外貨建て個人年金保険のメリット・デメリットと活用方法

公開 2024年7月30日
外貨建て個人年金保険のメリット・デメリットと活用方法
外貨建て個人年金保険のメリット・デメリットと活用方法

現代は、公的年金制度だけでは豊かな老後の生活を送るのが難しい時代になってきています。

そこで、自分でも老後に備えようと個人年金保険への注目が高まっています。

特に、昨今のマイナス金利の影響で、日本円(円貨)の個人年金保険の販売中止や利回りが悪くなっている中、利回りが高い保険として外貨建て個人年金保険は人気が高くなっています。

多くの保険会社で取り扱いがされており、通貨や運用期間など商品の種類が豊富です。

そこで、今回はこの外貨建て個人年金保険の商品性と検討する上で注意するポイントを検証します。

1.  外貨建て個人年金保険とは

外貨建て個人年金保険とは、保険料の支払いや保険金の受取りを米ドルなどの外貨で行う個人年金保険です。

日本円(円貨)で支払った保険料はその国の外貨で国債などで運用され、一般的に円貨よりも利回りが高くなる傾向があります。

特に長期運用する場合には、円貨と比べ大きな差がでてくるのが特徴です。

また、保険料を支払う時と、保険金を受け取るときの為替相場によって、円に交換したときの金額が大きく変わります。

保険会社によって異なりますが、保険料は一括支払いタイプや積立支払いタイプがあります。

また、保険金の受け取りは、年金方式だけではなく、一括受け取り方式も指定できるのが通常です。

2. 外貨建て個人年金は利回りの高さが人気

外貨建て個人年金は、円貨のものに比べて、利回りが高いのが特徴です。予定利率は、保険会社や外貨の種類によって変わりますが、人気の米ドルの場合、予定利率が3%以上になっていることも珍しくありません。

これは、アメリカ合衆国の長期金利が引き上げられているためです。

一方、円貨の個人年金の場合、予定利率1%程度が一般的のため、3倍程度の利率が期待できます。

なお、加入時の利率は随時変更されていますが、固定利率型の商品が一般的で、加入時に外貨ベースでの受取額は確定しています。

例えば、外貨建て個人年金保険(一括支払いタイプ)の場合、契約時に決められた利率が変動することはないため、受け取る額は一定です。

受取り時の老後生活を日本で過ごす場合は、1.3万米ドルを日本円に両替する方が多いと思います。

しかし、図表1のように、受け取る時点の為替が契約時よりも円高になっていれば、日本円に交換した場合の金額が減ることになり、図表2のように逆に円安になっていれば増えることになります。

したがって、外貨建て個人年金は、円貨のものに比べて利回りが高いですが、受け取り時に外貨受取りではなく、日本円に両替した場合には為替変動の影響を受けます。

図表1:円高になった場合


図表2:円安になった場合

2.1. カギを握るのが為替相場

外貨建て個人年金は、円貨と比べて利回りが高いですが、受取り時の為替相場の影響を受けます。

そのため、受取時に外貨から日本円に両替したときに為替リスクがあります。

つまり、契約時に年金を受け取る時の為替相場が、保険料支払い時に比べて円高になった場合は、大きく損をしてしまう可能性があります。

例えば、外貨建て個人年金保険(一括支払いタイプ)の場合、契約時に決められた利率が変動することはないため、受け取る額は一定です。

1万米ドル支払い、10年後に30%アップの1.3万米ドル受け取れるとしましょう。

このとき、保険料支払い時の為替が1米ドル=100円だったとすると、自分で支払った保険料は100万円となります。

もし、10年後に為替レートが変わらず1米ドル=100円であれば130万円の受け取りになります。

また、10年後に円安になり、年金受け取り時のレートが1米ドル=120円になった場合、受取年金額は156万円となり、運用益と為替差益で56万円も利益が出たことになります。

しかし、10年後に極端な円高になっていた場合は大問題です。

たとえば、保険金受取り時に1米ドル=70円になっていたとすると、年金原資は円換算で91万円となってしまいます。

10年間も運用したにもかかわらず、逆に損をしてしまうことになります。

したがって、外貨建て個人年金は、契約時に年金を受け取る時の為替相場が保険料支払い時に比べて円高になった場合は、大きく損をするリスクがあります。すなわち、元本保証の商品ではないのです。

3.  外貨建て個人年金のメリットとデメリット

ここで、外貨建て個人年金のメリットとデメリットを整理しましょう。

3.1. 外貨建て個人年金のメリット

外貨建て個人年金の魅力の1つは、やはり高い利回りです。特に長期間運用する際には、わずかな利回りの差でも受取額に与える影響は大きなものです。

海外ロングステイや豪華客船での世界旅行など、外貨が必要なライフイベントを計画している場合には、外貨建ての個人年金は強い味方に、また分散投資をしていることになるため、将来の円安やインフレへの備えとしても有効です。

