「これは経費で落ちる?」経営者が知っておくべきグレーゾーン支出20連発【税理士が徹底仕分け】

会社経営において、「節税」は利益を最大化するための重要な戦略です。「可能な限り経費として計上し、法人税を抑えたい」経営者なら誰もがそう願うはずです。しかし、その一方で、「この領収書は本当に経費にして大丈夫なのか?」という不安が常につきまといます。

もし、自己判断で経費にしていたものが税務調査で否認されれば、本来払うべき税金に加え、過少申告加算税や延滞税といったペナルティが課されます。何より、「税務署に目をつけられる」こと自体が、その後の経営にとって大きなリスクとなります。

経費として認められるかどうかの基準は、一見曖昧に見えますが、実は非常にシンプルな「大原則」があります。それは、「その支出が会社の売上獲得にどれだけ貢献しているか(事業関連性)」という点です。

この記事では、この原則を軸に、多くの経営者が迷いがちな20個の具体的な「グレーゾーン支出」について、税理士の視点から「経費になる・ならない」の境界線を徹底解説します。単なる○×だけでなく、「なぜダメなのか」「どうすれば認められるのか」というロジックまで深掘りしますので、ぜひ自社の経理処理と照らし合わせてみてください。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1.ブランディング・広告的支出:会社の「見え方」にお金を使う

まずは、会社のイメージアップや社長の身だしなみ、移動に関する費用です。ここは「個人的な趣味・嗜好」と「事業活動」が混ざりやすい領域です。

美術品(絵画・彫刻・壺など)

【判定:OK(条件あり)】オフィスのエントランス、応接室、社長室など、顧客や取引先が目にする場所に展示し、会社の品格を高めたり話題作りに役立てたりしている場合は、事業用資産として認められます。

一方で、社長の自宅に飾っている場合や、倉庫に眠ったままになっている場合は、「私的利用」または「投資目的」とみなされ、経費(減価償却費)にはなりません。

また、金額による処理の違いにも注意が必要です。

  • 1点100万円未満:「減価償却資産」として、耐用年数(絵画なら8年、金属製なら15年など)に応じて経費化できます。また、30万円未満であれば「少額減価償却資産の特例」を使って一括経費にすることも可能です。
  • 1点100万円以上:原則として「非減価償却資産」となり、購入時は資産計上のみで経費にはなりません(売却時や除却時に初めて経費化されます)。ただし、美術館のように不特定多数に公開している場合などは例外もあります。

スーツ代

【判定:NG】「仕事でしか着ないから経費だ」と主張したい気持ちは痛いほど分かりますが、税務上の判断はシビアです。スーツは冠婚葬祭やプライベートな食事会などでも着用可能であり、個人の嗜好性が強いものとみなされます。税務署の見解としては、「給与所得者が受ける『給与所得控除』の中に、スーツ代などの必要経費は含まれている」という考え方をとるため、別途会社の経費にすることは原則認められません。

クリーニング代

【判定:OK(条件あり)】スーツ代本体はNGでも、クリーニング代は状況によって認められます。制服や作業着のクリーニングはもちろん全額OKです。スーツに関しても、「出張先で汚れたためクリーニングに出した」「夏場の汗ジミ対策で頻繁に必要」など、業務遂行上不可欠なメンテナンス費用であれば、福利厚生費や雑費として認められる余地があります。ただし、社長の自宅近くのクリーニング店で、家族の衣類と一緒にまとめて出したような領収書は、私的費用とみなされる可能性が高いでしょう。

ビジネスクラス・新幹線グリーン車

【判定:OK】移動中の疲労軽減や、機内・車内でのPC作業など、業務効率を維持・向上させるために必要であれば、正規の運賃として経費計上が可能です。社長や役員が、重要な商談の前にコンディションを整えるために上位クラスを利用することは、合理的な経営判断と言えます。

ただし、税務調査での指摘を避けるためには、「出張旅費規程」の整備が不可欠です。「役員はビジネスクラス、グリーン車を利用できる」と社内ルールで明記しておくことで、個人的な贅沢ではなく、会社の規定に基づいた支出であることを証明できます。

