次のようなことでお悩みはありませんか?
・自分の会社にピッタリの船舶の保険を選んで加入したい
・今入っている船舶の保険で大丈夫か知りたい
・保険料を節約したい
もしも、船舶の保険についてお悩みのことがあれば、どんなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
PI保険(船主責任保険)とは、船舶の航行中に事故が起きて他の船舶や人に損害を与えてしまった場合に、船舶の保有者の方が負う損害賠償責任等の費用をカバーする保険です。
たとえば、船舶の航行中に沈没や座礁、衝突、火災等の事故があると、他の船舶や第三者に対して損害を与えてしまうリスクを含んでいます。また、積んでいた貨物の損害に関する費用を負担する必要も出てくるかもしれません。そんな時に備えるのがPI保険です。
分かりやすくいうと、船舶保険や貨物保険といった海上保険を「物保険」とするならば、PI保険は「賠償責任保険」ということになります。
PI保険の対象は品物の輸出入に関わるような商船はもちろんのこと、漁船を対象とした保険もございます。
この記事ではPI保険の基本的な補償内容について注意点を中心にわかりやすくご案内いたします。ぜひ最後までお付き合いください。
保険の教科書 編集部
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目次
冒頭で申し上げた通り、PI保険は船舶における事故に対する様々な賠償責任や費用をカバーする保険です。まずは、どんな時にPI保険の対象となるかについて確認していきましょう。
自動車事故と同じように、船舶同士の衝突事故でも、加害者には被害者に対する損害賠償責任など、さまざまな費用が発生することになります。PI保険では、これらの費用をカバーすることができます。
注意点としては、PI保険とは別に、船の火災や衝突に対する損害を補填する船舶保険に加入していた場合、3/4を船舶保険、残り1/4をPI保険でカバーする場合があります。ただし、漁船に対するPI保険については全額PI保険でカバーする決まりになっています。
先ほどと同じく、自動車事故を想像してみてください。車の事故には電信柱や店舗に突っ込んだりする「対車以外」の事故も多く発生しています。
PI保険では、船舶の運行や操作が原因で発生した湾岸付近の様々な施設に関する損害をカバーします。定置網や養殖業など漁業に関する施設も対象となります。
乗組員の負傷や死亡事故がおきた時、それらに対して発生する各種費用をカバーするのもPI保険の特徴です。陸上で働く作業員が、船舶に積む荷物の落下で負傷した場合なども補償の対象になります。
沿岸を航行する漁船については、海水浴客やダイバーなどと接触する事故も発生していますから、観光客がいるような海岸付近を航行する時は、特に注意が必要です。
船舶が事故を起こして全損(全面的に損失)となった場合、海上保安庁や市区町村長、港湾管理者などから、法令に基づいて残骸の撤去命令を受けた場合に発生する「片付け費用」に関する費用をカバーします。
多くは撤去命令を受けた船主が、サルベージ会社などの専門業者に依頼し対応するようになります。
油濁事故は、船舶同士の衝突以外にも、座礁などによる燃料タンクの破損、給油中にタンクが満杯になり油が流出、バブル操作ミスによるオーバーフロー等があげられます。
たとえば、もしも大型タンカーが積荷の重油が流出するよう大事故を起こせば、近海の海産物産業には深刻なダメージが残り、その損害賠償責任や清掃費用は企業にとって深刻なものになるのは想像するに容易いでしょう。企業イメージが悪化するのはもちろん、場合によっては船長や船主に対する罰金が課されることもあります。
運送中に貨物を損傷してしまった場合、持ち主である荷主に対して、損害賠償をしなければならないことがあります。
これまで、業界における暗黙の了解として、貨物に対する損害が発生した場合、その損害は貨物の持ち主である荷主の貨物保険で補償され、その原因が船主の過失であっても、荷主は船主に対して費用を請求しないのが一般的でした。しかし、法律上の考えはこれとは異なり、船主は貨物損害について責任があるとされています。
そして、PI保険はその際に、以下の費用をカバーしてくれます。
これまでの習慣を崩すことを良しとするわけではありませんが、万が一のリスクを考えると、船主は貨物の損害に対する補償をカバーするPI保険を備えておく必要があるといえるのではないでしょうか?
