税務署は全てお見通し!会社を破滅させる「NG節税」9選と、社長が知るべき正しい資産防衛術

「今期は予想以上に利益が出た。法人税で持っていかれるくらいなら、なんとかして経費を作れないか…」決算期が近づくと、多くの経営者様がこのような悩みを抱えます。その気持ちは痛いほどよく分かります。汗水流して稼いだ利益を、少しでも多く会社に残したいと考えるのは経営者として当然の本能だからです。

しかし、その「節税」への執着が、一歩間違えると取り返しのつかない事態を招くことがあります。巷でまことしやかに語られる「裏ワザ」的な節税策の多くは、税務署から見れば「脱税」や「租税回避行為」に他ならない場合が多いからです。軽い気持ちで手を染めた結果、税務調査で否認されるだけでなく、重加算税という重いペナルティを課され、最悪の場合は社会的信用を失い、会社が倒産に追い込まれるケースさえあります。

特に近年、国税庁はKSK(国税総合管理)システムと呼ばれる巨大なデータベースとAI(人工知能)を活用し、納税者の資金の動きをガラス張りにしています。「現金だからバレない」「少額だから見逃される」といった昭和の感覚は、令和の税務調査では一切通用しません。

この記事では、多くの社長がつい手を出しがちな「絶対にやってはいけないNG節税」を9つ挙げ、なぜそれが危険なのか、税務署はどのような手口でそれを見抜くのかを徹底的に解説します。その上で、会社を成長させ、正々堂々と資産を守るための「正しい節税」の道筋を示します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1.【一発アウト】絶対にやってはいけない「NG節税」9選

これらは「節税」ではありません。明確な「脱税」または「著しくリスクの高い行為」です。税務署が特に目を光らせているポイントを詳細に解説します。

①現金商売での売上隠し(売上除外)

飲食店や小売店、理美容業など、現金を扱う商売で最も多いのが、受け取った現金の一部をレジに通さず、社長のポケットに入れたり、裏帳簿で管理したりする「売上除外」です。「現金なら足がつかないだろう」と考えるのは、あまりに短絡的です。税務署は、以下の方法で簡単に売上除外を見抜きます。

  • 原価率や利益率の異常値:売上を抜くと、仕入れに対する売上の比率がおかしくなります。税務署は同業他社の平均的な利益率(業界標準値)のデータを膨大に持っているため、「この店の原価率がこんなに高いのはおかしい(売上が計上されていないはずだ)」と即座に当たりをつけます。
  • 反面調査:仕入先や取引銀行を調査し、仕入れの規模から想定される売上高を推計します。
  • 個人的な資産の増加:申告所得が少ないのに、社長個人が高級車を買ったり、頻繁に旅行に行ったりしていれば、その資金源(抜いた売上)を疑われます。

隠した現金は、米びつの中や屋根裏、貸金庫などに隠しても、税務調査官の執念の捜索によって見つけ出されます。

②架空の外注費・偽装請負

近年、最も摘発が増えているのがこの手口です。大きく分けて2つのパターンがあります。

  • 架空取引(キックバック):知人の会社などに実態のない業務を発注し、請求書を発行してもらって代金を支払います。その後、手数料を差し引いた現金をキックバック(還流)させる手口です。これは完全な「仮装隠蔽」であり、悪質な脱税として重加算税(最大40%)の対象となるだけでなく、金額が大きければ検察庁へ告発され、逮捕されるリスクもあります。
  • 偽装請負(社員の個人事業主化):実態は会社の指揮命令下で働く「従業員」であるにもかかわらず、社会保険料の負担や消費税の納税を逃れるために、形式上だけ「業務委託契約(外注)」にするケースです。税務調査では、契約書の名称ではなく「実態」が重視されます。「時間の拘束があるか」「他社の仕事を受けられるか」「道具は誰が用意しているか」などをチェックされ、実質的な雇用と判断されれば、過去に遡って源泉所得税や消費税、延滞税などが徴収されます。

