キャッシュを残す最強の節税術!減価償却の仕組みと活用ノウハウを徹底解説

「今期は売上が好調で利益もしっかり出ているはずなのに、なぜか手元の現金が思ったよりも少ない」「決算を締めてみたら、法人税の支払いで資金繰りがカツカツになってしまった」経営者の方から、このような悩みを相談されることが少なくありません。帳簿上の利益は計上されているのに、会社にキャッシュが残っていない。この不可解な現象を引き起こす主な原因の一つが、会計上の「費用」と実際の「キャッシュフロー(現金の動き)」のズレであり、その中心にあるのが「減価償却費」です。

会計のルールである減価償却を正しく理解していないと、自社の正確な財務状況を把握できないばかりか、合法的に税金を減らすことができる大きなチャンスを逃してしまい、結果として会社にキャッシュが残らないという事態を招きかねません。逆に言えば、この減価償却の仕組みを深く理解し、戦略的に活用することができれば、手元のキャッシュを最大限に温存しつつ、法人税や個人の所得税をコントロールして、税負担を限りなくゼロに近づけることも可能になります。

今回は、経営者や個人事業主が絶対に知っておくべき減価償却の基礎知識から、少額資産の特例、さらには中古資産や不動産投資を活用した高度な節税ノウハウまで、税理士の視点で徹底的に解説します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

経営者が陥りやすい「費用」と「現金」のズレ

減価償却を活用した節税術を解説する前に、まずは多くの経営者が誤解しがちな「会計上の費用」と「現金の支出」の関係について、その根本的な概念を整理しておきましょう。ここを理解することが、キャッシュリッチな会社を作るための第一歩です。

お金を払ったのに経費にならない?

一般的に「費用」や「経費」と聞くと、「お金を支払った時」に計上されるものだと考える方が多いのではないでしょうか。例えば、接待でゴルフに行ったり、取引先との会食で飲食代を支払ったりした場合、その支払った日付で経費になります。これは直感的にも分かりやすいものです。

しかし、会計の大原則において、お金を支払うタイミングと、費用として計上するタイミングは、必ずしも一致しません。分かりやすい例として、事務所の家賃を挙げてみましょう。もしあなたが、4月に事務所の年間家賃120万円をまとめて前払いしたとします。キャッシュフローの観点で見れば、4月に会社から120万円という現金が一気に出ていっています。ところが、会計上はこれを「4月の費用として120万円全額」計上することは原則としてできません。

なぜなら、あなたが120万円を支払って得たものは、「向こう1年間、その事務所を使用できる権利」だからです。会計では、時間の経過と共にこの権利を行使(消費)した分だけを、月々の費用として計上していくという考え方をします。つまり、4月分の家賃として10万円、5月分として10万円……というように、12ヶ月間にわたって少しずつ費用化していくのです。その結果、4月の時点では「現金は120万円減っているのに、経費は10万円しか計上されていない」というズレが生じます。

減価償却費の正体とは

この「資産を使用した期間に合わせて費用配分する」という考え方を、建物や機械、車両といった長期間使用する高額な固定資産に適用したものが「減価償却」です。減価償却費とは、一言で言えば「高額な資産の購入代金を、その資産が使える期間(耐用年数)にわたって分割し、少しずつ経費にしていく会計手続き」のことです。

例えば、事業拡大のために6,000万円で自社ビルを購入したとします。このビルが使える期間(法定耐用年数)が50年だとしましょう。購入した年に6,000万円の現金が出ていきますが、会計上は「このビルは50年間事業に貢献し収益を生み出すもの」と考えます。そのため、購入代金も50年で分割して経費にするのが合理的とされます。計算すると、6,000万円÷50年=年間120万円。つまり、毎年120万円ずつしか経費として認められないのです。

初年度の決算書を見てみましょう。現金は6,000万円も減っているのに、経費には120万円しか計上されていません。もしこの年の売上が大きければ、経費が少ない分だけ帳簿上の利益は莫大なものになり、多額の法人税が課せられます。手元に現金がないのに、税金だけは払わなければならない。これが、「利益は出ているのにお金がない」という現象の正体であり、黒字倒産を引き起こす要因にもなり得るのです。だからこそ、減価償却をコントロールすることは、経営において死活的に重要なのです。