2.福利厚生・健康管理関連支出:社員をケアするお金

従業員の健康維持や慰安に関する費用は、「特定の誰かだけ」ではなく「全従業員を対象とする」ことが、経費(福利厚生費)として認められるための絶対条件です。

人間ドック費用

【判定:OK】会社が従業員の健康管理のために実施するものであり、以下の条件を満たせば福利厚生費になります。

  1. 全従業員(希望者全員)を対象としていること。
  2. 著しく高額でないこと(一般的な検診メニューであること)。
  3. 会社が医療機関に直接費用を支払うこと。「役員だけ人間ドックで、社員は健康診断のみ」といった格差をつけると、役員分の費用は「役員賞与(給与)」とみなされ、経費にならない上に役員個人の所得税も増えるというダブルパンチを受けます。

予防注射

【判定:OK】インフルエンザの予防接種などは、社内感染を防ぎ、業務を滞りなく進めるためのリスク管理費用と言えます。これも全従業員を対象としていれば、問題なく福利厚生費として計上可能です。

役員だけの観光旅行

【判定:NG】これは最も危険なパターンのひとつです。「役員合宿」と称していても、実態が単なる観光やゴルフ三昧であれば、それは「役員賞与」です。社員旅行を福利厚生費にするためには、「4泊5日以内」「全従業員の50%以上が参加」といった要件がありますが、役員だけの旅行はこの要件を満たしません。ただし、明確に「経営会議」や「視察」を行い、その議事録やレポートが残っている場合は、その実務を行っていた部分の費用は会議費や旅費として認められる可能性があります。

スポーツ観戦のチケット

【判定:OK】プロ野球やJリーグの年間シートなどを購入し、社員が交代で利用できるようにしている場合は、福利厚生費になります。また、取引先を招待して一緒に観戦する場合は「交際費」となります。誰が利用したのかを記録しておくことが重要です。

マッサージ代

【判定:OK】最近では、社内にマッサージ師を呼んだり、提携するサロンを利用できるようにしたりする企業が増えています。これも全従業員が利用できる制度であれば、福利厚生費です。ただし、社長が個人的に通っている整体やエステの領収書を経費にするのはNGです。

昼食代(ランチ補助)

【判定:条件付きOK】社員のランチ代を補助する場合、以下の2つの条件をどちらも満たす必要があります。

  1. 従業員が食事代の半分以上を負担していること。
  2. 会社が負担する金額が、従業員一人あたり月額3,500円(税抜)以下であること。この条件はかなり厳格です。また、現金を渡すのはダメで、弁当の現物支給や社員食堂、食事券(チケットレストラン等)の配布などの形式をとる必要があります。なお、残業時の食事代については、この制限はなく、現物支給であれば全額を経費にできます。

3.交際・贈答・接待関連支出:人付き合いに使うお金

取引先との関係構築にかかる費用です。ここは「誰と、何のために」が問われます。

領収書のない費用(香典・祝儀)

【判定:OK】「領収書がないから経費にできない」と諦めてはいけません。取引先の慶弔費は、立派な交際費です。招待状や会葬礼状を保管し、「出金伝票」に「日付、相手先、金額、目的(祝儀・香典等)」を記載して保存しておけば、領収書の代わりとして認められます。

商品券・ギフトカード

【判定:要注意】お中元やお歳暮として商品券を贈ること自体は問題ありません。しかし、商品券は換金性が非常に高いため、税務署は「社長が自分で使ったり、金券ショップで換金して裏金を作ったりしていないか?」と強く疑います。経費として認めてもらうためには、購入時の領収書だけでなく、「誰に、いつ、いくら分を渡したか」を記録した「贈答リスト」の作成と保管が必須です。さらに、受領書や発送伝票の控えがあれば完璧です。

