養老保険で利率・返戻率の良いプランを選ぶため知っておきたいこと

公開 2016年8月26日更新 2021年5月18日
養老保険で利率・返戻率の良いプランを選ぶため知っておきたいこと
養老保険で利率・返戻率の良いプランを選ぶため知っておきたいこと

養老保険とは、本人が亡くなった際には遺族が「死亡保険金」を受け取れ、満期には本人が「満期保険金」を受け取れる保険です。

効率の良い積立の方法として、以前は非常に人気がありました。

しかし現在では利率が下がってしまっており、一部の特殊なタイプを除いておすすめできなくなっています。

この記事では、養老保険が今どんな状態になっているのか、積立の効率を検証するとともに、おすすめできるプランがあるとしたらどのようなものかについてもお伝えします。

1.養老保険は利率が大幅に悪化している

養老保険は、満期を迎えたら死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れるタイプの生命保険です。

満期前に中途解約した場合には、解約返戻金が支払われます。

貯蓄の手段として今でも根強い人気があり、特に、1980年代後半~1990年代初頭のバブル期までは、非常に利回りが良く、多くの方が加入していました。

しかし、バブル崩壊後、超低金利政策とマイナス金利政策の影響により利率が大幅に低下しています。そのため、現在では、特殊なタイプを除きおすすめできません。

養老保険の利率がどのくらい悪くなってしまっているのか、実際の契約例を見てみましょう。

1-1.養老保険の契約例(一般的なタイプ・30歳男女)

最も利率が高いA生命の養老保険について、30歳男女それぞれのプランを紹介します。

  • 保険期間:60歳
  • 死亡保険金額・満期保険金額:500万円
  • 保険料払込期間:全期払い
  • 保険料:30歳男性14,630円/月、30歳女性14,520円/月

この条件での契約年数ごとの返戻率は、以下の通りです。

【30歳男性】

経過年数 保険料累計 解約返戻金 返戻率
5年 877,800 670,000 76.3%
10年 1,755,600 1,523,000 86.7%
15年 2,633,400 2,333,000 88.5%
20年 3,511,200 3,177,500 90.4%
25年 4,389,000 4,062,000 92.5%
30年 5,266,800 5,000,000 94.9%

【30歳女性】

経過年数 保険料累計 解約返戻金 返戻率
5年 871,200 670,000 76.9%
10年 1,742,400 1,521,500 87.3%
15年 2,613,600 2,331,500 89.2%
20年 3,484,800 3,177,500 91.1%
25年 4,356,000 4,064,000 93.2%
30年 5,227,200 5,000,000 95.6%

ご覧の通り、いずれも利率が良いとは言えず、どちらの場合も30年経過後の返戻率が100%を下回ってしまっています。

つまり30年間、せっかく積み立てたのにも関わらず、損をしてしまっているということです。

これでは、貯蓄を目的とした保険商品としておすすめすることはできません。

※法人の場合は別!
養老保険は法人が従業員の退職金を準備するために使うには優秀だと言えます。詳しくは『養老保険で従業員の退職金を準備するメリット・デメリット』をご覧ください。

1-2.よくある低解約返戻金型終身保険との比較

それでは他の貯蓄を目的としたタイプの保険と比べて、養老保険の利率は、どの程度の差があるのでしょうか。

保険によっても異なるため一概には言えませんが、以下、保険会社の公式サイトなどでもよく紹介されている「低解約返戻金型終身保険」と比べてみましょう。

低解約返戻金型終身保険とは、払込満了までの間の解約返戻金の返戻率を抑えることによって、保険料を安くし、払込満了後の返戻率を高めたタイプの終身保険です。

ここではB生命の低解約返戻金型終身保険について、先ほどの養老保険の例と同様、30歳男女それぞれのプランを紹介します。

  • 保険期間:終身
  • 死亡保険金額:500万円
  • 保険料払込期間:60歳払込
  • 保険料:30歳男性10,870円/月、30歳女性10,430円/月

