【2025年最新】相続税対策に!生前贈与の非課税特例5選と活用ポイント

大切な家族にできるだけ多くの財産を円満に残したいというのは、多くの方に共通する願いでしょう。しかし、その際に大きな壁となり得るのが「相続税」です。

特に、長年かけて築き上げてきた資産が大きい場合、相続税の負担も高額になり、遺された家族が納税資金の準備に苦労するケースも少なくありません。

この相続税の負担を軽減するための有効な対策の一つが、「生前贈与」です。生前に財産を少しずつ次の世代に移転していくことで、将来の相続財産そのものを減らし、結果として相続税を抑える効果が期待できます。

ただし、生前贈与には「贈与税」が課されるため、無計画に行うとかえって税負担が増えることもあります。幸い、生前贈与には様々な非課税制度や特例が設けられています。これらを賢く活用することが、効果的な相続税対策の鍵となります。

この記事では、生前贈与の基本的な仕組みと2024年以降の税制改正のポイント、そして特に活用したい5つの生前贈与テクニック(非課税枠)について詳しく解説します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1. 生前贈与とは?~相続税対策の基本~

生前贈与の目的と贈与税の基本

生前贈与とは、文字通り、個人が生きている間に、自身の財産を無償で他の誰か(配偶者、子、孫など)に与えることです。その主な目的は、将来発生する相続税の課税対象となる財産をあらかじめ減らしておくことによる「相続税対策」です。

ただし、個人から年間110万円を超える財産を受け取った場合、原則として受け取った側に「贈与税」が課税されます。贈与税は、相続税よりも税率が高く設定されている場合が多いため、贈与を行う際には、贈与税と将来の相続税のバランスを考慮した計画的なアプローチが不可欠です。

計画的な贈与の重要性(相続財産への加算ルール)

特に注意が必要なのは、亡くなる直前の一定期間内に行われた贈与は、相続税の計算上、相続財産に加算されてしまう(持ち戻される)ルールがある点です。このルールを理解せずに贈与を行うと、せっかくの節税対策が無駄になる可能性もあります。

2. 生前贈与の2つの課税方法と2024年改正のポイント

生前贈与を行う際、贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2つがあり、贈与者と受贈者の関係や状況に応じて、どちらかを選択(または併用)することになります。2024年1月1日以降の贈与からは、この2つの制度に重要な改正がありました。

(1) 暦年課税

概要(年間110万円の基礎控除)

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受けた贈与の合計額に対して課税される方法です。この制度の最大の特徴は、年間110万円の基礎控除があることです。

つまり、1年間に受け取る贈与額の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も不要です。この非課税枠を利用して、毎年コツコツと贈与を行うのが、従来からの代表的な相続税対策でした。

【注意】死亡前贈与の相続財産への加算期間延長(3年→7年へ)

しかし、2024年1月1日以降の贈与からは、この暦年課税における持ち戻しルールが改正されました。従来は、贈与者が亡くなる前「3年以内」に法定相続人に対して行われた贈与が相続財産に加算されていましたが、この期間が段階的に「7年間」に延長されます(2027年1月1日以降の贈与から徐々に延長され、2031年1月1日以降は完全に7年間となります)。

ただし、延長された4年間(死亡前3年超~7年以内)に行われた贈与については、その合計額から100万円を控除した金額が加算対象となります。この改正により、暦年課税を利用した相続税対策は、より長期的かつ計画的な視点が必要になりました。

(2) 相続時精算課税制度

概要(2,500万円の特別控除)と従来のデメリット

相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫への贈与について選択できる制度です。

この制度を選択すると、複数年にわたる贈与額の合計が2,500万円に達するまでは贈与税がかからず、2,500万円を超えた部分については一律20%の贈与税が課税されます。

そして、この制度の最大の特徴(かつ従来のデメリット)は、贈与者が亡くなって相続が発生した際に、この制度で贈与された財産の全額(贈与時の価額)が相続財産に加算され、相続税として精算されるという点です。つまり、贈与時には非課税でも、相続時に結局相続税がかかるため、単純な節税効果は期待しにくい制度でした。

【2024年改正】年間110万円の基礎控除新設とその影響

この使い勝手の悪かった相続時精算課税制度ですが、2024年1月1日以降の贈与から大きな改正がありました。なんと、上記の2,500万円の特別控除とは別に、年間110万円の基礎控除が新たに設けられたのです。

この年間110万円以下の贈与については、贈与税の申告も不要で、かつ、将来の相続財産に加算されることもありません。 これにより、相続時精算課税制度を選択した場合でも、毎年110万円までは確実に非課税で財産を移転できるようになり、制度の利用価値が大幅に向上しました。

