医療保険の必要性を保障内容と医療の現実から考える

お客様の相談をお受けしていると、多くの方が「加入するのが当然」だと思いこんでいます。テレビでよく医療保険のCMが放映されているためかもしれません。

実際、各保険会社は医療保険の販売に力を入れていますし、保険の営業マンの中にも「生命保険、医療保険、がん保険」を当然のようにワンセットですすめる人がいます。

しかし、先に結論からお伝えすると、一般に、医療保険は他の保険と比べて必要性・優先度は高くありません。もちろん「不要だ」とまでは言えませんが、少なくとも、加入すべきかどうかは慎重に検討する必要があります。

この記事では、医療保険の必要性について、公的保障の制度や他の保険との比較等にも触れながら解説しています。

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保険の教科書 編集部

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1.医療保険の基本は入院・手術の保障

医療保険は必要か考えるにあたって、そもそも医療保険とはどんな保険か振り返っておきましょう。

医療保険とは主に、病気やケガになった時の「入院費用」と「手術費用」を保障する保険です。

たとえば、「入院日額5,000円」、「手術1回10万円(入院中)・2.5万円(外来)」といったかたちで保険金の額が決まっています。

そこに各種特約が付きますが、あくまでも基本の保障は「入院給付金」と「手術給付金」です。

2.治療は入院・手術だけではない

ただし、このような医療保険のしくみは、現状の医療の実態にフィットしているとは必ずしも言えません。

なぜなら、病気・ケガの治療の方法が多様化してきていますし、公的医療保険制度によるサポートも受けられるからです。特に、以下のことに着目する必要があります。

  • 入院期間は短期化し、通院治療が増えている
  • 入院・手術費用だけなら公的医療保険制度で負担を大幅に軽減できる
  • 入院・手術をしないが働けず長期療養が必要となるケースも多い
  • がん等の「三大疾病」では入院・手術以外の重要性が増している
  • 高齢者は介護の重要性が増している

1つずつ解説していきます。

2-1.入院期間は短期化し、通院治療が増えている

まず、入院給付金・手術給付金を中心とした医療保険のしくみが、現在の医療の実態に必ずしも即していないことです。

厚生労働省の調査によれば、以下の通り、入院期間は年々短期化しています。

【退院患者の平均在院日数】

  • 1990年:44.9日
  • 1993年:41.9日
  • 1996年:40.8日
  • 1999年:39.3日
  • 2002年:37.9日
  • 2005年:37.5日
  • 2008年:35.6日
  • 2011年:32.8日
  • 2014年:31.9日
  • 2017年:29.3日

(厚生労働省「2017年 患者調査(退院患者の平均在院日数等/P14)」)

平均の入院日数は、平成8年までは40日を超えていましたが、平成29年には30日を切っています。

約20年間で日数が10日も減っていることになります。

理由として考えられるのは、医療技術が進歩していることや、国が長期的な入院よりも自宅で療養するよう促していることなどです。

なお、後者については、その背景として、医師の診療報酬を計算する基準が変更され、入院が長期になるほど低くなるしくみに切り替わったことがあります。患者を長期間入院させるのは医療機関にとってもマイナスということです。

2-2.入院・手術費用だけなら公的医療保険制度で負担を大幅に軽減できる

日本の公的保険は保障が手厚く、入院や手術の費用に関してはその大部分を保険でカバーしてもらえるケースも多いです。

まず、そもそも公的医療保険の対象となる医療費の自己負担割合は最大でも3割です。

また、高額療養費制度により、毎月の自己負担額の上限が所得別に定められ、それ以上かかった場合は後で返金してもらうことができます。

【70歳未満の場合/平成27年1月診療分から】

所得区分 自己負担限度額 多数該当
区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
区分イ
(標準報酬月額53万円~79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
区分ウ
(標準報酬月額28万円~50万円の方)
(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)
57,600円 44,400円
区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円 24,600円
所得区分 自己負担限度額 多数該当
区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)

(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
区分イ
(標準報酬月額53万円~79万円の方)

(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
区分ウ
(標準報酬月額28万円~50万円の方)

(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)

(報酬月額27万円未満の方)
57,600円 44,400円
区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円 24,600円

(参照元:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」)

たとえば、標準報酬月額が28~50万円の方であれば、どんなに治療費がかかっても、1ヵ月の治療費は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」に抑えられるということです。

