所得補償保険とは?加入を考える上で知っておきたいこと

所得補償保険とは、ケガや病気などでドクターストップがかかり働けなくなったときに、最長で2年程度の間、収入(所得)をある程度まで保障してくれる保険です。

働けなくなったときの保険としては他に就業不能保険があり、こちらはテレビCMなどでもよく宣伝されていますが、所得補償保険については「聞いたことがない」あるいは「就業不能保険との違いが分からない」という方が多いことでしょう。

実は、それぞれ役割分担があり、お互いに補い合うものです。

この記事では、所得補償保険とはどのような役割を果たすものか、どのような人に適した保険か、加入上の注意点はどんなことか、就業不能保険との違いも含め、解説します。

1.所得補償保険とは?

所得補償保険は、病気やケガをして、医師のドクターストップがかかって働けなくなった場合に、収入(所得)をある程度まで保障してくれる保険です。

働けなくなった状態になりさえすれば、入院しなくても、在宅療養でも保険金を受け取れます。

期間は最長で2年まで、月ごとに決められた保険金を給料のように受け取れます。1ヶ月未満の端数は日割りで計算されます。

医師の診断後、4日~7日の「免責期間」を経過して休業した日数の分、保険金を受け取れます。

1-1.入院時のみ補償してもらうことで保険料を安くする特約がある

所得補償保険は「入院のみ補償特約」という特約があります。

この特約は、補償を行う期間を入院時のみに限定することで、保険料を安くする特約です。

ただし、退院したら保険金が支払われなくなってしまう上に、昨今では入院ではなく在宅での治療が推奨されており、入院期間自体が短くなっているため、あまりおすすめできません。

1-2.妊娠時の休業も補償してもらえる特約がある

所得補償保険の補償対象となるのは、病気・ケガで働けなくなった場合です。

したがって、女性が妊娠して仕事を休まなければならなくなった場合、妊娠は病気とは見なされないため、基本的には所得補償保険の対象外です。

しかし、保険会社によっては、特約をつけることで、妊娠中でも補償を受けることができます。

2.よく比較される「就業不能保険」との違い

所得補償保険とよく似た保険として「就業不能保険」があります。

どちらも、働けなくなった時に毎月給料のようにお金を受け取れるしくみですが、以下の違いがあります。

所得補償保険 就業不能保険
保険金 毎月一定額(日割り計算) 毎月一定額
保険金が支払われる期間 短期
※最長でも2年
長期
※「65歳まで」等
保険金の支払い条件 医師のドクターストップ 仕事への復帰が困難(就業不能状態)と判断される場合
保険金が受け取れるようになるまでの期間 医師のドクターストップが出てから4~7日間の免責期間経過後 医師に就業不能状態と診断されてから、60日間の免責期間経過後
取り扱っている会社 損害保険会社 生命保険会社

所得補償保険 就業不能保険
保険金 毎月一定額(日割り計算) 毎月一定額
保険金が支払われる期間 短期
※最長でも2年
長期
※「65歳まで」等
保険金の支払い条件 医師のドクターストップ 仕事への復帰が困難(就業不能状態)と判断される場合
保険金が受け取れるようになるまでの期間 医師のドクターストップが出てから4~7日間の免責期間経過後 医師に就業不能状態と診断されてから、60日間の免責期間経過後
取り扱っている会社 損害保険会社 生命保険会社

違いを簡単にまとめると、

  • 所得補償保険:ドクターストップがあれば保険金を受け取れ、最長2年間、収入をある程度カバーしてくれる保険
  • 就業不能保険:仕事への復帰が困難な状態が60日間継続して初めて保険金を受け取れ、定年くらいの年齢まで長期にわたり収入をある程度までカバーしてくれる保険

となります。

また、所得補償保険を扱っているのが、生命保険会社ではなく、火災保険や自動車保険を扱う損害保険会社であるという点も注意が必要です。

保険会社の公式サイトやパンフレットを探しても、所得補償保険は掲載されていません。

なお、就業不能保険についての詳細は「就業不能保険とは?知っておきたい保障内容と必要性」をご覧ください。

補足|名前が似ている「収入保障保険」は死亡した場合の保険

所得補償保険と名前が似ていて紛らわしい保険として、もう1つ、収入保障保険もあります。似た名前でも、性格は全く異なります。

収入保障保険とは、自分が亡くなった時に、遺された家族が毎月の給料のように保険金を受け取れる生命保険(死亡保険)です。

3.所得補償保険の契約例

所得補償保険が実際にどのような保険なのかイメージしていただくため、A損保の所得補償保険の契約例をご覧ください。

  • 保険期間:1年(毎年更新)
  • 保険金額:月10万円
  • 保険金を受け取れる最長期間(てん補期間):2年間
  • 免責期間:7日

保険期間は1年間で、毎年更新されていきます。

そして、この契約では、医師により休業して療養するよう言われたら、7日の免責期間を経過した後から、月10万円の保険金を受け取れます。

次の「てん補期間」とは保険金を受け取れる最長の期間です。たとえば、てん補期間が2年間で、保険金の支払いが2020年1月から開始されたとすると、働けない状態が続く限り、最大でそれから2年間(2021年12月まで)は保険金を受け取れるということになります。

