高齢者が医療保険を検討するときに知っておくべきこと

高齢者の方からよく、医療保険に加入すべきかどうか迷っているというご相談をお受けします。

たしかに、高齢になればなるほど健康に不安を抱えるようになっていくのは避けられません。その備えとして医療保険を検討したいとお考えになるのはもっともだと思います。

ただし、医療保険がその不安に応えられているか、ニーズに合っているかは別の問題です。

この記事では、高齢者の方が医療保険を検討する上で知っておいていただきたい情報をお伝えします。

高齢者の方が実際にどんな健康上のリスクを抱えているかを知っていただいた上で、それを基に、医療保険に加入するメリットがあるのか、他の選択肢があるかなど、説明しておりますので、ぜひお役立てください。

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出岡 大作

出岡 大作

保険の教科書 編集長。2級ファイナンシャルプランナー技能士。行政書士資格保有。保険や税金や法律といった分野から、自然科学の分野まで、幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。

1.  高齢者が抱える健康のリスク

高齢者の医療保険を考えるにあたって、そもそも高齢者にはどんな健康のリスクが高いのかみていきましょう。

適切にリスクをとらえることによって、どのような補償が必要で、何をすれば良いのかが分かります。

1-1.  高齢者に多い病気は、がん・脳血管疾患・心疾患

内閣府がまとめた「平成29年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の高齢者の受療率が高い主な傷病は、入院では「脳血管疾患」「がん(悪性新生物)」、通院では「高血圧性疾患」「脊柱障害」です。

また、死亡原因として最も多いのは「がん」で、その次に「心疾患」「肺炎」が続きます。

がん・脳卒中・心疾患のいわゆる「三大疾病」のリスクが大きいことがわかります。また、「高血圧性疾患」は三大疾病のうち「心疾患」「脳血管疾患」を引き起こす原因になるものです。

1-2.  60代以上ではがんの罹患率が急激に上昇

以下は、国立がん研究センター「最新がん統計」(2019年10月)のデータです。各年代において、10年後までにがんと診断される確率をまとめたものです。

これによると、がんになるリスクは60代以上になると急上昇します。特に男性は激しく上昇します。

男性 女性
30代 0.6% 1%
40代 2% 4%
50代 5% 6%
60代 15% 9%
70代 29% 14%

また、がんになると、治療が長期化しがちです。2018年12月メットライフ生命「がん罹患者またはがん罹患経験者のアンケート結果」によると、がんにかかった方の41.3%が治療期間が半年以上になったと回答しており、5年以上かかったという方も9.3%もいらっしゃいます。

1-3.  65歳以上の認知症患者の割合は増加する見込み

次に、認知症のリスクです。

内閣府「平成29年版高齢社会白書」によると、2012年は65歳以上の約7人に1人が認知症にかかっていたとのことですが、2025年には約5人に1人になるという推計が出ています。

これれは、寿命が延びるにつれ、認知症になる確率が高まっていくためです。

1-4.  75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇

さらに、要介護状態になるリスクです。

内閣府「令和元年(2019年)版高齢社会白書」によると、生活するのに他の誰かの介助を必要とする要介護者は、65歳から74歳までは全体の2.9%なのに対し、75歳以上になると全体の23.3%に上昇するとのことです。

75歳を境にして要介護の状態になる人が急増するということです。

1-4-1.  要介護の原因として多いのは認知症や脳卒中など

高齢社会白書によれば、要介護状態になる主な原因は以下の通りです。

  • 認知症:18.7%
  • 脳血管疾患(脳卒中):15.1%
  • 高齢による衰弱:13.8%
  • 骨折・転倒:12.5%
  • 関節疾患:10.2%
  • 心疾患(心臓病):4.7%
  • その他:24.9%

認知症や、脳血管疾患・心疾患が多くなっています。脳血管疾患・心疾患はがんと並んで三大疾病と呼ばれます。

また、骨折・転倒といったケガで要介護の状態になってしまう方も多くなっています。

2.  高齢者向けの公的医療保険は手厚い

ここまでお伝えしてきたように、高齢者が抱える重要なリスクは以下の3つです。

  • がん・脳血管疾患・心疾患の「三大疾病」
  • 認知症
  • 介護

では、これらについて、医療保険で備える必要があるでしょうか。ここで、もう1つお伝えしておきたいのは、日本では高齢者向けの公的医療保険制度が手厚いということです。

70歳以上の高齢者であれば、以下の通り、医療費の自己負担の割合や限度額が決められています。また、75歳以上になると「後期高齢者医療制度」によってさらに自己負担割合が抑えられます。

