先進医療特約とは?必要性・メリットと検討する上での注意点

医療保険やがん保険の特約として、必ずと言っていいほど名前が挙がるのが「先進医療特約」です。

ただし、どんな医療が対象となるのか、この特約を付けたらどんな良いことがあるのか、といったことを含め、いまいちよく分からないと思います。

この記事では、先進医療とは何か、どのくらいお金がかかるのかといったデータを紹介した上で、先進医療特約について、付けることのメリットの有無や検討する上での注意点を説明します。

はじめに|先進医療特約とは

先進医療特約とは、「先進医療」にかかる技術料を、一定の限度額まで、全額保障してくれるものです。多くの保険会社では限度額を2,000万円に設定しています。

なぜこのような特約があるのでしょうか。これを付ける必要性・メリットはどれほどあるのでしょうか。そもそも「先進医療」とは何かということから説明します。

1.先進医療とは

先進医療とは、厚生労働省がその治療効果と安全性を認めた新しい治療法・手術法です。

治療の効果が高い、身体への負担が少なくて回復が早いといった理由で、医療機関からも大きな注目を集めています。

具体的な先進医療の種類については、厚生労働省の公式サイト(「先進医療の各技術の概要」)で確認することができます。

2019年11月15日時点で88種類あり、先進医療A(29種類)と先進医療B(59種類)に分かれます。

先進医療Aと先進医療Bの区別は以下の通りです。

「未承認の医薬品・医療機器を使うか」と、「人体への影響が懸念されるか」の組み合わせで決まります。

先進医療A

  • 未承認の医薬品・医療機器を使わない医療技術(安全性・有効性が高い)
  • 未承認の医薬品を使うが、その医薬品による人体への影響が極めて低い医療技術

先進医療B

  • 未承認の医薬品・医療機器を使う医療技術(医薬品による人体への影響が極めて低いものは除く)
  • 未承認の医薬品・医療機器を使わないが、安全性・有効性について今後も慎重な観察や評価が必要とされる医療技術

1-1.先進医療は「技術料」が全額自己負担となる

先進医療と認められた治療法は、今後、公的な医療保険の対象にするかどうかのテストをしている段階にあります。そのため、先進医療を受ける場合、「技術料」が全額自己負担となります。

では、先進医療を受けたらどの程度の額を自己負担することになるのか、入院して先進医療を受けるケースで見てみましょう。

以下の費用が発生するものとします。

  • (A)先進医療の技術料:100万円
  • (B)先進医療の技術料以外の費用(診察・検査・投薬・注射・入院など):100万円

このうち、「(B)先進医療の技術料以外の費用」は公的医療保険の対象なので、一般成人なら3割の負担となります。さらに、高額療養費制度が適用され、1ヶ月あたりの自己負担額の上限があるので、医療費の負担は大幅に軽減されます。

これに対し「(A)先進医療の技術料:100万円」は公的医療保険の対象とはならず、その全額を自己負担しなくてはなりません。

この例では(A)先進医療の技術料を「100万円」としましたが、決して大げさな額ではなく、種類によっては数百万円にもなる場合もあります。

なぜこのように高額になってしまうことがあるのか説明しましょう。

先進医療の種類によっては、全国でごく限られた数か所、特殊なものになると1か所でしか受けられないものもあります。

仮に医療技術として有効性が認められたとしても、一部の施設でしか実施できず全国的な普及が難しいのであれば、公的医療保険の対象にはできません。なぜなら、公的医療保険の対象は、多くの国民が等しく受けられる治療でなければならないからです。

一方で、全国的に普及する可能性が高いと判断されれば、先進医療から公的医療に転換され、公的医療保険で補助してもらえるようになることもあります。

1-2.先進医療を受けるには高額な費用が必要となることもある

このように、先進医療は、その技術料の全額が自己負担となってしまいます。しかも、治療の種類によっては非常に高額です。

以下、先進医療の種類(一部)と平均費用をまとめた表をご覧ください。

技術名 年間実施件数 1件あたりの平均費用 実施医療機関数
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 178 ¥307,342 3
陽子線治療 1,663 ¥2,716,016 13
骨髄細胞移植による血管新生療法 1 ¥312,000 1
神経変性疾患の遺伝子診断 42 ¥17,788 5
重粒子線治療 1,008 ¥3,133,672 5
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 143 ¥33,773 9
家族性アルツハイマー病の遺伝子診断 6 ¥30,000 1
腹腔鏡下膀胱尿管逆流防止術 14 ¥259,821 2
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 23,859 ¥656,419 675

技術名 件数/年 平均費用 病院数
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 178 ¥307,342 3
陽子線治療 1,663 ¥2,716,016 13
骨髄細胞移植による血管新生療法 1 ¥312,000 1
神経変性疾患の遺伝子診断 42 ¥17,788 5
重粒子線治療 1,008 ¥3,133,672 5
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 143 ¥33,773 9
家族性アルツハイマー病の遺伝子診断 6 ¥30,000 1
腹腔鏡下膀胱尿管逆流防止術 14 ¥259,821 2
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 23,859 ¥656,419 675

(参照元:厚生労働省「平成30年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」)