この条件における年齢ごとの保険料は以下の通りです。

年齢 基本職種級別1級 基本職種級別2級 基本職種級別3級
20~24才 880円 1,010円 1,180円
25~29才 1,020円 1,170円 1,370円
30~34才 1,280円 1,470円 1,730円
35~39才 1,660円 1,900円 2,240円
40~44才 2,140円 2,450円 2,880円
45~49才 2,610円 3,000円 3,520円
50~54才 3,080円 3,540円 4,150円

年齢 基本職種級別1級 基本職種級別2級 基本職種級別3級
20~24才 880円 1,010円 1,180円
25~29才 1,020円 1,170円 1,370円
30~34才 1,280円 1,470円 1,730円
35~39才 1,660円 1,900円 2,240円
40~44才 2,140円 2,450円 2,880円
45~49才 2,610円 3,000円 3,520円
50~54才 3,080円 3,540円 4,150円

年齢と「職種級別」によって保険料が異なっています。

職種級別とは、被保険者の職業の分類のことです。より病気やケガをするリスクが高い職種ほど等級の数字が増え、保険料も高くなります。

参考までにA損保の場合の分類表を以下に記載します。

基本職種級別 職業例
1級 会社役員・管理職(作業危険なし)、一般事務員、タイピスト、医師、歯科医師、歯科助手、薬剤師、弁護士、公認会計士、司法書士、教師、飲食店主、卸・小売店主・従業員(危険物の取扱なし)、製図工、家政婦など
2級 研究者・電気技術者(危険物の取扱なし)、電車運転士、無線通信員、電話交換手、郵便配達人、電気機械器具組立工、計器類修理工、縫製作業者、紙製品製造作業者(手工)、印刷作業者(製版作業者・印刷作業者・製本作業者(手工)・印刷写真作業者)、ゴム製品製造工、飲食料品製造作業者、理容師、美容師、調理人、看護師・助産師、介護福祉士、歯科衛生士、漆器工、屋内清掃員、時計・光学機械器具組立工、プラスチック製品成形・加工工(手工)、がん具製造工など
3級 金属彫刻工、馬調教師、かわ製品製造作業者(手工)、陶磁器成形工、七宝工、化粧品製造工、研究者・電気技術者(危険物の取扱あり)、針金製品製造工、化学工(危険物の取扱なし)、製缶工、板金工、自転車修理組立作業者、製糸・紡織作業者(一般工員)、パルプ・紙・紙製品製造作業者(機械工)、製本作業者(機械工)、製革工、警備員、製鋼工(一般工員)、鋳物工、金属熱処理工、金属工作機械工、金属プレス工、電気溶接工、輸送機械組立・作業者、ガラス製品成形工、建設機械運転工など

基本職種級別 職業例
1級 会社役員・管理職(作業危険なし)、一般事務員、タイピスト、医師、歯科医師、歯科助手、薬剤師、弁護士、公認会計士、司法書士、教師、飲食店主、卸・小売店主・従業員(危険物を取り扱わない方)、製図工、家政婦など
2級 研究者・電気技術者(危険物の取扱なし)、電車運転士、無線通信員、電話交換手、郵便配達人、電気機械器具組立工、計器類修理工、縫製作業者、紙製品製造作業者(手工)、印刷作業者(製版作業者・印刷作業者・製本作業者(手工)・印刷写真作業者)、ゴム製品製造工、飲食料品製造作業者、理容師、美容師、調理人、看護師・助産師、介護福祉士、歯科衛生士、漆器工、屋内清掃員、時計・光学機械器具組立工、プラスチック製品成形・加工工(手工)、がん具製造工など
3級 金属彫刻工、馬調教師、かわ製品製造作業者(手工)、陶磁器成形工、七宝工、化粧品製造工、研究者・電気技術者(危険物の取扱あり)、針金製品製造工、化学工(危険物の取扱なし)、製缶工、板金工、自転車修理組立作業者、製糸・紡織作業者(一般工員)、パルプ・紙・紙製品製造作業者(機械工)、製本作業者(機械工)、製革工、警備員、製鋼工(一般工員)、鋳物工、金属熱処理工、金属工作機械工、金属プレス工、電気溶接工、輸送機械組立・作業者、ガラス製品成形工、建設機械運転工など

4.所得補償保険はどんな人が加入すべきか

ここからは所得補償保険はどんな人が加入すべきか、以下2種類に分けて解説します。

  • 自営業・フリーランス
  • 会社員・公務員

4-1.休業状態になると収入が断たれる自営業者・フリーランスは加入すべき

会社員・公務員と違って、自営業・フリーランスは、ドクターストップがかかって休業しなければならなくなった場合に、公的保障はありません(会社員・公務員には次にお伝えするように傷病手当金があります)。