PI保険は、通称「P&Iクラブ」という船主組合が引受けを行っていて、世界の外航船舶の約9割がいずれかのP&Iクラブに加入していると言われています。日本国内においても、主に2つの組合がPI保険を取り扱っています。
最後に、PI保険に加入するときに選ばれている代表的な組合と、損害保険会社との相違点についてご紹介いたします。
国内または国際間の貿易などで運行している商船を対象としているのが「日本船主責任相互保険組合」、通称「Japan P&Iクラブ」です。世界で13のP&Iクラブがあり、その全てが非営利団体の相互保険組合となっています。タンカーに関する賠償責任保険については95%が契約をしていて、たいへん大きな組織になります。
組合員となり保険に加入できるのは、船主や賃借人、用船者(船を借りる人)などです。PI保険の補償については、すでにご案内しましたが、実は保険金額については内航船と外航船で上限額が異なります。細かくは触れませんが、危険の高い外航船の方が高額な設定となります。
参考サイト:『日本船主責任相互保険組合』
漁業に携わっている方にとってはお馴染みの内容かもしれませんが、漁船には「日本漁船保険組合」が運営する様々な漁船専門の保険があります。
対象となるのは総トン数が1,000トン未満の漁船所有者もしくは使用者です。基本的な漁船保険に加入すると、その付帯契約として漁船PI保険に加入することができます。
商船が対象のPI保険とは異なり、品物などの貨物を運ぶことはありませんから、1-6にあるような貨物に対する補償はありません。その代わり、というわけではないのですが漁獲物を補償する独自の保険が存在します。
※参考サイト『日本漁船保険組合』
船舶に関する保険は、その目的や対象によって多くの種類が存在します。大きく分けると、船そのものを補償する「船舶保険」、海上輸送中の損害に備える「貨物保険」があります。これらの保険は、自動車保険や火災保険などと同様に損害保険会社が保険を引き受け、損害が発生すると保険金を支払います。
船に関する保険で、損害保険会社が引き受けていない損害が、油などによる海洋汚染、船舶が沈没・座礁した時の撤去費用など、船舶の運航に伴って発生するものです。これらは船主同士がお互いに経済的損失を補償しあうため、営利を目的としない非営利団体である船主責任相互保険組合がPI保険で損害をカバーしているのです。
※JSA(一般社団法人日本船主協会)「船と海の保険Q&A」より一部抜粋
日本は海に囲まれた島国のため、海上における事故は後を絶ちません。そんな中、沿岸に放置されている国内外の座礁船の問題に対処する為、2004年4月より「油濁損害賠償保障法」が改正されました。これにより、2005年3月1日以降、外航船へのPI保険加入が義務付けられるようになりました。
対象となるのは、総トン数100トン以上の以下の船舶となります。
PI保険で必須となる補償内容は、以下の2つをカバーするものです。
この他に、最低保険金額についても定めがあります。
国際貿易や船舶にかかわる業務に従事されている方にとっては、知っていて当然の内容とは思いますが、船内に証明書等を備え置くことが必要、といった細かな規定もありますから、改めてご確認をお願いいたします。
※参考サイト:国土交通省『外航船へのPI保険加入義務付けについて』
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。この記事ではPI保険(船主責任保険)の基本的な補償内容についてご紹介させていただきました。
PI保険は、主に船舶の運航による事故で負う賠償責任や費用をカバーする保険です。
船舶は航海に伴って、沈没・転覆・座礁・火災・衝突やその他様々な海上危険にさらされます。そんな中で船舶に対する保険も様々ございますが、PI保険では他の船舶保険や貨物保険ではカバーできない、人身損害や船舶以外のモノに対する賠償責任、油を流出させた場合の責任や費用までも補償の対象とすることができます。
昨今では、外航船に対するPI保険への加入が義務付けられています。商船や漁船など、船舶の種類によってPI保険の選び方は異なりますが、保険組合を通してPI保険に加入するのが一般的でしょう。
この記事をお読みいただいた船舶業界に従事されているみなさまが、改めてPI保険の基本的な補償内容についてご確認いただけたなら幸いです。
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