経営者必見!効果的な「決算対策」10選で賢く法人税を節税する方法

決算期が近づくと、多くの経営者の方が気になるのが法人税の納税額ではないでしょうか。事業が順調で利益が出ていることは喜ばしい限りですが、同時に税金の負担も大きくなるため、「何か効果的な節税対策はないだろうか」と考えるのは当然のことです。

適切な決算対策を行うことは、単に税負担を軽減するだけでなく、手元に残るキャッシュを増やし、キャッシュフローを安定させ、さらには将来の設備投資や事業拡大の原資を確保することにも繋がります。これは、会社の財務基盤を強化し、経営の安定化、ひいては企業価値の向上にも貢献します。

しかし、世の中には様々な節税情報が溢れており、どの対策が自社に適しているのか、どのタイミングで実行すべきなのかを見極めるのは容易ではありません。

この記事では、法人が取り組むべき節税の重要性を再確認した上で、決算期を意識しつつ計画的に実行できる、具体的な節税対策を10個厳選して解説していきます。

The following two tabs change content below.
社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1. なぜ法人の節税(決算対策)が重要なのか?

キャッシュフローの改善と財務基盤の強化

節税の直接的な効果は、法人税等の納税額を抑えることです。これにより、会社の手元資金が増え、キャッシュフローが改善します。潤沢なキャッシュは、急な支出への対応力を高めるだけでなく、新たな投資機会を逃さないための原動力にもなります。

企業価値向上と経営の安定化

ルールに則った適切な節税を行い、健全な財務状態を維持しつつ、きちんと納税する姿勢は、金融機関や取引先からの信用力を高めます。これは、融資条件の改善や、より良い取引条件の獲得につながる可能性があり、間接的に企業価値の向上や経営の安定化に貢献します。

中小企業が活用しやすい制度の存在

大企業と比較して、中小企業は税法上の優遇措置や特例制度が数多く用意されており、これらを活用しやすい環境にあります。これらの制度を積極的に利用することで、大企業よりも有利に節税を進めることが可能です。

2. 実践的な決算対策10選

ここでは、決算を意識し、事業年度のどのタイミングで取り組むべきかを考慮しながら、代表的な10個の節税対策をご紹介します。

【期首から検討】

①   役員報酬の最適化

役員報酬の金額設定は、法人節税の基本中の基本です。役員報酬は、税法上の一定の要件(定期同額給与など)を満たせば、全額を法人の損金(経費)として算入できます。したがって、役員報酬を増やすことで法人の利益を圧縮し、法人税を節税することができます。

ただし、役員報酬の金額は、一度決定すると原則としてその事業年度中は変更できません。そのため、事業年度開始(期首)から3ヶ月以内に、その期の利益計画に基づいて適切な金額を設定する必要があります。

注意点としては、役員報酬を増やすと、役員個人の所得税・住民税・社会保険料の負担が増加する可能性があること、そして不相当に高額な役員報酬は税務署から否認されるリスクがあることです。法人税と個人の税負担のバランスを考慮し、会社のキャッシュフローを圧迫しない範囲で、適正な金額を設定することが重要です。

【期中に実施可能】

②   経営セーフティ共済(倒産防止共済)への加入

経営セーフティ共済は、取引先の倒産リスクに備えるための国の共済制度です。万が一の際には無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れができます。この制度の大きな節税メリットは、支払った掛金の全額を損金に算入できる点です。掛金は月額5,000円から20万円まで自由に選択でき、年間で最大240万円、総額800万円まで積み立てることが可能です。さらに、40ヶ月以上加入していれば、解約時に掛金のほぼ全額が戻ってくるため、実質的に利益を繰り延べながら簿外に資金を積み立てる効果があります。

ただし、解約時に受け取る解約手当金は全額が益金(課税対象)となるため、解約のタイミング(赤字決算時や大きな経費発生時など)を考慮する必要があります。

③   役員社宅制度の導入・活用

経営者や役員の自宅を会社名義で借り上げ(または会社が購入し)、社宅として貸し出すことで節税が可能です。会社は支払う家賃や減価償却費などを損金計上でき、役員からは一定の家賃(賃料相当額)を徴収します。

