事務所は「借りる」VS「買う」どっちがオトク?経費処理の違いと損をしない選び方

経営者にとって、オフィスのあり方は永遠の課題です。「毎月の賃料がもったいないから、いっそ自社ビルを買って資産にしたい」事業が軌道に乗り始めると、誰もが一度はそう考えるのではないでしょうか。支払いも安く済みそうで、将来的には会社の資産として残る。一見すると「購入」の方が合理的に見えます。

しかし、安易に購入を選択すると、税務上の大きな落とし穴にハマる可能性があります。最悪の場合、多額のキャッシュアウトがあるにもかかわらず、それが経費として認められず、資金繰りが悪化するという「経費にならない地獄」が待っているかもしれません。

事務所を「借りる」のと「買う」のとでは、税務上の扱いや経営に与える影響が全く異なります。この記事では、それぞれのメリット・デメリットを整理し、経費処理の違いや、企業のフェーズに合わせた最適な選択肢について、徹底解説します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

事務所を「借りる」場合のメリット・デメリット

まずは、多くの企業が選択している「賃貸」について見ていきましょう。

賃貸のメリット:柔軟性とシンプルな経費処理

最大のメリットは「初期費用の安さ」「経営の柔軟性」です。敷金・礼金などの負担はありますが、購入に比べれば圧倒的に少ない資金でオフィスを構えることができます。事業が拡大すれば広いオフィスへ移転し、逆に縮小が必要な時は解約して固定費を下げるなど、経営環境の変化にスピーディーに対応できるのは賃貸ならではの強みです。

また、税務処理も非常にシンプルです。毎月支払う家賃の全額が「地代家賃」として経費(損金)になります。キャッシュアウト(支出)と経費額が一致するため、損益計算や資金繰りの予測が立てやすく、経営計画がブレにくいという利点があります。

賃貸のデメリット:資産にならずコストが増え続ける

一方で、どれだけ長く家賃を払い続けても、その物件が自社のものになることはありません。支払った家賃は掛け捨てのコストであり、資産形成には寄与しません。また、契約更新ごとの賃料値上げリスクや、内装・設備のカスタマイズに制限がある点もデメリットと言えます。

事務所を「買う」場合のメリット・デメリット

次に、自社ビルや区分所有オフィスを「購入」する場合です。

購入のメリット:資産形成と信用力

購入の最大の魅力は、支払ったお金が「資産」に変わることです。ローンを完済すればその後の支払いはなくなり、いざという時には売却して現金化したり、担保に入れて融資を受けたりすることも可能です。また、「自社ビルを保有している」という事実は、取引先や金融機関に対する社会的信用(与信)を高める効果もあります。内装を自由にリノベーションできる点も、ブランディングを重視する企業には大きなメリットでしょう。

購入のデメリット:多額の初期投資と固定化リスク

しかし、購入には大きなリスクも伴います。まず、物件価格の1〜2割程度の頭金や、仲介手数料、不動産取得税などの多額の初期費用が必要です。これにより手元のキャッシュが大きく減り、運転資金を圧迫する可能性があります。

さらに、一度購入すると簡単には移転できません。事業縮小が必要になってもすぐに売却できるとは限らず、売却損が出る「塩漬け」リスクもあります。固定資産税や修繕費などの維持コストもすべて自社負担となるため、ランニングコストが予想以上に膨らむことも覚悟しなければなりません。

「購入」の落とし穴!ローン返済は経費にならない?

「購入」を検討する際、最も注意すべきなのが税務処理の違いです。「ローンの返済額=家賃」のように考えていると、痛い目を見ることになります。

元本返済は「経費」ではない

例えば、1億円のオフィスをフルローンで購入し、毎月100万円返済するとします。この100万円は経費になるでしょうか?答えは「NO」です。経費になるのは「利息部分」だけで、「元本返済部分」は1円も経費になりません。元本返済はあくまで「借りたお金を返しているだけ」であり、会計上の費用ではないからです。

経費になるのは「減価償却費」と「利息」だけ

購入した場合に経費計上できる主な項目は以下の通りです。

  1. 借入金の利息
  2. 固定資産税・都市計画税
  3. 建物の減価償却費

ここで重要なのが「減価償却費」です。土地と建物をセットで購入した場合、経費化(減価償却)できるのは「建物部分」だけです。「土地部分」は価値が減らない資産とされるため、未来永劫経費にはなりません。1億円のうち土地が8,000万円、建物が2,000万円だった場合、経費にできる対象はわずか2,000万円分だけなのです。しかも、その2,000万円も一括ではなく、耐用年数(RC造なら数十年)にかけて少しずつ経費化されます。

結果として、「毎月多額のローン返済(キャッシュアウト)があるのに、経費として計上できる額はごくわずか」という状態に陥り、利益が出て法人税も高いのに手元にお金がない、という事態になりかねません。

結局、どちらを選ぶべきか?企業のフェーズ別診断

では、最終的に「賃貸」と「購入」どちらを選ぶべきなのでしょうか。それは企業のライフステージによって異なります。

「賃貸」が向いている企業

  • 創業期〜成長期の企業:手元資金を事業投資に回すべき時期です。
  • 変化が激しい企業:人員の増減や事業転換の可能性がある場合、移転のしやすさが重要です。
  • 資金繰りを重視する企業:経費化しやすい賃貸の方が、税金コントロールもしやすいです。

「購入」が向いている企業

  • 成熟期・安定期の企業:豊富なキャッシュがあり、長期的な資産形成を考えられる段階です。
  • 場所が重要な業種:クリニックや工場、店舗など、特定の場所で長く営業することが前提の業種。
  • 信用力を高めたい企業:自社ビルを持つことでステータスが必要な場合。

番外編:社長個人が買って法人に貸す

「社長個人が物件を購入し、法人に事務所として貸す」という方法もあります。法人は家賃を経費にでき、社長は家賃収入を得てローン返済に充てることで、法人の資金力で個人の資産形成が可能になります。ただし、家賃設定が相場より高いと否認されるリスクや、住宅ローン控除の適用関係(事業用部分が50%を超えると使えない等)には十分な注意が必要です。

まとめ

事務所選びは、単なる場所選びではなく、重要な「財務戦略」です。目先の支払い額だけでなく、税務上のメリット・デメリット、そして将来の事業計画まで見据えて判断することが成功の鍵です。

「自社の場合はどちらが有利か?」具体的なシミュレーションや、購入時の税務リスクについては、ぜひ税理士にご相談ください。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的な計算事例やシミュレーションも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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