今回は、予期せぬ赤字に備えて利益を無税で貯めておく方法、「簿外資産」についてご紹介します。
簿外資産とは、正しい会計処理をおこなった結果、貸借対照表に載らない帳簿外の資産のことです。いざという時に利益に変えることができるので、例えばコロナ禍などで予想外に大きな赤字が出てしまった時に非常に役立ちます。
この記事では、法的に全く問題のない方法で簿外資産を作る方法を7つご紹介します。ぜひ、ご自分の会社で取り組めそうなものを検討してください。
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1.太陽光発電
1つ目は、太陽光発電投資です。福島復興再生特別措置法に基づく特例を利用することで、太陽光発電設備の取得費用が即時償却できます。
====即時償却とは?====
減価償却の対象となる固定資産を、取得した年度に一括で償却できる優遇制度
初期投資額2500万円の場合でシミュレーションしてみましょう。
福島復興再生特別措置法では、土地の利用料や諸費用を差し引いた設備費として、投資額の90%ほどが即時償却の対象になります。
これにより初年度に約2250万円の損金を作ることができます。法人実効税率30%で計算すると、約675万円の税負担が軽減されます。
ただし、特例の適用には期限があるので、即時償却したい人は早めに動く必要があります。
2.中古社用車
2つ目は、中古社用車です。
中古車は、新車に比べると早く経費にできるため、その年の利益を圧縮し税負担を減らす効果があります。
特に4年落ち(正確には3年10ヶ月落ち)の中古車は、初年度に購入費用を100%償却することが可能です。
また、社用車を買うときは、売却時の資産価値も考慮に入れる必要があります。
ベンツ・レクサス・アルファードなど社用車でお馴染みの車は、値崩れが比較的少ないと言われています。希少な車種・モデルは、購入時より高値がつく場合もあります。
全額経費で落とした段階では貸借対照表上には出てこない上に、実際は価値があるので、ある意味簿外資産ということです。
3.経営セーフティ共済
3つ目は、経営セーフティ共済です。
国が運営している非常に手堅い制度です。なるべくリスクを回避したい方、初めて節税をする方におすすめの簿外資産です。
掛金を全額経費に出来るうえ、貸借対照表上には溜まっている掛金は全く載ってきません。掛金を帳簿外に貯めておける形になります。
月の掛金は5000円から最大20万円まで選択できるので、年間240万円まで積み立てて経費にすることができます。積立上限は800万円です。
また40ヶ月以上加入していれば、解約時に、支払った掛金が全額返ってきます。
経営セーフティ共済は国が用意してくれている特別な制度で、経費で落としたものを合法的に簿外に貯金しておけるイメージです。
(出典:中小企業庁)
ただし、経費算入のルールに改正があり、2024年10月以降に経営セーフティ共済を解約した場合、解約日以降2年間の掛金は経費にできなくなったのでご注意ください。
4.トレーラーハウス
4つ目は、トレーラーハウスです。
トレーラーハウスは、直方体の住居に車輪が付いたような形をしており、水道・ガス・電気を現地で引き込むことが可能です。
トレーラーハウスが簿外資産になる仕組みですが、トレーラーハウスを集めて宿泊施設として展開するトレーラーホテル事業に出資する形となります。
トレーラーハウスは「その他車両」にあたり、法定耐用年数が4年と定められています。そのため4年で償却できます。
定率法で償却すれば、初年度に50%、2年目までに75%を経費に入れることが可能です。
(出典 国税庁)
そして、4年で償却でき簿価はなくなりますが、実際の資産価値はそれ以上のものがあります。
トレーラーホテル投資での賃料は固定されており、安定収入を確保できます。
また、一定期間経過後に買い取ってもらうことも可能です。素材やメンテナンス次第ですが、物理的な耐用年数も20年〜30年はあると言われており、中古市場でも需要があります。
加えて、車両扱いになるため、
・固定資産税や不動産取得税の対象外
という点もトレーラーハウスのメリットです。
5.海外不動産
5つ目は、海外不動産です。
中古不動産には、短期間で大きな金額を償却できるという特徴があります。特に築22年を経過している木造であれば、わずか4年で償却できます。
海外不動産の中でも代表的な市場であるアメリカ不動産の場合、住宅マーケットの8~9割を中古物件が占めており、中でも木造物件が多くなります。
木造と言ってもかなりしっかりした構造で、築80年や100年でも使われている家が多数あります。中古でも不動産の価値は落ちにくく、むしろ、立地の良い物件は価値が上がっていく傾向です。
短期間で償却した後も家賃収入として収益が継続的に発生します。さらに、高値で売却することができる、というところから、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらも狙える簿外資産になり得ます。
一方、リスクとしては為替リスクなどがあります。その他、現地での納税が必要なので、現地の税制を把握しておく必要もあります。
6.オペレーティングリース
6つ目は、オペレーティングリースです。
オペレーティング・リースは、航空機などの減価償却資産を貸し付けてリース料を得る賃貸借取引のことです。
少額なもので1000万円から、多くは1口3,000万円~5,000万円で、上限はないので場合によっては億単位のお金を出資し、巨額の損金を作ることもできます。
オペレーティングリースでは、出資者からの出資額に加えて、銀行からの融資を加えて船舶などの超高額資産を購入します。銀行からの融資というレバレッジがかかるため、出資初年度に出資額の70%~80%を損金算入できます。
そして減価償却した後、購入から7~10年後に物件を売却してもほぼ同額が戻ってきます。つまり、1000万円~数億円の簿外資産と言えます。規模が大きいので、大きな利益が出る企業に適しています。
リース物件は主に航空機・船舶・コンテナなどの資産価値が下がりにくい商品が対象になります。
最近は、国内で運用するトラックや、コロナ禍でも手堅い需要があったヘリコプター・小型航空機なども注目されています。
7.その他の簿外資産
「帳簿には載ってこない価値あるもの」としては、いわゆる自社ブランドなども簿外資産と言えます。
また自社のWEBコンテンツは製作に人件費・外注費などかかりますが、それらは経費にでき、一度仕組化に成功すると、当面の間は自動で集客してくれます。
売上を増やしてくれるだけでなく、本来集客に必要な手間や時間、人件費を削減してくれます。これもある意味、簿外資産と言えます。
まとめ
簿外資産とは、決算書に載らない資産のことです。帳簿上は消滅していますが、価値がなくなった訳ではありません。
いざという時に利益に変えることができるので、予想外に赤字が出てしまった時などに大変役立ちます。
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