この条件での契約年数ごとの返戻率は、以下の通りです。

【30歳男性】

経過年数 保険料累計 解約返戻金 返戻率
5年 652,200 437,400 67.0%
10年 1,304,400 937,950 71.9%
15年 1,956,600 1,429,750 73.0%
20年 2,608,800 1,937,150 74.2%
25年 3,261,000 2,462,000 75.4%
30年 3,913,200 3,009,950 76.9%
31年 3,913,200 4,323,050 110.4%
32年 3,913,200 4,346,150 111.0%
33年 3,913,200 4,369,100 111.6%
34年 3,913,200 4,391,950 112.2%
35年 3,913,200 4,414,700 112.8%

【30歳女性】

経過年数 保険料累計 解約返戻金 返戻率
5年 625,800 421,950 67.4%
10年 1,251,600 905,650 72.3%
15年 1,877,400 1,381,650 73.5%
20年 2,503,200 1,873,150 74.8%
25年 3,129,000 2,382,500 76.1%
30年 3,754,800 2,914,300 77.6%
31年 3,754,800 4,187,000 111.5%
32年 3,754,800 4,210,850 112.1%
33年 3,754,800 4,234,700 112.7%
34年 3,754,800 4,258,700 113.4%
35年 3,754,800 4,282,850 114.0%

ご覧の通り、B生命の低解約返戻金型終身保険では払込満了までの返戻率は養老保険と比べて低いものの、払込満了後は1年経過すると返戻率が110%を超えており、養老保険と比べてどちらが貯蓄性が高いかは一目瞭然です。

また、死亡保険金額と保険料の関係についても、同じ死亡保険金額500万円であれば保険料は低解約返戻金型終身保険の方が養老保険と比べ20%以上安くなっているため、コストパフォーマンス的にも差があると言えます。

加えて終身保険なので、払込満了時に直ちに解約返戻金を受け取る必要がなければ、その後は解約返戻金が増え続けていきます。

2.養老保険のなかでも「米ドル建て」は利率が高い

上で紹介したのは円建ての一般的な養老保険です。

養老保険の中には「米ドル建て養老保険」というタイプがあり、このタイプであれば現在も利率が良くなっています。

米ドル建て養老保険は、まず日本円より利率のよいドルにて運用されているのが特徴です。

また、とりわけ「米ドル建て特殊養老保険」というものがあります。これは、保険期間の前半までの死亡保険金を一定額に抑える代わりに、満期時の返戻率を高めています。

(イメージ)

どのくらい利率が良いのか、C生命の契約例を見ていきましょう。契約条件は、以下の通りとします。

  • 契約者:30歳男性/30歳女性(2パターン)
  • 保険期間:60歳
  • 死亡保険金額:2.5万米ドル(250万円)~5万米ドル(500万円) ※途中から増えていく
  • 満期保険金額:5万米ドル
  • 保険料払込期間:60歳払込
  • 保険料:30歳男性111.15米ドル(11,115円)/月、30歳女性110.50米ドル(11,050円)/

(※1米ドル=100円として計算)

この条件での契約年数ごとの返戻率は、以下の通りです。

【30歳男性】

経過年数 保険料累計(米ドル) 解約返戻金(米ドル) 解約返戻金(円) 返戻率
5年 6,669.00 5,277.50 527,750 79.1%
10年 13,338.00 12,377.50 1,237,750 92.7%
15年 20,007.00 19,967.50 1,996,750 99.8%
20年 26,676.00 28,660.00 2,866,000 107.4%
25年 33,345.00 38,592.50 3,859,250 115.7%
30年 40,014.00 50,000.00 5,000,000 124.9%

【30歳女性】

経過年数 保険料累計(ドル) 解約返戻金(ドル) 解約返戻金(円) 返戻率
5年 6,630.00 5,280.00 528,000 79.6%
10年 13,260.00 12,380.00 1,238,000 93.3%
15年 19,890.00 19,965.00 1,996,500 100.3%
20年 26,520.00 28,652.50 2,865,250 108.0%
25年 33,150.00 38,592.50 3,859,250 116.4%
30年 39,780.00 50,000.00 5,000,000 125.6%

