旅館・ホテル業に必要な賠償責任保険はどのようなものか

数ある業種の中でも、旅館・ホテル業は顧客という第三者と特に密接に関わる商売であるといえます。

第三者との接触が多いということは、その分トラブルも多いわけで、現に顧客から損害賠償を請求されるようなトラブルも少なくないようです。

旅館やホテルを経営する際には、そういったトラブルの際に損害賠償金を補償してくれる保険が不可欠といえるでしょう。

そこで今回は、旅館業・ホテル業を経営する上で必要といえる賠償責任保険について紹介していきます。

1.旅館・ホテル業で考えられるトラブルとは

旅館・ホテル業では、顧客に一時的に衣食住を提供するという業態上、第三者に関わる時間が他業種よりも多いです。

その分、賠償責任が発生するようなトラブルが起こる確率も高くなっています。

では、旅館業・ホテル業では、どのような賠償責任が発生する可能性があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

1.1.提供物に関するトラブル

まず考えられるのが提供物に関するトラブルです。

旅館業・ホテル業では、食事の提供や衣服の貸与などが日常的に行われます。

もし、提供した食事が原因で顧客が食中毒になったり、販売しているお土産に不具合があった場合、旅館やホテル側には賠償責任が発生するのです。

特に旅館では、大人数の宿泊客に対して同じ食事を提供する機会も多く、大人数で集団で食中毒になるリスクも高いといえます。その場合、損害賠償金は高額になる可能性があります。

このような事態に備えるべく、賠償責任保険は重要であるといえます。

1.2.受託物に関するトラブル

旅館業やホテル業では、宿泊客から荷物を預かることも多いです。

もし、従業員の管理ミスなどで受託した荷物などを紛失してしまった場合、紛失した荷物に対する賠償責任が発生します。

紛失の他にも、荷物を預かる際には盗難や破損・汚損のリスクなどもあり、それらについても賠償責任が発生するので注意が必要です。

従業員を雇っている限りは人為的ミスが発生する可能性は完全には否定できません。発生しうるリスクにあらかじめ保険で備えておけば、安心して旅館やホテルを経営できるはずです。

1.3.施設の欠陥などによるトラブル

旅館・ホテル業では、人為的ミスだけでなく施設の欠陥や不備などによってトラブルが発生することもあります。

具体的には以下のようなトラブルです。

  • 建物の老朽化が原因で床が抜けてしまい、宿泊客がケガをしてしまった
  • シャンデリアが落下して宿泊客がケガをしてしまった
  • サウナの温度調節機能が壊れており、宿泊客が脱水症状を起こしてしまった

このような施設の欠陥・不備によるトラブルについても、賠償責任は発生します。

旅館やホテルを経営する場合は、人為的なトラブルだけでなく、施設によるトラブルにも備えなければならないのです。

2.トラブルに備えるために加入するべき保険とは

旅館・ホテル業で発生しうる賠償責任について分かったところで、実際にどのような保険に加入するべきなのかを紹介していきます。

それぞれのトラブルに対して対応できる保険は、以下のようになっています。

  • 提供物に関するトラブル:PL保険、旅館賠償責任保険
  • 受託物に関するトラブル:旅館賠償責任保険
  • 施設の欠陥などによるトラブル:施設賠償責任保険、旅館賠償責任保険

詳しく見ていきましょう。

2.1.PL保険は提供物に関するトラブルに備える保険

まず紹介するのはPL保険です。

PL保険は生産物賠償責任保険とも呼ばれ、提供したモノに欠陥があったことで顧客に損害を与えてしまった際に発生する賠償責任に備えられる保険です。

旅館・ホテル業では、先述したような提供した食事が原因での食中毒や、販売している土産物による食中毒やケガ等の損害などに備えることができます。

詳しくは「PL保険はなぜ必要?思わぬ賠償リスクから会社を守るための基礎知識」をご覧ください。

2.2.施設の欠陥に関するトラブルには施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は、管理している建物内で発生したトラブルについて、包括的に備えることができる保険です。

具体的には、施設の欠陥などによって顧客にケガをさせたり、顧客の所有物に損害を与えてしまった場合や、従業員のミスで宿泊客に損害を与えてしまった場合が当てはまります。

1つの建物に多数の第三者が出入りすることになる旅館やホテルでは、いかにメンテナンスをしていても、施設の欠陥によるトラブルを完全に排除することは困難といえるでしょう。

また、従業員が飲みものをこぼしてしまい、顧客の持ち物や衣服などを汚してしまった場合などについても対応可能です。

安心して旅館やホテルを経営するためにも、必要不可欠な保険であるといえるでしょう。補償内容の割には保険料が安いのも特徴で、コストパフォーマンスの高い保険です。

詳しくは「施設賠償責任保険とは?意外に知らない補償内容と必要性」をご覧ください。

2.3.保険会社によっては旅館やホテルが受託物賠償責任保険の対象外の場合もある

旅館やホテルで発生しがちなトラブルの1つである「受託物に関するトラブル」に備えるための保険として有名なのが、受託物賠償責任保険です。

しかし、保険会社によっては旅館・ホテル業が受託物賠償責任保険の対象外となっている場合があるので注意が必要です。

詳しくは「受託者賠償責任保険とは?対象となる会社と補償内容」をご覧ください。

受託物賠償責任保険が使えない場合、旅館やホテルを経営する上で受託物に関するトラブルに備えるために、総合賠償責任保険や旅館賠償責任保険など、様々な補償がパッケージングされた総合保険を利用することになります。

2.4.旅館賠償責任保険ならたいていのトラブルに対応できる

旅館賠償責任保険は、旅館・ホテル業での賠償責任が発生するトラブルに特化した保険で、ここまでに紹介したPL保険、施設賠償責任保険、受託物賠償責任保険がセットになったような補償内容となっています。

特に旅館・ホテル業では契約ができない受託物賠償責任保険と同じ補償内容を受けられるというのは大きいです。

同じくパッケージングされた保険としては総合賠償責任保険というものもあります。総合賠償責任保険は、旅館賠償責任保険よりも幅広く、以下のようなリスクに備えることが可能です。

  • 業務上のミスで事故が生じるリスク
  • 所有・管理する施設の欠陥により事故が生じるリスク
  • 製品や仕事の欠陥が原因で事故が生じるリスク
  • お客様や取引先から預かった物を壊したりなくしたりするリスク

幅広い業種をカバーするために、様々な特約が用意されているのも特筆すべき点と言えるでしょう。

旅館・ホテル業で重要になってくる特約は食中毒・感染症危険利益補償特約です。この特約では、食中毒や感染症によって生じた利益損失を補償してくれます。

食中毒などによって発生した損害賠償金だけでなく、評判が下がることによる利益損害もカバーしてくれるということで、必ず付けておきたい特約といえるでしょう。

詳しくは「総合賠償責任保険とは?必ず確認しておきたい補償範囲と基礎知識」をご覧ください。

まとめ

旅館・ホテル業に必要な賠償責任保険は、PL保険、施設賠償責任保険、受託物賠償責任保険です。

しかし、このうち、受託物賠償責任保険については、旅館・ホテルが補償対象外となっていることがあります。受託物賠償責任保険と同じ補償を得たいのであれば、旅館賠償責任保険や総合賠償責任保険など、パッケージングされた保険に加入すると良いでしょう。

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保険の教科書 編集部

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