総合賠償責任保険とは?必ず確認しておきたい補償範囲と基礎知識

公開 2017年4月27日更新 2021年5月20日
総合賠償責任保険とは?必ず確認しておきたい補償範囲と基礎知識
総合賠償責任保険とは?必ず確認しておきたい補償範囲と基礎知識

総合賠償責任保険は、企業が顧客や第三者の身体や物に損害を与え賠償責任を負ってしまう典型的ないくつかのリスクについて、まとめて賠償金等の費用を補償する保険です。

「賠償責任保険」と呼ばれるものは様々な種類がありますが、あなたの会社の損害賠償のリスクを一種類の「賠償責任保険」だけでカバーしきれることは稀です。

そこで思いつくのが、もし企業が抱える典型的なリスクをセットにしてある「賠償責任保険」があればいいなあ、ということではないでしょうか。

総合賠償責任保険は、そういうあなたのニーズに答える保険です。ただし、補償内容が100%全ての会社のニーズにマッチしているわけではありません。そこで、基本的な中身を理解した上で、総合賠償責任保険を選ぶのかどうかを考える必要があります。

この記事では総合賠償責任保険について、具体的にイメージしていただけるように基本的なことから説明しようと考えています。どうか最後までお読みになってお役立てください。

1.会社の4つのリスクを総合的に保障する

会社にはさまざまな損害賠償請求を受けるリスクがありますが、多くの会社に共通するリスクを考えてみると、以下の4つに集約されます。

  1. 業務上のミスで事故が生じるリスク
  2. 所有・管理する施設の欠陥により事故が生じるリスク
  3. 製品や仕事の欠陥が原因で事故が生じるリスク
  4. お客様や取引先から預かった物を壊したりなくしたりするリスク

そして、総合賠償責任保険はこれら4つのリスクをカバーしてくれる保険をセットにしたものです。以下、それぞれのリスクと、本来単品の「賠償責任保険」だとどの保険でカバーされるものか、お伝えします。

これらのリスクが全てあてはまるのであれば、あなたの会社には、総合賠償責任保険が向いていると言えます。逆に、そうでないならば、敢えて総合賠償責任保険を選ばず、それぞれ単品の保険で補償を備えることも選択肢の一つです。保険料を比較して決めれば良いでしょう。

1.1.業務活動中のミスで事故が生じるリスク

最も重要なのが、業務活動中のミスで事故が生じて損害賠償を負ってしまうリスクです。そして、総合賠償責任保険は、典型的な業務上のミスによるリスクをカバーします。例えば、工事中に通行人に怪我をさせて損害賠償責任を負った場合や、飲食店で火事を出しお客様を怪我させてしまった場合等です。

1.2.所有・管理する施設の欠陥により事故が生じるリスク

会社が所有・管理する施設で他人にケガをさせたり、物を壊したりして損害賠償責任を負うリスクです。

例えば、店の床が濡れていたためお客様が転んでケガをした場合です。

このリスクを単品でカバーする保険は「施設賠償責任保険」です。施設賠償責任保険については『施設賠償責任保険とは?意外に知らない補償内容と必要性』で詳しく解説していますのでご覧ください。

1.3.製品や仕事の欠陥が原因で事故が生じるリスク

製造・販売した商品によりお客様の身体に傷害を与えたり、工事の欠陥が原因でお客様の身体や財産に損害を与えたりした場合に損害賠償責任を負うリスクです。

例えば、以下のようなケースです。

  • 飲食店で提供した食べ物に細菌が繁殖していてお客様が食中毒になった場合
  • 製造した電気製品に欠陥があったせいでお客様の家が火事になった場合
  • 排水管の工事が不十分で水漏れが起きてしまった場合

この製造物・完成作業リスクを単体でカバーする保険は、「PL保険(生産物賠償責任保険)」です。PL保険については『PL保険はなぜ必要?思わぬ賠償リスクから会社を守るための基礎知識』で詳しく解説していますのでご覧ください。

1.4.お客様や取引先から預かった物を壊したりなくしたりするリスク

お客様や取引先から預かった物を、破損してしまったり紛失してしまったり盗まれてしまったりした場合に損害賠償責任を負うリスクです。

対象となるのはたとえば、以下のような物です。

  • 借りている物
  • お客様から修理・清掃に使用するため預かっている材料、部品、装置、設備など
  • 販売・保管・運送のため預かった物

このリスクを単品でカバーする保険は「受託者賠償責任保険」です。受託者賠償責任保険については『受託者賠償責任保険とは?対象となる会社と補償内容』で詳しく解説しています。

