専業主婦が保険を検討する時に知っておきたいこと


自分自身で外部から収入を受け取っていない専業主婦は、いわゆる一家の大黒柱に比べ、保険へ加入する必要性は少ないかもしれません。
しかし、専業主婦でも、身に万一があった時や病気になった時の家計への負担は無視できないことがあり、保険に加入しておくことが有効な場合も考えられます。
そこで今回は、専業主婦が保険に加入するならばどんな場合なのか、どのような保険に加入すると良いか、お伝えします。
1.専業主婦にとって生命保険が有効なケース
生命保険へ加入し死亡保障を確保する目的として最も多いのは、大黒柱に万が一のことがあったときに、遺された家族が経済的に困らないようにするためです。
これに対し、自分でお金を稼ぐわけではない専業主婦については、一般に、大黒柱にかけているような死亡保障は必要ないと言われます。
確かに、大黒柱に比べれば、専業主婦にもしものことがあっても家族が経済的に追い詰められるような可能性は低いと考えられます。しかし、だからと言って、専業主婦には死亡保障が全く不要というわけではありません。
以下の目的で加入することが考えられます。
- 育児のためのお金を確保する
- 整理費用を確保する
それぞれについて簡単に解説します。
1-1.育児のためのお金を確保する
専業主婦の死亡保障が特に有効なのは、子どもがまだ幼い場合です。
小さな子どもがいる家庭で、母親に万一のことがあると、父親だけでその子を育てていかなければなりません。
託児所に預けたり、ベビーシッターを頼んだり、学童保育に預けたりすることになれば、その分の費用がかかることになります。
それを前提に、明治安田生命が2019年10月に行った「子育て費用に関する意識調査」の結果をご覧ください。0~6歳の子どもがいる世帯において、子育てにかかる費用の平均額は以下の通りだったとのことです。
- 共働き世帯:46,005円(不足していると感じる金額は25,509円)
- 専業主婦世帯:32,637円(不足していると感じる金額は20,803円)
自宅で子どもの世話ができる専業主婦世帯と比べると、共働き世帯の方がお金がかかっていることが分かります。
そして、子どものいる専業主婦世帯で専業主婦に万一のことがあると、託児所やベビーシッター、学童保育の費用等、共働き世帯と同じくらいのお金がかかることが予想されます。
あくまで平均値なので、必ずしもこのぐらいの金額が必要というわけではありませんが、このくらいまとまったお金がかかる可能性があることは頭の片隅においておいてもよいかもしれません。
また、父親が幼い子供の世話をするのであれば、保育園への送り迎え等で今までのように仕事ができない可能性もあります。
こういったことを考慮すると、専業主婦の方(母親)に万一のことがあった時に死亡保障があって、まとまった額を受け取れるなら、どれだけ助かるかは言うまでもないでしょう。
1-2.整理費用を確保する
次に、整理費用(葬儀代・お墓代)を確保する役割です。
たとえば、葬儀代だけとってみても、鎌倉新書の「第4回お葬式に関する全国調査(2020年)」によれば、平均184.3万円かかっています。
もちろん、地域や世帯によってどんな葬儀をするか大きく異なります。ただし、このぐらいまとまったお金が必要になる可能性があるということです。
特に、貯蓄が少ない世帯にとっては、整理費用が遺族にとって経済的に大きな負担になることがあります。
生命保険でまとまったお金を準備できれば、その負担を軽くすることができます。
1-3.【参考】専業主婦はどんな生命保険を選ぶとよいか
一口に死亡保障がついた生命保険といっても、種類がいくつかあります。
その中で専業主婦はどんなタイプを選ぶとよいでしょうか。代表的なパターンとしては、以下2つがあげられます。
以下、1つずつ簡単に解説します。
1-3-1.死亡保障のみ安く備えたいなら「定期保険」
生命保険の中でも、期間が決まっていて保険料が掛け捨ての「定期保険」ならば安い保険料で死亡保障を備えることができます。
たとえば、「子どもが大きくなるまでの間だけ安価な保険料で備えたい」ということなら、保険期間10年の定期保険を選ぶ方法があります。
