会社から従業員に現物で支給されるものは、原則的には所得税、住民税が課税され、かつ源泉所得税の対象となります。
ただ、福利厚生費として計上できるものは、会社の節税となる上に、役員や従業員にも課税がされないという特徴があり、結果として手取りを増やす効果があります。
今回は福利厚生費として活用できる魅力的な10の方法についてお伝えします。
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魅力的な10の節税方法
①社宅制度
役員が賃貸物件に住んでいるのなら、会社がその物件を借りて社員や役員に社宅として転貸すれば、節税が可能です。
会社が家主に家賃を全額支払い、住む人から50%徴収した残り、つまり、家賃の50%を損金算入することができるという、多くの会社が採用している基本的な節税手法です。
同じ額を役員報酬ではなく、家賃として支払うことで所得税や住民税、社会保険料を削減できる効果があり、結果的に役員の手取りが増え、会社の税負担も減らす効果があります。
②残業時の食事代
残業時の食事費用を会社が負担したのであれば、給与課税はされません。
ただ、残業は、勤務時間外である必要があるので、通常の勤務形態の時間内の場合には、適用はありません。
食事は、残業が終わったあとでも可能ですが、通常の食事の範囲内である必要があります。例えば残業後に居酒屋に行ったような場合には、適正な額でないと否認を受けることがありますので注意してください。
③人間ドック
健康診断にかかる費用は、本来は、本人が負担するべきであり、会社経費とはなりませんが、役員と社員の全員を対象として人間ドック費用を負担した場合には、経費となります。
役員などの特定の人だけを対象とした人間ドックは経費にはなりませんが、一定の年齢以上の人に限定するのであれば、経費として認められます。
④出張手当
営業等のため宿泊を伴う出張が多い会社の場合、「出張旅費規定」を作成し、出張手当の制度を整えることが節税につながります。これは、会社にとっても従業員にとってもメリットが大きいので、普段からの節税対策として、是非整備することをおすすめします。
「出張旅費規程」に基づいて決まった額を「出張手当」として支給した場合、会社の業務上必要な経費なので、全額が損金に算入されます。
従業員の側でも、旅費の実費ではなく決まった額が出張旅費規程に則って支給されるため、旅費を節約すれば実質的に手取り額が増えます。給与所得として扱われないため、所得税や住民税、社会保険料がかかりません。
「出張旅費規程」は、多くの雛形が出回っていますので、整備するのは大した手間はかかりません。ただし、出張手当の金額は、社会通念上相当な範囲内に設定しなければなりません。また、税務署の調査が入った時に備えて、出張の記録をその都度きちんと作成するようにしてください。
⑤社員旅行・研修旅行
社員旅行は、以下のような一定の条件を満たせば、かかった費用を経費にすることができます。
- 旅行の期間が4泊5日以内であること
- 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること
- 欠席者に現金支給を行わないこと
- 少額であること
また、業務のために必要な研修であれば、給与課税されることはありません。その場合、私的な旅行ではないかと疑われないように、研修資料や日程表などの資料を整備して、研修の実態があることを示せるようにしておく必要があります。
⑥保養所や別荘
保養所や別荘などを会社に購入したり、借上げ上げたりした場合に、役員だけが使っていると給与課税をされてしまいますので、以下の要件を満たす必要があります。
- 利用者が受ける経済的利益が著しく多額でないこと。
- 従業員が全員利用できること
- 利用状況がわかる書類を整備すること
⑦スポーツクラブ
法人契約し、役員が私的に利用しておらず、社員の誰もが利用できるのであれば、給与課税されることなく、経費処理できます。
⑧レクリエーションイベント
スキー、テニス、カラオケ、ボーリングなどの大会を開催して、その費用を負担しても給与課税はされません。これらのイベントに伴う飲食費や、宿泊費用も、一般的なものであれば経費にできます。
ただし、役員などの特定の人しか参加できない場合は、経費に出来ません。また、半分が参加していなかったり、負担する費用の額が多額の場合には、給与課税がされます。また、不参加者に金銭を支給する場合も、選択の自由があることから課税されます。
⑨勤続表彰
10年以上、永年勤続した従業員や役員に、記念品を支給したり、旅行へ招待したりした場合には、所得税は課税されません。
ただし社会通念上、相当である額である必要があります。また、5年毎に表彰するというように一定の間隔をあける必要があります。
さらに、現金や商品券で渡したり、高額なものを贈ったりすると、給与課税されますので、注意が必要です。
⑩慶弔費
役員や使用人に、出産祝、結婚祝、入学祝、病気見舞、香典などを支給した場合には、社会通念上、相当と認められる金額であれば、課税はされません。例えば、結婚祝いであれば5万円程度であれば、問題になりにくいと考えられます。一般的に相当と考えられる額にしておく必要があります。
まとめ
本来現物支給の給与になるようなものでも福利厚生費として認められるものを活用していくと、会社の節税となる上に、結果的に従業員の手取りが増える可能性がありますので、検討してみてください。
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