なお、運送業者のように、物を預かること自体がメインの仕事の場合、「受託者賠償責任保険」ではなく「運送保険」の対象になります。なぜなら、この場合はずばり「1.1.業務上のミスで事故が起きるリスク」にあたるからです。

2.オプションにより補償対象を拡大することができる

先ほど総合賠償責任保険は総合的に補償されるとお伝えしましたが、基本補償だけですべての会社がカバーできるわけではありません。

業種によっては追加で補償を必要とする場合がありますので、オプションを追加することによりカバーすることができます。保険会社によって名前、補償内容に違いがありますが、例えば以下のようなオプションがあります。

2.1.構内専用車リスク補償特約

工場や倉庫などでフォークリフトなどの特殊車両を使用していて、来訪者をケガさせてしまった場合に補償を受けることができます。施設で特殊車両を使用する場合には必須と言えます。

2.2.食中毒・感染症危険利益補償特約

飲食店などで一番怖いのは、提供した飲食物によって食中毒が起きてしまうることでしょう。この特約を付加することにより、会社の利益が減少した場合の損失が補償されます。

一度食中毒が出ると、信用がなくなり一気に会社が傾くことがあります。したがって、飲食店を経営している会社では必須の特約です。

2.3.不良完成品等リスク補償特約

取引先に納品した機械や食品等が不良品だったために、最終的な完成品も不良品になってしまった場合に補償されます。

例えば、以下のようなケースです。

  • 納品した冷却器(冷蔵庫の部品)が不良品だったので、取引先が製造した冷蔵庫がすべて不良品になってしまった
  • 納品した生クリームが腐っていたため、取引先がその生クリームを原材料として製造したケーキがすべて不良品になってしまった

このように業種によって追加で必要な補償がありますので、オプションで必要なものを追加しましょう。

3.総合賠償責任保険4つの注意点

3.1.「法律上の賠償責任」が発生しないと補償の対象とならない

これは賠償責任保険全般に言えることですが、基本的に「法律上の賠償責任」が発生しないと補償の対象となりません。「法律上の賠償責任」というのは、もし裁判になったら「●●円の損害賠償金を支払え」と命じる判決が出るという意味だと思っていただければけっこうです。

例えば、店内でお客様が転びケガをしたが、お客様に落度があったためそもそも賠償責任が発生しない場合です。この場合、法律的には賠償責任が発生しなくても「見舞金」を出してあげるということがあります。そういう場合は補償の対象とはなりません。

3.2.国内の事故のみ補償の場合が多い

総合賠償責任保険は国内の事故のみ補償となっているものが多く、海外でもビジネスをしている会社は注意しなければいけません。保険会社によりますので、現に海外でビジネスをしている場合やこれから海外展開を考える場合は、補償の範囲がどこまで及ぶのか確認をして、保険会社を選択しましょう。

3.3.総合的に必要のない業種や企業もある

例えば、製造業や建設業など物を作り、他人に提供する業種や飲食業などはリスクが多く存在し、総合的に補償が必要になりますが、サービス業やコンサルティング業など特定の補償だけ必要な業種もあります。

総合的に補償されているから安心だと安易に加入するのではなく、会社にとって本当に必要な補償を見極めることが重要です。

3.4.特殊な賠償責任は別に専用の保障が必要

総合賠償責任保険はあくまで多くの会社に共通する損害賠償リスクをカバーするためのものなので、特殊なリスクはカバーしてもらえません。たとえば、以下のようなリスクです。

  • 個人情報を取り扱う業者:個人情報漏洩事故を起こしてしまった場合
  • 運送業者:お客様から預かった荷物を汚損・紛失してしまった場合
  • 自動車修理業:お客様から預かった自動車が盗難に遭ってしまった場合

このような、それぞれの業種に特有のリスクは、別に専門の補償を備える必要があります。それは、特約を付けられる場合もありますし、別の保険に加入しなければならない場合もあります。

特定の業種に特有のリスクを単品でカバーする保険は、個人情報を取り扱う業者の場合は「サイバーリスク保険」、運送業者は「運送保険」、自動車修理業は「自動車管理者賠償責任保険」です。

まとめ

総合賠償責任保険は多くの会社に共通して必要な4種類の補償を総合的に兼ね備えている保険です。しかし、業種によっては必要のないもの、または追加で必要なものがありますので、会社にとってどの補償が必要なのか判断することが加入するときには大切です。

いざというときに補償されていないなんてことにならないように、自分の会社にとってどういうリスクがあるのか明確にしてから補償内容を選択しましょう。

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