以下、参考までにA生命の定期保険の契約例を紹介します。
- 契約者:30歳女性
- 保険金額:300万円
- 保険期間:10年間
- 保険料:552円/月
このように、大変安価な保険料で、まとまった保障額を確保することができます。
なお、保険期間は10年間ですが、10年経ったら直ちに保険が終わるわけではなく、自動更新され、その都度保険料が上がっていきます。
1-3-2.終身保険を使えば同時に老後のための貯蓄も可能
生命保険には、老後の資金の積立の役割も果たす「終身保険」もあります。
定期保険より保険料がかなり割高になりますが、健康に老後まで過ごせば、それまで支払った保険料より多くの解約返戻金を受け取れるものが多くなっています。
以下、参考までにB生命の終身保険(低解約返戻金型終身保険)の契約例を紹介します。
- 契約者:30歳女性
- 保険金額:300万円
- 保険期間:終身(一生涯)
- 保険料払込期間:60歳まで
- 保険料:6,405円/月
保険金額は定期保険の契約例と全く同じ300万円ですが、保険料が7倍と相当割高です。
ただし、60歳まで保険料を払った後で解約すれば、それまでに支払った保険料総計が2,305,800円であるのに対して、2,499,180 円(返戻率108.3%)のお金が戻ってきます。
また、米ドル建て終身保険、変額終身保険を選ぶと、より貯蓄の効率が高くなります。詳細はそれぞれのリンク先をご覧ください。
2.専業主婦が病気になった時の保険
重い病気になり治療が必要となれば、場合によっては医療費がかさむ可能性があります。
そのため、専業主婦でも保険で備えておくことは有効です。
しかし、病気になった時の保険にも種類があるので、特に有効性が高いものを選ぶべきです。
2-1.医療保険の優先順位は高くない
病気になったときの保険として、まず思い浮かべるのは医療保険だと思います。
医療保険は、「入院日額●円」「手術1回●円」という保障が基本となっています。
しかし、この基本的な保障は必ずしも昨今の医療事情に合っていません。その理由として2つのことが挙げられます。
第一に、入院期間の短期化です。数日で退院するケースや日帰り入院も増えています。
その背景には、医療技術の進歩や、国が在宅・通院での治療を推進していることがあります。
第二に、高額療養費制度のおかげで医療費が高額になり過ぎないこともあげられます。
高額療養費制度とは公的な医療保険制度の1つで、この制度により毎月の医療費の自己負担額の上限が所得ごとに決められています。上限額を超える費用がかかったら、その分は負担しなくて良いのです。
これらの点から、医療保険の優先順位はあまり高いとは言えません。加入するならば、慎重にプランを組む必要があります。詳しくは後ほど改めてお伝えします。
2-2.医療保険より優先度が高い保険
次に、医療保険よりも優先順位が高い保険にはどのようなものがあるのか、簡単に説明します。
たとえば、がん保険です。
がんになると治療期間が長期化しやすく、高額療養費制度を利用したとしても、それが数ヵ月・1年以上と続けば負担もかさみます。
また、入院より在宅・通院での抗がん剤・放射線治療の期間が長くなる傾向にあり、従来通りの医療保険ではカバーできません。
その点、昨今のがん保険には、このような現在のがん事情に即した保障内容のものがあります。
ここではがん保険についてお伝えしましたが、他には、がんだけでなく、がんを含む三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)になった場合を保障する三大疾病保険もあります。
また、要介護状態になってしまった場合の介護費用を保障する介護保険もあります。
医療保険の必要性や保険の優先順位の比較については、詳しくは「医療保険の必要性を保障内容と医療の現実から考える」をご覧ください。
2-3.医療保険の特約でニーズの高い特約を安く備える方法もある
前述の通り従来の医療保険は、昨今の医療事情に合わなくなっています。
そんな中で、より優先順位の高い保障を「特約」として付けられるタイプの医療保険もあります。
このタイプの医療保険の中には、優先順位の高い保障について別々の保険を選んで加入するよりも、特約としてそれらの保障を付けることで保険料が割安になるものもあります。