1-1.で紹介した養老保険の契約例はもちろんのこと、1-2.で紹介した低解約返戻金型終身保険の契約例と比べても、米ドル建て特殊養老保険の利率が高いことが分かります。

2-1.米ドル建ての保険の為替リスクと対処法

ただし、米ドル建ての保険は、保険金、保険料等の額がいずれも米ドルで定められているので、為替レートの変動の影響を受けます。「為替リスク」と呼ばれるものです。

活用を検討する上では、この「為替リスク」の内容と対処法を知っておく必要があります。以下、説明します。

2-1-1.為替リスクとは?

まず為替リスクがどんなものか、イメージするために以下の図をご覧ください。

これはいったん日本円を米ドルに換金し、後でその米ドルを再び日本円に換金する際のイメージです。

円高ドル安になったら損失(為替差損)が発生する一方で、円安ドル高になると利益(為替差益)が発生します。

「為替リスク」とはこのうち、円高ドル安になった場合の差損をさします。米ドル建て保険の為替リスクは、厳密に言えば、「米ドルで計算して元本より増えていても、円高ドル安によって増加分を為替差損が上回り、損失が出てしまうリスク」ということになります。

2-1-2.為替リスクへの対処法

この為替リスク、つまり円高ドル安になった場合に元本割れしてしまうリスクについては、対処法があります。それを知っていれば、過度に為替リスクを怖がる必要はありません。

以下、お伝えします。

●月払い・年払いで長期的に払い込み、リスクを平準化する

米ドル建て保険では、保険料をその時々の為替レートに従って米ドルに換金して支払います。

為替レートは円高ドル安の時もあれば、円安ドル高の時もあります。

そのため、「月払い」「年払い」で長期的な運用をすれば、長い目でみると為替リスクが平準化し、軽減していくのです。

為替差損が発生するとすれば、それは、満期になっていきなりそれまでの為替相場の平均と比べて極端な円高ドル安に陥ってしまったという、かなり限られたケースです。

なお、「月払い」を選ぶと「年払い」より返戻率は下がりますが、為替リスクはさらに分散される効果があります。

●長期的に運用することで返戻率を上げる

米ドル建ての保険は円建てと比べ利率が高く、契約期間が長くなればなるほど返戻率が高くなっていきます。

そのため、もし満期に円高ドル安になったとしても、返戻率が高くなっている分で十分にカバーできる可能性が高いです。

このように、米ドル建て保険は、しくみ自体が為替リスクの回避になっているのです。

●為替の状況が改善するまで円に換金しない

しかし、そうは言っても、元本割れのリスクは絶対にないとまでは言い切れません。そこで、最後の手段として、為替の状況が改善するまで円に換金しないでおく方法があります。

ただし、この方法だと、お金が必要な時に引き出せないことがあります。したがって、最後の最後にとるべき方法です。

また、「為替リスク」で真に覚悟しておくべきことは、「お金が必要な時に引き出せないリスク」に尽きると言っても過言ではありません。

【参考】米ドル建ての保険は「円安ドル高」の為替リスクには強い

為替リスクと言うとふつうはこの「円高ドル安」のリスクをさしますが、実は「円安ドル高」のリスクも考えておく必要があります。

円安ドル高に振れると、日本円の価値が下がり、物やサービスの価格が上昇します。これも「為替リスク」の一つと言えます。

一方で、米ドル建て保険は「円安ドル高」の為替リスクには強いといえます。米ドルの資産を持っておくことにより、円安ドル高の為替リスクを軽減できるからです。

長期的に貯蓄や運用をする際には、この点も覚えておきたいところです。

円建ての保険は為替リスクを受けませんが、円安ドル高になった時に、円での増加分よりも円の価値下落によるマイナスの方が上回るリスクがあります。特に現在、マイナス金利で円建ての保険の返戻率が低いことを考えると、切実な問題です。