この賃料相当額は、一般的に役員が個人で同じ物件を借りるよりも低い金額で設定できるため、差額分の役員報酬を減額すれば、役員個人の所得税・住民税・社会保険料の負担を軽減でき、結果的に手取り額が増える効果があります。会社側も役員の社会保険料の会社負担分が減ります。導入にあたっては、社宅規程を整備し、適正な賃料相当額を徴収することが重要です。

④   社用車の導入・活用(中古車含む)

事業に必要な社用車を購入またはリースする場合、その費用や維持費(ガソリン代、保険料、駐車場代、修理費など)を経費として計上できます。車両本体の購入費用は固定資産として減価償却を行いますが、特に「4年落ち(正確には3年10ヶ月落ち以上)」の中古普通自動車を購入し、定率法を選択すれば、理論上1年(事業年度)で全額を経費化することも可能です。

これにより、購入初年度に大きな損金を作り、利益を圧縮できます。ただし、社用車はあくまで事業に必要な範囲で導入し、私的利用との区別を明確にすること、売却時には売却益が課税されること、維持費というキャッシュアウトが継続的に発生することなどを考慮する必要があります。

⑤   少額減価償却資産の特例の活用

中小企業者等が、取得価額が30万円未満の減価償却資産(パソコン、コピー機、応接セット、ソフトウェアなど、新品・中古問わず)を取得した場合、年間合計300万円を上限として、その取得価額の全額を購入・使用開始した事業年度に一括で損金算入できる特例です。

通常10万円以上の資産は減価償却が必要ですが、この特例を使えば早期に費用化でき、節税効果を得られます。例えば、1台25万円のパソコンを12台購入すれば、合計300万円をその期に一気に経費計上できます。

⑥   オペレーティング・リースの活用(大規模な利益繰延べ)

オペレーティング・リースは、航空機や船舶、コンテナなどを対象としたリース取引を活用し、出資額の大部分を初年度に損金として計上することで、大きな利益を将来に繰り延べるスキームです。

特に、不動産売却益など、突発的に数千万円単位の大きな利益が出た場合の決算対策として利用されることがあります。出資者は、リース物件の減価償却費(特に定率法による初期の大きな償却費)等が出資割合に応じて損失として分配されることで、課税所得を圧縮します。

ただし、中途解約が原則不可である点や、リース期間終了時に分配される資金が益金として課税されるため、出口戦略をあらかじめ検討しておく必要があります。

【期末・決算間際に有効】

⑦ 決算賞与の支給(未払計上)

当期の業績が好調だった場合に、従業員に対して決算賞与を支給することで、法人税の節税と従業員のモチベーションアップを両立できます。決算賞与を当期の損金として計上するためには、以下の要件を全て満たす必要があります。

  1. 決算日までに、支給対象となる全従業員それぞれに、その支給額を通知すること。
  2. 上記1で通知した金額を、決算日の翌日から1ヶ月以内に、全対象従業員に支払うこと。
  3. 上記1で通知した金額について、当期の損金として経理処理(未払金として計上)すること。 この要件を満たせば、実際の支払いが翌期であっても、当期の損金として認められます。ただし、役員には適用できません。

⑦   貸倒引当金の計上

取引先の倒産などにより、売掛金や受取手形、貸付金などの債権が回収不能となるリスクに備えて、予め損失の見込額を「貸倒引当金繰入」として損金計上するものです。実際にはキャッシュアウトしないものの、将来のリスクに備えた費用として認められるため、節税効果があります。

計上できる金額は、個別の債権の回収可能性に応じて評価する「個別評価」と、期末の債権残高全体に対して業種ごとに定められた法定繰入率を乗じて計算する「一括評価」があります。資本金1億円以下の中小法人などが対象です。

⑨ 不要在庫・固定資産の処分

長期間売れ残っている商品(不良在庫)や、使用しなくなった機械・設備(遊休資産)は、保有しているだけでも管理コストや固定資産税がかかります。これらの不要な資産を処分することで、節税に繋がる場合があります。

  • 在庫処分: 不良在庫を廃棄した場合、その帳簿価額を「棚卸資産廃棄損」として損金計上できます。また、「決算セール」などで原価割れで販売した場合、その差額(売却損)も損金となります。
  • 固定資産処分: 使用していない固定資産を除却(廃棄)した場合、その時点での帳簿価額(未償却残高)を「固定資産除却損」として損金計上できます。帳簿価額が高い資産であれば、大きな節税効果が見込めます。処分費用も除却損に含めることができます。