同業者組合とのゴルフコンペ

【判定:NG】同業者団体やロータリークラブなどのゴルフコンペは、業務上の接待というよりも、会員同士の親睦やプライベートな付き合いとみなされる傾向が強いです。そのため、会費やプレー代は経費として認められないケースがほとんどです。一方で、明確に「取引先」を接待するためのゴルフであれば、プレー代や飲食代は交際費として認められます。

4.財務処理・税金関連支出:会社のお金の出し入れ

従業員の出産祝金

【判定:OK】従業員やその家族への慶弔金は、福利厚生費となります。ただし、「社会通念上相当な金額」であることが必要です。世間相場からかけ離れた高額な祝い金(例:平社員に100万円など)は、給与とみなされるリスクがあります。「慶弔見舞金規程」を作成し、役職や勤続年数に応じた基準を決めておくのが無難です。

税金

【判定:一部OK】払った税金がすべて経費になるわけではありません。

  • 経費になる税金(租税公課):事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、印紙税、登録免許税など。
  • 経費にならない税金:法人税、地方法人税、法人住民税(本税)、延滞税、加算税、罰金など。法人税等は「利益の処分」として支払うものなので、経費にはなりません。

寄付金

【判定:OK(限度額あり)】国や地方公共団体への寄付は、全額が損金(経費)になります。それ以外(一般的なNPO法人や神社仏閣など)への寄付は、資本金や所得金額に応じた「損金算入限度額」の範囲内でのみ経費になります。限度額を超えた部分は経費になりません。

株取引の損失

【判定:OK】ここは個人投資家と大きく違うメリットです。個人の場合、株の損失は「譲渡所得」の中でしか相殺できず、給与所得などからは引けません。しかし法人の場合、「すべての収入と支出を合算」して法人税を計算します。つまり、本業で利益が出ていても、法人口座で行った株式投資で損失が出れば、それを合算して会社全体の利益を圧縮(節税)することができるのです。

自宅兼事務所の費用

【判定:OK(按分が必要)】個人事業主や、自宅を会社の事務所として登記している場合、家賃や水道光熱費の一部を経費にできます。重要なのは「家事按分」の比率です。「床面積の〇〇%を事務所として使用」「業務時間は1日〇〇時間」といった合理的な基準で計算し、事業用部分のみを計上します。なお、賃貸契約の「礼金」は20万円未満なら一括経費、それ以上なら繰延資産として償却しますが、「敷金」は退去時に戻ってくる資産なので経費にはなりません。

同族会社間の取引

【判定:要注意】社長が個人で持っている土地を会社に貸す、あるいは関連会社間で売買を行うといった取引です。これ自体は禁止されていませんが、金額設定が「適正(時価)」であるかどうかが厳しく見られます。利益を操作するために、相場より著しく高い家賃を払ったり、安く商品を売ったりすると、その差額は「寄付金」や「役員賞与」と認定され、否認されるリスクが高いです。不動産鑑定士の評価書など、客観的な証拠が必要です。

学費

【判定:条件付きOK】社長の子供の学費は、当然ながら個人的な支出でありNGです。しかし、社長自身や従業員が、業務に直結する知識を習得するための学費(MBA取得、宅建講座、プログラミングスクールなど)であれば、研修費として認められます。

ポイントは「業務遂行上の必要性」です。会社がその資格取得を命じた、あるいは事業拡大のために不可欠であるというストーリーと記録が必要です。

まとめ:迷ったときの判断基準

経費になるかどうかの判断は、最終的には「事業のために必要だったか」を客観的に証明できるかにかかっています。税務調査官は、「これは個人的な支出ではないか?」という疑いの目を持ってやってきます。その時に、「この支出は、これだけの売上を作るために、どうしても必要だったのです」と、証拠(領収書、日報、議事録、規程など)を持って堂々と説明できるかどうかが分かれ目です。

「みんながやっているから」という理由で安易に経費計上するのは危険です。迷ったときは、「売上につながるか?」「証拠を残せるか?」を自問し、専門家である税理士に相談することをお勧めします。正しい知識で、賢く資産を守りましょう。

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