個人でも活用可能なヘリコプター投資(オペレーティングリース)による所得税・法人税の圧縮戦略

突発的に大きな利益が発生した法人や、高所得で多額の所得税負担に悩む個人の方にとって、効果的な節税策の選択肢は年々狭まっています。特に個人で活用できる節税スキームは限られており、「法人なら使えるけれど個人では難しい」というケースが多いのが実情です。

そうした中で、法人はもちろん個人でも活用でき、初年度に大きな損金を計上できる手法として注目されているのが「ヘリコプターのオペレーティングリース」です。航空機を対象とした一般的なオペレーティングリースは法人専用ですが、ヘリコプターを対象とした直接保有型であれば個人でも投資が可能で、所得税・住民税を大幅に圧縮できる可能性があります。

本記事では、ヘリコプター投資(オペレーティングリース)の仕組みから、節税メリット、注意すべきリスクまでを順序立てて解説していきます。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

オペレーティングリースの基本と2つの型

オペレーティングリースとは、航空機や船舶などのリース資産を他者に貸し付けて賃貸料を得る賃貸借取引のことです。投資家はこの事業に出資することで、初年度から大きな損金を計上できるという特徴があります。支払いは一括で済むため、決算対策・節税対策として法人で広く利用されてきました。

このオペレーティングリースには、大きく分けて次の2つの型があります。

(1)匿名組合型

(2)直接保有型

それぞれの仕組みと特徴を確認していきましょう。

匿名組合型オペレーティングリース

匿名組合型は、航空機・船舶・コンテナなどを対象とした、日本国内で最も一般的なオペレーティングリースの形態です。

仕組みとしては、まず営業者が「匿名組合」を組織し、投資家がその組合員として出資します。営業者は出資金に金融機関からの多額の融資を加えて航空機などを購入し、航空会社にリースしてリース料を受け取ります。そこで発生した損益は、出資者へ分配されるという流れです。

航空機の購入額は1億ドル規模と超高額になるため、初年度から多額の減価償却費が計上されます。その結果、減価償却費がリース料を大きく上回り、初年度に出資額の70〜80%が損金算入される仕組みとなっています。

出資下限額は航空機案件で3,000万円程度から、リース期間は7〜10年が一般的です。

直接保有型オペレーティングリース

一方、ヘリコプターや小型ターボプロップ機などの「小型航空機」を対象としたオペレーティングリースが、直接保有型に該当します。

投資対象となるヘリコプターは、救急搬送を行うドクターヘリ、山岳地帯や孤島など僻地で暮らす人々の生活サポート、山火事等の消火活動など、社会性・公共性の高い分野で活躍しています。社会インフラとして機能しているため、景気変動の影響を受けにくいという特性もあります。

仕組みは匿名組合型に比べてシンプルで、投資家自身が機体の所有者となり、仲介会社を通して運航会社にリースし、リース料を直接受け取ります。

直接保有できる小型航空機の価格帯は3億〜7億円ほどですが、共有持分という形で5,000万円以上から投資することが可能です。リース期間は3〜7年、平均5年程度となっています。

【オペレーティングリースの2つの型 比較表】

項目 匿名組合型 直接保有型(ヘリコプター等)
対象資産 航空機・船舶・コンテナ等 ヘリコプター・小型航空機
投資形態 匿名組合への出資 機体の直接保有(共有持分含む)
投資下限額 3,000万円程度〜 5,000万円程度〜
リース期間 7〜10年 3〜7年(平均5年)
個人の利用可否 不可(法人のみ) 可能(個人・法人)
損益通算 個人は雑所得で不可 個人でも他所得と通算可能

 

ヘリコプター投資(直接保有型)の3つのメリット

ヘリコプターのオペレーティングリースには、他の節税スキームでは得難い独自のメリットがあります。

メリット① 個人でも投資でき損益通算が可能

最大のメリットは、個人でも投資でき、税務上のメリットを享受できる点です。

直接保有という形態をとるため、組合案件で適用されるような税務上の制限がなく、小型航空機賃貸事業から出たマイナスを他の所得と損益通算できる可能性があります。

なぜ航空機等の匿名組合型では個人が活用できないかというと、匿名組合員の所得は「雑所得」に区分されるため、給与所得や事業所得との損益通算ができないからです。匿名組合型のオペレーティングリースを利益の繰り延べに活用できるのは、原則として法人のみとなります。

個人で使える税務メリットのある投資手段が少なくなってきている中、ヘリコプターのオペレーティングリースは非常に貴重な存在といえます。

ただし注意点として、ヘリコプターの場合は減価償却が月割計算となります。期末ギリギリに購入しても、初年度は12分の1しか経費にできません。1年で100%損金化するためには、期首に合わせて購入する必要があります。匿名組合型は出資の形式であるため期末ギリギリでも1年分の損金が計上できるという違いがある点を、しっかり押さえておきましょう。

メリット② 早期償却による課税の繰延効果

二つ目のメリットは、早期償却が可能な点です。

ヘリコプターや最大離陸重量5.7トン以下の小型航空機は、法定耐用年数が5年と定められています。新品の場合は5年かけて減価償却することになりますが、中古の機体であれば「簡便法」という計算ルールを活用することで、1年(12ヵ月)で償却できるものもあります。これは、4年落ちの中古車が1年で経費化できるのと同じロジックです。