このケースで仮に「総医療費」が100万円かかったとしても、自己負担額は87,430円済むのです。

なお大部屋でなく4人以下の少人数のお部屋、個室を選ぶ場合には別途「差額ベッド代」がかかり、高額療養費制度の保障対象外となるので注意してください。ただし、病院側の都合や治療の都合等でやむを得ず個室等に入らざるを得ない場合は、差額ベッド代の支払いを拒否することができます。

2-3.入院・手術をしないが働けず長期療養が必要となるケースも多い

次に、入院・手術をするしないにかかわらず、働けない状態が続くケースがあることが挙げられます。

ライフネット生命が2015年10月に行った「現役医師 100 人に聞いた、医療現場における就業不能状態の実態」というアンケートによると、医師の7割が「本当にお金で困るのは、長期間働けない場合の”生活費”」と回答しています。

また、現役医師の8割が「病気やケガで就業不能状態の患者を目の当たりに」したことがあるとのことです。

入院や手術をしなくても長期療養が必要となり、その結果働けずに経済面で困窮してしまうということは起こり得ます。

この場合、医療保険の入院給付金・手術給付金を受け取ることができません。

2-4.がん等の「三大疾病」では入院・手術以外の重要性が増している

三大疾病とは、日本人の死因の上位にあがる「がん」、急性心筋梗塞などの「心疾患」、脳卒中などの「脳血管疾患」を指します。

これらの病で共通するのは、治療後に再発のリスク(がん)が残ったり、身体の麻痺などの後遺症が残ったりして発病前のように働けなくなるリスクがあることです。

働けなった場合の公的保障として、障害年金傷病手当金がありますが、いずれにしても健康で働いていたときの報酬額と比べると少ないです。そのため、生活が苦しくなることがあります。

また、がんであれば入院・手術ではなく外来で抗がん剤や放射線の治療を受けるケースが多くなっています。これらの治療は継続的に受け続けることが多いので、高額療養費制度を利用するにしても、長期間続けば経済的負担が大きくなってしまいます。

もちろん、入院・手術が保障の対象となる医療保険では、在宅での抗がん剤・放射線治療の費用は保障されません。

2-5.高齢者は介護の重要性が増している

内閣府の「令和元年版高齢社会白書」によると、毎日の生活に介助が必要となる要介護者は、65歳~74歳までは2.9%なのに対し、75歳では5人に1人以上の23.3%に上昇するとのことです。

介護が必要となれば、その分、費用がかかります。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 平成30年度」P69-70によると、介護費用の平均は以下の通りです。

  • 介護ベッド購入などの初期費用:69万円
  • 毎月の介護費用(公的介護保険サービスの自己負担額含む):7.8万円

決して無視できる額とは言えないでしょう。

さらに、認知症の問題があります。内閣府「平成29年版高齢社会白書」によれば、2012年は65歳以上の約7人に1人が認知症と診断されたところ、2025年には約5人に1人になる推計もあるとのことです。

これらの費用は医療保険の「入院給付金」「手術給付金」の対象外です。

3.医療保険より他の保険の優先順位が高いことが多い

これらのことを考えると、入院・手術の費用の保障が中心の医療保険は、必ずしも現在の状況に合っているとはいえません。

医療保険ありきではなく、以下のリスクを重視して、保険選びをすることが大切です。

  • 三大疾病のリスク
  • 働けなくなるリスク
  • 介護状態・認知症になるリスク

以下、3つの保険を紹介します。

3-1.がん保険

がんになったときに保障を受けられる保険です。

一口にがん保険といっても保障の種類は複数あります。

なかでもおすすめできるのは、がんと診断されると一時金としてまとまった金額の保険金を受け取れるタイプ、抗がん剤や放射線治療などを行うと(入院・通院に関わらず)毎月●万円の保険金を受け取れるタイプの保障です。

一時金として受け取ったお金は使い道が自由なので、入院・手術費用だけでなく働けなくなった期間の収入代わりなどにすることもできます。

3-2.就業不能・所得補償保険

就業不能保険と所得補償保険は、いずれも働けなくなったときの収入を保障してくれる保険です。

所定の状態になった場合に、「毎月●万円」などの保険金を受け取ることができます。

就業不能保険と所得補償保険の違いは、保険金を受け取れるための条件と、保険金を受け取れる期間の長さです。

就業不能保険は仕事への復帰自体が困難な状態に陥って初めて保険金を受け取れます。そして、いったんその状態になれば、保険期間中ずっと保険金を受け取り続けることができます。

