住宅ローンを組む時の保険の見直しで行うべきこと


マイナス金利の影響でローン金利が歴史上でも最低水準となっている昨今、マイホーム購入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
マイホームを購入する際、ほとんどの金融機関では、借入れの条件として団体信用生命保険(団信)に加入することを義務付けています。団信とは、住宅ローン契約者に万一のことがあった場合、それ以降の住宅ローンの返済が免除されるというものです。
この時、すでに個人で民間の生命保険に加入していれば、保障内容が重複してしまい、無駄が発生する場合が少なくありません。
個人的な体験をお伝えすると、私はファイナンシャルプランナーとして、多くの住宅購入相談を受けてきましたが、ほとんどの方が、団信の加入とともに、生命保険を見直されました。
そこで、ここでは、マイホームを購入する無駄が生まれないようにするための生命保険の見直しのポイントをお伝えします。ポイントは4つです。
- 団体信用生命保険の基礎知識と4つのポイント
- フラット35の時の団体信用生命保険の判断ポイント
- 団体信用生命保険に加入する場合の生命保険の見直し方法(保険料の削減方法)
- 住宅に関する保障を充実させたい時の選択肢
全てご覧いただければ、保障の重複による無駄を防ぐことができますし、大切なマイホームを守るための備えを万全にすることもできます。ぜひ、真剣にご覧いただければ幸いです。
1. 団体信用生命保険とは?
まず、団体信用生命保険(以下「団信」)の仕組みを簡単に説明します。 団信は、加入者が住宅ローンの返済中に死亡又は高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残金が保険から返済されるという仕組みです。
つまり、それ以降は住宅ローンの支払いを続ける必要がなくなります。
このように、団信は、保障を住宅ローンの支払いに絞った生命保険です。ポイントは、以下の通りです。
- 多くの金融機関では住宅ローンを借りる際に団信は強制加入
- 団信に加入していると、死亡や高度障害状態になった場合、住宅ローンの残りは保険が支払ってくれる。
- 保障は住宅の引き渡し後から始まる
- 健康状態が良好でなければ加入できない
これらのポイントを抑えることはとても重要です。なぜなら、団信に加入する前に、加入している生命保険などがあれば、保障内容がかぶる部分を見直すことで保険料の無駄を省くことができるからです。
逆に、これらのポイントを知らないと、団信の保険料と生命保険の保険料で二重払いのような形になってしまう可能性があるからです。
そこで、ここでは、まず団信のポイントを一つずつ説明させていただきます。
1.1. 団信はほとんどの金融機関で強制加入
団信は、生命保険の一種で住宅ローンを借り入れた際にほぼ強制的に加入することになります。この場合に、保険料は住宅ローンの金利に含まれており、別途に保険料支払いは発生しません。
なお、一部の金融機関やフラット35(最長35年の長期固定金利の住宅ローン)の場合は、強制ではなく”任意”です。また、フラット35で住宅ローンを借りて、さらに、団信に加入する場合には、を住宅ローンの返済額とは別に、年に1度「機構団信特約料」という保険料を支払うことになります。
フラット35に関しては後述します。また、生命保険の保険料は若いほど安くなります。団信の保険料率は年齢に関係なく一定です。
1.2. 万が一のことがあった場合、以降の住宅ローン返済が免除になる
団信に加入すると、住宅ローン契約者に万が一のこと(突然の死、または高度障害)があった場合に、住宅ローンの残りを保険で支払ってくれます。
つまり、残される家族に対して、せめて購入した家は守られるということです。もし、団信に加入していない場合に、一家の大黒柱に万が一のことが起きたら、残された家族が住宅ローンを返済し続けなければなりません。
つまり、他の生命保険との兼ね合いもありますが、マイホームに安心して住み続けるために、団信はとても重要なものとなります。
なお、フラット35では、夫婦が連帯債務者になっている場合には、二人で加入できる「デュエット」というものがあります。
