民間介護保険の必要性|判断基準となる3つのポイント

日本の高齢化社会が問題視される近年。

団塊の世代が高齢化による更なる進行が予想される一方で、介護に対する関心も年々高まってきています。

日本では公的な介護保険に40歳から加入することが義務付けられていますが、公的介護保険の保険料だけで介護費用を賄いきれるのか、不安の方も多いでしょう。

そんな世情に合わせて、昨今保険会社が力を入れているのが、民間の介護保険です。

今回は民間介護保険の必要性について、

  • 潤沢な年金や資産があるか否か
  • 面倒を見てくれる家族がいるか否か
  • 65歳未満に介護状態となってしまう可能性に備えるか否か

の3つのポイントに着目して考えていきます。

50年後には総人口の40%が高齢者になると言われている日本。

特に今働き盛りの世代は、年金等に対する不安も加味しつつ、民間介護保険の必要性について考えてみましょう。

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保険の教科書 編集部

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私たちは、お客様のお金の問題を解決し、将来の安心を確保する方法を追求する集団です。メンバーは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持っており、いずれも現場を3年以上経験している者のみで運営しています。

1.公的介護保険と民間介護保険の違いについて

民間介護保険の必要性を考える前に、まずは公的介護保険と民間介護保険の違いについて、簡単に把握しておきましょう。

1.1.公的介護保険とは

公的介護保険は、自治体が運営する社会保障制度の1つで、40歳以上の国民は加入することが義務付けられています。

介護が必要になった場合、介護サービス料が保険料から負担され、被保険者の実質的な負担は原則1割程度に抑えられます。

同じ社会保障である健康保険をイメージしていただければわかりやすいでしょう。

生活保護受給者等、保険料の支払いが不可能な人は基本的にその恩恵を受けることは出来ませんが、65歳以上になると誰でも恩恵を受けることが出来ます。

より詳しい解説については「必ず知っておきたい!介護保険の全知識まとめ」をご覧ください。

公的介護保険の大きな特徴として、第1号被保険者と第2号被保険者で受給要件が異なることが挙げられます。

第1号被保険者とは65歳以上の被保険者のことを指し、要介護・要支援状態になった原因が何であれ、介護保険料を受給することが出来ます。

対して第2号被保険者は、公的介護保険に加入することになる40歳から65歳未満の被保険者を指し、老化に起因する特定の疾患が原因で要介護・要支援状態になった場合に限り、介護保険の受給が可能となります。

特定の疾患は以下の通りです。

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

上記の疾患以外によって要介護・要支援状態になった場合、保障が受けられないのが公的介護保険における最大のネックといえるでしょう。

また、公的介護保険は40歳まで加入することが出来ないため、若年で要介護・要支援状態になった場合には備えられないことにも注意が必要です。

1.2.民間介護保険とは

民間介護保険は保険会社が運営する介護保険です。

民間介護保険の主な役割は、公的介護保険の自己負担額(1割)を賄うことです。というのは、公的介護保険で自己負担が1割にとどまるとしても、ずっと払い続けるとなると、大きな負担になっていくからです。

また、保険会社によっては、支払い要件を満たせば、若年のうちから補償を受けられるものもあります。

若いうちからの備えとしても有効と言えます。

民間介護保険の保険金の受取方法は以下の3種類があります。

  • 一時金(介護一時金)
  • 年金(介護年金)
  • 一時金と年金の併用

一括で受け取るか定期的い受け取るか、その併用かの違いですが、家計の状況や今後の生活設定に合わせて、各々に合った受取方法を選択するのが大切です。

支払い要件については、公的要介護度に連動している「要介護度連動型」のものと、保険会社独自の基準がある「保険会社独自型」の2種類が存在します。

特に保険会社独自型は、要介護・要支援状態になってもすぐに保障を受けられない可能性があります。

詳しくは「必ず知っておきたい!介護保険の全知識まとめ」をご覧ください。

ここで介護保険の具体例を見ていきましょう。

A生命の年金型終身介護保険は、要介護2以上の状態になったら、その状態が続く限り、一生涯、毎年一定額を年金として受け取れるものです。

【40歳男性】

  • 年金額:36万円(要介護2以上または所定の状態)
  • 保険料払込期間:65歳まで
  • 保険料:月4,392円

少々保険料が割高に見えるかもしれませんが、保険料総額は1,317,600円です。介護状態になってしまったら一生涯、年36万円受け取り続けることができることを考えると、3年8ヶ月分です。妥当な金額と言えるでしょう。

2.民間介護保険の必要性について

公的介護保険と民間介護保険について大まかに把握したところで、冒頭に述べた3つの判断基準から、民間介護保険の必要性について考えてみましょう。

2.1.潤沢な年金や資産があるか否か

日本年金機構が運営する「ねんきんネット」はご存知でしょうか。

登録することによって、将来の年金見込額等を見積もることが出来るサービスです。

もし、将来の将来の年金見込額が月額25万円を超えているようであれば、民間介護保険は必要ないといえるでしょう。

というのも、月額25万円程の年金があれば、ほとんどの要介護・要支援状態に対応が可能なのです。

自宅介護が困難な場合でも、場所を選ばなければ月額20万円程で介護施設に入居が可能です(都心等、地価が高い地域ではその限りではありません)。

同様の理由で、膨大な貯蓄がある場合や、有価証券からの配当や固定資産からの家賃収入などで、一定の定期収入がある場合も、民間介護保険の必要性は低いといえるでしょう。

2.2.面倒を見てくれる家族がいるか否か

要介護・要支援状態になったとしても、介護サービスと同様の世話をしてくれる家族がいる場合は、民間介護保険の必要性は低いといえます。

家族が介護してくれる場合であれば、介護サービスにお金を払う必要はない為です。

しかし、介護には心身ともに大きな負担がかかります。

それこそメディアでしばしば取り上げられるほどに。介護現場の壮絶さと携わる人々の負担は大きな社会問題となっています。

家族に大きな負担を掛けたくないという場合は、民間の介護保険に加入し、介護サービスを受けた方が懸命といえるでしょう。

2.3.「65歳未満」で介護状態となってしまう可能性に備えるか否か

公的介護保険は40歳から加入が義務付けられていますが、40歳~64歳までの受給要件は上述のように限定的なものとなっています。

民間の介護保険は加入時から保障してくれるため、65歳未満で要介護・要支援状態になってしまった場合も担保してくれます。

上述した死亡保障の特約としての介護保険を利用することで、万一死亡した場合と介護が必要になった場合の双方に備えるなど、自身と家族へ対する担保として、家計と相談しつつ民間介護保険への加入を検討することも、今後重要となってくるでしょう。

まとめ

公的な介護保険は誰しもお世話になる可能性があるものですが、民間介護保険はその限りではありません。

しかし、公的介護保険では担保できない部分をカバーする為や、家族に大きな負担をかけない為に、民間の介護保険の必要性は高いことが分かったと思います。

保険は様々な種類が存在し、それらが担保するすべてに備えようとすると、多大な費用が必要です。

自分に必要は保障は何なのか、社会保障の内容や自身の貯蓄、将来設計等を把握した上で、しっかり吟味しましょう。

大なり小なり、周りに大きな負担をかけないことも、社会で生きていく上での責任と言えるのですから。

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