販売した商品、飲食物を原因とする食中毒その他の事故
  • 仕事の終了または引渡し後、その仕事に欠陥があったために生じた事故
  • ちり・ほこりまたは騒音
  • 飛散防止対策等の損害発生の予防に必要な措置を取らずに行われた作業による、塗料その他の塗装用材料、鉄粉、鉄錆または火の粉の飛散、拡散

また、以下の財物の損壊についてその所有者に対して負う賠償責任の場合も保障の対象外となります。

  • 被保険者が所有する財物
  • 被保険者が占有または使用している財物
  • 被保険者が直接作業を加えている財物(その作業の対象となっている部分をいいます。)
  • 他人から借りている財物(リース契約により被保険者が占有する財物を含みます。)
  • 保管施設において保管するために預かっている財物
  • 発注者等から支給された工事用資材や設置工事の目的物
  • 石綿(アスベスト)、石綿の代替物質等の発がん性その他の有害な特性
  • 汚染物質の排出・流出・いっ出または漏出(ただし、排出等が不測かつ突発的かつ急激で、所定の期間内に発見・通知された場合はお支払いの対象となります。)
  • 医療行為等法令により特定の有資格者以外行うことが禁じられている行為
  • ご契約者、被保険者の故意
  • 戦争、変乱、暴動、騒じょう、労働争議および地震、噴火、洪水、津波または高潮
  • 他人との特別の約定によって加重された賠償責任
  • 被保険者の同居の親族に対する賠償責任
  • 被保険者の使用人が被保険者の業務に従事中に被った身体障害(死亡を含みます。)
  • 排水または排気(煙を含みます。)等

4.請負業者賠償責任保険の契約は2種類

請負業者賠償責任保険の契約方式には、次のとおり「個別スポット契約」と「年間包括契約」があります。

①年間包括契約

あらかじめ定めたすべての工事・仕事について一括して保険を手配します。
たとえば「被保険者の施工するビル建設工事」「貴社が元請業者となる工事」といったように保険対象を限定することができます。

②個別スポット契約

個々の工事・仕事ごとに保険を手配します。工事・仕事の期間に合わせて保険期間を設定します。工事遅延等に備え、保険期間は仕事の期間より長めに設定できます。

これらのうち、広く活用されているのは、年間包括契約方式です。なぜなら、工事・仕事ごとに保険の申込みをする必要がなく事務の簡素化を図ることができるからです。

また、保険を付け忘れる心配がなく、会社の年間の経費予算に組み込める等のメリットがあります。

5.請負業者賠償責任保険の主な特約

5.1.管理財物損壊補償特約

自社が管理している財産の破損によって損害が出た場合に、損害賠償金等が補償されます。

この特約が付加されていないと、工事を行っているときに物品などを破損しても補償されないので、重要な特約です。

5.2.借用財物損壊補償特約

仕事の遂行のために、作業場内と保険証券に定められた施設内で他人から借りて使用・管理する財物を滅失、破損または汚損したことにより、貸主に対して損害賠償責任を負うことによる損害に対して、保険金が支払われます。

なお、紛失したり盗まれたりしたことによる損害は補償対象外となります。

5.3.支給財物損壊補償特約

仕事の遂行のために支給された財物を滅失、破損または汚損したことにより、その財物を支給した者に対して損害賠償責任を負うことによる損害に対して、保険金が支払われます。

紛失したり盗まれたりしたことによる損害は補償対象外となります。

5.4.工事遅延損害補償特約

原因事故が発生したことにより、対象工事の請負契約書で定めた履行期日の翌日から6日以上工事が遅れ、その結果、被保険者が損害賠償責任を負うことによる損害に対して、保険金が支払われます。

5.5.地盤崩壊危険補償特約

地下工事、基礎工事または土地の掘削工事に伴う、次の①または②の損害に対して保険金が支払われます。

①不測かつ突発的に発生した土地の沈下・隆起・移動・振動・軟弱化、土砂崩れまたは土砂の流出・流入によ財物が損壊したことについて、被保険者が賠償責任を負うことによる損害

②地下水の増減による地盤の崩壊のため発生した財物の損壊について、被保険者が賠償責任を負うことによる損害

まとめ

請負業者賠償責任保険は、工事などを請け負う業者には必ず必要な保険です。

ただし、あくまでも工事中・作業中に他人に損害を与えた場合しか補償されません。

つまり、工事中の事故で自社側が被った損害は請負業者賠償責任保険では補償されません。そういう損害は「建設工事保険」でカバーされます。

また、工事完了後に損害が発生しても、請負業者賠償責任保険では補償されません。

工事完了後は「生産物」になるため、「PL保険(生産物賠償責任保険)」が必要となります。

建設業者の方や工事業者の方は「建設業総合保険」など、損害がトータルで補償されるものを検討したほうがいいでしょう。

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