デュエットに加入していると、夫婦のどちらか一方の加入者が、死亡又は高度障害状態になった場合には、住宅の持ち分や返済額等に関わらず、住宅ローンの残りを全額保険が返済してくれます。
1.3. 団信の保障は住宅の引き渡し後から
新築マイホーム購入を考えている場合、団信は融資実行後(住宅が完成して不動産業者からあなたに物件を引き渡した後)からの保障になります。そのため、工事着工から竣工までの建築中は保障の対象になりません。
この期間の間に万が一、建て主(住宅ローンの借り手)が死亡・高度障害状態になった場合は、住宅ローンは免除にはなりません。そうなると、遺族の負担で工事を続けるか、所有権を放棄するか、完成させて転売するかなど、難しい対応を求められます。
こうした事態に備える保険として登場したのが、住宅引き渡し前のための保障である「ぽけっと団信」です。この保険で未払金5,000万円までは賄えますので、検討しても良いでしょう。
1.4. 健康状態が良好でなければ加入できない
但し、団信は健康状態が良好で、生命保険に加入できる状態でないと加入できません。つまり、団信に加入できないと住宅ローンの借り入れもできないということです。このことから、住宅ローンを借りる際の、健康状態は重要となります。
なお、健康上の理由で通常の団信に加入できない場合には、生命保険の引き受け基準が拡大された「ワイド団信」だと加入できる場合もあります。
「ワイド団信」付きの住宅ローンはメガバンクをはじめ多くの金融機関で取り扱いがあります。金利が0.2~0.3%程度高くなりますが、住宅ローンを安心して借り入れする手段としては有効です
2. フラット35とは
フラット35は、財務省と国交省が管轄する住宅金融支援機構と、金融機関が共同で提供している、長期固定金利の住宅ローンです。詳しく説明します。
2.1. フラット35の場合、団信の加入は任意
先ほどもお伝えした通り、民間金融機関のほとんどは、住宅ローンを借りる際、団信の加入は強制加入となっています。しかし、フラット35(及び一部の金融機関)では、強制ではなく任意です。
つまり、フラット35の場合は、団信にするか、通常の生命保険にするかを選べるということです。
2.2. フラット35の場合、団信と生命保険のどちらにするか?
結論からお伝えすると、若年層の方は生命保険で検討するといいでしょう。
なぜなら、上述の通り、団信では保険料は年齢に関係なく一律ですが、生命保険は若年層ほど保険料が安いからです。また、生命保険は、たばこを吸わない、メタボ予備軍ではないなど、健康な人ほど保険料が安くなるというメリットもあります。
さて、それでは、団信にするか生命保険にするかは、具体的にどのように判断すれば良いのでしょうか?それを次から見ていきましょう。
3. 団信に加入する場合の生命保険の見直し
次に、団信に加入する場合に行って欲しい、生命保険の見直し方法について解説します。
3.1. 団信と既に加入している生命保険の重複をなくす
現在契約中の生命保険と、団信の保障内容が重なっていたら、保険料を無駄に支払うようなものです。これだけだとピンと来ないと思いますので詳しく説明します。
3.1.1. 団信に加入する時に生命保険を解約した方がいい場合がある
まず、団信に加入する場合は、すでに契約している生命保険を解約したほうがいい場合があります。
例えば、一家の大黒柱に万一があっては残された家族が困るからと、5,000万円の生命保険に加入したとします。そこに、3,000万円の住宅ローンを借りて団信に加入すれば、生命保険金額は8,000万円にもなります。
死亡時にたくさんの保険金を受け取っても邪魔にならないかもしれません。しかし、そのためには、多額の保険料を毎月支払うことになります。
民間の住宅ローンですと、通常は保険料がローン金利に含まれている場合がほとんどです。そのため、住宅ローンを利用する多くの方は自分が生命保険に加入していることを意識していないケースが多いです。
もし、既に生命保険に加入していて、その保障の中に住宅資金の分も含まれているのであれば、それは、重複加入です。
3.1.2. 生命保険の保険料の削減も要検討
先の例のように、従来より5,000万円の生命保険に加入していた方ならば、団信加入時に保険金額を削減することも考えるべきでしょう。