⑩ 短期前払費用の特例の活用

地代家賃、リース料、保険料、サーバー費用など、継続的なサービス提供を受けるために前払いした費用のうち、支払日から1年以内にサービスの提供を受ける部分については、支払い時点で全額を損金算入できるという特例です。

通常、前払費用は資産計上し、サービス提供期間に応じて費用化しますが、この特例を使えば決算間際に翌期分の費用を前倒しで計上し、当期の利益を圧縮できます。

ただし、この処理は毎期継続して行う必要があり、一度年払いに変更すると原則としてその後も継続しなければなりません。また、キャッシュフローへの影響も考慮する必要があります。

まとめ:節税を成功させるためのポイント

今回は、法人が活用できる10個の決算対策・節税方法について、実行のタイミングも踏まえて解説しました。これらの方法を効果的に活用することで、法人税の負担を軽減し、経営の安定化を図ることが期待できます。 最後に、重要なポイントを改めて確認しておきましょう。

  • 計画的な対策の実行: 節税策の多くは、期首や期中からの計画的な準備が必要です。決算間際になって慌てないよう、年間を通じた税務プランニングを心がけましょう。
  • ルールを遵守し、グレーな節税は避ける: 脱税と節税は全く異なります。税法のルールを正しく理解し、それに則った対策を行うことが大前提です。安易な判断や過度な節税は、税務調査で指摘を受け、かえって追徴課税や加算税を課されるリスクがあります。
  • 無駄なキャッシュアウトを伴う節税は本末転倒にならないよう注意: 節税のためだけに不要なものを購入したり、過剰な経費を使ったりすることは、本業のキャッシュフローを悪化させる可能性があります。本当に事業に必要な支出かどうかを見極めることが重要です。
  • 不安な場合は税理士に相談: 税法や特例制度は複雑で、毎年のように改正もあります。自社に最適な節税策の選択や実行については、顧問税理士などの専門家とよく相談し、適切なアドバイスを受けることが賢明です。

これらのポイントを意識し、自社の状況に合った節税対策を賢く選択・実行していくことで、より強固な財務基盤を築くことができるはずです。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的な事例やさらに詳しい注意点などを知りたい場合に、参考にしてください。

 

 

【無料Ebook】決算までに知っておきたい!一気に240万円~数億円を損金算入できる7つの方法と、効果的活用術

決算対策・計画納税でお悩みの経営者の皆様へ

本書では、決算対策・計画納税にスポットを当て、数ある方法の中でも効果が高く、ぜひとも知っておいていただきたい方法を7つ紹介し、詳しく分かりやすく解説しています。

  • ・240万円を全額損金にでき、思わぬ経営危機に備えられる方法
  • ・突発的に大きな利益が出た時に一気に700万円~数億円を落とせるオペレーティングリース
  • ・コインランドリーへの出資で一気に2,800 万円を損金算入できる方法
  • ・まだあった!太陽光発電設備で数千万円の節税ができる方法
  • ・不動産で4 年にわたり1,000万円超の経費を計上し続けて節税する方法
  • ・500 万円台からできる!トレーラーハウスで短期に大きく償却する方法

また、番外編として、相続・事業承継対策と、手堅い資産運用を兼ねられる方法についても、2つ、お伝えしています。

本書では、弊社が担当させていただいたお客様の実際の事例も紹介しながら、どのようなケースにどの方法が合うのか、メリットだけでなくリスクと注意点・対処法についても詳しくお伝えしています。

ぜひ、今すぐダウンロードしてお役立てください。


無料Ebookを今すぐダウンロードする

決算対策で最大・最良の効果が欲しいあなたへ

多額の法人税を支払うのってイヤですよね。次のような節税方法があることは、ご存知ですか?

・黒字の時に節税しながら赤字の時のキャッシュを貯める
・節税しながら退職金を普通よりも約30%多く準備できる
・無駄な経費を使わずに税金を半分減らせる

私たちなら、これが可能です。

年間約300社の法人の財務戦略のコンサルティングを担当している弊社が、あなたの会社の決算・節税対策をお手伝いします。

日本全国対応します。ぜひご相談ください。


ご相談はこちら

資産防衛の人気記事
データ取得中
TOPに戻る