戦略的に選ぶべき償却方法「定率法」のメリット

減価償却の仕組みが分かったところで、次は具体的な計算方法について見ていきましょう。減価償却には、主に「定額法」と「定率法」という2つの計算方法があります。どちらを選ぶかによって、毎年の経費の額、ひいては手元に残るキャッシュの額が大きく変わってきます。

定額法と定率法の違い

まず「定額法」は、その名の通り、毎年同じ金額を均等に経費にしていく方法です。先ほどのビルの例のように、毎年120万円ずつ、ずっと一定額を計上し続けます。計算がシンプルで将来の予測が立てやすいのが特徴ですが、建物を除く多くの資産では、別の方法も選択できます。

それが「定率法」です。定率法は、資産の未償却残高(まだ経費にしていない残りの価値)に対して、毎年一定の率(償却率)を掛けて経費を計算する方法です。特徴は、「初年度の減価償却費が最も大きく、年々少なくなっていく」という点です。

例えば、1,000万円の機械(耐用年数5年)を購入したケースで比較してみましょう。

  • 定額法の場合:毎年200万円ずつ、5年間にわたって均等に計上します。
  • 定率法の場合:初年度に約400万円を一気に計上し、2年目は約240万円、3年目は約144万円……と推移します(※償却率は資産によって異なります)。

なぜ多くの法人が「定率法」を選ぶのか

節税と資金繰りの観点から見ると、多くの法人にとって「定率法」の方が圧倒的に有利です。なぜなら、導入初年度や2年目といった早い段階で多額の経費を計上できるからです。

ビジネスにおいては「現金の価値は今日が一番高い(将来の100万円より今の100万円の方が価値がある)」という原則があります。定率法を選んで早い段階で経費を多く計上し、直近の法人税を抑えることができれば、その分だけ手元に多くのキャッシュを残すことができます。その資金を次の設備投資や運転資金に回すことで、事業の成長スピードを加速させたり、借入金の返済に充てて財務体質を強化したりすることが可能になります。トータルで経費にできる総額は定額法でも定率法でも同じですが、「いつ経費にするか」という時間軸が経営には極めて重要なのです。そのため、建物など定額法しか選べない資産を除き、機械や車両などは原則として定率法を採用し、早期の節税効果を狙うのがセオリーと言えます。

【法人編】経費を使い倒すための減価償却活用テクニック

減価償却の基本を押さえた上で、ここからは実務で使える具体的な節税テクニックをご紹介します。特に中小企業には、国が認めた有利な特例措置がいくつか用意されています。これらを状況に合わせて使い分けることで、少額の投資から大きな設備投資まで、無駄なく経費化することが可能です。

1.一括償却資産(10万円以上20万円未満)

まず、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について使えるのが「一括償却資産」という制度です。通常、10万円以上の資産は固定資産として計上し、法定耐用年数(パソコンなら4年など)で償却しなければなりません。しかし、この制度を使えば、資産の種類や耐用年数に関係なく、一律「3年間」で均等に償却することができます。

この制度の隠れた大きなメリットは、「償却資産税の対象外になる」という点です。固定資産(機械、備品など)を持っていると、毎年「償却資産税」という地方税がかかりますが、一括償却資産として処理したものはこの課税対象から外れます。青色申告などの要件もなく、すべての企業が利用できるため、20万円未満の多数の備品(オフィスチェアや安価なPCなど)を購入した際には、積極的に活用したい制度です。

2.少額減価償却資産の特例(30万円未満)

次に、より強力な節税効果を持つのが「少額減価償却資産の特例」です。これは、取得価額が30万円未満の資産であれば、購入して事業に使用した年度に、全額を一括で経費(損金)にできるという特例です。例えば、25万円の高性能パソコンを10台購入した場合、合計250万円をその年の経費として一気に落とすことができます。

【適用条件と注意点】

  • 対象者:青色申告を行っている中小企業者等(従業員数1,000人以下など)。
  • 上限額:年間合計で300万円まで。
  • 取得価額の判定:本体価格だけでなく、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税など、事業で使えるようにするためにかかった費用も含めて判定します。また、税込経理なら税込価格、税抜経理なら税抜価格で判定するため、経理方式によって適用可否が変わる点に注意が必要です。
  • 償却資産税:一括償却資産とは異なり、こちらは償却資産税の課税対象になります。