仮に、5,000万円から3,000万円に保険金額を削減したら、保険料も5分の3に削減できます。つまり、毎月3万円の保険料を支払っているのであれば、それが1万8千円になり、1万以上も削減できたことになります。
住宅ローンを利用するときは、既に加入している生命保険の見直しも併せて行うことが重要です。そして、重複した生命保険の減額した分の保険料を住宅ローンの繰上返済の資金などに充てることができるのです。
したがって、マイホームを住宅ローンで購入した場合、団信分が、すでに個人で住宅資金目的で加入している民間の生命保険とダブるため、必ず見直すことが必要なのです。
3.2. 保障内容を拡大するかどうかを検討する
続いて、保障内容を充実させたい場合の選択肢をお伝えします。
3.2.1. 疾病保障付きの団信
最近では、疾病保障付きの団信が出てきています。これは、「がん」や「脳卒中」「急性心筋梗塞」など、特定の病気になった場合に、住宅ローンの支払いの保障が受けられるものです。
ただし、
- すぐに住宅ローンの残高が精算されるもの
- 一定期間は保険から毎月の支払額が支払われ、その状態が続いた場合にローン残高が精算されるもの
など、金融機関によって保険金の給付方法は違いがあります。また、保険料についても、保険料は銀行負担のもの、金利0.3%程度の上乗せのもの、月額で支払うものなどがあります。
もし、住宅ローンのご契約者が死亡ではなく、病気やケガで、長期に仕事ができない状態になったとしたらどうでしょう?
短期間ならば貯金の取り崩しなどで何とか乗り切れても長期間の返済となれば大変なことになります。勤務先での長期欠勤を余儀なくされ、給料受取額が減ってしまい、月々の住宅ローン返済が家計の大きな負担になってしまうといった事態も想定できます。
長期就業不能時の収入の減少は、家計に大きなダメージを与えます。収入が減少しても、生活費・お子様の学費・住宅ローンは変わらないからです。
ちなみに、総務省の「家計調査(2017年)」によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯の1ヵ月の生活費は平均約31万円です。
また同じく総務省の「家計調査(2017年)」によると、勤労者世帯(うち住宅ローン返済世帯)の1ヵ月の住宅ローン返済額は90,723円です。
長期治療が必要な病気になると、これらに加え、あなた自身の治療費やリハビリなどにかかる費用がのしかかってきます。
そう考えると疾病保障付きの団信はあった方が安心でしょう。なお、さらに手厚い保険もありますので、次に説明します。
3.2.2. 住宅ローンサポート保険
就業不能時の住宅ローンサポート保険とは、家計を支える方が病気やケガで働けなくなった時に、住宅ローンを払い終わるまで毎月数十万円の保険金を受け取れるというものです。これは、入院中はもちろん、自宅療養中でもサポートできます。
そのため、個人的には住宅ローンを利用されている方には必須だと考えています。これに加入していれば、団信と住宅ローンサポート保険で、住宅に関しては、何があっても万全な状態となるでしょう。
4. まとめ
まとめると、住宅ローンを借り入れる時の保険の見直しとしては以下のパターンがあります。
- フラット35の場合は団信にするか生命保険にするかを検討する
- 団信の場合は生命保険との重複を確認し不要な部分を削減する
- さらに手厚い保障を望むなら住宅ローンサポート保険を検討する
4.1. フラット35の場合は団信にするか生命保険にするかを検討する
若くて非喫煙で健康体の方は、生命保険の方が保険料が安くなる場合が多いです。どちらの方が金銭的にメリットがあるかをシミュレーションして決めると良いでしょう。
4.2. 団信に加入する場合は既存の生命保険との重複部分を削減する
この場合は、生命保険で降りる保険金額が必要以上に高額になる場合があります。万が一の場合に、多額の保険金が降りるのは良いことではありますが、その分、保険料は高くなります。保険料の負担を抑えるためにも、再度、生命保険の必要保障額を見直すと良いでしょう。
4.3. さらに手厚い保障にするには住宅ローンサポート保険
家計に余裕があれば、住宅ローンサポート保険に加入すれば、何があっても、住宅を守ることができます。家族の思い出がつまる大切なマイホームですので、余裕がある場合は、ぜひご検討ください。



