火災保険の重要な特約10選

火災保険にはさまざまな特約があり、補償の範囲を広げたりカスタマイズしたりすることができます。

しかし、パンフレットや保険会社のサイトを見ただけでは、それぞれの補償内容がどうなっているかということや、その特約が必要か不要かということはすぐ判断できないことと思います。

この記事では、火災保険の数ある特約の中でも、代表的なもの、重要なものについて、まとめて分かりやすく紹介しています。

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保険の教科書 編集部

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1.【新価保険特約】建物を再築するのに必要な額を補償してもらう特約

火災保険の保険金の算出方法は「新価」「時価」の2種類があり、火災保険の契約時にどちらの方法を選択するかを決めます。

新価とは補償対象を改めて建築・購入するのに必要な金額を算出する方法です。新価で保険金が算出されれば、保険金だけで損害をカバーする費用を賄えます。

これに対し、時価は、新価から経年劣化によって落ちた金額を差し引く算出方法です。時価だと、保険金だけでは元と同等の建物を再建できません。

これをふまえ、「新価保険特約」とは、火災などで建物が被害を受けた際に、建物を再築するための保険金を新価で算出してもらうための特約です。

逆に言えば、新価保険特約が用意されている火災保険では、この特約をつけない限り建物の再築が必要な際に時価で保険金が算出されるということになります。

ただし最近では、新価保険特約が自動的に付いている火災保険、新価保険特約を付けなくても新価で保険金を算出してくれる火災保険が一般的になっています。

2.【臨時費用保険金補償特約】損害保険金以外の臨時費用を補償する特約

火災などの災害・事故に遭った場合、損害を復旧する以外にもいろいろなお金がかかります。

たとえば建物を修理する必要が生じた場合、工事の間、ホテルなどに仮住まいするための費用などがかかってしまいます。

このように、損害復旧以外にかかる費用を賄うのに使えるのが「臨時費用保険金補償特約」です。

臨時費用保険金は使い道が限定されていないため、契約者の自由に使うことができます。万が一の際に役立つ特約なので、できるだけ付けた方がよいでしょう。

3.【個人賠償責任特約】日常生活で他人に損害を与えた場合のための特約

日常生活で他人に何らかの損害を与えて損害賠償責任を負ってしまった場合に、賠償金等の費用を補償してくれる保険を、「個人賠償責任保険」と呼びます。それを特約として付けられます。

個人賠償責任特約では、以下のような場合にその賠償金等の費用を補償してもらえます。

  • マンションで洗濯機のホースが外れてしまい、階下の部屋を水浸しにしてしまった
  • デパートで買い物をしているときに、バックを商品の花瓶にぶつけて壊してしまった
  • 子どもがキャッチボールをしているときに他人の家の窓ガラスを割ってしまった
  • 結婚式のパーティでワインをこぼし、他の参加者のドレスを汚してしまった
  • 散歩をさせていた犬が、通行人にかみつき怪我をさせてしまった
  • 自転車で走行していて、歩行者にぶつかって怪我をさせてしまった

特に注目したいのが、自転車事故による賠償に対応している点です。

最近では自転車事故が社会問題化しており、万が一事故を起こしてしまった場合に被害者への損害賠償金が数千万円など高額になることがあることから、自治体レベルで自転車保険加入義務化の動きが広がっています。

個人賠償責任保険に入っていれば、上述のとおり自転車事故の賠償に対応しているため、この義務をはたしていることになるのです。

このように、個人賠償責任特約は非常に役立つため、おすすめです。

なお、個人賠償責任特約は、他に自動車保険や傷害保険にも付けられますが、火災保険に付けることをおすすめします。なぜなら、住む家がある限り、火災保険は必ず加入するものだからです。

詳しくは「火災保険につけられる個人賠償責任保険とは何か?」をご覧ください。

4.【弁護士費用等補償特約】弁護士費用を補償してくれる特約

他人によってケガをさせられたり、自宅の建物や家財が損害を受けたりした際は、相手に損害賠償を求めることになります。

その際に弁護士に相談したり、交渉を依頼したりする際の費用を補償してくれるのが弁護士費用等補償特約です。

こういった交渉を自分自身で行うのは精神的な重い負担になりますし、弁護士を雇うと費用もかかりますので、加入しておいた方がよいでしょう。

5.【類焼損害特約】隣家に類焼させてしまった際に補償を行う特約

日本には失火責任法という法律があり、仮に自分の住居で出した火災が隣家等に類焼してしまった場合でも、その火災が「故意」もしくは「故意と同視されるほどの重大な過失」でない限り、損害賠償責任を負わないことになっています。

「故意と同視されるほどの重大な過失」の例としては、寝たばこによる火災があげられます。

ただし、法律上の損害賠償責任が否定されても、自宅の火事が隣家などに類焼してしまった場合、被害者に何の補償もしないというのは、今後も隣家としての付き合いが続くことを考えると気持ち的にも難しいのではないでしょうか。特に、被害者が被害者自身の火災保険で損害をカバーしきれなかった場合、何らかの補償はしてあげたいものです。

