火災保険で屋根修理ができるという詐欺トラブルが増加中!手口と対策

「火災保険の保険金で、自己負担なしで屋根修理ができる」と勧誘する詐欺まがいの業者によるトラブルが横行しています。

実際には、火災保険の保険金を受け取るのには条件があり、必ず自己負担なしで屋根修理ができるとは限りません。

この記事では、火災保険の補償内容と補償を受けられる条件を簡単に確認したうえで、火災保険を悪用した詐欺業者の手口、どうすれば詐欺に騙されないようにできるか等を解説しています。

1.火災保険の保険金は正当な理由がなければ受け取れない

火災保険では、火災をはじめ以下に挙げる災害で住宅が破損した場合に、修理に必要な費用を保険金として補償してもらえます。

  • 風災:台風・暴風などの風による損害
  • 雪災:豪雪・雪崩などによる損害
  • 雹災(ひょうさい):雹による災害

これらの災害によって住宅に損害が発生して修理が必要になったことが証明できて初めて、契約者は保険金を受け取ることができるのです。

1-1.どのように保険金を請求するか

本来であれば、災害によって住宅が損害を受けたことが分かったら、すぐに保険会社へ連絡します。

その後、保険会社の指示に従って必要書類を揃え、保険金の請求手続を行います。

保険会社の側では必要書類を確認し、現地調査を行い、審査が通れば保険金を支払います。

必要書類の中には修理見積書が含まれており、これは業者に作成してもらう必要があるため、悪質な業者がつけ入る隙となっています。

2.「火災保険で屋根修理できる」などという詐欺トラブルが多発

「火災保険で自己負担なしに屋根修理ができます」などと勧誘して修理工事の契約を結ばせようとする詐欺トラブルが、以前に比べて多くなっています。

具体的な事例はこの後紹介しますが、悪質なものだと、単なる経年劣化による住宅の破損で、本来ならば火災保険の補償対象となる災害による損害ではないにも関わらず、ウソをついて保険金請求させ費用を請求するようなケースもあります。

2-1.実際、詐欺トラブルはどのくらい増えているか

それでは火災保険を悪用した詐欺は、実際のところどのくらい増えているのでしょうか。

独立行政法人 国民生活センターの報道発表資料(平成30年6月6日)によれば、相談件数が、2017年度は2008年度の30倍以上増えているとのことです。

ここ数年で見ても、以下のように増加傾向であることがわかります。

  • 2014年:663件
  • 2015年:817件
  • 2016年:1,081年
  • 2017年:1,177件

なお男性相談者の約75%、女性相談者の約71%が60代以上の高齢者とのことです。高齢者の方、もしくは高齢者のご両親がいる方などは特に気を付けた方が良いかもしれません。

一方で40代以下の男性相談者も約12%、女性相談者も約13%いたとのことで、若いからといって被害に遭っていないというわけではありません。

自分は大丈夫と過信せずに、詐欺の手口を知って、騙されないように注意しましょう。

3.トラブルの具体的なケース

それでは実際にどんなトラブルの例があるでしょうか。ここでは実際に発生した詐欺業者によるトラブルのケースを紹介します。

高額な請求手数料を要求するケース 詐欺業者が作成した見積書や図面を使って保険金を請求し、実際に保険金がおりた後に請求手数料として高額な費用を請求する。
高額な違約金を請求するケース 「火災保険で屋根修理ができる」と言われ、詐欺業者の指示に従って保険会社へ保険金の請求をする。しかし請求した通りの額がおりずに、工事をやめたいと伝えたところ「受け取った保険金の○%」を違約金として請求する。
手数料だけ支払わせ工事を行わないケース 詐欺業者の指示に従い保険金を受け取ったうえで、要求された通りの手数料を支払う。しかしその後に工事が開始されず、業者とも連絡がつかなくなる。
不具合があるようにみせかけ保険金の請求をさせるケース 詐欺業者が自宅へ訪れ「屋根が破損しているかもしれない、写真を撮るから屋根に上がらせてほしい」と言う。言われた通りに屋根に上がらせたところ、「屋根の板金がはがれている」と実際に撮影した写真をみせてきて保険金の請求をさせようとする。不審に思い、あらためてなじみの修理業者にみてもらったところ、明らかに人為的にネジを抜いた痕があり、実際には屋根修理の必要はなかった。
うその理由で保険金を請求させようとするケース 本当は経年劣化で破損しているだけなのに、詐欺業者が「災害が理由で屋根が破損したといえばよい」とそそのかしウソの理由で保険金を請求させようとする。