3.2. 外貨建て個人年金のデメリット

あらかじめ決められた利率で運用される外貨建て個人年金の場合、外貨ベースの受取額は確定していても、それを改めて日本円で受け取ると、話が変わってきます。

為替レートの影響で年金額が変動することになり、元本割れの可能性があります。

決まった年金額を確実に用意したい人には向かない、という点は理解が必要です。

また、加入時や解約時、保有中に発生するコストも気になります。

保険料を円から外貨へ交換したり、年金を外貨から円に交換するために必要な為替手数料や、契約の維持管理のための費用、年金を管理するための費用などのほか、途中で解約する場合には経過した年数に応じた解約控除など、様々なコストが発生します。

保険という機能を備えている以上、単に預金や債券を保有する場合よりもコストは大きくなりがちです。

3.3. 外貨建て個人年金の為替リスクを低減するために?

外貨建ての個人年金保険は、円貨と比べて高い利回りが魅力ですが、為替リスクの影響を受け、元本割れになる場合もあります。その為替リスクを軽減するために、払い方を

  • 一括支払いタイプ
  • 積立タイプ

で比べてみましょう。

一括支払いタイプの特徴

一括支払いタイプの外貨建て個人年金保険は、日本円(円貨)で年金原資を外貨で一括して払うため、そのときの為替レートで固定されます。

契約時の固定された為替レートが、受取時に契約時より円高になると、日本円で受け取る場合、当然に受け取る日本円は少なくなります。

このように、支払い時が円高で受取り時が円安の場合に、最も大きな利益を手にすることができますが、逆に円安時に支払い円高時に受け取ると元本割れしてしまう可能性があります。

積立支払いタイプの方がリスクは低い

一方、積立支払いタイプの外貨建て個人年金保険は、毎月1万円程度から積み立てができ、毎月の為替レートで外貨に交換されます。

積立支払いタイプの個人年金保険は、日本円(円貨)でその時の年金原資を長期間かけて外貨で積み立てるため、そのときの為替レートで固定されません。

例えば、毎月1万円ずつ積み立てをする場合、積立日の為替レートによって、外貨をどれだけ買い付けることができるか決まります。

つまり、積立日に1ドル100円だった場合には、100ドル分買い付けたということになります。

この方法だと、「ドルコスト平均法」の効果が享受でき、為替リスクを軽減することができます。

したがって、外貨建て個人年金保険の払い方を考える場合、為替リスクを軽減するために、一括払いタイプではなく、積立支払いタイプのほうが為替リスクを軽減できるのです。

特約でもリスクをある程度制限できる

また、保険会社や商品にもよりますが、このような年金受け取り時の為替リスクを防ぐために、いくつかの特約が設けられています。

例えば、

  • 年金受け取り時の為替が良くない場合、一定期間外貨として年金原資を据え置く
  • あらかじめ決定した目標額を達成した段階で、すぐに外貨から円貨に交換し、円で利益を確定させる

などです。

これらの特約は、別途手数料がかかることもあり注意が必要ですが、外貨建て個人年金保険を選ぶ場合は、為替リスクを減らすことができる特約が付加されているかどうか、という点についても確認が必要です。

最後に、外貨建て個人年金の目的として、老後の海外ロングステイや豪華客船での世界旅行など、外貨が必要なライフイベントを計画している場合には、外貨建ての個人年金は強い味方になります。

すなわち、年金受け取り時に、外貨から日本円で受取る時に為替リスクが発生するため、外貨で受け取ることができれば、為替リスクを低減させることができます。

まとめ

これまで、いろいろ見てきましたが、外貨建て個人年金保険は為替リスクが大きく安定した確実な商品とは言えません。ですから、老後のための絶対なくなっては困るようなお金を託すのは勇気がいるところです。

外貨建て個人年金は、利回りが高いという大きなメリットがありますが、予測のつかない為替変動によって、最悪の場合、大きく元本を割り込んでしまう可能性があるため、注意が必要です。

ただ、円高の時に加入すれば、年金受け取り時に円安になっている可能性が高く、予想以上の金額を受け取ることができるかもしれません。

いずれにしても、円建ての個人年金よりも投資性が強くなるため、将来確実に決まった額の年金が欲しいのであれば、外貨建ては避けたほうがいいでしょう。

しかし、我が国はマイナス金利の影響もあって、老後資金の年金の準備を円貨から高利回りの外貨建てで用意することも必要でしょう。

そのときの為替リスク軽減の方法は、外貨建て個人年金の払い方を一括支払いタイプから、積立支払いタイプにすることが、「ドルコスト平均法」の効果が享受でき、為替リスクが低減します。

また、老後に海外旅行等を考えている場合などに、年金受取り時に日本円ではなく、外貨で受け取ることができるならば、為替リスクはかなり低減します。

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