初年度50%損金も?「車両扱い」トレーラーハウス投資の節税メリットとリスク

近年、多様な宿泊ニーズに応える新しい形として「トレーラーハウス」を活用したホテル事業などが注目を集めています。ペット連れ専用施設や、手軽なグランピング施設として見聞きする機会も増えてきました。

このトレーラーハウスは、実は投資対象としても関心が高まっており、特に「節税効果」を期待する経営者の間で人気を博しています。

700万円程度からという比較的少額から投資が可能で、購入初年度に投資額の大きな割合を経費として計上できる可能性があり、さらに固定資産税が原則かからないなど、一見すると非常に魅力的な特徴を持っています。しかし、その一方で、税務上の取り扱いや事業そのものに関するリスクも理解しておく必要があります。

この記事では、まずトレーラーハウスとは何かという基本的な定義から触れ、具体的な投資の仕組み(特にトレーラーホテル事業)、その4つの大きなメリット、そして投資を検討する上で必ず知っておくべきリスクについて詳しく解説していきます。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1. トレーラーハウスとは?~車両と住空間の融合~

トレーラーハウスの基本的な定義

トレーラーハウスとは、その名の通り、車輪が付いた移動可能な構造物でありながら、住居や店舗としての機能を持つものです。外観は小さなコテージやコンテナハウスに似ているものも多く、内部にはキッチン、トイレ、シャワー、エアコンといった生活に必要な設備を備えることができます。

キャンピングカーとの違い

よく似たものにキャンピングカーがありますが、大きな違いは自走できるかどうかです。キャンピングカーはエンジンを搭載し自力で移動できますが、トレーラーハウスはエンジンを持たず、移動する際にはトラクターなどのけん引車が必要です。

法的な扱い:「車両」であることの重要性

この「けん引されて移動する」という点が、トレーラーハウスの法的な位置づけにおいて非常に重要です。一定の要件(後述)を満たすトレーラーハウスは、建築基準法上の「建築物」ではなく、道路運送車両法上の「車両」として扱われます。この「車両扱い」という点が、税務上の大きなメリット(短期償却や固定資産税非課税など)に繋がってきます。

設備と用途の多様性

「車両」でありながら、設置場所では水道・ガス・電気といったライフラインを引き込むことができ、快適な居住空間や事業スペースを確保できます。そのため、個人の別荘や事務所、店舗、カフェ、宿泊施設(トレーラーホテル)など、非常に多様な用途で活用されています。

また、移動が可能な特性を活かし、災害時の仮設住宅やレスキューホテルとして被災地で活用される事例もあります。

2. トレーラーハウス投資の仕組み:トレーラーホテル事業

トレーラーホテルとは?

トレーラーハウス投資の一つの形として、「トレーラーホテル事業」への出資があります。これは、複数のトレーラーハウスを特定の場所に集めて設置し、旅館業法に基づいた宿泊施設として運営する事業です。

需要の高まり

近年、インバウンド観光客の増加や国内旅行のスタイルの多様化、そして都市部におけるホテル宿泊費の高騰などを背景に、比較的リーズナブルな価格で、かつユニークな宿泊体験ができるトレーラーホテルへの需要が高まっています。

一般的なビジネスホテルの客室稼働率が60%前後と言われる中、立地やコンセプトによっては80%を超える高い稼働率を維持しているトレーラーホテルも存在します。 宿泊料金も、例えば一人一泊5,000円台から、複数人で利用すれば一人3,000円台からといった手頃な価格帯で提供されているケースが多く、洗濯機や簡単なキッチン設備を備えている施設もあり、中長期滞在のニーズにも応えています。

投資の基本的な流れ

投資家がトレーラーハウスを購入し、それをトレーラーホテル運営会社に貸し出して賃料収入(リース料)を得る、というのが基本的なスキームです。 具体例を挙げると、

  1. 投資家が、トレーラーハウス製造・販売会社(A社とします)からトレーラーハウスを1台(例:700万円)購入します。
  2. 購入したトレーラーハウスを、そのままA社(またはA社の関連運営会社)に賃貸します。A社は、そのトレーラーハウスを自社が運営するトレーラーホテルの一客室として利用者に提供します。
  3. 投資家は、A社から毎月固定の賃料(例:月額5万円、ただし初期数ヶ月は低めの設定の場合あり)を受け取ります。
  4. 契約期間(例:9年~10年)満了後、A社にそのトレーラーハウスを買い取ってもらうオプションが付いている場合や、市場で売却するなどの出口戦略が考えられます。

3. トレーラーハウス投資の4つのメリット

このようなトレーラーハウス投資には、税務面や投資効率の観点から、主に以下の4つのメリットが挙げられます。

(1) 短期間での減価償却が可能(4年償却)

これが最大の税務メリットと言えるでしょう。

「車両」扱いによる法定耐用年数4年

前述の通り、法的な要件を満たしたトレーラーハウスは「車両」として扱われ、その法定耐用年数は4と定められています。これは、新築の木造建物(事業用で22年など)や鉄骨造建物(種類により19年~38年など)と比較して、非常に短い期間です。

定率法による償却スケジュール

減価償却の計算方法として、毎期均等額を償却する「定額法」と、初期に多くの金額を償却できる「定率法」があります(法人の場合は原則定率法)。耐用年数4年の資産を定率法で償却する場合の償却率は0.500です。つまり、

  • 1年目:取得価額 × 50%
  • 2年目:(取得価額 1年目償却額)× 50% 取得価額 × 25%
  • 3年目:(取得価額 12年目償却額累計)× 50% 取得価額 × 12.5%
  • 4年目:残額(調整あり) 取得価額 × 12.5% となり、購入初年度に投資額の50%、2年目終了時までに累計で75%という大きな金額を減価償却費として損金計上できます。これにより、特に投資初期の課税所得を大幅に圧縮し、法人税等の納税を将来に繰り延べる効果が期待できます。