そこで登場するのが類焼損害特約です。

類焼損害特約とは、自分の住居から火事を出して他へ類焼させてしまった場合に、他の住宅や家財(家具・家電・衣類など)に生じた損害を補償するための特約です。

なお、相手の火災保険で補償が行われる場合は、その補償でまかなえない分の損害額のみ、類焼損害特約で補償される点は注意してください。

いずれにしろ、万が一のときのためにも付帯しておいた方がよい特約といえます。

6.【失火見舞金費用補償特約】火事が類焼した際の見舞金を支払うための特約

失火見舞金費用補償特約もまた、類焼損害特約と同じように隣家などに火事を類焼させてしまったときに相手へお金を払うための特約です。

類焼損害特約と似ていてまぎらわしいですが、以下のような違いがあります。

  • 類焼損害特約:損害に応じた補償を行う(被害者側の火災保険で賄えなかった部分の額のみ)
  • 失火見舞金費用補償特約:損害額にかかわらず見舞金を支払う

失火見舞金費用補償特約で補償してもらえる見舞金の額は保険商品によって異なり、たとえば一世帯あたり●十万円というように決められています。

類焼損害特約同様に、万が一のときの助けになる特約であるため、できれば付帯しておいた方がよいでしょう。

7.【携行品損害補償特約】外出先での持ち物の損害を補償する特約

火災保険では家財(家電・家具・衣類など)が補償対象になっていますが、補償されるのは自宅の中にあって火災などの事故・災害にあった場合です。

一方「携行品損害補償特約」は、家財を外出先に持ち出し、偶然の事故によって損害が発生した場合に補償してくれる特約です。

実際に補償が行われる例として、以下のような例があげられます。

  • 旅行先にデジタルカメラを持って行って、あやまって落とし割ってしまった。
  • ゴルフをしているときに、クラブを木に引っ掛けて折ってしまった

外出先に高価なものを持ち出す機会が多く上記のような事故の不安がある方は、付与することを検討したい特約です。

なお、携行品損害補償特約によって何が補償されるかは保険会社・保険商品によっても異なります。

たとえば、スマートフォン・ノートパソコンについては、この特約によって補償されない保険会社・保険商品が多いので注意してください。

また補償してくれる金額や、損害額のなかでいくらまでは自己負担とするかといった設定も、保険会社・保険商品によってそれぞれです。

そのため、火災保険に携行品損害補償特約をつける場合には、補償の対象や受け取れる保険金の額といった詳細をあらがめ必ずチェックすることをおすすめします。

8.【受託物賠償責任補償特約】借りていたものの損害を補償する特約

他人から預かったものを壊してしまったりなくしてしまったりした場合、損害賠償責任を負うことになります。

受託物賠償責任補償特約は、その際の賠償金を補償するための特約です。

補償の対象は、友人や知り合いなどから借りたもの以外に、レンタル業者から借りたものも含まれます。

最近ではサブスクリプションサービスが流行していますが、高価なものをよくレンタルされる方は付帯するのを検討してもよいでしょう。ただし、自動車は対象外です。

なお、ここまで読んだ方の中には、「他人に損害を与えているわけだから個人賠償責任保険の方で補償されないのか」と考える方もいらっしゃるでしょう。

その疑問は当然ですが、多くの火災保険の商品では、基本的に、自分が借りて持っているものは補償されません。

なお、最近では、個人賠償責任保険の補償対象を「他人から借りたもの」まで拡大している保険会社・保険商品も登場しています。

9.【建物電気的・機械的事故特約】電気的・機械的な事故による損害を補償する特約

建物電気的・機械的事故特約は、建物にくっついて容易に取り外せない機械について、電気的・機械的な事故による損害を補償してくれる特約です。

対象となる機械は以下のようなものです。

  • エアコン
  • ビルトインタイプのオーブンレンジや食器洗浄機
  • 給湯器
  • 照明
  • 床暖房
  • インターフォン
  • 電動シャッター
  • 太陽光発電機など

これに対し、単に据え置きして電源プラグだけでつながっている家電製品等は、補償の対象外です。

「電気的な事故」は過電流・ショートなどの電気的な事故、「機械的な事故」は機械が折れたり溶けたりなどの機械的な事故です。

上記に挙げたような機械が、こういったことが原因で故障する可能性はそれほど高くはありません。

とはいえ、万が一故障してしまったときの損害額は高額になることもあるので、「どうしても不安」という方は加入するとよいでしょう。

詳しくは「建物電気的・機械的事故特約とは?補償内容と必要性」をご覧ください。

10.【借家人賠償責任特約】賃貸物件なら必須!家主への賠償責任を補償する特約

借家人賠償責任特約は、賃貸向けの火災保険で必ず加入しなければならない特約です。

もし賃貸住宅で借主が火事を起こすなどして建物に損害を与えてしまった場合は、家主に対して建物の損害を賠償する義務を負います。

しかし、この場合の賠償金は数百万円~数千万円と高額になることがあります。

そこで、借家人賠償責任特約を付帯しておけば、この賠償金を補償してくれます。

賃貸契約をする場合は、火災保険へ加入することが義務付けられていますが、その目的は、借主にこの特約をきちんと付けてもらうことです。

詳しくは「借家人賠償保険とは何か?補償内容と必要性」をご覧ください。

11.【補足】特約に関する注意点

全ての保険会社の火災保険において、同じ特約が同じ名前で提供されているわけではありません。

また、新価保険特約のように、今ではあえて特約として付帯しなくてもこの特約のサービスが提供される火災保険があるといった場合もあります。

そのため、火災保険を契約する際には、ここにあげるような特約があることを押さえた上で、個々の火災保険でどのような扱いになっているかチェックするとよいでしょう。

また、どんな損害についてどのくらいまで補償してもらえるかも、誤解したまま契約してしまうことがないように、最初にしっかり確認しておきましょう。

まとめ

火災保険の補償は幅広く、特約にもさまざまな種類があります。

火災保険の公式サイトなどでは、各特約の内容について詳しく説明されていない場合も多いため、火災保険を契約する前に、この記事でそれぞれの特約について簡単に把握しておくとよいでしょう。

代表的な特約の内容を把握しておけば、より希望にあった形で火災保険の契約内容を決められるようになります。

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