3.中古資産の活用と購入タイミング

さらに大きな節税効果を狙うなら、「中古資産」の活用が効果的です。減価償却費を計算する際の耐用年数は、新品か中古かによって異なります。中古資産の場合、法定耐用年数ではなく、使用可能な残りの年数を見積もって計算します(見積もりが困難な場合は簡便法を使用)。簡便法では、すでに法定耐用年数を過ぎている資産の耐用年数は、「法定耐用年数×20%」で計算されます。

代表的な例が「4年落ちの中古車」です。普通自動車の法定耐用年数は6年ですが、4年経過した中古車を購入した場合、(6年-4年)+4年×20%=2.8年となり、端数切捨てで「耐用年数2年」となります。定率法において耐用年数2年の償却率は1.000(100%)です。つまり、購入した金額の全額を、最短1年で経費にすることが可能になるのです。利益が大きく出そうな期に、数百万円単位の中古社用車を購入することで、一気に利益を圧縮することができます。

ただし、注意点があります。減価償却費は、事業に使用した月からの「月割り計算」になります。もし決算月の直前に駆け込みで購入しても、その期に計上できるのは1ヶ月分だけです。これでは節税効果が薄れてしまいます。中古資産を活用して大きな節税効果を得るためには、できるだけ「期首(事業年度の始まり)」に合わせて購入計画を立てることが重要です。

【個人編】不動産投資を活用した所得税圧縮スキーム

ここまでは主に法人の節税について解説してきましたが、高所得の個人事業主や会社役員の方にも、減価償却を活用した強力な節税スキームが存在します。それが、「不動産投資」と「損益通算」を組み合わせた手法です。

給与所得と不動産所得の「損益通算」

日本の所得税は累進課税制度をとっており、給与所得などが高い人ほど税率が高くなります。しかし、不動産所得で赤字が出た場合、その赤字を給与所得などの黒字と相殺(損益通算)して、全体の課税所得を減らすことができます。

ここで重要になるのが、冒頭でお話しした「減価償却費」の性質です。不動産の購入費用(建物部分)は、減価償却費として毎年経費計上されますが、これには現金の支出を伴いません。つまり、家賃収入などの現金収入はプラスでも、多額の減価償却費を計上することで、「帳簿上だけ赤字」の状態を作り出すことができるのです。

減価償却で「帳簿上の赤字」を作る

例えば、あなたの給与所得が1,200万円あるとします。通常であれば、約250万円もの所得税・住民税がかかります。ここで、築古の木造アパート(耐用年数が短く、単年度の償却費が大きい物件)などを購入し、不動産所得においてマイナス1,200万円の赤字(主に減価償却費によるもの)を作れたとしましょう。税金の計算上は以下のようになります。

  • 給与所得:+1,200万円
  • 不動産所得:▲1,200万円
  • 合計所得:0万円

課税される所得がゼロになるため、給与から源泉徴収されていた所得税が確定申告によって全額還付され、翌年の住民税もゼロになります。手元には家賃収入のキャッシュと還付された税金が残り、資産形成を加速させることができます。

ただし、このスキームには出口戦略が必要です。減価償却期間が終わると経費が減り、不動産所得が一気に黒字化して税負担が増える(デッドクロス)時期がやってきます。そのタイミングで物件を売却するのか、あるいは新たな物件を購入して償却費を作るのか、長期的な視点でのシミュレーションが不可欠です。

まとめ

減価償却は、単なる会計上の計算手続きではありません。「いつ、どれだけの費用を計上するか」をコントロールすることで、手元のキャッシュフローを劇的に改善し、会社や個人の財務体質を強化するための戦略的なツールです。

  • 定率法を選んで、早期に経費化する
  • 少額資産の特例を使って、こまめに経費化する
  • 中古資産を期首に購入して、大きな利益を圧縮する
  • 個人の場合は、不動産の減価償却で給与所得の税金を還付させる

これらのノウハウを正しく理解し、自社の状況に合わせて組み合わせることで、無駄な税金の支払いを防ぎ、大切な資金を事業の成長や将来の備えに回すことができます。ただし、これらの施策は税制改正の影響を受けやすく、また個別の状況によって最適な判断が異なります。実行に移す際は、必ず税理士などの専門家に相談し、綿密なシミュレーションを行った上で進めてください。

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