所得区分 自己負担 自己負担限度額(1ヵ月当たり)
外来
(個人ごと)
外来+入院
(世帯ごと)
現役並み 課税所得
690万円以上
3割 252,600円

(総医療費-842,000円)×1%
[4回目以降は140,100円]
課税所得
380万円以上
167,400円

(総医療費-558,000円)×1%
[4回目以降は93,000円]
課税所得
145万円以上
80,100円

(総医療費-267,000円)×1%
[4回目以降は44,400円]
一般 課税所得
145万円未満
70歳以上
2割

75歳以上
1割

18,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
[4回目以降は44,400円]
住民税非課税 年金収入80万円超 8,000円 24,600円
年金収入
80万円
以下等
15,000円
所得区分 自己負担 自己負担限度額/月
外来
(個人ごと)
外来+入院
(世帯ごと)
現役並み 課税所得
690万円以上
3割 252,600円

(総医療費-842,000円)×1%
[4回目以降は140,100円]
課税所得
380万円以上
167,400円

(総医療費-558,000円)×1%
[4回目以降は93,000円]
課税所得
145万円以上
80,100円

(総医療費-267,000円)×1%
[4回目以降は44,400円]
一般 課税所得
145万円未満
70歳
以上
2割

75歳
以上
1割

18,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
[4回目以降は44,400円]
住民税非課税 年金収入80万円超 8,000円 24,600円
年金収入
80万円以下等
15,000円

(参照元:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」)

たとえば、住民税非課税世帯で75歳以上なら、医療費の負担は1割である上に、1ヵ月の医療費の上限額は外来:8,000円、外来+入院:24,600円に抑えられます。

入院する場合、「大部屋」であれば、個室や少人数の部屋に入るための「差額ベッド代」はかかりません。

また、個室等に入る場合でも、病院側の都合や治療の必要上やむを得ず入る場合は、差額ベッド代の支払いを拒否することができます。

さらに、高齢者向けの医療制度としては、年間の介護費用・医療費用を合計した金額が基準額を超えると、その分を返金してくれる「高額介護合算療養費制度」もあります。

高額介護合算療養費制度も以下の通り、報酬ごとに基準額が決められています。

区分 7074 69歳以下
標準報酬月額83万円以上 212万円 212万円
標準報酬月額53万円~79万円 141万円 141万円
標準報酬月額28万円~50万円 67万円 67万円
標準報酬月額26万円以下 56万円 60万円
Ⅱ住民税非課税世帯 31万円 34万円
Ⅰ住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下等)
19万円

いずれにしろ、70歳以上の高齢者であれば、個室等を選ばない限り、民間の医療保険を使わなくても医療費の負担は重くないということです。

医療保険の加入を検討する際は、これら高齢者向けの公的医療保険制度があることを把握しておいて、「本当に足りないか、どれだけ足りないか」を考えるようにしましょう。

3.  高齢者は医療保険の保険料が割高

高齢者が医療保険を検討する上で注意が必要なのは、保険料が割高だということです。なぜなら、高齢者は病気で入院・手術を受けるリスクが高いので、その分、保険料が高く設定されているからです。

たとえば、A生命の医療保険では、以下のプランの保険料は、35歳男性が1,807円/月なのに対し、70歳男性だと6,779円/月になります。

  • 入院給付金:1日5,000円(1入院あたり60日まで・ただし三大疾病での入院は日数無制限)
  • 手術給付金:2.5万円(外来)、10万円(入院中)
  • 先進医療特約つき
  • 保険料払込期間:終身(一生涯)

年齢が倍になると、保険料は4倍に近くになるのです。

3-1.  年間の保険料が1ヶ月分の医療費を超えることも

上のA生命の医療保険の例だと、70歳で加入する場合の保険料は6,779円/月ですので、年間の保険料は81,349円となります。

一方、公的医療保険制度を使えば、一般世帯だと、入院した場合でも1ヶ月あたりの自己負担額を57,600円(多数該当なら1ヶ月あたり44,000円)に抑えることができます。