つまり、休業状態になれば、その時点で収入の道が断たれてしまいます。

そのため、働けない期間の生活費等をカバーするためにも、所得補償保険への加入を強くおすすめします。

4-2.傷病手当金の制度がある会社員・公務員は必要性は大きくない

会社員・公務員は、病気や怪我で仕事ができなくなると、最大1年6ヵ月の間、健康保険から月収の約2/3にあたる傷病手当金を受け取ることができます。

したがって、所得補償保険の必要性は必ずしも大きくはありません。

ただし、病気やケガで仕事を休む場合、生活費以外に治療のための費用も必要になります。

それらの費用を傷病手当金と手元の貯蓄だけで賄うのが難しいのであれば、所得補償保険に加入した方が良いでしょう。

なお、傷病手当金についての詳細は「傷病手当金とは?支給額と支給期間と押さえておきたい申請の方法」をご覧ください。

補足|休業が長期にわたった場合は「就業不能保険」でカバー

所得補償保険によって収入減がカバーできるのは、最大で2年間です。しかし、たとえば、後遺症が残るような大きな病気・ケガをして、2年後どころではなく、ずっと働けなくなってしまうこともあるのです。

このリスクは、会社員・公務員も自営業者・フリーランスも変わりません。会社員・公務員も傷病手当金を受け取れるのは最長で1年6ヶ月間だからです。それでは、このリスクをどのようにカバーすれば良いでしょうか。

まず、会社員・公務員、自営業者・フリーランスともに、公的保険から障害年金が支給されます。

ただし、障害年金で受け取れるお金はあくまで最低限にすぎません。したがって、不足分を就業不能保険でカバーすることをおすすめします。

なお、障害年金については「障害年金はいくらもらえる?受給金額の具体的なケーススタディ」をご覧ください。

また、就業不能保険については「就業不能保険の必要性|知っておきたい社会保障と受取条件」をご覧ください。

このように、公的保険の保障と所得補償保険・就業不能保険を組み合わせて、働けなくなったときのライフプランを検討してみてください。

5.【注意】加入前1年間の収入によって保険金額の上限が決まる

所得補償保険に加入する際に注意が必要なのが、必ずしも自分の希望する保険金額を設定できるとは限らないという点です。

保険金額の上限は、加入直前の1年間の収入を平均した金額の、5~7割程度(保険会社により異なる)までとなるので注意してください。

その理由は、所得補償保険が損害保険の一種だからです。

損害保険は、損害をある程度カバーすること、つまり、マイナスをゼロの状態に近づけることを目的としています。

所得補償保険も、働けなくなったことによる収入減を完全にカバーするためのものではなく、あくまでも『ある程度まで』カバーするためのものです。

たとえば、実際の報酬は所得税・住民税が住民税・所得税が差し引かれます。しかし、所得補償保険の保険金は非課税です。

もし、収入と同額の保険金を受け取れるようにすると、実際に収入から税金が引かれて手元に残るはずだった金額より、多くの保険金を受け取ることができることになってしまいます。

これでは、損害をカバーする以上の効果を与えてしまいます。

このような理由で、所得補償保険の保険金額は収入の5~7割程度に限られているのです。

5-1.保険金額の上限例

所得補償保険に設定できる保険金額の上限について、B損保では以下のような条件が定められています。

被保険者が加入されている公的医療保険制度 月間の平均所得額に対する保険金額割合
国民健康保険(例:個人事業主) 70%以下
健康保険、共済組合(例:給与所得者、公務員) 50%以下

月間の平均所得額(平均的な給与)が月額約35万円の方が、月額30万円や月額35万円以上の保険金額を設定することはできないというわけです。

なおB損保で、平均所得額を以下のような計算式で算出しています。

(年間収入額-働けなくなったことで免れる支出の額)÷12ヶ月

この中で「年間収入額」とは、給与・事業による所得をさし、不動産や利子所得などの不労所得は含みません。

また「働けなくなったことで免れる金額」とは、接待交際費・旅費交通費などを指します。

まとめ

所得補償保険は働けなくなってから最長で2年間、毎月ごとに給料のように保険金を支払う保険です。

働ける状態でない旨の医師の診断があってから4日~7日経過して仕事を休業していれば、その後の期間の分、保険金を受け取れます。

所得補償保険は特に、自営業・フリーランスの方には加入を強くおすすめします。なぜなら、働けなくなると公務員の傷病手当金のような公的手当もなく、直ちに無収入となってしまうからです。

一方、会社員・公務員は給与の約2/3程度の傷病手当金を約1年6ヵ月の間、受け取ることができるもの、それだけでは生活が心配ということであれば、所得補償保険の加入を検討するよいでしょう。

なお、働けない状態が2年を超えて続くリスクについては所得補償保険ではカバーされません。就業不能保険への加入をおすすめします。

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保険の教科書 編集部

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