これに対し、所得補償保険は、ドクターストップがかかって一時的に仕事を休まなければならなくなった場合でも保険金を受け取ることができます。そして、受け取れる期間は1年~2年間と限られています。

詳細は「働けなくなったときの保険、所得補償保険と就業不能保険の比較」をご覧ください。

3-3.介護・認知症に備える保険

介護が必要になったり認知症と診断されたりした際に、介護のための費用としてまとまった金額の一時金を受け取れるタイプ、年金として「毎年●万円」のお金を受け取れるタイプの保険です。

医療保険の入院・手術の保障よりも、ここに挙げた3つの保障がより優先度が高いことが多いと考えられます。

4.医療保険の特約によって重要な保障をカバーする方法もある

ここまでお伝えしてきたように、医療保険の入院・手術の保障は必ずしも優先順位が高いわけではありません。

しかし、医療保険には、特約で柔軟に保障を付けられるものがあり、組み立て方によってはおすすめできます。ここではA生命の医療保険の契約例をお伝えします。

契約例1(40歳男性)|がん、介護・認知症の保障を充実させたプラン

  • 入院給付金:3,000円/日(10日目までは一律3万円)
  • 手術給付金:3万円(入院中)、1.5万円(外来)
  • 先進医療特約:あり
  • がん診断一時金:100万円(1年に1回限度、2回目以降は入院が条件)
  • 終身介護保障特約:終身年金36万円、認知症介護一時金100万円
  • 保険料:5,690円/月

入院給付金を3,000円/日、手術給付金を3万円(入院)・1.5万円(外来)と低く抑えています。また、「先進医療特約」を付けています。

一方で、以下のように特約を充実させています。

「がん診断給付金」は、がんと診断されたら100万円受け取れます。2回目以降は、がんの治療のための入院を条件として、年1回まで受け取れます。

終身介護保障特約は、要介護2と認定された場合に年36万円を一生涯受け取れるものです。また、認知症と診断されるとさらに100万円を一時金として受け取れます。

契約例2(30歳女性)|女性特有の病気の保障、がん・三大疾病、介護の保障を充実させたプラン

  • 入院給付金①(通常の病気・ケガ):3,000円/日(10日目までは一律3万円)
  • 入院給付金②(女性特有の病気):6,000円/日(10日目までは一律6万円)
  • 手術給付金①(通常の病気・ケガ):3万円(入院中)、1.5万円(外来)
  • 手術給付金②(女性特有の病気):6万円(入院中)、3万円(外来)※一部9万円の場合あり
  • 先進医療特約:あり
  • がん診断一時金:100万円
  • 三大疾病入院一時金:60万円
  • 保険料:3,720円/月

基本の保障は、契約例1と同様、入院給付金を3,000円/日、手術給付金を3万円(入院)・1.5万円(外来)と低く抑え、先進医療特約を付けています。そして、がん診断一時金特約を付けています。

それらに加え、以下の特約を付けています。

まず、女性特有の病気での入院の際には3,000円/日が追加され、女性特有の手術では9万円が支給されることになっています。

また、「三大疾病入院一時金」を付けています。これは、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)で入院した際に60万円を受け取れるものです。

まとめ

医療保険の必要性は、今日では必ずしも大きくありません。なぜなら、医療保険のメインの保障内容は入院費用と手術費用の保障をカバーすることだからです。

最近は入院期間が短くなり、通院治療やリハビリ、介護等の比重が大きくなっています。

たとえば、ガンになれば入院の有無にかかわらず、抗がん剤・放射線治療を受けることが多くなっています。そのため、これらの治療をする際に毎月●万円が受け取れる保障、あるいはがんと診断されたら一時金としてまとまった額を受け取れる保障が有効です。

そのほか、病気やケガで働けなくなった場合の保障、介護や認知症の保障など、医療保険の入院・手術の保障より優先度が高いものがあります。

医療保険は必ずしも意味がないわけではありませんが、これらの保険と比較すると必要性が低いと言わざるをえません。

ただし、医療保険には特約が充実したものがあり、組み方によっては、おすすめできることもあります。

なお、医療保険の必要性は人によって異なります。異なる立場からの2つの記事「保険業界で働く私が医療保険に入らない理由」「女性FPによる女性のための医療保険の正しい選び方」がありますので、よろしければそちらもご覧になってお役立てください。

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