介護費用はどれくらい?費用を抑えるために知っておくべきこと

自分の親や配偶者・世帯主が要介護状態になり、介護することになってしまったら、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。30代~50代の働き盛りの人で介護についてじっくり考えたことがある方は少ないと思います。

要介護者の発生率は、加齢とともに急速に高まっており40代~64歳では0.4%、65~69歳では2.9%、70歳~74歳では6.1%、75歳~79歳では12.9%、80~84歳では28.2%、85歳以上では60%が要支援または要介護が必要な状態にあります。(厚生労働省「介護給付費実態調査月報(平成29年6月)」などより)

介護用品の購入や住宅の改造などは公的介護保険の範囲外の費用になりますので、自分で準備しておかなければなりません。

そこで今日は介護の初期費用や月々の必要資金についてお伝えしたいと思います。その時がきてから慌てるよりも、今から準備できる費用について知っておきましょう。

介護費用がどれくらいかかるのか気になる方や今から準備しておきたいという方は是非最後までご覧ください。

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保険の教科書編集部

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1. 介護に必要な費用

配偶者や世帯主が実際に介護状態になったとき、初期費用としていくらのお金が必要になるのでしょうか。生命保険文化センターの全国実態調査をもとにお伝えしますので、ぜひ参考にして下さい。

1-1. 要介護状態になった場合の必要な初期費用

要介護状態になった場合、以下のような初期費用が発生する可能性があります。

  • 住宅の改修(手すりの取り付け・段差の解消・お風呂場やトイレの改修など)
  • 車いす・特殊ベッド・ポータブルトイレなどの福祉用品等の購入

※住宅の改修については、公的介護保険の対象となるものがあります。
※車いす・特殊ベッドなどの福祉用品については、公的介護保険の貸与制度があります。

【要介護状態となった場合の必要資金(初期費用)の分布】

  • 50万円未満:14.2%
  • 50~100万円:9.7%
  • 100~200万円:24.7%
  • 200~300万円:11.1%
  • 300~500万円:8.3%
  • 500~1,000万円:8.4%
  • 1,000万円~2,000万円:4.4%
  • 2,000万円以上:1.1%
  • 不明:18.1%

(参照元:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」)

必要な設備や福祉用品を準備して平均で242万円もの初期費用が掛かります。割合でみると、「100~200万円未満」が最も多く24.7%。次いで「50万円未満」が14.2%、「200~300万円未満」が11.1%となっています。

介護のきっかけは脳卒中や骨折・転倒が多いですが、退院後の生活で必要なのが車いすや特殊ベッドなどの福祉用具です。通販の「値下がりセール」や「大特価」という広告につられて、急いで自宅や親元へ手配する人も多いのではないでしょうか。しかし早まってはいけません。

介護保険を使えば、これらの福祉用具が自己負担1割でレンタルすることができます。特殊ベッドのレンタルの場合、状況の変化に応じ機種の変更やマットレスの交換、メンテナンスを受けることもできます。

しかし、購入するとなるとそうはいきません。レンタルの場合でも、レンタル料は事業者によって違います。親や配偶者の福祉用具が必要なったら慌てて福祉用具を買うのではなく、まずは介護保険が利用できないか市区町村の介護保険担当者へ問い合わせてみることをお勧めします。

そして必ずケアマネージャーに複数の事業者を紹介してもらい、費用を検討しましょう。

1-2. 要介護状態になったときの月々の必要資金

要介護状態となった場合、必要と考える月々の費用の平均は16.6万円となっています。必要資金の分布をみると、「10~15万円未満」が27.8%と最も多くなっています。

【要介護状態となった場合の必要資金(月々の費用)の分布】

  • 5万円未満:3.5%
  • 5~10万円未満:10.2%
  • 10~15万円未満:27.8%
  • 15~20万円未満:10.4%
  • 20~25万円未満:17.8%
  • 25~30万円未満:1.3%
  • 30~35万円未満:5.8%
  • 35万円以上:3.6%
  • 不明:19.6%