③営業時間の過少申告

飲食店などで、「ランチ営業」や「深夜営業」を行っているにもかかわらず、ホームページや表向きの営業時間を短く見せかけ、その時間帯の売上を丸ごと除外する手口です。

税務署は、事前に店舗のWebサイトやSNS、口コミサイトなどを徹底的にリサーチしています。また、調査官が客を装って来店する「内観調査(覆面調査)」を行うこともあります。「ランチやってますか?」「遅い時間まで開いてますね」といった会話から証拠を固め、レジのジャーナル記録と実際の客数を照らし合わせることで、不正は容易に発覚します。

④プライベート車両の経費計上

社長やその家族が個人的に利用している高級車を、社用車として購入し、減価償却費やガソリン代、保険料を経費計上するケースです。もちろん、社長が営業で使うための高級車であれば経費として認められます。しかし、問題となるのは以下のようなケースです。

  • 複数台の所有:社長一人しか運転しないのに、高級外車を2台も3台も法人名義にしている。
  • 利用実態の欠如:運転日報などの記録がなく、平日は会社のガレージに置きっぱなしで、土日だけ走行距離が伸びている(私的利用)。
  • 家族専用車:役員でもない奥様や子供が買い物や通学に使っている。

これらは「事業関連性がない」と判断され、経費が否認されるだけでなく、社長への「役員賞与(現物給与)」とみなされる可能性があります。役員賞与は損金にならず、さらに社長個人に所得税がかかるため、往復ビンタのような重い税負担が発生します。

⑤架空人件費(短期アルバイトの水増し)

勤務実態のない架空の人物(架空のアルバイトや、すでに退職した従業員など)の名前を使い、給与を支払ったことにして現金を抜く手口です。常勤社員と違い、短期アルバイトは記録が残りにくい点を悪用したものですが、これもすぐにバレます。

税務署は、タイムカードや業務日報、履歴書の保管状況を確認します。さらに、給与の支払先となっている人物に「反面調査」を行い、「この期間に働いていましたか?」と確認を取ることもあります。また、マイナンバー制度の導入により、給与支払報告書と個人の所得データの照合が容易になったため、架空の人物を従業員に仕立て上げることは事実上不可能です。

⑥商品券の換金・私的流用

「交際費」として大量の商品券やビール券を購入し、経費計上した上で、実際には取引先に渡さず、金券ショップで換金して裏金を作ったり、社長が私的に利用したりする行為です。

税務署は、「誰に、何のために渡したのか」を厳しく追及します。大量の商品券購入履歴があるにもかかわらず、贈答先のリストや受領書がない場合、即座に疑われます。また、税務署は金券ショップの買取記録も調査できるため、会社が購入した商品券が、直後に近くの金券ショップに持ち込まれていないかといった裏付け調査も可能です。使途不明な商品券購入費は、全額が「役員賞与」と認定されるリスクが高いです。

⑦領収書の改ざん(白紙領収書)

馴染みの飲食店などで、金額欄が空欄(白紙)の領収書をもらい、自分で実際の支払額よりも高い金額を記入して経費精算する行為です。「少しぐらい多めに書いても分からないだろう」という軽い気持ちで行われがちですが、これは「私文書偽造」にもつながる犯罪行為です。

税務署は、筆跡鑑定を行うこともありますし、発行元の飲食店に行って売上の控え(領収書の控え)と照合すれば、金額の不一致は一目瞭然です。意図的な改ざんは「仮装隠蔽」の典型であり、重加算税の対象となります。

⑧ペーパーカンパニーの悪用

事業実態のない別会社(トンネル会社)を作り、そこに利益を付け替えたり、交際費の枠(中小企業は年800万円まで)を二重取りしたりしようとする手口です。複数の会社を持つこと自体は違法ではありませんが、そこに「事業の実態」があるかどうかが問われます。

税務署は、以下のポイントを確認します。

  • 独自の事務所や固定電話があるか?
  • 実際に働いている従業員がいるか?
  • その会社でなければできない独自の業務を行っているか?

