民泊経営者必見!経費計上と節税対策で手残りキャッシュを増やす方法

インバウンド需要の回復や国内旅行のスタイルの変化などを背景に、副業や専業で民泊経営に取り組む方が増えています。収益を最大化することはもちろん重要ですが、同時に、事業にかかった費用を適切に経費として計上し、活用できる節税策を実行することで、手元に残るキャッシュ(現金)を増やすことも経営の安定には不可欠です。

しかし、「どのような費用が経費になるのか」「どんな節税方法があるのか」といった知識が不足しているために、本来払う必要のない税金を納めてしまっているケースも少なくありません。この記事では、民泊経営において経費として認められる費用の具体例や、個人事業主・法人それぞれが活用できる節税対策について解説していきます。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1. 民泊経営における収支管理の基本

収益と支出のバランスの重要性

民泊経営を成功させるには、宿泊料金の適切な設定や稼働率の向上、リピーター獲得などによる収益アップと同時に、支出の管理が重要になります。民泊運営には、物件の賃料や維持費、清掃費、備品購入費、予約サイト手数料など、様々なコストが発生します。これらの支出の中には、税務上の経費として認められるものが多く含まれています。経費を漏れなく計上することは、課税対象となる所得を圧縮し、結果的に納税額を抑えるための基本となります。

ただし、節税を意識するあまり、不要な経費まで計上したり、過剰な支出をしたりすることは本末転倒です。手元のキャッシュが減少し、資金繰りが悪化してしまっては元も子もありません。まずは、経費にできるものを正しく理解し、適切に計上していくことが肝心です。

副業で民泊経営を行う場合の注意点(雑所得と損益通算)

会社員などが副業として民泊経営を行う場合、税務上の取り扱いに特に注意が必要です。多くの場合、副業による民泊収入は「雑所得」に分類されます。 雑所得の大きな特徴は、赤字が出ても他の所得(給与所得など)と損益通算ができない点です。

損益通算とは、複数の所得がある場合に、赤字の所得と黒字の所得を相殺して全体の課税所得を計算する仕組みです。例えば、給与所得が1,000万円あっても、不動産投資(不動産所得)で200万円の赤字が出れば、課税所得は800万円として計算されます。しかし、民泊経営(雑所得)で200万円の赤字が出ても、給与所得1,000万円と相殺することはできず、給与所得1,000万円に対してそのまま課税されます。

逆に、民泊経営で利益が出た場合は、その利益(雑所得)と給与所得などを合算した金額に対して所得税が課税されます。所得税は累進課税のため、合計所得が増えることでより高い税率が適用され、納税額が増加する可能性があります。

したがって、副業で民泊を行う場合は特に、赤字を出さないような運営を心がけつつ、黒字の範囲内で経費をしっかりと計上し、後述する節税策を活用していくことが重要になります。 (※ただし、事業規模によっては「事業所得」と認められる可能性もゼロではありません。判断が難しい場合は税務署や税理士にご相談ください。)

2. 民泊経営で経費にできる主な費用項目

民泊経営に関連して発生する費用のうち、一般的に経費として認められる主なものを紹介します。

物件関連費用(賃借料、固定資産税、減価償却費)

  • 賃借料: 賃貸物件で民泊を運営している場合、支払っている家賃は経費になります。自宅の一部を民泊スペースとして利用している場合は、使用面積など合理的な基準で按分した金額を経費計上します(家事按分)。
  • 固定資産税・都市計画税: 自己所有の物件で運営している場合、建物や土地にかかる固定資産税・都市計画税も経費になります。これも自宅利用部分があれば家事按分が必要です。
  • 減価償却費: 自己所有の物件(建物)を購入した場合、その取得価額は耐用年数に応じて分割し、減価償却費として毎年経費計上します。また、民泊用に購入したベッド、ソファ、テーブル、テレビ、エアコン、洗濯機などの家具・家電類(通常10万円以上のもの)も固定資産として減価償却の対象となります。

運営関連費用

  • 水道光熱費: 民泊施設で使用した電気、ガス、水道の料金。自宅兼用の場合、使用量や時間などで按分します。
  • 通信費: インターネット回線利用料、Wi-Fi利用料、予約管理用の電話代など。これも自宅兼用なら家事按分が必要です。
  • 消耗品費: トイレットペーパー、ティッシュ、シャンプー、石鹸、タオル、シーツ、電球、ゴミ袋など、宿泊者が利用する消耗品や運営に必要な備品の購入費用(通常10万円未満のもの)。
  • 保険料: 民泊施設にかける火災保険料、地震保険料、宿泊者に対する損害賠償責任保険料など。
  • 清掃費: 専門業者に清掃を委託した場合の費用。自身で清掃する場合の洗剤などの購入費も含まれます。
  • 仲介手数料・広告宣伝費: Airbnbなどの民泊仲介サイトへ支払う手数料、予約サイトへの掲載料、自社サイト運営費、チラシ作成費など、集客にかかる費用。

修繕費の注意点(資本的支出との区分)