(参照元:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」)

1-3. 要介護になったときの必要期間はどのくらいか

介護費用はどのくらい期間準備が必要でしょうか。
必要と考える期間の平均は167.2ヶ月(約14年)で、必要期間の分布をみると、「10~15年未満」が33.5%と最も多くなっています。

【要介護状態となった場合の必要期間の分布】

  • 5年未満:3.0%
  • 5~10年未満:10.3%
  • 10~15年未満:33.5%
  • 15~20年未満:6.7%
  • 20~25年未満:16.9%
  • 25年以上:8.0%
  • 不明:21.7%

(参照元:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」)

2. 世帯主または配偶者が介護状態になったときの必要資金は平均2,800万円

世帯主または配偶者が介護が必要となったときにかかる介護費用は平均3000万円を超えています。

2-1. 介護状態になったときに必要と考える資金

年間必要額約200万円(16.6万円×12ヶ月)×必要年数(14年)=平均2,800万円
※必要資金の額は、費用と必要期間をかけあわせて算出しています。

あくまで目安ですが、これは介護時に必要資金の平均値です。子どもがいれば家族の生活費もかかってきます。つまり、世帯主や配偶者の方の介護費用は亡くなったときよりも大きくなります。

月々の生活費・住居費・教育費などに介護費用をプラスし、支出合計額を算出しましょう。そして、障害年金などの収入合計額を差し引いた額を目安に準備しておくと良いでしょう。

2-2. 介護費用を準備する有効な方法

前記の平均必要資金額を用意する方法をいくつかご紹介したいと思います。

2-2-1. 民間保険会社の介護保険を利用する

死亡保障と介護保障を別物として考えずに、死亡した時も介護になったときも対応できる商品をなるべく早い年齢で加入することが月々の保険料の負担が軽減され、確実に老後の備えになっていきます。

自分のため、家族のため、子どものためにも民間保険会社の介護保険へ加入を検討してみるのもひとつの手かもしれません。

2-2-2. 生活福祉資金貸付制度

厚生労働省の公的ローンです。低所得者世帯などに対して低金利または無利子で融資を行っています。

対象となる世帯は、「低所得者世帯・障碍者世帯・校訂者世帯・失業者世帯」などの条件がつきます。

質問がある場合は、お住まいの地域の市町村社会福祉協議会へ問い合わせてみると良いでしょう。

2-2-3. 育児・介護休業対策資金

こちらも公的ローンになります。育児休業や介護休業を取得した勤労者に対して休業期間中の生活資金の貸付を行っています。対象者は同一事業所に1年以上勤務している方になります。

3. 必ず知っておかなければいけない公的介護保険

介護状態と認定されると、一定の保障を受けることができます。必ず知っておいた方がいいことなので、最後にお伝えしておきます。

3-1. 自己負担1割で介護サービスが受けられる公的介護保険

市町村に申請して、要介護者、要支援者であることの認定を受けると、介護サービスを利用した場合、原則として1割の自己負担で利用できます。

要介護認定において「非該当」と認定された方でも、市町村が行っている地域支援事業などにより、生活機能を維持するためのサービスや生活支援サービスが利用できる場合があります。

是非お住まいの市町村又は地域包括支援センターにご相談してください。

3-2. 自己負担を抑えられる高額介護合算療養費制度

世帯内の同一の医療保険の加入者の方について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額(高額療養費及び高額介護(予防)サービス費の支給を受けることができる場合には、その額を除く)を合計し、基準額を超えた倍に、その超えた金額が支給されます。

3-3. 家族の介護で仕事を休む時の介護休業給付金

ご家族が介護状態となった場合、介護休業制度があります。要介護状態にある家族を介護する方が1家族について通算93日まで取得できるというものです。育児休業給付金と同じく雇用保険から支払われます。

※介護保険のことに関する知識をすべてまとめた「必ず知っておきたい!介護保険の全知識まとめ」も是非ご参考にして下さい。

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