そもそも、保険金請求をしたら必ず保険金を受け取れるとは限りません。

詳しくは後述しますが、請求の根拠がしっかりしていない限り、保険金を受け取れることはないと考えた方がよいでしょう。

また通常であれば、工事の見積をとるだけであれば手数料を取られることはありまんし、ましてや違約金を取られることもありません。

なお、言うまでもないことですが、欺業者にそそのかされて、ウソの理由で保険金を請求すると、最悪の場合は詐欺罪で捕まってしまうこともあります。

4.詐欺業者の手口

次に、よくある詐欺の手口を順を追って簡単に紹介します。相手の手口が分かれば、詐欺のトラブルを事前に防ぎやすくなります。

4-1.訪問や電話、チラシなどで勧誘してくれる。

まず、勧誘です。詐欺業者は、火災保険の保険金で屋根修理をしないかなどと、訪問や電話、チラシなどで勧誘し、修理工事の契約を結ばせようとしてきます。

その際、「火災保険の保険金を利用すれば自己負担なしで屋根修理ができる」とか、「請求の手続きはサポートする」のように甘い言葉をかけてきます。

4-2.工事の契約をかわす

詐欺業者の言葉を信じて契約すると、契約書の条項には「サポート費用として保険金の○%を支払う」「キャンセルした場合は違約金として保険金の●%を支払う」などの条件が盛り込まれていることがあります。

ひどいケースになると「契約書は後で持ってくる」などと言って、実際には契約内容を正しく伝えていないこともあります。

4-3.保険会社へ保険金の請求を行わせる

詐欺業者は、自前で用意した見積書や図面を示してきて、これを使って保険会社へ保険金の請求を行わせます。

4-4.お金を巻き上げようとする

その結果、想定した保険金を受け取れず工事をキャンセルしようとしたら、詐欺業者は「手数料」とか「違約金」とかの名目でお金を支払わせようとしてきます。

逆に、保険会社から保険金を受け取れたとしても、詐欺業者は手数料だけ受け取って、実際には工事が行われなかったり、いい加減な工事が行われたりするのです。

5.詐欺被害に遭わないための対策

5.1.請求の根拠をはっきりさせる

「火災保険の保険金で屋根修理ができる」という詐欺業者に騙されず、トラブルを回避するためにはどうすればよいでしょうか。

まず、火災保険の保険金を請求する根拠をはっきり説明させることです。もちろん、ウソの理由で保険金を請求させようとするのは論外です。

ウソでなかったとしても、保険金請求にしっかりした裏付けがなければ、保険金を受け取れることはありません。

損害保険の調査業務を担当されたことのある方によれば、「いつ・どのような災害で」住宅が被害を受けたのか立証できなければ、保険金を受け取れないとのことです。

また破損してから時間がかなり経過してから請求をすると、「なぜ今頃請求するのか」と不審を持たれ、より慎重に調査が進められることが多いといいます。

業者が説明する保険金請求の根拠があやふやだったり、納得できなかったりするならば、その業者に任せるのはやめましょう。

そのような勧誘を受けたことを、保険会社や知り合いの業者に相談してみるのも1つの手です。

5-2.保険金を受け取れるまで契約を結ばない

また、保険金を受け取れるまでは、絶対に業者と修理工事の契約を結ばないようにしましょう。

業者に見積もりを取るだけであれば、お金は取られません。もし、契約を急いでくるようであれば、疑ってかかるべきです。

5-3.不審があれば消費生活センターへ問い合わせる

詐欺業者からしつこい勧誘を受けたり、万が一契約してしまって高額な請求をされ困っていたりする時は、消費生活センターへ相談するのも1つの手です。

早めに相談すればクーリング・オフできる可能性もあります。また、電話で「188(いやや)」という番号に問い合わせれば、最寄の消費生活センターの連絡先を教えてくれます。

まとめ

火災保険の保険金で屋根修理を行うには、火災・風災などの災害・事故によって屋根が破損したということをある程度詳しく立証しなければなりません。

しかし、詐欺業者は、そういった事情をきちんと説明せず、火災保険の保険金で確実に屋根修理が可能であるかのように装って勧誘し、工事の契約を結ばせようとしてきます。そして、もし保険金を受け取れなくても、「サポート費用」「手数料」「違約金」という名目で高額な請求を行ってくることがあります。

しかも、あいまいな理由・ウソの理由で保険金を請求させようとすることもあります。

原因となった災害と損害との因果関係が立証ができなければ、保険金は受け取れません。

詐欺業者に騙されないためには、火災保険の保険金の請求の根拠をはっきりさせる、保険金を受け取れるまで修理工事の契約を結ばない、ということを徹底する必要があります。

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保険の教科書 編集部

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