暦年課税との選択と注意点

相続時精算課税制度は、一度選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻ることができません。どちらの制度が有利になるかは、財産額、家族構成、将来の相続税見込みなどによって異なるため、選択にあたっては税理士などの専門家と十分に相談することが不可欠です。

3. 活用したい生前贈与の節税テクニック5選

上記の基本的な課税方法を踏まえ、贈与税の負担を抑えつつ財産を移転できる、具体的な5つのテクニック(非課税制度・特例)をご紹介します。

① 基礎控除の活用(年110万円)

暦年課税、そして2024年からは相続時精算課税制度にも適用される「年間110万円の基礎控除」は、最も基本的な生前贈与のテクニックです。

  • 暦年課税での活用: 毎年110万円以内の贈与を複数の子や孫に対して長期間行えば、大きな節税効果が期待できます。ただし、前述の通り、法定相続人への贈与は死亡前7年間の持ち戻し対象となる点に注意が必要です。
  • 相続時精算課税での活用: 2024年以降は、相続時精算課税を選択した上で、この年間110万円の基礎控除枠を活用する方法が注目されます。この枠内の贈与は相続財産に加算されないため、確実に非課税で財産を移転できます。特に、将来値上がりが期待できる財産(自社株など)を早期にこの枠で贈与しておけば、将来の相続税評価額の上昇分を節税できる可能性があります。
  • 孫への贈与: 孫は原則として法定相続人ではないため(代襲相続の場合を除く)、暦年課税による孫への贈与は、死亡前7年間の持ち戻しルールの対象外となります。このため、子への贈与は相続時精算課税の基礎控除枠を、孫への贈与は暦年課税の基礎控除枠を、といった使い分けも有効な戦略です。

② 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

30歳未満の子や孫に対して、教育資金として一括で贈与する場合、最大1,500万円まで贈与税が非課税となる特例です。

  • 対象となる教育資金: 学校等(幼稚園、小中高大学、専修学校など)に直接支払われる入学金、授業料、施設設備費、修学旅行費など。また、学校等以外の者(塾、習い事など)に支払われるものでも、教育に関するものであれば500万円を上限として対象になります。
  • 手続きと注意点: 金融機関に「教育資金口座」を開設し、そこへ一括で資金を預け入れます。実際に教育資金として支払った際は、領収書等を金融機関に提出する必要があります。受贈者(子や孫)が30歳に達した時点で口座に残額がある場合、その残額に対して贈与税が課税されます。
  • 適用期限: この特例は2026年(令和8年)331日までの措置です。

③ 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

18歳以上50歳未満の子や孫に対して、結婚・子育て資金として一括で贈与する場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税となる特例です(結婚資金については300万円が上限)。

  • 対象となる資金: 結婚資金は、挙式費用、新居の家賃・敷金、引越し費用など。子育て資金は、不妊治療費、妊婦健診費、出産費用、子の医療費、保育料などが対象です。
  • 手続きと注意点: 教育資金贈与と同様に、金融機関に専用口座を開設し、領収書等を提出する形で管理します。受贈者が50歳に達した時点で口座に残額がある場合、その残額に贈与税が課税されます。
  • 適用期限: この特例は、令和7年度(2025年度)税制改正により、2027年(令和9年)331日まで2年間延長されました。

④ 住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置

父母や祖父母などの直系尊属から、自身が居住するための住宅の新築、取得または増改築等のための資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば最大1,000万円まで贈与税が非課税となる特例です(省エネ等住宅の場合。一般住宅は500万円まで)。

  • 主な適用要件: 受贈者は贈与年の1月1日時点で18歳以上、合計所得金額2,000万円以下であること。取得する住宅にも床面積などの要件があります。
  • 手続き: この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年に贈与税の申告を行う必要があります。
  • 適用期限: この特例は2026年(令和8年)1231日までの措置です。

⑤ 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産そのもの、または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円までの配偶者控除が受けられる特例です。

  • 主な適用要件: 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること。同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用できません。
  • 注意点: 贈与税は非課税になっても、不動産取得税や登録免許税といった諸費用は別途かかります。

まとめ

生前贈与は、将来の相続税負担を軽減するための有効な手段ですが、その効果を最大限に引き出すためには、計画的な実行と税制の正しい理解が不可欠です。

2024年からの税制改正により、暦年課税の持ち戻し期間が延長される一方、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設され、選択肢の幅が広がりました。

年間110万円の基礎控除の活用に加え、教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金、そして夫婦間の居住用不動産の贈与については、それぞれ大きな非課税枠が設けられています。

これらの特例制度には、それぞれ適用要件や手続き、そして適用期限が定められています。ご自身の家族構成や財産状況、ライフプランに合わせて、賢く生前贈与を進めていきたいですよね。

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