民泊施設の壁紙の張り替え、畳の交換、水回りの小規模な修理など、原状回復や維持管理のための費用は「修繕費」として経費計上できます。

ただし、その修繕が単なる原状回復にとどまらず、物件の価値を高めたり、耐久性を増したりするような改良にあたる場合(例:鍵のないドアを鍵付きドアに交換する、通常の設備をよりグレードの高いものに入れ替えるなど)は、「資本的支出」とみなされ、一括での経費計上が認められません。資本的支出は固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却する必要があります。

経費にできない費用

上記以外にも、事業に関連する交通費(物件への移動、備品購入など)、書籍代(民泊経営関連)、税理士等への報酬なども経費になり得ます。一方で、個人的な飲食代や旅行費用、プライベートで使用する物品の購入費など、民泊経営に直接関係のない支出は経費として認められません。

3. 民泊経営で活用したい節税対策

経費を漏れなく計上することに加え、以下の制度や方法を活用することで、さらに節税効果を高めることが可能です。

青色申告の活用(個人事業主の場合)

個人事業主として民泊経営を行う場合、確定申告が必要です。その際、「白色申告」ではなく「青色申告」を選択することで、大きな税制上のメリットを受けられます。

  • 青色申告特別控除: 最大65万円(複式簿記での記帳、e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存が要件)または55万円(電子申告等なし)、簡易な帳簿の場合は10万円の所得控除が受けられます。
  • 赤字の繰越控除: 事業で赤字(純損失)が出た場合、その赤字額を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺することができます。初期投資がかさむ民泊経営開始時には特に有効です。
  • 少額減価償却資産の特例: 通常10万円以上の資産は減価償却が必要ですが、青色申告者(一定の中小事業者等)であれば、取得価額30万円未満の減価償却資産について、年間合計300万円まで一括で経費計上できます。家具・家電などの購入に活用できます。
  • 青色事業専従者給与: 生計を同一にする配偶者や親族(15歳以上)が事業に専従している場合、事前に届け出を行い、適正な金額であれば、支払った給与を全額必要経費にできます。

青色申告を行うためには、事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、原則として複式簿記による記帳を行う必要がありますが、得られるメリットは非常に大きいです。

小規模企業共済への加入

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の役員のための退職金積立制度です。掛金は月額1,000円から7万円まで自由に設定でき、その全額が所得控除の対象となります。これにより、所得税・住民税を節税しながら、将来の退職金(共済金)を準備できます。

掛金納付月数が240ヶ月(20年)を超えれば、受け取る共済金が掛金総額を下回ることはありません。また、加入後1年経過すれば、納付した掛金の範囲内で事業資金等の貸付制度も利用できます。

ただし、この制度は基本的に事業所得がある個人事業主などを対象としているため、副業として民泊経営を行い「雑所得」として申告している会社員などは原則として加入できません。

減価償却方法の工夫

減価償却の計算方法には、毎年均等額を償却する「定額法」と、初期に多くの額を償却する「定率法」があります。建物や建物付属設備については定額法しか選択できませんが、それ以外の固定資産(家具、家電、車両など)については、税務署に届け出をすることで定率法を選択できます。

定率法を用いると、購入・使用開始した年度により多くの減価償却費を計上できるため、初期の税負担を軽減し、キャッシュフローを改善する効果が期待できます。

また、例えば建物の改修工事を行った場合などに、その費用を「建物付属設備」として一括で計上するのではなく、内容に応じて可能な限り細かく資産を区分(例:給排水設備、電気設備、内装など)して計上することも有効です。資産の種類によって耐用年数が異なるため、より短い耐用年数が適用される部分を分けることで、早期に償却(経費化)を進めることができます。

法人化の検討

民泊事業の所得が大きくなってきた場合(目安として課税所得900万円超)、個人事業主のままよりも法人を設立した方が、トータルの税負担を抑えられる可能性があります。

個人の所得税・住民税は最高55%の累進課税ですが、法人税の実効税率は高くても34%程度です。この税率差がメリットになるのです。

また、法人化すれば、役員報酬の設定による所得分散や、退職金の活用、生命保険の損金算入など、個人事業主よりも節税の選択肢が広がります。ただし、法人設立には費用がかかり、赤字でも発生する法人住民税均等割や社会保険への加入義務、税理士報酬の増加など、維持コストも発生します。これらのコストと節税メリットを比較検討し、最適なタイミングで法人化を判断することが重要です。

まとめ

民泊経営で手元に残るキャッシュを最大化するためには、日々の運営で発生する費用の中から経費計上できるものを正確に把握し、漏れなく計上することが基本です。賃料、減価償却費、水道光熱費、消耗品費、清掃費など、対象となる費用は多岐にわたります。 さらに、個人事業主であれば青色申告の活用は必須と言えるでしょう。

小規模企業共済への加入や、減価償却方法の工夫も有効な節税策です。事業規模が大きくなり、所得が一定額を超えてきた場合には、法人化を検討することで、より有利な税率や多様な節税スキームを活用できる可能性があります。

特に副業として民泊経営を行う場合は、所得区分(雑所得)の扱いや損益通算の制限など、特有の注意点があります。いずれの場合も、最新の税法や制度を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しながら、適切な会計処理と節税対策を進めることをお勧めします。

この記事で解説した内容は、以下の動画で税理士がより詳しく解説しています。具体的な事例などを知りたい場合に、参考にしてください。

 

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