単に税金を減らすためだけに作られた、実態のないペーパーカンパニーだと認定されれば、それは「租税回避行為」として、すべての取引が否認されます。

⑨二重帳簿

税務署に見せるための「嘘の帳簿(赤字や低収益)」と、経営管理のための「真実の帳簿」を2つ作成する行為です。これは節税でも何でもなく、極めて悪質な「脱税犯罪」です。

最近の税務調査では、パソコン内のデータ解析(デジタル・フォレンジック)が行われることが一般的です。削除したはずのデータが復元されたり、メールの履歴から二重帳簿の存在が発覚したりするケースが増えています。発覚すれば、7年間に遡っての追徴課税、約40%の重加算税、延滞税に加え、逮捕・起訴され実刑判決を受ける可能性もあります。会社は社会的信用を失い、廃業に追い込まれるでしょう。

2.経営者が目指すべき「正しい節税」とは

ここまで、やってはいけない対策を見てきましたが、では、経営者は黙って税金を払うしかないのでしょうか?いいえ、そうではありません。国が認めている「正しい節税(節税投資)」を行えば良いのです。正しい節税とは、「会社の成長や将来の利益につながる投資を行うこと」です。

利益の先食い(前倒し経費)

「税金を払うくらいなら、来期のために使ってしまおう」という考え方です。ただし、無駄遣いはいけません。

  • 来期に行う予定だった広告宣伝(Webサイトのリニューアルやパンフレット作成)を今期中に実施する。
  • 従業員のスキルアップ研修を前倒しで行う。
  • 老朽化した設備の修繕を行う。

このように、将来の売上アップやコスト削減に繋がる経費を今期に計上することで、当期の利益を圧縮しつつ、会社の足腰を強くすることができます。

設備投資と税制優遇の活用

国は、中小企業の生産性向上を支援するために、様々な税制優遇措置を用意しています。例えば、生産性を向上させる機械やシステムなどを導入した場合に使える「中小企業経営強化税制」などです。これらを活用すれば、購入費用の全額を初年度に経費化できる「即時償却」や、法人税額から直接差し引ける「税額控除」といった強力なメリットを享受できます。単なる利益の繰り延べではなく、実際に支払う税金を減らすことができる、非常に効果的な手段です。

簿外資産の形成(利益の繰り延べ)

「今期は突発的に利益が出たが、来期以降は不透明だ」という場合には、利益を将来に取っておく「利益の繰り延べ」が有効です。代表的なのが「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」です。掛金(年間最大240万円、累計800万円)を全額損金に算入しながら、帳簿外に資産を積み立てることができます。40ヶ月以上加入すれば、解約時に100%お金が戻ってきます。将来、赤字が出た年や、退職金を支払う年に解約して益金として計上すれば、税負担を平準化できます。

3.節税の注意点:「お金を使わない節税」を優先する

最後に、節税を行う上で最も重要な心構えをお伝えします。それは、「キャッシュアウト(現金の流出)を伴う節税は慎重に」ということです。

決算間際に慌てて、不要な高級車を買ったり、無駄な飲み会を開いたりするのは、節税ではなく単なる「浪費」です。例えば、実効税率30%の会社が、100万円の経費を使って節税をしたとします。減る税金は30万円ですが、会社から出ていく現金は100万円です。つまり、トータルで手元の現金は70万円減ってしまいます。会社を存続させるために最も重要なのは「現金(キャッシュ)」です。過度な節税で資金繰りを悪化させては本末転倒です。

節税の優先順位

  1. お金が出ていかない節税:評価損の計上や未払金の計上など、会計上の処理でできるもの。
  2. お金が戻ってくる節税:経営セーフティ共済など、資産として残るもの。
  3. 将来の投資になる節税:広告宣伝や人材投資、設備投資など。

この順番を間違えず、キャッシュフローを意識した「賢い節税」を行うことが、永続する強い会社を作る秘訣です。

まとめ

「バレなければいい」という安易な考えで行うNG節税は、会社の寿命を縮める自爆行為です。税務署の情報収集能力とAI分析の進化により、不正は必ず暴かれる時代になっています。

経営者が目指すべきは、法律の範囲内で、会社の成長と安定に寄与する「正しい節税」です。今回ご紹介したNG項目を反面教師とし、将来への投資や制度を活用した王道の資産防衛に取り組んでください。「自分のやっていることが正しいか不安だ」「もっと効果的な合法節税を知りたい」という場合は、独断で進めず、必ず税務のプロである税理士に相談することをお勧めします。

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