以下、C生命の医療保険の契約例を紹介します。
- 契約者:30歳女性
- 入院日額(女性特有の病気):6,000円/日(10日目までは一律6万円)
- 入院日額(ガンのとき):6,000円/日(10日目までは一律6万円)
- 入院日額(上記以外):3,000円/日(10日目までは一律3万円)
- 女性疾病入院給付金:3,000円/日
- 手術費用(女性特有の病気):9万円
- 手術費用(上記以外):3万円(入院中)、1.5万円(外来)
- 先進医療特約:あり
- がん診断給付金:100万円(1年に1回限度、2回目以降は入院が条件)
- 三大疾病入院給付金:60万円(1年に1回限度)
- 終身介護保障特約(終身年金):36万円/年
- 保険料:4,774円/月
この契約例では、入院費用を日額3,000円(一般的には日額5,000円などが多い)と低く抑えた上で、特約として、がんと診断された場合や三大疾病で入院した場合に一時金を受け取れるようになっています。
一時金は使い道が自由であるため、治療費そのものの他、入院準備の費用、家族がお見舞いに通うための交通費などとしても利用することができます。
また、要介護状態になった場合の終身年金(36万円/年)の保障も加えています。
さらに女性特有の病気(がん、子宮の病気、帝王切開など)の際には、入院給付金・手術給付金を余計に受け取れるようになっています。
医療保険を選ぶのであれば、このように特約が充実したプランを組むことをおすすめします。
3.専業主婦でも「働けなくなった時の保険」に加入できる
病気や怪我などで働けなくなった時に、収入の一部をカバーしてくれる「所得補償保険」「就業不能保険」という保険があります。
字面だけだと所得がある人のためだけの保険のように見えますが、実は専業主婦の方も加入することができます。
これらの保険も、専業主婦が加入しておくメリットの多い保険となっています。
3-1.小さい子どもがいる場合に有効
専業主婦が所得補償保険に加入するメリットがあるのは、主に小さな子どもがいる場合です。
専業主婦が働けない状態になると、小さな子どもの世話を他の人が見なければなりません。
場合によっては夫が仕事を休まなければなりませんし、ベビーシッターを頼んだりするのにもお金がかかります。
長期化するような場合には、託児所や保育園の利用も検討しなくてはいなけないかもしれません。
そのため、専業主婦でも、所得補償保険や就業不能保険が有効となります。
なお、所得補償保険と就業不能保険の違いについては、簡単に言うと、所得補償保険はドクターストップがかかって一時的に仕事を休まなければならなくなった場合をカバーするもの、就業不能保険は回復困難な状態が長く続く場合をカバーするものとイメージしていただければ結構です。
詳しくは「収入保障保険と所得補償保険・就業不能保険の違いと使い分け」をご覧ください。
3-2.所得補償保険の契約例
参考までにD損保の所得補償保険の契約例を紹介します。
- 契約者:35歳女性 専業主婦
- 補償対象:仕事を休まなければならないという医師の診断書が出た場合
- てん補期間(保険金を受け取れる期間):2年
- 免責期間:4日(働けなくなって5日目から保険金を受け取れる)
- 就労不能な状態になった場合の保険金:月額10万円
- 保険料:月額1,140円
- 特約:妊娠に伴う身体障害保障特約
ご覧の通り、この契約例では働けなくなった時に毎月10万円の保障を最長で2年間受け取ることができます。
また「妊娠に伴う身体障害補償特約」を付けています。これは、妊娠・出産・流産・早産で働けなくなった場合もカバーするものです。
まとめ
専業主婦は外で働いて収入を得るわけではないため、一家の大黒柱と同等の保障までは必要ないと考えられます。
しかし、万が一のことがあった場合や、病気やケガで療養しなければならなくなった場合、家族の経済的な負担が大きくならないよう、保険で備えておくことが有効な場合があります。
もし、専業主婦の方で保険を検討する場合は、この記事でお伝えした内容を踏まえ、本当に必要な保障を無駄なく吟味することをおすすめします。