注意点:償却は月割り

ただし、減価償却費の計上は、事業の用に供した月からの月割り計算となります。初年度に50%の償却効果を最大限に得るためには、事業年度の期首にトレーラーハウスを購入し、速やかに事業(ホテル運営会社への貸付など)を開始する必要があります。

決算間際に購入した場合は、その期に計上できる償却費は数ヶ月分に限定されてしまいます。

(2) 比較的少額から投資可能

航空機や船舶を対象としたオペレーティングリースでは、最低投資額が3,000万円以上となるケースが多いのに対し、トレーラーハウス投資は1台あたり700万円台程度から始められる案件もあり、比較的少額から取り組むことが可能です。

これにより、多額の利益が出たものの、オペレーティングリースほどの規模ではない場合の決算対策や、不動産投資に関心がある方の入門編としても検討しやすいでしょう。

(3) 固定資産税・不動産取得税が原則不要

一般的な不動産(建物や土地)を所有すると、購入時には不動産取得税(評価額の原則3~4%)、毎年固定資産税(評価額の標準1.4%)および都市計画税(評価額の最高0.3%)が課税されます。これらは大きなコスト負担となります。

しかし、トレーラーハウスは法的に「車両」として扱われるため、不動産取得税や固定資産税・都市計画税の課税対象外となります。これは大きなメリットです。

ただし、車検を取得して公道を走行できる状態のトレーラーハウスの場合は、自動車税(種別割・環境性能割)や自動車重量税の負担が発生する場合がありますが、不動産関連税に比べれば軽微であることが多いです。

(4) 安定した収益性が期待できる場合も

トレーラーホテル事業への出資(貸付)スキームの場合、ホテル運営会社から毎月固定の賃料が支払われる契約が一般的です。これにより、ホテルの稼働率に直接左右されることなく、安定したインカムゲインを確保できる可能性があります。

また、契約期間終了後には、運営会社による買取オプションが付いているなど、出口戦略がある程度明確になっている案件もあります。 もちろん、運営会社の信頼性や事業計画の妥当性を見極める必要はありますが、安定した収益モデルが構築されている場合は、魅力的な投資となり得ます。

4. トレーラーハウス投資のリスクと回避策

多くのメリットがあるトレーラーハウス投資ですが、以下のようなリスクも存在します。

リスク①:税務否認リスク(「建築物」認定)

これが最も注意すべきリスクです。トレーラーハウスが税務調査などで「車両」ではなく「建築物」と認定されてしまうと、法定耐用年数が大幅に長くなり(例:木造建物扱いで22年など)、期待した短期償却による節税効果が得られなくなります。また、固定資産税の課税対象にもなってしまいます。

「車両」として認められるための3つの法的基準

このリスクを回避するためには、トレーラーハウスが法的に「車両」として扱われるための基準を確実に満たす必要があります。主な基準は以下の通りです。

  • (1) 随時かつ任意に移動できる状態で設置すること: 基礎工事で地面に固定したり、容易に取り外せない階段・ポーチ・ベランダなどを設置したりすると、建築物とみなされる可能性があります。車輪が取り外されていたり、公道への通路が確保されていなかったりする場合も同様です。
  • (2) 土地側のライフライン(電気・ガス・水道など)の接続方法が、工具を使用しないで着脱できるものであること: 配管などが恒久的に接続されていると、移動性を欠くと判断され、建築物扱いになるリスクがあります。
  • (3) 適法に公道を移動できる自動車であること: 道路運送車両法上の保安基準を満たし、車検を取得(一定サイズ以下の場合)するか、あるいはサイズが大きい場合は基準緩和認定を受け、特殊車両通行許可を取得して、実際に公道を移動できる状態であることが求められます。

これらの基準を遵守し、「いつでも移動できる車両である」という実態を保つことが、税務否認リスクを避ける上で極めて重要です。

リスク②:投下資本を回収できないリスク

トレーラーホテル事業に出資する場合、その事業自体の成否が投資回収に直結します。

  • 事業者の倒産リスク: ホテル運営会社が経営不振に陥り倒産してしまった場合、賃料収入が途絶えたり、契約期間満了時の買取が実行されなかったりして、投下資本を回収できなくなるリスクがあります。
  • 事業計画の妥当性確認: 投資を検討する際には、運営会社が提示する事業計画(ホテルの立地条件、ターゲット顧客層、集客戦略、収支予測など)を詳細に吟味し、その実現可能性や持続性を見極める必要があります。例えば、工業団地近くの長期滞在ビジネス客をターゲットにするなど、明確な戦略があるかを確認することが重要です。

まとめ

トレーラーハウス投資は、法的に「車両」として扱われることによる「4年間という短期での減価償却」や、「固定資産税・不動産取得税が原則かからない」といった大きな税務メリットを享受できる可能性がある、魅力的な節税・投資スキームです。

特に、購入初年度に投資額の最大50%を減価償却費として損金計上できるため、突発的な利益への対策としても有効です。また、比較的少額から始められ、安定した賃料収入が期待できる案件も存在します。

しかしその一方で、税務上「建築物」と認定されてしまうとこれらのメリットが失われるリスクや、ホテル運営事業者の信頼性、事業計画の妥当性といった事業リスクも十分に考慮しなければなりません。

トレーラーハウス投資を検討する際は、これらのメリットとリスクを総合的に理解し、信頼できる専門業者を選び、必要であれば税理士などの専門家にも相談しながら、慎重に判断することが成功の鍵となります。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的なスキームや法的基準について知りたい場合に、参考にしてください。

 

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