このように、高齢者が新たに医療保険へ加入すると、毎年、1ヶ月間入院した場合の自己負担額を超える保険料を支払うことになります。

3-2.  加入しやすい緩和型であれば、さらに条件が悪い

高齢者の場合、持病があって一般の医療保険に加入できないことがあります。

その場合、医療保険に加入しようとすれば、加入条件がゆるい「緩和型」と呼ばれる種類を選択することになります。

参考までにB生命の緩和型医療保険の「告知書」の内容を以下に記載します。

3つの質問に答えるだけです。回答が全て「いいえ」なら加入できます。

【B生命の緩和型医療保険の加入条件】

最近3ヵ月以内に受けた医師による検査、検診または診察により、以下の①または②をすすめられたことはありますか。

①入院または手術
②ガン(悪性新生物または上皮内新生物)の疑いでの再検査・精密検査

過去1年以内に、病気やケガで入院や手術を受けたことがありますか。
過去5年以内に、以下①~③の病気と新たに診断されたこと(再発や転移を含みます)、あるいは以下①~③の病気により入院や手術を受けたことがありますか。

① ガン(悪性新生物または上皮内新生物)
② 肝硬変
③ 統合失調症、アルコール依存症、認知症

しかし、緩和型医療保険は、保険料が普通の医療保険よりも1.5倍~2倍ほどと高く、しかも契約して1年間の保障は半分です。

たとえば、入院給付金が5,000円/日、手術給付金が5万円ならば、最初の1年間は入院1日2,500円、手術1回25,000円です。

そのため、緩和型医療保険に加入する際は、普通の医療保険にもまして慎重な検討が必要です。

4.  目的を絞った保険を選ぶ方法もある

このように、医療保険は保険料が割高です。そこで、医療保険ではなく、がん保険や介護・認知症保険など、より保障対象を絞った保険を選ぶ方法もあります。

たとえば、がんになった場合、近年は通院治療の比重が大きくなっており、入院費用・手術費用をカバーする医療保険では十分な保障を受けられない可能性があります。

また、要介護の状態になったときに問題となるのは、入院・手術費用よりもむしろ、介護サービスを受ける費用です。介護保険制度の対象ですが、毎月の自己負担額がかかります。

三大疾病で後遺症が残ってしまった場合にも、入院・手術よりも、自宅でのリハビリ・介護の費用が問題となります。

がん保険や介護保険は、これらの問題をカバーできる上に、目的が限定されている分、支払う保険料に対してえられる保障が大きくなる可能性があります。

以下、がん保険・介護認知症保険それぞれの例を紹介します。

4-1.  がん保険の例

がんになると、入院・手術だけでなく、通院での抗がん剤治療などで高額な費用がかかってしまうことがあります。

がん保険の中には、比較的低い保険料で手厚い保障を用意する保険商品があり、高齢の方にもおすすめです。

たとえばC損保のがん保険では、入院中の治療費・手術費を全額、また通院中の治療費・手術費を最大1,000万円まで保障してくれます(入院中の差額ベッド代は対象外です)。

この補償内容で、保険料は70歳男性であれば5,040円/月です。

4-2.  介護・認知症保険

介護・認知症保険とは、要介護状態や認知症になった場合に、保険金を受け取れる保険のことです。

こちらも、D生命の介護・認知症保険の契約例を紹介します。

  • 契約者:60歳男性
  • 認知症一時金:100万円
  • 介護一時金:100万円
  • 介護年金特約:36万円/年
  • 骨折治療一時金:1回につき5万円

この契約例では、認知症と診断された時、もしくは要介護と認定された時に一時金として100万円を受け取れます。

それに加え、要介護3の状態になったら毎年36万円を一生涯、受け取ることができます。

さらに、骨折で治療を開始したら5万円受け取れます。回数は無制限です。

この契約内容で、60歳男性であれば保険料は10,330円/月です。

上で紹介したように高齢者が要介護や認知症と判定されるリスクは高まっているため、現状にフィットした保険と言えるでしょう。

まとめ

高齢者の方は多くの健康不安を抱えますが、医療という面でみると公的医療保険で手厚い保障が利用できます。

また高齢で医療保険へ加入すると、若いときに加入するのと比べ保険料が飛躍的に上がるため、費用対効果が高いとは言えません。

一方で、がん保険や介護・認知症保険のように、目的を絞った上でコストパフォーマンスの高い保険もあります。

一口に高齢者の健康不安に応えるための保険といっても、選ぶべき保険は人によって異なります。ファイナンシャルプランナーに、そもそも保険が必要なのか、どういった保険がニーズに合っているのか、相談することをおすすめします。

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