このうち、特に高額なのは「陽子線治療」・「重粒子線治療」です。いずれも有効なガンの治療法として注目されています。

また、年間実施件数が最も多い「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は、白内障によって悪化した視力を回復させるための手術法であり、陽子線治療などと比較すると費用は安くなるものの、こちらも決して軽い負担ではありません。

一方、表にもある通り「先進医療=高額」というわけでもない点にも注意してください。

たとえば、表に挙げた中で「神経変性疾患の遺伝子診断」は、平均費用が17,783円とそれほど高くありません。

また、この表には含まれていませんが、厚生労働省の資料「平成30年6月30日時点における先進医療Bに係る費用」によれば、大腸がんの治療の1つでがんの再発予防などのために行われる「術後のアスピリン経口投与療法」は、平均費用が244円ときわめて安価です。

とはいえ、紹介した陽子線治療・重粒子線治療・多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術をはじめとして、年間の実施件数が多い治療法・手術法は数十万円・数百万円という負担になることが多くなっています。

1-3.確率は低くても、誰もが先進医療を受ける可能性がある

先進医療は、基本的には、受ける可能性が低いものと言えます。

なぜなら、担当の医師が合理性・必要性を認めた場合にしか受けられませんし、実施している医療機関の数自体が限られていることが多いからです。

たとえば、上で紹介したがん治療の「陽子線治療」「重粒子線治療」の実施件数は2つ合わせても年間2,671件にすぎません。

厚生労働省がまとめた「平成29年(2017年)患者調査の概況」の「5 主な傷病の総患者数」によればがん(悪性新生物)患者の数は178.2万人なので、このうち2017年に陽子線治療・重粒子線治療を受けた人の割合は単純計算で 0.15%、つまり、がん患者のうち700人に1人にすぎません。

また、先進医療全体で見ると、上述した厚生労働省の資料(「平成30年(2018年)6月30日時点における先進医療Aに係る費用」「平成30年(2018年)6月30日時点における先進医療Bに係る費用」)によれば、2017年7月1日~2018年6月30日の1年間に行われた先進医療の件数は28,539件です。

日本の総人口は約1億2,615万人(総務省統計局「人口推計-2019年(令和元年)9月報-」参照)なので、1年間で先進医療を受けるのは0.02%、つまり5,000人に1人程度となります。

このように、先進医療を受ける確率自体は決して高くはありません。

ただし、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」については注意が必要です。上の表にあるように、年間約2万3千件行われており、年間約3万件行われている先進医療の大半を占めています。

また、白内障は、長生きすればいずれは発症する病気とも言われており、誰でもこの治療を受ける可能性があると言っても過言ではありません。

したがって、誰しも、先進医療を受ける確率は低いとはいえ、受ける可能性があることは否定できないのです。

2.先進医療特約は付けるべき

以上を踏まえ、先進医療特約を付けるべきでしょうか。結論から言えば、これから医療保険やがん保険に加入するならば、ぜひ付けるべきです。

特約自体の保険料負担は大変軽く、どの年代でも、月額100円程度です。

先ほど、先進医療の技術料が高いとお伝えしたので、意外に思われるかも知れません。

なぜこれほど安いかと言うと、やはり、先進医療を受ける可能性自体が非常に低いためです。

ただし、低いとは言っても、たとえば「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」白内障になる可能性はがんなどの病気になったとき、万が一先進医療を受けることになっても特約で高額な技術料を負担してくれることが分かっていれば心強いでしょう。神的な負担も軽減できます。

そのため先進医療特約は、医療保険やがん保険に加入するならば、ぜひとも付けることをおすすめします。

3.今の保険に先進医療特約を追加できるか

中には、現在医療保険やがん保険を契約しているものの、先進医療特約を付けていないという方もいるでしょう。

保険会社によっては、加入中の保険に先進医療特約を追加できることがあります。「中途付加」と言います。

では、先進医療特約を中途付加できない場合はどうすれば良いでしょうか。

その場合は、現在の医療保険やがん保険を乗り換えは慎重に考えなければなりません。

なぜなら、医療保険やがん保険は契約した年齢によって保険料が大きく変動し、場合によっては年齢が10歳上がるだけで保険料が2倍程度に跳ね上がってしまうことも珍しくありません。そのような場合、先進医療特約を付けるために保険を掛け替えるのは、合理的とは言えません。

一方、現在加入している医療保険・がん保険が10年間の定期契約でちょうど見直すタイミングであったり、先進医療特約の有無だけでなく他にも契約内容などに不足を感じていたりする場合には、掛け替えを検討しても良いでしょう。

まとめ

医療保険やがん保険に付けられる「先進医療特約」は、先進医療にかかる技術料を、一定の限度額まで、全額保障してくれるものです。

先進医療は、技術料が国の公的医療保険の対象外で、自己負担になる治療法です。

統計上、先進医療を受ける確率自体は非常に低いのですが、誰もが受けることになる可能性があります。仮にその必要が生じた場合には技術料が全額自己負担となり、その負担は非常に高額となることが多いのです。

保険料は月額100円程度と非常に安価なので、万が一の際に備えて付けしておくことをおすすめします。ただし、先進医療特約を備えたいがために既存の保険を解約して掛け替える場合は、年齢がアップしたことで保険料が上がることがあるので、慎重に検討するようにしてください。

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