不妊治療時に保険は必要か?|公的保障と新しい不妊治療


結婚という人生の祝辞を超え、夫婦となった男女が次に求めるものといえば、子供が思い浮かぶでしょう。
しかし現実では、希望のままに妊娠をすることが出来ないという人もいます。
そんな夫婦のためにあるのが不妊治療です。
医療も発達と共に、不妊症に対する治療法は豊富になってきていますが、治療には当然お金がかかり、経済的な負担になってくるのも事実です。
そんな不妊治療にも、公的な保障や民間の保険などが適用される可能性があります。
今回は、不妊治療向けの保障や保険を、
- 不妊治療中に対する健康保険の適用範囲について
- 公的な保障について
- 新設された不妊治療向けの保険について
に分けて解説していきます。
今不妊症に悩んでいる方も、これからの妊活に不安を抱えている人も、不妊治療に対する保障・保険についてしっかりと理解しましょう。
1.一部の不妊治療には保険が適用される
まずは不妊治療に健康保険が使えるのかについてお話ししていきます。
結論から言いますと、不妊治療では一定の治療に対しては保険が適用されますが、治療が高度になると保険適用外になってしまいます。
それではどのような治療に保険が適用されるのか、具体的に見ていきましょう。
1.1.薬物療法や親への手術には保険が適用可能
保険が適用される不妊治療には、基本的に親に対して行われる治療になります。
該当する治療は、以下の様なものです。
- 女性不妊に対する治療の場合
- タイミング指導、黄体ホルモン補充療法等
- 無排卵や多嚢胞性卵巣などの排卵障害に対する薬物療法(内服・外服)
- 子宮や卵管等に原因が考えられる場合に行う子宮鏡、腹腔鏡による精査・加療
- 卵管通過障害に対する通気・通水法
- 卵管形成術
- 男性不妊に対する治療の場合
- 薬物療法(漢方等)
- 手術療法(精索静脈瘤、閉塞性無精子病等)
上記のように、主に母親または父親に対して薬物療法や手術を行う場合や、「タイミング指導」の様な、身体に大きな影響を与えない、指導のみの治療に保険が使えることがわかります。
1.2.人工授精や体外受精については保険が使えない
保険が使えない不妊治療には以下のようなものがあります。
- 人工授精(AIH・AID)
- 体外受精(IVF)
- 顕微授精(ICSI)
- 顕微鏡下精巣内精子回収法(MD-TESE)
前述した治療法で効果が出ない場合、次のステップとして提案されるのが人工授精です。
その後更に高度な手段として、体外受精や顕微授精と呼ばれる方法を取ることになります。
これらの方法は治療というよりは人工生殖に近いものであり、あまり「治療」というイメージが付きづらいですね。
顕微鏡下精巣内精子回収法も治療というよりは採集といえるものです。
上述より、親の身体に直接治療を施し、生殖機能の改善を試みるものは健康保険が使える、人工的な生殖医療を行うものは保険が使えない、と覚えると把握しやすいのがわかります。
2.健康保険が使えない治療に対する公的保障について
不妊治療での保険の適用範囲がわかったところで、他の公的保障について見ていきましょう。
実は、先述した保険適用外の治療の中で、特定のものであれば国からの支援が受けられます。
支援が受けられる治療は以下の通りです。
- 体外受精
- 顕微授精
- 顕微鏡下精巣内精子回収法
上記の治療は国が執り行う「特定不妊治療支援事業」の対象となっており、条件を満たしていれば助成金を受け取ることが出来ます。
受給の条件は、
- 法律上の婚姻をしている(婚姻届を出している)こと
- 特定不妊治療以外の治療法による妊娠の可能性がほぼ、または全くないと診断されていること
- 治療開始時の妻の年齢が43歳未満であること
- 指定医療機関で治療を受けること
以上の4点です。
助成金は「凍結胚移植」以外の治療であれば、30万円を受け取ることができまます。(凍結胚移植の場合でも、1回10万円の助成金を受け取ることが可能です。)
また、顕微鏡下精巣内精子回収法の場合は上記の金額に加え、更に30万円を毎回受け取ることが出来ます。
注意しなくてはならないのが、助成の回数です。