例えば、数千万円規模の所得がある個人が期首にこの投資を行えば、その年の所得を大きく圧縮し、所得税や住民税を劇的に下げることが可能になります。

ここで個人投資家が気をつけたいのは、減価償却の方法です。個人の場合、減価償却は定額法が原則となっており、定率法を使いたい場合は、あらかじめ税務署に「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出しておく必要があります。この届出を忘れてしまうとメリットが半減してしまうため、事前準備が極めて重要です。

メリット③ 出口での長期譲渡所得による節税効果

三つ目のメリットは、個人投資家が出口で「長期譲渡所得」の優遇を受けられる可能性がある点です。

個人で小型航空機を売却した際の譲渡所得は、総合課税となり給与所得や事業所得と合算して課税されます。そして、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えた場合、「長期譲渡所得」の扱いになります。

長期譲渡所得は、譲渡益から特別控除額50万円を差し引いた金額の2分の1だけが課税対象となります。

【長期譲渡所得の計算式】

長期譲渡所得 =(譲渡益 - 特別控除額50万円)× 1/2

つまり、5年超保有してから売却すれば、課税対象が実質的に半分になるということです。これは課税の繰延だけでなく、実際の納税額そのものも軽減できる可能性があることを意味します。

入り口では、所得税と住民税を合わせて最大55%の高い税率を回避して損金を計上し、出口では長期譲渡所得という優遇された課税方式で資金を回収する。この入口と出口の税率差を活かせる点が、ヘリコプター投資の大きな魅力となっています。

商品組成例

具体的にどのような案件が組成されているか、一例を見てみましょう。

たとえば、リース先が北米の医療搬送会社で、購入機体が医療搬送用ヘリコプターという案件があります。償却期間は12ヵ月(定率法が前提)、リース期間は60ヶ月(5年)、投資金額は300万ドル規模といった構成です。数億円の機体に対し、共有持分で数千万円から投資でき、初年度に投資額の大部分を損金化できることが、こうした商品の特徴となっています。

ヘリコプター投資に伴うリスクと注意点

大きな節税メリットがある一方で、ヘリコプターのオペレーティングリースには複数のリスクが存在します。投資判断にあたっては、これらを十分に理解しておく必要があります。

まず一つ目は事故リスクです。リース物件の小型機が墜落する可能性はゼロではありません。ただし、機体保険が掛けられているため、事故が発生した場合でも、おおむね時価に相当する保険金を受け取ることができます。それまでに受け取ったリース料と合わせれば、出資額の大部分を回収できるケースが多くなっています。

二つ目は為替変動リスクです。ヘリコプターのオペレーティングリースはドル建の案件が中心です。そのため、出資時よりもリース料の受取時や物件の売却時に円高が進んでいると、円ベースでの手取り額が減少し、為替差損が発生する可能性があります。為替変動が激しい昨今の状況では、特に注意すべきポイントです。

三つ目は航空会社(リース先)の倒産リスクです。リース先が経営破綻すれば、想定していたリース料が予定通り受け取れなくなる恐れがあります。もっとも、万が一倒産した場合でも、物件は仲介会社が回収し、新たに別の航空会社にリースに出すか、中古市場で売却することで回収を図るケースが一般的です。契約段階で、リース先の財務状況や、リース料が支払われない場合の保証内容について十分に確認することが重要となります。

成功の鍵を握る出口戦略

ヘリコプター投資で最も大切と言っても過言ではないのが「出口戦略」です。

5年後、6年後にリースが終了し、まとまった金額が戻ってきたときに、その資金をどう扱うのかをあらかじめ計画しておく必要があります。再び別のリース物件に再投資して課税を繰り延べるのか、役員退職金の原資として活用するのか、あるいは事業拡大の資金とするのか。出口の使い道が決まっていないまま投資をすると、戻ってきた資金にそのまま課税されてしまい、結果として節税ではなく単なる課税の先送りに終わってしまいます。

入口の損金算入効果だけに目を奪われず、出口まで含めたトータルでのシミュレーションを描いた上で投資判断を行うことが、ヘリコプター投資を成功させるための最大のポイントです。

まとめ

ヘリコプターのオペレーティングリースは、法人だけでなく個人でも活用できる数少ない大型節税スキームです。直接保有型という形態をとることで、小型航空機賃貸事業の損失を他の所得と損益通算でき、中古機体の活用と簡便法による早期償却で、初年度に大きな所得圧縮を実現できます。さらに、5年超保有して売却すれば長期譲渡所得として課税対象が半分になり、入口と出口の税率差を活かした実質的な節税効果も期待できます。

一方で、月割償却となるため購入時期の選定が重要であること、個人で定率法を使う場合の届出が必要であること、事故・為替・倒産といったリスクがあること、そして出口戦略をあらかじめ設計しておくことが不可欠であることなど、押さえるべき論点も少なくありません。

突発的に大きな利益が出た年や、高い所得税負担に悩んでいる方にとって、ヘリコプター投資は検討に値する有力な選択肢となります。ただし、契約条件や為替リスク、リース先の信用力など、専門的な見極めが必要な部分も多いため、実行にあたっては必ず信頼できる専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

本記事で取り上げたヘリコプター投資(オペレーティングリース)の仕組みや具体的な節税効果、契約時の注意点については、税理士が動画でさらに詳しく解説しています。仕組みをより深く理解したい方、自社や自分のケースに当てはめてイメージしたい方は、ぜひ元動画も併せてご覧ください。

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