その意味では、むしろ米ドル建ての保険の方がリスクが低いと言うこともできます。

まとめ

養老保険は1990年代のバブル期の頃などは利回りが良く、人気がありました。

しかし、超低金利・マイナス金利政策が続く現在では利率が著しく悪化してしまっており、契約満了時の返戻率が100%を割る商品がほとんどです。

その中で、米ドル建ての養老保険等は現在でも利率が高く、老後の生活費を貯蓄するなどの目的で使うこともできます。ただし、為替相場の変動によるリスクとその対処法を知った上で活用する必要があります。

動画でも解説しています

社長の資産防衛チャンネルでは、税理士が同じテーマをより詳しく解説しています。 文字で追いきれなかったところは、動画でご覧ください。

社長の資産防衛チャンネルを見る →
決算対策

利益が出過ぎた社長へ捧ぐ「決算直前の駆け込み節税」ベスト9!無策で高額納税する前に読むべき資産防衛の鉄則

「今期は予想以上に業績が良く、過去最高益になりそうだ」経営者にとって、これほど嬉しいことはありません。しかし、決算月が近づくにつれて、その喜びは「納税への恐怖」へと変わっていきます。日本の法人税率は、実効税率で約30%〜…

2026年1月27日
運用

新NISAの裏で進行する「金融所得課税」強化の実態。中小企業オーナーにも波及する大増税リスクを解説

「投資で得た利益への税金が、これから大きく変わるかもしれない」——こうしたニュースを耳にする機会が増えてきました。新NISAが始まり、資産運用への関心が高まる一方で、その裏側では「金融所得課税」の強化が静かに進行していま…

2026年10月7日
役員報酬

役員賞与は最低150万円以上出すべき?ボーナス活用で税金と社会保険料をダブルで削減する裏ワザ

「今期は予想以上に利益が出そうだ。税金で持っていかれるくらいなら、役員賞与を出して節税したい」そう考える経営者の方は多いでしょう。しかし、「役員賞与は経費にならない」という原則があるため、二の足を踏んでいる方もいらっしゃ…

2026年1月19日
共済

倒産防止共済の裏技まとめ|2年ルールを月5,000円でしのぐ方法・年460万円の前納・税金を残さない2つの出口

「経営セーフティ共済は、解約してまた入り直せば何度でも節税できる」――そう聞いて、今もそのつもりで使っている社長は少なくありません。実はこのやり方は、2024年10月の改正で使えなくなりました。改正を知らずに同じ感覚で解…

2026年10月15日
オペレーティングリース

航空機のリースの節税の仕組みとメリット・デメリットの全て

聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、航空機のリースは法人の節税でよく活用されるスキームです。 航空機リースでは、1年目2年目の近期で大きな損金を計上して、10年後などリース期間が終了する時には、それと同額かそれ…

2025年1月22日
制度活用

小規模企業共済の掛金が消える可能性とは?経営者が知っておくべき制度の真実

経営者や個人事業主の節税策として「鉄板」と言われる小規模企業共済。しかし、「20年経たないと元本割れするから怖い」「結局、出口で税金を取られるなら意味がないのでは」といった理由で加入を見送っている方が少なくありません。さ…

2026年9月27日
iDeCo・NISA

手取り激増!マイクロ法人を設立して個人事業主との「二刀流」で節税する究極のスキーム

「売上は順調に伸びているのに、通帳に残るお金がいっこうに増えない」「税金と国民健康保険料を払うためだけに働いている気がする」 年収が上がってきた個人事業主の方なら、誰もが一度はこの「税金の壁」に絶望したことがあるのではな…

2026年2月17日
お金

利率のいい保険の種類と選び方のまとめ

と資金運用の方法として、株式やFXではなく、保険を勧められることがあります。 そこで気になるのが、保険は投資の対象としてどれくらい利率が良いのということです。 この記事では、保険の中でも特に利率のいい保険、米ドル建て保険…

2021年6月29日
通話料無料で今すぐ電話で相談予約フォームから無料相談予約