妻の年齢が40歳未満の場合は1子につき通算6回分の助成を受けることが可能ですが、40歳を超えてしまうと1子につき3回分しか支給されません。
「特定不妊治療支援事業」の助成を受けたい場合は、早めの治療をお勧めします。
3.不妊治療向けの保険について
近年では不妊専門相談センターへの相談件数が増えている事もあってか、不妊治療に特化した民間保険が生み出されています。
とある保険会社が打ち出している保険を例に、保証内容や保険料、保証期間等を見ていきましょう。
3.1.A生命の打ち出した保険の内容
A生命の保険は、三大疾病保険や死亡保険としての側面を持ちつつ、不妊治療に対する保障もついているというものです。
特徴としては、
- 所定のガン・急性心筋梗塞・脳卒中になった場合、または死亡時に一時金300万円が受け取れる
- がん(上皮内新生物等)になった場合、上皮内新生物診断保険金30万円を受け取れる
- 所定の出産を行った場合、出産給付金が受け取れる
- 所定の特定不妊治療を行った場合、特定不妊治療給付金を受け取れる
- 保険期間満了時に生存していれば満期一時金が受け取れる
といったものがあります。
今回は妊娠から出産に関わる4、5について詳しく見てみましょう。
①出産給付金について
出産給付金は、保険期間中に所定の条件で出産をした際に受け取れる給付金で、期間内であれば出産に応じて何回でも受け取ることが出来ます。
また、出産の回数が増えるほど、受け取れる金額は増えるのが特徴です。
具体的には
- 1回目:10万円
- 2回目:30万円
- 3回目:50万円
- 4回目:70万円
- 5回目以降:100万円
となっています。
不妊治療に対する保障があることを考えると、お祝い金のようなイメージで定めていると考えられますね。
②特定不妊治療給付金について
今回の記事内容から注目されるのはこちらですね。
特定不妊治療給付金は、所定の不妊治療(体外受精・顕微授精の治療過程で受けた採卵または胚移植)を行った場合、最大12回に渡って受け取ることができる給付金です。
給付金の内容は、所定の不妊治療が
- 1回〜6回の場合:1回につき5万円
- 7回〜12回の場合:1回につき10万円
となっています。
3.2.保障期間や保険料について
A社の保険について、保障期間や保険料について見てみましょう。
- 契約年齢:25歳
- 保障期間:45歳迄
上記条件の場合、保険料は月額10,185円になります。
正直、少々割高に感じるという人が多いでしょう。
3.3.加入のメリットについて
A生命の保険の場合、高度な不妊治療を行いたいが、支援金のみでは経済的に難しいという状況で効果を発揮するといえるでしょう。
この保険の保障内容は3.1に述べた範囲で固定されており、プランによって保障金額を変化させる事ができる、というようなことはありません。
一般的な三大疾病保険や定期保険と比べると保障内容が心もとないこと、保険料が割高であることから、この保険はあくまで「不妊治療に備える」という動機で加入することとなる保険といえます。
肝心の不妊治療に対する保障については、保険適用外の体外受精・顕微授精を保証していますが、これらの治療は国の特定不妊治療支援事業の対象であり、助成金の受給が可能です。
助成金を受け取る選択をする経済状況で、まず月々の保険料を支払う余裕があるのか、ということも考えた上で、保険への加入を検討すると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
不妊治療は根気のいる治療であり、受診回数がかさむため、医療費も高くなりがちです。
また、治療のステージが高度になればなるほど金額も上がるため、途中で諦めてしまう人も多いと聞きます。
自分自身や交際相手がそのような状況になった場合に備えて、保険の適用範囲や助成金が受けられる治療方法、条件についてしっかりと理解しておきましょう。
また、今まさに不妊症という壁に立ち向かっている方は、公的な保障に加えて民間の保険も検討してみてください。
保険はその人の状況や価値観によって、価値が変化するものです。
まだ不妊治療に向けた保険は充実しているとはいえませんが、もし状況に合うものがあれば、あなたの人生を大きく変えてくれるかもしれません。



